カノン

暦海

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「いや~疲れた~。今日も楽しかったね、ハイノ!」
「うん、そうだねエルナ。特に、エルナは一番はしゃいでたもんね」
「……べ、別にそこまでじゃ……ハイノ、いじわる」
「ふふっ、ごめんねエルナ」


 それから、しばらくして。
 空がほんのりオレンジ色を帯びる頃、ほのぼのとそんな会話を交わすぼくら。さっきまでみんなと公園でサッカーをしていて、今は二人で帰り道を歩いていて……うん、みんな楽しそうで良かった。


「さてさて、今日のご飯はなにかな~」

 その後も、和やかに会話を交わしつつ歩みを進めていくぼくら。そして、はっきりとお家が見えてきた辺りで楽しそうなエルナへとふと尋ねてみる。


「……ねえ、エルナ。なんだか、無理してない?」

「……へっ?」


 すると、ポカンとぼくを見つめるエルナ。……まあ、それはそうだよね。あんなに楽しそうだったのに、急にこんなこと言われたら。だけど――


「……なんだか、ずっとそう思ってたんだ。学校でのエルナは、お家でのエルナと違う気がしてて。……もちろん、場所や周りにいる人によって違うのは普通だと思うし、同じである必要もないんだけど……でも、お家にいる時と違って、学校にいる時のエルナはなんだか無理してるように見えて……あっ、でも勘違いだったらごめんね!」

 そう言って、最後にあわてて付け足すぼく。色々と勝手なことを言ったけど、単なるぼくの勘違いの可能性も十分にある。もしそうなら、なおのこと申し訳な――


「…………へっ?」

 直後、ピタリと固まるぼく。と言うのも……そのき通る綺麗な瞳から、ポツリとしずくが頬を伝い流れていたから。


「……あ、あの、ごめんエルナ」


 そう、あわてて謝るぼく。あれ、その、泣いちゃうようなこと言ったかな? でも、そうなら本当にごめ――


「……ううん、違うの」
「……へっ?」
「……その、びっくりしちゃって……その、ほんとのことだったから……ハイノが、気付いてくれてたこと。でも、結構うまく隠してるつもりだったし、今まで誰にも気付かれなかったのに……でも、ハイノが気付いてくれたから」
「……エルナ」

 すると、涙をぬぐいながら話すエルナ。どうして、無理をしていたのか……そこまでは、まだ分からない。そして、エルナも理由それを……少なくとも、今は理由それを話すつもりはないみたいで。だけど――


「……ハイノ」

 そう、ポツリとつぶやくエルナ。突然、ぼくが彼女をそっと抱きしめたからだろう。……もちろん、気にならないといえば嘘になる。だけど、理由なんて分からなくてもいい。少しでも、彼女の支えになれるならそれでいい。

 すると、ややあってぼくの背に腕を回すエルナ。そんな彼女を、いっそうの決意を込めぎゅっと抱きしめた。




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