ぞうのさんちゃん

キノピオ

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その5

さんちゃん宇宙へいく

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なかなか寝付けない夜、さんちゃんは一人で森の中を散歩する事にしました
今日はとってもきれいな月夜です。
真夜中の森も、月の明かりに照らされて
木も花も小川も白い光で輝いています

鼻歌を歌いながら、ぼんやりと森のはずれまで歩いてくると

ピカ!

と夜空で何かが光りました

「?」さんちゃんが不思議に思いながら光の行方を見つめていると
どんどん、どんどん、光が大きくなってさんちゃんに近づいてきます

さんちゃんは慌てて逃げ出します。
どーーーーーーーーーん!
大きな音とともに、銀色に輝くまーるいカプセルのようなものが
地面に突き刺さりました

あたりはぼんやりとした月明かりに照らされ土煙がもくもくと舞い上がっています

さんちゃんは心臓がドキドキして動けません。
森はあっという間にいつもの静けさを取り戻し
フクロウの鳴き声一つ聞こえません。

どれくらいたったでしょう。ほんの1分かもしれません
1時間かもしれません。

さんちゃんはじっと身動きひとつとれず固まっています。
ドキドキが大分収まってきた頃
カプセルが「プシュ!」っと小さな音を立てて
二つに割れました。さんちゃんはまたドキドキしてしまい
じっとカプセルを見守っています。

すると中から、黒くて小さくてやけに胴と耳の長い生き物と
金色のモサモサしたちょっと大きな手足の長い生き物が飛び出しました。

よく見ると犬のようです・・・・。
2人はしっぽをフルフルと振るとトコトコさんちゃんの足下まで
歩いてきました。

さんちゃんの足下にペタンと腰を下ろすと
胴の長い黒い犬が言いました
「サクラちゃんのせいで大変な事になっちゃったじゃない!」
サクラちゃんと呼ばれた金色のモサモサした犬は
シュンとして、前足の上にちょこんとあごをのせると
「だって、チョコ姉ちゃん、私、退屈で退屈で、もうがまんできなかったんだもん」
「だからって、あんなに狭いところで走り回ったら、危ないに決まってるでしょ」
「だって、チョコ姉ちゃんは静かに本を読んだり、じっとしてるのが
好きかもしれないけれど、私には長い事大人しくしているなんて、やっぱりムリなのよ」
チョコ姉ちゃんはふ~っと大きなため息をついてサクラちゃんを見つめます。
「・・・・・・・・・・それはワガママ言ってチョコ姉ちゃんについてきたのは私だけど」

「しかたないわね」と言ってチョコ姉ちゃんは立ち上がると、あたりを見回します。
たっているんだか座っているんだかさっぱり分かりませんが
とにかくさんちゃんは動く事もできません。


「いったいここはどんな星なのかしら・・・・・」
チョコ姉ちゃんはクンクンと匂いをかぎ始めました
さくらちゃんもしっぽをフルフルと振りながら不安そうにチョコ姉ちゃんを見つめています。
「どんな生き物がいるか分からない、危険な場所だったらどうしよう・・・」

「ぶあっくしょん!!!!!!!!!!!」

サクラちゃんのしっぽがさんちゃんの鼻をくすぐって
ついつい我慢できずさんちゃんは大きなくしゃみをしてしまいました

「ぎゃ~!!!!」

2人は吃驚してカプセルの後ろに隠れます。

「ご、ごめん、ごめん」さんちゃんはあわてて言いました
「ぼくはぞうのさんちゃん、この森に住んでるんだ、君たちはいったいどこからやってきたの?」

2人はカプセルの後ろでこそこそと話しています。

「チョコ姉ちゃん、あれはいったい何?!」
「どうやら、この星の生き物みたいね、あんなに大きい生き物が住んでいるなんて恐ろしい星!!」
チョコ姉ちゃんはそっとさんちゃんの様子を伺っています。
「でも、なんだか優しい目をしてるよ、私たちがそばにいても乱暴しなかったし・・・」
サクラちゃんがヒクヒクと鼻を動かしながら、カプセルの後ろからそっと顔を
覗かせると

