46 / 98
第二部 淡水の王者と虫の王者
ビショップは、つらいよ 出会い編
しおりを挟む
ビショップこと村元政夫が大学4年生の時、単位が足りず、
1年生の履修科目を受ける羽目になった。
元々、法学を履修するつもりだったのだが、彼が1年の頃から、
休講となり、いつかは、臨時でもやるのではないかと噂はあったが、
結局、無いままで終わった。
他の同級生たちは、遅くても3年生時には見切りをつけ、さっさと
政治学を履修していた。
卒業の為、4年生で政治学を履修するのは、村元ただ一人だった。
その為に、学校の購買に教科書を買いに来ていた。
1年は、合同販売会がある為、それで購入する事が出来る。
購買の中の本屋ではあるが、大学ともなると普通の本屋なみにでかい。
「たくっ、政治学の教科書なんて何処にあるんだよ・・・。」
毒づきながら探してると、棚にようやく1冊見つけることが出来た。
あった、あった、と手に取ろうとすると、もう一人の手が伸びてきた。
すらっと背筋が伸びた美しい女性だった。
「えっと、2年生?」
1年は合同販売会があるので、2年生かと思い聞いてみた。
「いえ、1年です。」
女性が答えた。
「合同販売会で買えなかったの?」
「部活がありまして、参加できなかったんです。」
「なるほど。」
強豪の運動部なんかは、学校の行事より部活を優先する事が許されている。
「いいよ。持ってって。俺は何とかなるから。」
「えっ、でも・・・。」
「気にしないでいいよ。」
そう言って、村元はその場を去った。
その夜、友人宅にて。
「政治学の教科書何処にあるんだ?」
「1年の時の教科書なんて、何処にあるかわかるわけないだろっ。」
「てめえ、親友が困ってんだ、探せよ。」
「さっさと政治学取らなかった、お前が悪いんだろ。」
「いいから探せよ。」
村元は友人をせかして探した。
男の一人暮らしなら、何処かに埋まっているもので、何とか見つけることに
成功した。
「これで、何とかなるな。」
「ふんっ。」
友人が手のひらを出してきた。
「何だ?」
「5000円になります。」
「ふざけんなっ!」
「そうかあ・・・政治学ってレポート提出があるんだよなあ。」
「あ、あるのかっ?」
「まあ、どっか埋まってんだろ。」
友人を無視して、発掘作業に取り掛かる村元。
「ちょっ、おまっ金払ってからだろ。」
「学食2日分で手を打て。」
「3日分だっ!」
「ちっ。」
商談は成立し、レポートまで手に入れることが出来た。
大学の教授は毎年、多くの生徒を受け持つ。
何百人と受け持つ生徒が3年前のレポートを丸写しで出したとしても、
気づく事は、まずない。
そもそも読んでるのかも怪しいものである。
「あの教授な、就活や部活の欠席は、出席扱いにしてくれるけど、
レポート出さないと単位はくれないから、気を付けろよ。」
「サンキュー。」
友人の忠告を受けて、村元は礼を言ってアパートへと帰って行った。
政治学の初日、90分もある講義をまともに聞いてる者なんて居ない。
最初の出席が終われば、ばれない様に寝てるか、他の事をしてればいい。
教授の自己紹介から始まるわけだが、
「政治学を履修してる者は、殆どが1年生だと思うが、中には2年生もいる。
が、今年は4年生もいる。1年の者は他の教授からも聞いてると思うが、
1年で選択できるものは出来るだけ多くの科目を履修するといい。
そうしないとこの中にいる4年生のように卒業前に慌てる事になるからな。」
と、人をネタにして、掴みをとる。
もちろん1年の多くは、笑っている。
2年生になると、あまり笑えないらしい。
殆どの大学がそうだが、4年生は授業がない。
理系なら卒研、文系なら卒論がある位だ。
第一に優先されるのが、就職活動になる。
村元も政治学が終われば、家に帰るだけだ。
さっさと仕舞、学食へ向かおうとしていた。(奢りに・・・。)
「あのう、先輩。」
先日の女性が話しかけてきた。
「はい?」
「教科書、なんとかなりました?」
「ああ、なんとかなったよ。」
「よかった。」
「気にしなくていいよ。3年もいるとさ、何とかなるもんだよ。」
「酷いですよね。笑いもんにして。」
「いやいや、毎年だから。」
「そうなんですか?」
「そうそう。あれで掴みは取れてると思ってるからね。」
「なるほど。」
「でもさ、教授が言うように履修は出来るだけした方がいいよ。」
村元は実体験を含めて女性に言った。
「はい。肝に銘じときますね。」
村元は、女性と別れ、学食へ向かい、一番高いC定食を奢るはめになった。
「これが、あと2日続くのか・・・トホホ・・・。」
1年生の履修科目を受ける羽目になった。
元々、法学を履修するつもりだったのだが、彼が1年の頃から、
休講となり、いつかは、臨時でもやるのではないかと噂はあったが、
結局、無いままで終わった。
他の同級生たちは、遅くても3年生時には見切りをつけ、さっさと
