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第1章
どうしてこうなった?
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「……それでは、誰から歌います?」
「……まあ、俺でもいいけど……お前は?」
「……まあ、別に私でもいいですけど……」
それから、ほどなくして。
そう、何ともぎこちない雰囲気の中そんな会話を交わすのは白河さんと江川くん。一方、そんなお二人の会話を聞きつつ控えめに会釈を交わす弓島さんと僕。……うん、気まずい。
さて、今いるのは少し広めのカラオケルーム――そこに、白河さんと僕、江川くんと弓島さんの四人でいるわけで……うん、どうしてこうなった?
さて、事の経緯はと言うと――受け付けにて、ちょうど入室の手続きをしていたであろう江川くんと弓島さんに遭遇。そして、どういうわけか折角なので四人でという話になり……うん、どして? ……まあ、別に嫌なわけじゃないんだけども。
ただ、それにしても……うん、浮いてない? 僕。いや、たいていいつも浮いてるけど……でも、それにしてもこの状況はなかなかに気まずい。ほんと、白河さんがいてくれて良かった。これが僕一人だったら、ほんとに気まずいどころじゃ……いや、だったらそもそもこの状況になってないか。
(……あの、三崎先輩、でしたよね? その、すみません。急に、拓真が巻き込んじゃって……)
(……へっ? あっ、いえお気になさらず! お誘いしてくださったのは江川くんですが、最終的に応じたのは僕らですし。本当に嫌でしたら、白河さんも僕もお断りしていますし)
(……まあ、そう言ってもらえると助かりますけど)
すると、ややあってふと声を潜めてそう口にする弓島さん。そんな彼女に合わせ、僕も声を潜め答える。……いや、別に潜める必要もないんだろうけど……まあ、なんとなく――
(……あと……あの時は、すみませんでした)
(…………へっ?)
(……ほら、体育祭の時。リレーの時、私のせいで白河さんが怪我しちゃったから。もちろん、本人には謝りましたけど……やっぱり、白河さんの彼氏である三崎先輩にも謝らないとって)
(あっ、いえそんな! 僕に謝る必要なんて全く以てありませんし……それに、白河さんに謝ることでもないです。そもそもあれは不慮の事故で、弓島さんもとてもお辛かったはずなのに、その後も一生懸命に……白河さんだけでなく、お二人の姿に僕は感動しました)
(……三崎先輩)
すると、思いがけない謝罪が届き慌てて答える僕。いや、僕に謝る必要なんて全くないし、そもそも誰に謝らなきゃならないことでもない。白河さんだってきっと同じことを言うだろうし、弓島さんから謝罪を受けた際にそう伝えたかもしれない。なので、彼女が気にすることは何も……あれ、ところでさっき、僕のことを――
(……あの、弓島さん。先ほど、僕のことを白河さんの彼氏だと……)
(……違うんですか?)
(……はい、僕は彼女の友達であり、そのような関係ではな――)
「――おや、先ほどから何やら随分と仲が良さそうですね、先輩? ところで、歌う順番についてですが――そうですね、ここは是非とも年長者たる奏良先輩に先陣を切っていただきましょうか」
「…………へっ?」
そんなやり取りの最中、不意に届いた鈴を転がすような声。見ると、そこには満面の笑顔を浮かべる白河さんの姿が。……でも、どうしてだろう。心做しか、笑っている気が全く以てしないのは。
「……まあ、俺でもいいけど……お前は?」
「……まあ、別に私でもいいですけど……」
それから、ほどなくして。
そう、何ともぎこちない雰囲気の中そんな会話を交わすのは白河さんと江川くん。一方、そんなお二人の会話を聞きつつ控えめに会釈を交わす弓島さんと僕。……うん、気まずい。
さて、今いるのは少し広めのカラオケルーム――そこに、白河さんと僕、江川くんと弓島さんの四人でいるわけで……うん、どうしてこうなった?
さて、事の経緯はと言うと――受け付けにて、ちょうど入室の手続きをしていたであろう江川くんと弓島さんに遭遇。そして、どういうわけか折角なので四人でという話になり……うん、どして? ……まあ、別に嫌なわけじゃないんだけども。
ただ、それにしても……うん、浮いてない? 僕。いや、たいていいつも浮いてるけど……でも、それにしてもこの状況はなかなかに気まずい。ほんと、白河さんがいてくれて良かった。これが僕一人だったら、ほんとに気まずいどころじゃ……いや、だったらそもそもこの状況になってないか。
(……あの、三崎先輩、でしたよね? その、すみません。急に、拓真が巻き込んじゃって……)
(……へっ? あっ、いえお気になさらず! お誘いしてくださったのは江川くんですが、最終的に応じたのは僕らですし。本当に嫌でしたら、白河さんも僕もお断りしていますし)
(……まあ、そう言ってもらえると助かりますけど)
すると、ややあってふと声を潜めてそう口にする弓島さん。そんな彼女に合わせ、僕も声を潜め答える。……いや、別に潜める必要もないんだろうけど……まあ、なんとなく――
(……あと……あの時は、すみませんでした)
(…………へっ?)
(……ほら、体育祭の時。リレーの時、私のせいで白河さんが怪我しちゃったから。もちろん、本人には謝りましたけど……やっぱり、白河さんの彼氏である三崎先輩にも謝らないとって)
(あっ、いえそんな! 僕に謝る必要なんて全く以てありませんし……それに、白河さんに謝ることでもないです。そもそもあれは不慮の事故で、弓島さんもとてもお辛かったはずなのに、その後も一生懸命に……白河さんだけでなく、お二人の姿に僕は感動しました)
(……三崎先輩)
すると、思いがけない謝罪が届き慌てて答える僕。いや、僕に謝る必要なんて全くないし、そもそも誰に謝らなきゃならないことでもない。白河さんだってきっと同じことを言うだろうし、弓島さんから謝罪を受けた際にそう伝えたかもしれない。なので、彼女が気にすることは何も……あれ、ところでさっき、僕のことを――
(……あの、弓島さん。先ほど、僕のことを白河さんの彼氏だと……)
(……違うんですか?)
(……はい、僕は彼女の友達であり、そのような関係ではな――)
「――おや、先ほどから何やら随分と仲が良さそうですね、先輩? ところで、歌う順番についてですが――そうですね、ここは是非とも年長者たる奏良先輩に先陣を切っていただきましょうか」
「…………へっ?」
そんなやり取りの最中、不意に届いた鈴を転がすような声。見ると、そこには満面の笑顔を浮かべる白河さんの姿が。……でも、どうしてだろう。心做しか、笑っている気が全く以てしないのは。
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