「こんばんは!!」
2人の後ろからねずみのつよしくんが現れました
「君たち、見かけない顔だけど、いったいだ~れ?」

チョコ姉ちゃんはまんまるの目を白黒させて飛び上がりました
「何?!この小さい生き物!!!!」
サクラちゃんは興味深げにつよしくんに鼻をすり寄せると
クンクンとにおいを嗅ぎ始めました。

「あはははは、やめてよ~!くすぐったいよ~!
あ、さんちゃん、この子たちはさんちゃんのお友達?
なんだかすごく大きな音がしたもんだから、急いできてみたんだけど
さんちゃん大丈夫だった???あはははは、お願いだから舐めないで、
あはははははははははは」

ついにサクラちゃんはつよしくんと追いかけっこをはじめました

「さんちゃん!た、たすけて~」つよしくんがさんちゃんのそばまで
駆け寄ってきたので、さんちゃんは長い鼻でつよしくんをすくいあげると
ちょこんと頭の上に座らせてあげました。
「ひゃ~、さんちゃんありがとう。それでこの子たちいったい誰なの?」
「ぼくにもわからないんだよ~」さんちゃんが困ったように言いました。

「大きな生き物と小さな生き物が合体した!!」チョコ姉ちゃんはまたまた吃驚です
「うふふ、なんだか分からないけど、このちっちゃい生き物、とっても楽しいよ、
チョコ姉ちゃんもそんなにおびえてないでこっちにおいでよ」サクラちゃんは
大きな舌をたらして、はあはあ言いながら、さんちゃんのまわりをクルクルと走り回っています。

「確かに危険はなさそうだけど・・・。」

なんだかさんちゃんは面倒臭くなってきて、サクラちゃんとチョコ姉ちゃんを
ひょいと鼻で持ち上げると背中に乗せて、歩き出しました。
「事情はよくわからないけど、とにかくボクのうちで話を聞くよ~」
そう言うと、3人を自分の家まで連れて帰る事にしました。

「2人とも、うちゅう?からきたの???」
さるのけんたくんが首を傾げます
「うちゅうってどこ?さんちゃん」
うとうとしていたさんちゃんは、大きなあくびをしながら答えました
「ボクもよくわからないんだけど、とにかく2人とも
ピカピカ光る乗り物にのって、お月さまから落ちてきたんだよ~」

「宇宙っていうのは、お空のずーっとずーっと向こう側にあるんだよ
夜空に光るお月様とか、お星様とか、あれが全部宇宙だよ」
つよしくんがホットケーキをほおばりながら答えました
「あ!サクラちゃん、それボクのホットケーキ!」
今度はつよしくんがサクラちゃんを追いかけて
部屋の中をぐるぐると回り始めました

「たいへんだったね、チョコちゃん」
うさぎのはなちゃんがお茶を入れながら言いました
チョコちゃんはまだ不安そうにまわりを伺っています
「ぞうのさんちゃんは、体は大きいけど、とっても優しくて
力持ち、とっても頼りになるから、安心してね」
さんちゃんはだらしなくいびきをかいて眠ってしまいました

「さるのけんたくんは、いつもみんなをまとめてくれる
元気な男の子だけど、料理もとっても得意なの」
けんたくんはせっせと、ホットケーキを焼いています
「チョコちゃん、今度マドレーヌもごちそうするね!」

「ねずみのつよしくんはちっちゃいけれど、とっても物知りで
頭がいいのよ!ちょっと食いしん坊だけど」
つよしくんは、いつのまにかサクラちゃんに追いかけられて
ひいひいと、部屋の中を走り回ってます。

