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探 索

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「オリオン様、ヒロは……一体どこに?」カルディアは心配そうにオリオンに聞く。

「すまない、今回は完全に気を許していた僕のミスだ……」オリオンが珍しく落ち込んだ顔を見せる。

「で、でも、ヒロ様はあれで図太いからきっと悪者をやっつけてるちゃよ!」アウラが場を和ませようとしている。

「でも、ヒロは剣も何も持っていないのよ。確かに格闘術は師匠が認めるくらいで・・・・・・、私よりもずっと強いけれど、それだけじゃ……」カルディアは悲しそうな目をした。

「そうだ、ヒロ君の育ての親・・・・・・、たしか彼は爺といっていたが、その人は何者なんだい?」少し疑問に思っていた事をカルディアに質問してみる。

「名をネーレウスと言います。彼のアサシンとしての力量は誰もが一目置いていました。そして私達の師匠であり、捨てられていたヒロ拾って育てた、ヒロの父親みたいな人でした」

「でした……、と言うことはもう……」

「ええ、私達が里を出る少し前に誰かに殺されました。誰も気づかない夜中に……」カルディアはあの頃のヒロの事を思い出していた。

「でも、カルディアさんとヒロ君の先生ならその業はかなりのものであったのでは?そんな人を気づかれずに殺すなんて……」カルディアの言う通り、彼らの師匠ということは一流のアサシンであろう。暗殺を得意とするアサシンが逆に人知れず殺されてしまうとは、相手は相当の手練れであることをオリオンは推測する。

「それは、結局解らないままでした」

「君はヒロ君が術式を使えないと言ったが、それはいつから?」

「私が知っている限り、五年ほど前に私が師匠《ネーレウス》に弟子入りした時は、彼は何も出来なかった。そう格闘術以外は……」

「そうか……」やはりヒロの術式を封印していたのはネーレウスという男であろう。そんなに長い間一緒に生活していたならば、封印の事など簡単に気づいていたはずである。きっと何か思惑があったのだとオリオンは考えた。この事件が起きる前にヒロの封印を解くことが出来たのが不幸中の幸いだった。何しろヒロには蓄積された術式のパワーはオリオンのそれを遥かに凌駕するものであった。
 ただヒロがそれを使いこなせるかどうかは全く別の話であるのだが……。
 ヒロの何の変哲《へんてつ》もない剣が壁に立て掛けてある。オリオンはそれを鞘から抜き取って見つめる。あのアルゴスと戦った時、確かにこの剣は黄金のオリハルコンの輝きを放った。それは、やはりヒロの術式が一時的に解放された事によって起きた現象なのであろう。

「アウラ達、ヒロ様の匂いを探します。きっと手掛かりがあるかもしれませんちゃ!」そう言うとアウラ達は外に飛び出して行った。

「私もルイと一緒に街の外を探索してみます。オリオン様、お気になさらないでください。きっとアウラの言うとおりヒロは帰って来ると思います」カルディアは気持ちを切り替えたようであった。

「ありがとうカルディアさん。僕は意識を集中してヒロ君の術力を探ります。あなたも何かあったら意識を集中して術力を上げてください。すぐに駆けつけますから」オリオンはそう言うとヒロの剣を元の場所に戻した。
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