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02-09 パワハラ代(四)**
しおりを挟む「んぁ、も、もう終わり……」
「えー? 俺とするの気持ちいいでしょ? まだしましょうよ」
そう言いながらヘニルはセーリスを抱き上げ、そそり勃った怒張を精液が垂れ流されているそこへと向ける。
「だめっ、しない」
「いいんですか、姫様?」
彼女の耳元に口を寄せ囁く。それにセーリスは僅かに眉を寄せ、困ったような顔をする。
「……それでいいなら、やめますよ。でもそれが嫌なら、自分から挿れてください」
彼に言われるがまま、一瞬だけ逡巡するもセーリスは剛直を柔く掴み、先端を蜜壺へと埋めていく。ずぶ、ずぷと小さな音が立つのを聞きながら、ゆっくりと腰を下ろす。自分からそんなことをしていると思えば恥ずかしくなって、彼女は真っ赤になった顔を隠すように俯いた。
「……、……」
はぁ、とヘニルのため息が聞こえる。完全に彼の腰に座り込んだ形になれば、その細く長い指が彼女の頬を撫でる。
「姫様」
ぎゅっと抱き締められたかと思えば、中に入っていたものの質量が増す。興奮したような息遣いがすぐ側で聞こえてきて、彼に快楽を与え続けられた彼女の身体は反応し、甘くきゅうきゅうとそれを締め上げる。
「どこまでいけるか、試してもいいですか」
「なに、それ……」
「ん……、姫様のそういう顔見てると、ほんとに、収まらないんですよ」
可愛らしいですね、なんて言葉が耳のすぐ側で聞こえてきて、セーリスは耳まで真っ赤になってしまう。それにくすくすと彼の笑い声が漏れ聞こえて、優しく頭を撫でられる。
ゆっくりと律動が始まって、セーリスは彼に縋り付く。頭の中でどうやって言うことを聞かせるかを必死に考えながら、また身体を侵し始める快楽に耐える。
「んぁっ、……していい、収まるまで、して、いいから」
「ふ……っ、さすが、姫様、話が分かる」
「でも、ん、あっ、中に出すのはだめ、わか、った……?」
ヘニルの両頬に手をあて、言い聞かせるようにセーリスは言う。それに一瞬面食らったような顔をしたヘニルだったが、すぐにいつもの軽薄な笑みを浮かべて見せた。
「大丈夫ですって、妊娠なんてしませんよ、俺を信じてください」
「っ、なに、言って……!」
「もしも姫様が俺のこと信じて身を預けてくれるのなら……俺は俺の全てを、貴方に捧げます」
ちゅ、と頬に口付けて、セーリスの柔らかな臀部をがっしり掴んだまま、貪欲に腰を揺らす。ぺしぺしと抗議するように肩を叩いても、ヘニルは声を上げて笑うばかりで取り合ってくれない。
「どうしても言うこと聞かせたいなら、姫様の懇願を絶対に断れないくらい、俺を魅了してみてください……姫様ならできますよ」
「なに、それっ、んやっ、あぅ」
「俺を御するのは大変ですよ……っ、ちゃんと面倒見てくださいね、姫様」
また深く口付けを交わして、彼は笑う。
それは酷く長い夜だった。
02 宮宰のパワハラに耐える代 了
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