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今夜、迎えに行きます……。黒猫のモグ、僕の友達。

ちっこいのしまっとけ!

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 外が薄暗くなってきた。そろそろ花火大会の始まる時間である。毎年、夜の七時丁度に一発目の花火が上がるのがお決まりである。

 「ねえ、モグ……、そろそろ起きてよ」僕は寝ているモグの体を揺する。
 黒猫は大きな口をあけて欠伸あくびをした。
 寝ている間にお母さんが入ってくるとややこしかったので、ひとまず猫の姿に戻っていたようだが再びモグは人の姿に変わった。

「ああ、よう寝たわ。坊主は寝れたか?」モグは大きく背伸びをした。

「そんなの無理だよ。モグは寝ちゃうし怖くて一人でトイレも行けなかったから少しオッシッコ漏らしそうだよ」言いながらも内股がガクガク震える。

「しゃあないな。俺が着いていってやるからトイレ行こう」モグは扉を開ける。

「でも、お母さんにその姿を見られたら……」いきなり家の中に男の人がいたらお母さんは驚くだろう。

「大丈夫や。お母さんには早めに寝てもろた」お母さんは少しだらしない格好でソファーに寝ていた。「昼間にちょっとした術をかけて七時頃で眠てしまうように暗示をかけた。無駄に怖い思いをさせたら可哀想やからな」モグは僕の部屋から持ってきた毛布をお母さんの体にかけてあげていた。

「お母はんを大事にしたらなアカンで、親孝行、したい時には親は無しやで……」珍しく真顔になっていた。

「モグのお母さんは?」

「そんなん覚えてへん……、遠い昔のことやしな……、そんな事より早くトイレに行きや。お札はトイレにも貼っといたから安心せいや」彼は早く用事を済ませるように即そくした。

「モグ、トイレの前で待っててよ……」僕は少し震えながら中に入る。確かに彼の言う通りトイレの窓にもお札が貼られている。それを見て一安心しながら用をたす。

 バーン! 

 花火の音が聞こえる。
 その花火の音と同時にトイレの窓が大きく揺れる。その窓に目をやると外からガラスに密着して中を伺う人の姿が見えた。

「ぎゃー!!」僕は恐怖のあまりトイレのドアを開けて外に飛び出る。

「坊主ゆうた!どうしたんや!」モグは僕の両肩を握りしめた。

「ト、トイレの窓に……!あっちゃんが!!」先ほどガラスにへばりついていた異形の者は、大倉おおくら敦子あつここと、あっちゃんに間違いなかった。

「大丈夫や!お札を貼っとる限り中には入ってこられへん!……、それより坊主ゆうたそのちっこいチンチンしまっとけ!!」僕は恐怖のあまりチャックを閉めるのを忘れていた。

 トイレの窓越しに恐ろしい顔をした敦子あっちゃんがニヤリと笑っていた。
    
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