13 / 26
いよいよ本番です。
しおりを挟む
「…………ふぅ」
「ふふっ。なんか前にも見たね、こういうの。ほら、リラックスリラックス」
「……うん、ありがとエルナ」
それから、一週間ほど経て。
そう、胸へ手を添え息をもらす。今までにないほど強く脈打つ、自身の左胸へと。すると、隣でおかしそうに微笑むエルナ。……うん、なんか前にも見たね、こういうの。
さて、今いるのはバロックと呼ばれる様式のオシャレな木造の劇場――いよいよ、この二週間の練習の成果を発揮するピアノコンクールの会場の前で。……ふぅ、リラックスリラックス。
「……うわぁ、やっぱりいっぱいいるね、ハイノ」
「……うん、エルナ。それに、みんなすごそう」
それから、少し経過して。
そう、感嘆をもらすぼくら。今いるのは、天井や壁の壮大な絵が印象的な会場の中。そこに、大人も子どももたくさんの人がいて……そして、みんなすごそう。なんかもう、服装や雰囲気からしてぼくとは違う。何というか、バッチリ英才教育を受けてきたお坊ちゃまお嬢さまという感じで……まあ、うらやましいとは全く思わないけど。だって、ぼくには――
「――大丈夫だよ、ハイノ。わたしがついてるから!」
「……エルナ。うん、ありがとう」
すると、ぎゅっとぼくの手を握り満面の笑顔で告げるエルナ。そんな彼女に、ぼくも笑って感謝を告げる。うん、うらやましい気持ちなんて全くない。だって……ぼくにはもう、最高の家族が……エルナがいてくれるんだから。
「…………すごい」
それから、しばらくして。
そう、ポツリとつぶやくぼく。今、心臓をバクバクさせながら順番を待っているのだけど……やっぱり、みんなすごい。みんな相当に上手で、そしてそれぞれに素敵な個性があって……うん、今更だけどとんでもないとこ来ちゃった?
「――続いて、エントリーナンバー22番。ハイノくん」
「はっ、はい!」
それから、数十分後。
司会者の人に名前を呼ばれ、ビシッと立ち上がり返事をするぼく。そして、まるでロボットのような動きで広い壇上へと上がり、ほぼ中央にあるピアノの方へ……大丈夫かな? 笑われてないかな?
それでも、どうにかピアノの前へとたどり着き腰を下ろす。チラと視線を移すと、たくさんのお客さんの中でニコッと手を振る可憐な少女の姿。……うん、ちょっと恥ずかしい。
「…………ふぅ」
深く、呼吸を整える。そして、そっと鍵盤へと手を添える。……正直、自信なんてない。ない、けれど……それでも、エルナが応援してくれている。優勝してほしいと、心から願ってくれている。だから――
「ふふっ。なんか前にも見たね、こういうの。ほら、リラックスリラックス」
「……うん、ありがとエルナ」
それから、一週間ほど経て。
そう、胸へ手を添え息をもらす。今までにないほど強く脈打つ、自身の左胸へと。すると、隣でおかしそうに微笑むエルナ。……うん、なんか前にも見たね、こういうの。
さて、今いるのはバロックと呼ばれる様式のオシャレな木造の劇場――いよいよ、この二週間の練習の成果を発揮するピアノコンクールの会場の前で。……ふぅ、リラックスリラックス。
「……うわぁ、やっぱりいっぱいいるね、ハイノ」
「……うん、エルナ。それに、みんなすごそう」
それから、少し経過して。
そう、感嘆をもらすぼくら。今いるのは、天井や壁の壮大な絵が印象的な会場の中。そこに、大人も子どももたくさんの人がいて……そして、みんなすごそう。なんかもう、服装や雰囲気からしてぼくとは違う。何というか、バッチリ英才教育を受けてきたお坊ちゃまお嬢さまという感じで……まあ、うらやましいとは全く思わないけど。だって、ぼくには――
「――大丈夫だよ、ハイノ。わたしがついてるから!」
「……エルナ。うん、ありがとう」
すると、ぎゅっとぼくの手を握り満面の笑顔で告げるエルナ。そんな彼女に、ぼくも笑って感謝を告げる。うん、うらやましい気持ちなんて全くない。だって……ぼくにはもう、最高の家族が……エルナがいてくれるんだから。
「…………すごい」
それから、しばらくして。
そう、ポツリとつぶやくぼく。今、心臓をバクバクさせながら順番を待っているのだけど……やっぱり、みんなすごい。みんな相当に上手で、そしてそれぞれに素敵な個性があって……うん、今更だけどとんでもないとこ来ちゃった?
「――続いて、エントリーナンバー22番。ハイノくん」
「はっ、はい!」
それから、数十分後。
司会者の人に名前を呼ばれ、ビシッと立ち上がり返事をするぼく。そして、まるでロボットのような動きで広い壇上へと上がり、ほぼ中央にあるピアノの方へ……大丈夫かな? 笑われてないかな?
それでも、どうにかピアノの前へとたどり着き腰を下ろす。チラと視線を移すと、たくさんのお客さんの中でニコッと手を振る可憐な少女の姿。……うん、ちょっと恥ずかしい。
「…………ふぅ」
深く、呼吸を整える。そして、そっと鍵盤へと手を添える。……正直、自信なんてない。ない、けれど……それでも、エルナが応援してくれている。優勝してほしいと、心から願ってくれている。だから――
0
あなたにおすすめの小説
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
優しい雨が降る夜は
葉月 まい
恋愛
浮世離れした地味子 × 外資系ITコンサルのエリートイケメン
無自覚にモテる地味子に
余裕もなく翻弄されるイケメン
二人の恋は一筋縄ではいかなくて……
雨降る夜に心に届いた
優しい恋の物語
⟡☾·̩͙⋆☔┈┈┈ 登場人物 ┈┈┈ ☔⋆·̩͙☽⟡
風間 美月(24歳)……コミュニティセンター勤務・地味でお堅い性格
雨宮 優吾(28歳)……外資系ITコンサルティング会社勤務のエリートイケメン
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。
「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…
なお、スピンオフもございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる