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04-10 怒りを抑える代(三)**
しおりを挟む「あんたのだろうと私のだろうと、陰口には反撃しない、我慢して無視する。分かった?」
「へーい」
「ちゃんとしてよ……?」
生返事に念押しすれば、ヘニルは再びベッドに倒れ込む。それと同じようにセーリスも引き寄せられ、彼の厚い胸へと落ちる。
「ぶ」
「じゃあもう一回ヤらせてください」
「なんで……っ、あんたもう三回もしたでしょ……」
「前のは急ブレーキかけた分ですぅ」
がっしりとセーリスの臀部を掴み、彼はすぐさま屹立を秘裂に押し付ける。制止する隙もなく、ずりゅんと中に入ってくるそれに、セーリスは身体を震わせる。
「この、んっ、どんだけ、絶倫なんだ……っ」
「ふ……、知ってますか、姫様、ニーシャンじゃ、一人の男の神族に対して、十人の女が充てがわれるんですよ」
唐突の豆知識にセーリスは首を傾げる。
ニーシャンは三大国の一つ。不安定な情勢であることが多く、常に領土拡大を目論む国であるが故に軍事力に力を注いでいる。特に神族の扱いに対しては恐らく三大国で一番金をかけているはずだ。それもあってか三大国で最大である七人もの神族を従えている。
「この意味が分かりますか? それくらい神族は性欲が桁違い、ってことですよ」
「じゅ、十人で、釣り合う……!?」
「そうですねぇ、戦中以外はヤっては酒飲んでまたヤって、豪遊らしいですよ」
「なんで、ひゃ、あんっ」
じゅぶじゅぶと急に剛直が激しく中を穿ち、こつこつと最奥を叩き始める。上に乗っているセーリスに器用に責めを与えるヘニルは、彼女の乱れ様にニタニタと笑みを浮かべる。
「あっ、んんっ、なんで、あんたそんなこと、んぁっ、知って」
「俺はニーシャンに居た頃勧誘されたんですよ」
その手が彼女の頭を撫でる。中へと押し込むたびに結合部から溢れるそれが、彼の股座と寝具を汚していく。
「女も抱き放題、金も使い放題、気に入らんもんは壊してくれても構わない、だからうちの戦士になってくれ、ってね」
「え、んっ、ひゃ、あぅっ」
「あー、でも、断りました。ニーシャンの軍はほんと、三大国の中で最悪です。略奪、殺し、強姦、オンパレードですよ。……結構、三大国の性質は、そこに居る原初の神族に、依ってる気がします」
ゆっくりと上体を起こし、ヘニルはしっかりとセーリスを抱き抱え、深く舌を交わらせながら唇を這わせる。味わうように唇に噛み付いて、ぬりゅぬりゅと絡まった舌の感触に酔う。
うごめく内壁を嬲って、ちゅうちゅうと吸い付く胎の口にキスをして、甘いその快楽に喘ぐ。とろんと蕩けた彼女の瞳を覗き込んで、ヘニルは幸せそうに笑った。
「……言ったでしょ、俺は、どんなに胸のでかい美人、連れてこられたって、忠義は尽くさないって、もっとこう、グッとくるものが、無いと」
「ん、なに、それ……んぅっ」
「例えばぁ、いつもはツンケンした鈍感なオヒメサマが、俺とヤってる最中は、堪らなさそうな顔で喘いで、なのに感じてるの、恥ずかしくて、後ろめたくて……でもきもちいのには逆らえなくて」
「あぁっ、やだ、奥、そんなっんんっ」
「はぁ、身体の相性ってのも大事ですよぉ? ……姫様は、中毒性高い、ですから」
ちゅ、ちゅっと音を立てて唇が触れ合う。限界の近い男根を最奥へと押しつけ、もっと彼女の身体と深く混じり合う。
「姫様は器もでかいし……っ、何より可愛い、ほんと……はぁっ、イきます、っ姫様、ひめさま……!」
「は、うっ、んやあぁっ」
同時に果てて、びゅるる、と激しい射精が彼女の胎に向けられる。既に中に入りきらず溢れ落ちるそれにも構わず、ヘニルは腰を揺らす。
「……ひめさま」
囁くような声にセーリスはぴくりと肩を震わせる。その恍惚とした表情に、彼は愛おしそうに目を細めた。
「イイ顔、ですね……俺に中出しされるの、そんな、きもちいですか」
「なに言って、え、んっ」
荒々しい口付けが降ってきて、そして何より先程果てたばかりのそれが中で硬く大きくなって、彼女はびくびくと身体を震わせる。そうこうしていると身体を強く抱えられ、繋がったままベッドに押し倒される。
「も、もう、終わり、あんっ」
「だって勃っちまったもんは仕方ないでしょー? 姫様のどエロい表情でもうガッチガチですよ」
「やんっ、ばかばか、ヘニル、んやぁっ」
「堪らねぇ、姫様、可愛いですねぇ……」
腕の中に閉じ込めて、逃さないように囲って、ただただ自分の与える快楽に悶えるその姿を堪能する。
セーリスもヘニルも、その日に起こった後ろめたいことを、全て忘れてしまうほど深く交わった。
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