「この星にはいろんな動物が棲んでいるのね・・・・」
チョコちゃんがぽつりと言いました。

「私たちが産まれるず~と昔の事らしいの」

チョコちゃんが話し始めました

きれいな星だったの、緑が豊かで、透きとおる海、穏やかな太陽
優しい恵みの雨、街は便利なモノに溢れ、何不自由なくみんな暮らしていたの

アレがなければ・・・・。

「アレ?」はなちゃんが聞きました

「アレが何かはわからないの・・。ただ、始めは事故だった、きっかけが何だったのか
私たちには何も分からないの、調べても、当時の事は何もわからないの
何も残されていないの・・・。私たちには・・・・」

事故の後、しばらくは何事もなかったように、みんな、なにも気づかずに
普段通りの生活にもどっていったの、ただ、いつものように。
でも、それは静かに、本当に静かに始まったの。
事故から何年もたった後。

小さい子供たちがたくさん病気になったの、大人たちは驚いて、原因を調べたけれど
調べれば調べるほど、恐ろしい事に、私たちの住む星は
すっかり汚れてしまっていた事が分かったの

「汚れてたの?」つよしくんが聞きました

「そう、空も、大地も、海も。たくさんの毒で汚れていたの。もちろん食べるものも・・・・・」

みんな黙ってチョコちゃんの話に聞き入っています
「もしかしたら昔は私たちの星にも、さんちゃんやつよしくん達のように
もっとたくさん、いろんな動物達が暮らしてたかもしれないね」
チョコちゃんがちょっと寂しそうに笑いました

「チョコ姉ちゃんはすごいんだよ!とっても頭が良くて
このままじゃイケナイっていっぱいいっぱい勉強して
カガクシャになったんだよ!今は私たちの星もドームってものに
守られて、少しずつ空気も水もきれいになったんだけど
食べるものがいっつも足りないもんだから、私たち
ウチュウにホットケーキを探しにきたんだ~!」

サクラちゃんがホットケーキをもぐもぐと頬張りながら言いました

「サクラちゃん、私たちは別にホットケーキを探しにきたわけじゃないわよ
でも、こんなにおいしいものが毎日食べられるなんて、本当に幸せ」
チョコちゃんも一口ホットケーキを頬張りました。

ボクたちにできる事なんかあるのかな・・・・・・」

チョコちゃんとサクラちゃんが疲れて眠ってしまうと
みんなしょんぼりとしてしまいました。

「食べるものが無いなんて、ホットケーキもたこ焼きも食べられないなんて・・・・。」
つよしくんは瞳をウルウルさせながらつぶやきました。

嵐の後、辛かった事を思い出した4人はしばらく考え込んでいました。

「私、野菜の苗や花の種を集める!チョコちゃんの星でうまく育つかどうかわからないけど
たくさん、たくさーん集める!!!」

はなちゃんが言いました

「僕はおいしいものが作れるように、お料理の作り方をサクラちゃんに教えてあげるよ
ホットケーキもマドレーヌも、そうだ、お芋を使ったお料理も!はなちゃん、
お芋の苗もわすれないでね」

けんたくんが言いました。

「ぼくはチョコちゃんを手伝って、あの金色に輝く乗り物を直してみせるよ
はなちゃんの集めた苗や種も、料理に使う道具だって、そうだ!たこ焼き機も載せないといけないから
もっと大きく、頑丈にしないとね」

つよしくんもやる気満々です。

「ぼ、ぼくは・・・・・」

みんなさんちゃんをみつめています

「ボクはチョコちゃんとサクラちゃんと一緒にうちゅうにいって
みんなのお手伝いをしに行くよ!!たくさん荷持ちも運ばなきゃいけないし、
畑を耕すのだって、ボクがいればきっとずっとらくちんだと思うんだ!」

『!』
みんなびっくりしてしまいましたが
なるほど、さんちゃんにはそれがぴったりです
きっとチョコちゃんとさくらちゃんの星でも
さんちゃんは大活躍するでしょう

「そ、そうだね、さんちゃんがいれば百人力だね、そうか
じゃあ、あの乗り物ももっと大きくしないとだめだね、よーし!頑張るぞ!!」
つよしくんは大きな声で気合いも充分です

「しー!」はなちゃんが言いました

「2人が起きちゃう!つよしくんもう少し小さな声で!体は小さいのに
ホントに声と胃袋だけは大きいんだから」そして4人でちょっとだけ笑って
眠っている2人をみつめました

2人ともぐっすりと眠っています
チョコちゃんは短い手の上にちょこんと頭をのせて
サクラちゃんはホットケーキでぱんぱんになったお腹を出したまま
すやすやと寝息をたてています。
そして、なんだかちょっぴり微笑んでいるようでした



・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・?