政治学を履修していた。
卒業の為、4年生で政治学を履修するのは、村元ただ一人だった。
その為に、学校の購買に教科書を買いに来ていた。
1年は、合同販売会がある為、それで購入する事が出来る。
購買の中の本屋ではあるが、大学ともなると普通の本屋なみにでかい。
「たくっ、政治学の教科書なんて何処にあるんだよ・・・。」
毒づきながら探してると、棚にようやく1冊見つけることが出来た。
あった、あった、と手に取ろうとすると、もう一人の手が伸びてきた。
すらっと背筋が伸びた美しい女性だった。
「えっと、2年生?」
1年は合同販売会があるので、2年生かと思い聞いてみた。
「いえ、1年です。」
女性が答えた。
「合同販売会で買えなかったの?」
「部活がありまして、参加できなかったんです。」
「なるほど。」
強豪の運動部なんかは、学校の行事より部活を優先する事が許されている。
「いいよ。持ってって。俺は何とかなるから。」
「えっ、でも・・・。」
「気にしないでいいよ。」
そう言って、村元はその場を去った。
その夜、友人宅にて。
「政治学の教科書何処にあるんだ?」
「1年の時の教科書なんて、何処にあるかわかるわけないだろっ。」
「てめえ、親友が困ってんだ、探せよ。」
「さっさと政治学取らなかった、お前が悪いんだろ。」
「いいから探せよ。」
村元は友人をせかして探した。
男の一人暮らしなら、何処かに埋まっているもので、何とか見つけることに
成功した。
「これで、何とかなるな。」
「ふんっ。」
友人が手のひらを出してきた。
「何だ?」
「5000円になります。」
「ふざけんなっ!」
「そうかあ・・・政治学ってレポート提出があるんだよなあ。」
「あ、あるのかっ?」
「まあ、どっか埋まってんだろ。」
友人を無視して、発掘作業に取り掛かる村元。
「ちょっ、おまっ金払ってからだろ。」
「学食2日分で手を打て。」
「3日分だっ!」
「ちっ。」
商談は成立し、レポートまで手に入れることが出来た。
大学の教授は毎年、多くの生徒を受け持つ。
何百人と受け持つ生徒が3年前のレポートを丸写しで出したとしても、
気づく事は、まずない。
そもそも読んでるのかも怪しいものである。
「あの教授な、就活や部活の欠席は、出席扱いにしてくれるけど、
レポート出さないと単位はくれないから、気を付けろよ。」
「サンキュー。」
友人の忠告を受けて、村元は礼を言ってアパートへと帰って行った。
政治学の初日、90分もある講義をまともに聞いてる者なんて居ない。
最初の出席が終われば、ばれない様に寝てるか、他の事をしてればいい。
教授の自己紹介から始まるわけだが、
「政治学を履修してる者は、殆どが1年生だと思うが、中には2年生もいる。
が、今年は4年生もいる。1年の者は他の教授からも聞いてると思うが、
1年で選択できるものは出来るだけ多くの科目を履修するといい。
そうしないとこの中にいる4年生のように卒業前に慌てる事になるからな。」
と、人をネタにして、掴みをとる。
もちろん1年の多くは、笑っている。
2年生になると、あまり笑えないらしい。
殆どの大学がそうだが、4年生は授業がない。
理系なら卒研、文系なら卒論がある位だ。
第一に優先されるのが、就職活動になる。
村元も政治学が終われば、家に帰るだけだ。
さっさと仕舞、学食へ向かおうとしていた。(奢りに・・・。)
「あのう、先輩。」
先日の女性が話しかけてきた。
「はい?」
「教科書、なんとかなりました?」
「ああ、なんとかなったよ。」
「よかった。」
「気にしなくていいよ。3年もいるとさ、何とかなるもんだよ。」
「酷いですよね。笑いもんにして。」
「いやいや、毎年だから。」
「そうなんですか?」
「そうそう。あれで掴みは取れてると思ってるからね。」
「なるほど。」
「でもさ、教授が言うように履修は出来るだけした方がいいよ。」
村元は実体験を含めて女性に言った。
「はい。肝に銘じときますね。」
村元は、女性と別れ、学食へ向かい、一番高いC定食を奢るはめになった。
「これが、あと2日続くのか・・・トホホ・・・。」
0
あなたにおすすめの小説
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……
karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。
ゴミスキルと追放された【万物鑑定】の俺、実は最強でした。Sランクパーティが崩壊する頃、俺は伝説の仲間と辺境で幸せに暮らしています
黒崎隼人
ファンタジー
Sランク勇者パーティのお荷物扱いされ、「ゴミスキル」と罵られて追放された鑑定士のアッシュ。
失意の彼が覚醒させたのは、森羅万象を見通し未来さえも予知する超チートスキル【万物鑑定】だった!
