どういうわけか源氏物語の世界に迷い込んだ私ですが……とにかく、幸せになるべく奮闘します!

暦海

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再びのご降臨?

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「……やっぱり」

 そう、ポツリと呟く。そんな私の前には、以前と変わらぬ優美な微笑を湛える女性……うん、やっぱりね。

「……あ、あの、天女? どうして、お前がここに? 今日は、ずっと楽しみにしてた天女会のはず――」
「――ええ、楽しんでおりましたよ。それはそれは、甚く堪能しておりました。ですが――卒然、貴方さまの匂いが何処ぞの忌々しき臭いと交ざる気配がしたのでもしやと――」
「「どういうこと!?」」

 ふと、声が重なる神様と私。いやどういうこと!? それに、なんか言い方が生々しい!! ……あと、いま忌々しいとか言った? 


「……全く、貴方さまときたら……懲りもせず、幾度も幾度も火遊びを重ね――」
「語弊にもほどがあるよ!?」

 そう、鋭い視線で言葉を紡ぐ天女様にすかさずツッコむ神様。……うん、まあ流石にそうなるよね。語弊というか、もはや捏造の域だし。

「……さて、それではどのようなお仕置きを……そうですね、今後50年、貴方さまに対する雲の供給を一切停止し――」
「お願いそれだけは止めてください!!」

「…………ん?」

 まだまだ続きそうな会話の最中さなか、ポツリと声を洩らす私。……いや、割って入るつもりはなかったんだよ? なかったんだけど……でも、どうしても一つだけ――


「――いや製造元あんたかい!!」
「……おや、それも主人から聞いておられなかったのですね。ええ、この私が一つ一つ丹念に裁縫して――」
「あれって縫ってたの!?」
「……それにしても、本当に主人について何にもご存知ないのですね……ぷぷっ」
「性格りぃなおい!!」

 そう、何とも意地の悪い笑みで話す天女様にすかさずツッコむ。……うん、今更だけどもう隠さなくなってきたよね、私への嫌悪。

 ……あと、ついでに分かったわ。異世界より来し者に対する、あの理不尽な扱い――あれは、私に対する彼女の嫌がらせで……うん、なんか陰湿じゃない?


「……さて、それでは帰りましょうか貴方さま。先ほど申したように、今後100年は雲の供給を停――」
「なんかしれっと増やしてない!? いやじゃいやじゃいやじゃ~! お前の作る雲がなきゃ、わしゃ生きていけんのじゃ~!」
「…………そう、ですか。……全く、仕方がない神様ですね。それでは、今まで私にくださった愛の言葉を国全土に一週間流すだけで許して差し上げましょう」
「おぉ、なんとありがたや! 愛してるぞ天女よ!」
「……全く、調子良いんですから」

 ともあれ、そんなやり取りを交わしつつ上空へ去っていくお騒がせ夫婦。まあ、何だかんだ仲良さそうなのは何よりだけど。


「……さて、ごめんね惟光これみつくん。遅くなったけど、改めてげんちゃ……ん?」

 そう、随分と待たせてしまって青年へそう声を掛けるも不意に留まる。と言うのも、今しがた去っていったはずの神様がふらふら戻って来たから。えっと、何か忘れ物でも――


「――そうそう、言い忘れておったが光源氏ひかるげんじはもう須磨にはおらんぞ。実は、お主が須磨ここに来てからもう一年ほど経過して――」
「言わなきゃ分かんないような時短をすんじゃない!!」



 

 

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