「み、みんな・・・・・ぼく、ぼく、やっぱりこわいよ~!」

出発の朝・・・

「ボクやっぱり行きたくないよ~!!怖いよ~!!!!」

「大丈夫!!みんな応援してるから!」

「でも、でも・・・・」

「がんばって宇宙船も直したんだ、きっとできるよ!」

「でも、でも、もし途中でおっこっちゃったら??」


「大丈夫よ、つよしくんの知識と技術には私も驚いたけど
これだけ完璧に宇宙船が元に戻ればなにも怖いものは無いわ
むしろ私たちがこの星にたどり着いた時よりも安全かもしれない
私を信じて!」
チョコちゃんも鼻の穴を広げて、興奮しています

「そうよ、はじめはあんなに不安げだったチョコちゃんだって
こんなに自信を持って力説してるんだもの、間違いないわ!」
はなちゃんはなだめるように、でも力強く言いました

「み、みんなちょっと落ち着いて・・・おねえちゃんも」

サクラちゃんはお家に帰れるのがうれしいのか
みんなと別れる寂しさからか、涙目でみんなのまわりを
うろうろと歩き回っています。

「食べるものだって途中でなくなっちゃうかもしれないよ」

「大丈夫!ボクの焼いたマドレーヌ宇宙食はこつぶだけど
栄養たっぷり、つよしくんたちが宇宙船を修理してる間
研究に研究をかさねた自信作さ!たっぷり半年分はあるから
心配しないで、もちろん味だって保証付きさ」
ケンタくんも自信たっぷりです

「・・・・・・半年も宇宙船に閉じ込められるの・・・?」

「んもう!じれったい!大丈夫よ、みんな応援してるから!
毎日無事を祈るから、泣かないで、男でしょう!」

「・・・・・・・・・ぐすん」

「あんたが行かないと、さんちゃんが乗れる大きさの宇宙船は
今のチョコちゃんたちだけじゃ作るのには時間がかかりすぎるし
さっさと行って作って帰ってくればいいじゃない」

みんなが声を揃えていいました

「つよしくんなら大丈夫!!」

「ごめんよ、つよしくん、ボク大きすぎるから
でもつよしくんが大きな宇宙船で帰ってきたら、
今度はボクがチョコちゃん達の
役に立てるよう、今から鍛えておくから、ね、だからつよしくんも
がんばって」
さんちゃんは優しくそう言うと長い鼻を使って
頭の上につよしくんを載せてゆっくりと
宇宙船の場所まで歩き始めました

「・・・・わ、わかったよ、でも、ボク、さんちゃんの
頭より高いところに登った事無いんだよな」
と小さな声でぶつぶつ言っていますが
もうみんなの所まで声は届きません

さんちゃんは「ポンポン」と励ますように
長い鼻でつよし君の肩を叩きます。

「ぼく、ぼく、がんばるよ」
つよしくんが自分に言い聞かせるようにささやきました。

がんばれつよしくん!!!


小さな丸い宇宙船はみんなのベンチでピカピカと輝いています
ケンタ君がマドレーヌ宇宙食を積み込み
チョコちゃんとサクラちゃんは
みんなの顔を順番にぺろぺろとなめると
さんちゃんの鼻にしがみついているつよしくんを
そっとくわえて宇宙船に乗り込みました

「出発~!!」

青い空に吸い込まれていく小さな光の粒を
みんないつまでも見上げていました


ホントに「おしまい」
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