この力を使い、アッシュはエルフの少女や凄腕の鍛冶師、そして伝説の魔獣フェンリル(もふもふ)といった最強の仲間たちを集め、辺境の町を大発展させていく。
一方、彼を追放した勇者たちは、アッシュのサポートを失い、ダンジョンで全滅の危機に瀕していた――。
「今さら戻ってこい? お断りだ。俺はこっちで幸せにやってるから」
底辺から駆け上がる痛快逆転ファンタジー、ここに開幕!
荷物持ちを追放したら、酷い目にあった件について。
しばたろう
ファンタジー
無能だと思い込み、荷物持ちのレンジャーを追放した戦士アレクス。
しかし――
彼が切り捨てた仲間こそが、
実はパーティを陰で支えていたレアスキル持ちだった。
事実に気づいた時にはもう遅い。
道に迷い、魔獣に襲われ、些細な任務すらまともにこなせない。
“荷物持ちがいなくなった瞬間”から、
アレクスの日常は静かに崩壊していく。
短絡的な判断で、かけがえのない存在を手放した戦士。
そんな彼と再び肩を並べることになったのは――
美しいのに中二が暴走する魔法使い
ノー天気で鈍感な僧侶
そして天性の才を秘めた愛くるしい弟子レンジャー
かつての仲間たちと共に、アレクスはもう一度歩き出す。
自らの愚かさと向き合い、後悔し、懺悔し、それでも進むために。
これは、
“間違いを犯した男が、仲間と共に再び立ち上がる”
再生の物語である。
《小説家になろうにも投稿しています》
【読切短編】処刑前夜、地下牢に現れた王女は言った。「お前でなければ駄目なんだ」滅びの未来を覆す、騎士との契約
Lihito
ファンタジー
王国騎士団の副長ヴェルドは、無実の罪で投獄され、明日処刑される運命にあった。
腐敗した国に絶望し、静かに死を待つ夜。
地下牢に現れたのは、実権を持たない「傀儡」と噂されるイゾルデ王女。
彼女はヴェルドに仮死毒を渡し、こう告げた。
「死んで、私の影になれ」
彼女は知っていた。
この国が三年後に滅ぶこと。誰が裏切り者か。
そして——ヴェルドこそが、国を救うための唯一の「切り札」であることを。
これは、滅びの未来を知る孤独な王女と、一度死んで生まれ変わった騎士が、裏から国を救う「共犯」の物語。
アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記
ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。
そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。
【魔物】を倒すと魔石を落とす。
魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。
世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。
能力『ゴミ箱』と言われ追放された僕はゴミ捨て町から自由に暮らすことにしました
御峰。
ファンタジー
十歳の時、貰えるギフトで能力『ゴミ箱』を授かったので、名門ハイリンス家から追放された僕は、ゴミの集まる町、ヴァレンに捨てられる。
でも本当に良かった!毎日勉強ばっかだった家より、このヴァレン町で僕は自由に生きるんだ!
これは、ゴミ扱いされる能力を授かった僕が、ゴミ捨て町から幸せを掴む為、成り上がる物語だ――――。
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます
六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。
彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。
その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる