秘密の多い私達。

堂島うり子

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第6章

何か少し変わった?

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「何で無くすかな私……」

 九條さんに強い興味を示した先輩の為に前貰った名刺を渡そうと
思ったまではよかったけど。何処に置いたのか忘れてしまうなんて。
 もし仕事関係だったら後で大変な事になったかもしれないのに。

 昼休みを利用してオフィス内を探検するようにくるくると巡る。
 人の席に近づいてみたりゴミ箱をみたり。

「無いならいいよ。姉さんなら多分管理してると思うし」
「すみません」
「でももらった名刺は保存しておきなよ?」
「はい。気をつけます」

 くださいと言えば安易にもらえるんだろうけど。
あの人とあまり関わっちゃいけない。
 社長を危険視していて警察の監視下に起きたい人だから。

 それが正しいのかどうかなんて分かりたくもない。

「姉さんで思い出した。貴方が社長の身内かもって噂聞いたんだけど。
それが本当ならこの前のハワイの話は社長には内緒にしてほしい」
「身内に見えます?」
「貴方がどうってことはないんだけどあの社長とじゃね。
違う人種に見えちゃって…、まあ一応?」
「はは。……は。なるほど一応」

 良かった。彼女が興味を持たないなら噂も広まらない。

「事件があってから社長と話す機会が増えたって。それ足がかりに
もっと積極的に行けばいいのに。いい女なんだから」
「……いい女」

 からかわれてその反応が可愛いとは言われてもイイ女なんて一度も。
 身なりや生活習慣に注意を受けるレベルだからしょうがない。

「連絡いれとこっと」

 憂鬱になってきた私の横で先輩はお姉さんに連絡していて。
それから違う会話をしたり。お茶を淹れてきたり平和なお昼休憩を
 過ごしていると私のスマホが震えてやけに長いなと思ったら着信。

 それも社長からの。

「丘崎さん?」
「ち、ちょっとトイレ行ってきます」

 なに?何で?会社に居るのに何故直通で電話かかってきました?
バイブレーションが収まらないスマホを握りしめて少し遠目のトイレへ。
 誰も居ないことを確認してから一番奥の個室に駆け込んだ。

「は、はい。何でございましょう」
『君、私に報告する事があるんじゃないか』
「ほうこく?」
『秘書が刑事の名刺を妹に見せていいかと私に確認をしにきた。
聞けば刑事が来て丘崎君と話をしていたそうだね?』
「それはそうですけど何でそんな口調です?」
『何でだと思う』

 怒っているからですね。

「理由があるんです社長。事件も解決した所なのに刑事と喋っている
なんて風紀というか、イメージが悪くなるので。それで外で話してこい
との上司命令でして。はい。社長にもご迷惑かと」
『君を引き込もうとしたんだろう。あの男のやりそうな事だ』
「貴方の為だって言ってましたけど信頼出来なくて断りました。
嘘は無い人だと思いましたけど。すみません報告せずに」
『君に余計なことを言っていないなら良いんだ』
「どんな経緯で知られてしまったんですか?」
『本当に若気の至りとしか……後悔しかない』

 そんな風に言われるとウズウズと知りたくなる彼の過去。
九條さんを助けた事件はどんなものだったのかとか。社長の家庭環境とか。
 高御堂家といえは私でも知ってる不動産王として有名な大富豪。

「創真さんのお家って今はもう貴方しか居ないんですよね」
『その話もしたのか。不思議な力で義家族を殺したとでも言われた?』
「いいえ何も。久しぶりにその名字を聞いたので思い出しただけです」
『そうか。怖がらせる気は……いや、もう怖いかな』
「怒ってないなら全然大丈夫です」

 昨日垣間見た、社長の不機嫌からの怒りは怖くてしょうがないけど
 不確かな話なんか全然怖くない。

『君って子は……。所で今夜はどう?』
「何ですか急に。仕事終わりに何処か連れて行ってくれるとか?」
『風呂。週末は会えないわけだから今日か明日かで調整できないかな』
「何で入る前提で言ってますか?お風呂は駄目ですって」
『そんな頑なに嫌がる事?』
「はい。メイク落とすし頭も洗いたいし体も…」
『咲子と風呂に入るまで毎日言い続けるけどそれでも?』
「だめっ。そろそろ時間なので仕事に戻りますっ」

 返事を待たずに電話を終える。だって本当に時間が迫っているから。
駆け足で席に戻ると先輩に心配され笑顔でもう大丈夫ですと返事した。
 本当は全く笑顔じゃないし大丈夫でもないけど。

 今頃社長室で笑ってるんだろうな。自分のペースは崩したくないけど、
 人のペースは崩しにかかるなんてワガママ。



「何か面白いことでもありました?」
「思い出し笑いは下品だったかな。話はきちんと把握しているから」
「いえ。社長の笑った顔なんて初めてで、とても素敵だと思って」
「君たちは何時も笑顔で仕事をしてくれているのに仏頂面で申し訳ない。
私も引き継いだからには柔軟な対応を出来るように今後は改めるよ」
「とんでもない。そんな意味では」
「分かってる。さて。会議に行こうか」
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