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04-02 潔白要求**

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 ヘニルの姿を探すと、不思議と彼はセーリスの前に現れた。これが何故なのかも聞かなければと思いながら彼女は“身の潔白を証明してほしい”と言った。それに彼はすぐに“それは命令か”と問うた。

 命令のつもりはない。けれどそう彼が言うということは、命令でもなければするつもりは無い、という意味なのだと思った。余計に不安を煽られるも、仕方なく彼女は命令だと彼に告げた。

 その日の晩に彼はいつものように部屋に居た。それを見たサーシィの嫌悪感を露わにした顔をセーリスは忘れられなかった。


「じゃあ姫様、抱かせてください」


 いつものように服を脱がされて、いつものように身体を弄られて、涎を垂らした雌に雄を突っ込んで。


「はぁ……、完全防備ですねぇ、ひめさまー」
「…………」


 ベッドにうつ伏せになって、枕に顔を押し付けて、そんな状態のセーリスを見た彼はそんなことを言った。それと同時に中へと挿し込まれた剛直がずるずると引き抜かれ、また一気に奥へと押し込まれる。


「んっ、……」
「顔見えないから俺この体勢あんま好きじゃないんですよね」
「ぁ、んんぅ」
「声もよく聞こえないし……」


 その言葉と同様に彼の動きにも妙にやる気が無い。中のものは元気に熱り立っているが、腰の動きも少々雑だ。


「姫様、やっぱ向かい合ってしましょうよぉ」
「……さっさと済ませなさい、ヘニル」
「? なんでそんな不機嫌そうなんですか……?」


 しかしそうまで言われればそれ以上文句は言わず、ヘニルはふにふにとセーリスの柔らかな臀部を揉みしだきながら抽挿を始める。僅かに上向きの屹立がごりごりと内壁を抉り、その快楽に彼女は枕に顔を押し付け必死に声を我慢する。


「……、ん」


 何か思いついたようなヘニルの唸り声が聞こえたと思えば、一気にその腰遣いは執拗なものに変わる。腰をしっかりと掴み、彼女の身体そのものを揺さぶってしまいそうなほどその最奥に亀頭を押し付けた。


「っ、んっ、やっ」
「きもちいですか、ともかく、さっさと一発イって、次は顔合わせてしましょうねっ」


 ぱんぱんと激しく肌がぶつかる音がして、容赦のない責めは意図もたやすく彼女を限界へ導こうとし、その暴力的にも思える気持ち良さにセーリスは悶える。


「あっ、ふ、あぁっ……!」
「ほんと、こうして奥ねちねちいじめられるの、好きですよね……っ、もうちょっと付き合って、くださいね……ほら、イったばかりの中、こうして……っ」
「んやぁっ、あんっ、やだ、それ、んぅっ」


 果てたばかりの中にも構わず、大きな動作で剛直は暴れ回る。激しくひくつく膣内は既に絶頂の快楽を吐き出しているというのに、それに重なるように嬲られる快感が襲いかかってくる。

 びくびくと腰が痙攣し、それさえもヘニルの大きな手で押さえつけられてしまう。気持ち良さを逃すことは許されず、ただただ彼の与える刺激に呑み込まれる。


「は、すっげ、こんな震えて、ずっと、締まって、ふ……っ、嬉しいですよ、こんなに、俺のを可愛がってくれて、いや、もっと、もっとシてください、姫様……!」
「あぅ、あぁっ、だして、はやくいって、ああっ、ん、んんぅっ」
「っ、りょーかいですっ、いっぱいあげますねっ」


 どちゅ、と剛直の切っ先が胎の口を強く穿って、セーリスは再び甘く啼きながら果てる。激しいその収縮に荒く息を吐きながら何度か同じように腰を揺らし、ヘニルもまた小さな胎の中へと白濁を注ぐようにぐっと腰を押し込んだ。

 隙間なく繋がった身体から精を吐き出す脈動が響いてくるようで、セーリスは身体を硬らせる。またこの男の子種を胎に吐き出されてしまったと、軽い絶望のようなものに目眩がするようだった。


「……美味しそうに飲みますねぇ、姫様はほんとに、俺のせーし、大好きなんですから」


 ゆっくりと引き抜かれるそれに、彼女はふるりと身体を震わせる。それと同時にぐいっと肩を掴まれ、軽々と仰向けに反転させられる。

 蕩けた笑みを浮かべたヘニルは僅かに柔くなった自身を手で扱きながらセーリスに覆いかぶさり、そのまま深く唇を合わせる。舌を交わらせ、そしてキスだけで質量を取り戻したそれを、再度自分の精液が流れ出るそこへと摺り寄せる。

 だが流石に我慢のならないセーリスは顔を逸らして彼の口付けから逃れる。拒絶するようなその行動に驚いて、ヘニルも僅かに身体を起こし彼女を見下ろす。


「姫様?」
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