【完結作品】どうして僕達は出会ってしまったのだろう。二転三転していく三角関係。どんなに想っても、君は僕の……。『ほのかなひかり』

上条 樹

文字の大きさ
16 / 58

俳 優

しおりを挟む
「ねえ、友伽里は今晩の胆試しで光君と一緒に行くつもりなんでしょ?」友伽里と一緒にビーチの確認をしていた生徒会長の桂川洋子が聞いてきた。

「まあ、私は誰とでも良いのだけれど、光君がどうしてもって言うなら・・・・・・、仕方ないわよね」友伽里は、軽く咳払いをした。彼女にしてみれば光が他の女性を選ぶ訳がないという根拠のない自信があるようだった。

 今回の二泊三日の臨海学校は、初日の夜に胆試し、二日目にキャンプファイヤーが予定されている。胆試しは、男女二組で比較的暗い街道を歩き小さな神社の祠までを往復するというものであった。この企画は友伽里が鳴り物入りで企画したものであるが、誰の目から見ても、彼女が光と二人っきりになる時間を作ろうと目論んでいる事は、明らかであった。

「あんたね、幼馴染だからって安心してるみたいだけれど、光君を狙っている女の子、結構いるのよ・・・・・・、私だって・・・・・・」洋子は後半言葉を濁すように呟いた。

「そうなんだ。まあ、私は小さい時からずっと一緒だったから、光君の全部を知っているから別格なんだけどね」友伽里は髪の毛を掻き揚げながら自分の優位性を誇示した。その態度を見て、洋子は決して良い気がしない様子であった。

「そういえば、渡辺さんって、結婚してるって言ってたわよね」洋子は突然に穂乃果の話題を振ってきた。

「そうみたいよ。小さな女の子を連れてご主人と一緒にプールに来ていたわ。女の子も渡辺さんの事をって呼んでたもの」友伽里は光と一緒に行ったデラックスプールの事を思い出していた。

「そうなんだ、それならご主人は俳優の渡辺直人なんでしょ?」洋子は少しテンションを上げた。

「渡辺直人って?」芸能関係に疎い友伽里はその名前を知らなかった。

「あなた!知らないの?ずっと舞台を中心に活動してきた俳優さんだけども、最近映画にも出てて今人気急上昇の俳優さんよ!京都の撮影所に拠点を移すから、関西に引越しするって噂だったんだけども、まさかこの街に来るとは思わなかったわ」言われてみればプールで見た穂乃果の旦那さんは歳は離れていそうではあったが中年のくたびれた感じではなくて素敵な感じであった。

「そうなんだ、俳優さんの奥さんが女子高生って、なんだかスキャンダラスよね」友伽里は腕組をして頷いた。

「渡辺直人の私生活って全然表に出ないのよ。そんな結婚していて、子供がいる事も公表されていないと思うわよ」洋子はかなりの芸能通のようであった。

「それじゃあ、芸能レポーターとかに情報をリークしたらお金もらえるかな?」友伽里は目を見開いた。

「それはゲスな考えね。でも、結構貰えるかもね」洋子も満更でもない様子であった。

「冗談、冗談よ。まさかクラスメイトを売るような事はしないわ」友伽里は、手の平を上下に振りその考えを振り払った。

「そうね。やっぱり俳優さんの奥さんだから、渡辺さんってあんなに綺麗なのかしらね。でも渡辺直人のサインは欲しいわ」洋子はミーハーな声を上げた。

「それじゃあ、奥さんに頼めばいいんじゃないの」友伽里は興味が失せたように言った。

 かれこれ三十分近くビーチを歩いているが、男女のペアや明らかにナンパ目的としか見えないような軽薄そうな男でいっぱいであった。二人に声をかけてくる男達もいたが、それを無視して友伽里達は歩いた。

「そういえば、友伽里って、渡辺さんに冷たい感じだよね」洋子は下から少し見上げるように言った。

「そんな事ないわよ。全然・・・・・・」友伽里の態度は明らかに図星を突かれた事を誤魔化しているような印象を受けた。

「あなた、光君と彼女が仲が良いから焼いてるんでしょ?」意地悪そうな顔をして洋子は突っ込む。

「関係ないわ。私と光君の仲は、そんな事では微動だにしないから!」少し怒り口調のようにも聞こえた。

「ふーん、そうんなんだ・・・・・・」洋子は空を見上げるように顔を上げた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

俺をフッた幼馴染が、トップアイドルになって「もう一度やり直したい」と言ってきた

夏見ナイ
恋愛
平凡な大学生・藤堂蓮には忘れられない過去がある。高校時代、告白した幼馴染の星宮瑠奈に「アイドルになるから」とこっ酷くフラれたことだ。 数年後、瑠奈は国民的アイドル『LUNA』として輝いていた。遠い世界の住人になった彼女との再会なんて、あるはずもなかった――そう、変装した彼女が俺の前に現れ、「もう一度やり直したい」と泣きつくまでは。 トップアイドルの立場を使い強引に迫る元幼馴染と、過去の傷。揺れ動く俺の日常を照らしてくれたのは、俺の才能を信じてくれる後輩・朝霧陽葵の存在だった。 俺をフッた幼馴染か、俺を支える後輩か。過去の清算と未来の選択を描く、ほろ苦くも甘い、逆転ラブコメディ、開幕。

クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について

沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。 かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。 しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。 現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。 その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。 「今日から私、あなたのメイドになります!」 なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!? 謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける! カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

俺が宝くじで10億円当選してから、幼馴染の様子がおかしい

沢尻夏芽
恋愛
 自他共に認める陰キャ・真城健康(まき・けんこう)は、高校入学前に宝くじで10億円を当てた。  それを知る、陽キャ幼馴染の白駒綾菜(しらこま・あやな)はどうも最近……。 『様子がおかしい』 ※誤字脱字、設定上のミス等があれば、ぜひ教えてください。  現時点で1話に繋がる話は全て書き切っています。  他サイトでも掲載中。

幼馴染が家出したので、僕と同居生活することになったのだが。

四乃森ゆいな
青春
とある事情で一人暮らしをしている僕──和泉湊はある日、幼馴染でクラスメイト、更には『女神様』と崇められている美少女、真城美桜を拾うことに……? どうやら何か事情があるらしく、頑なに喋ろうとしない美桜。普段は無愛想で、人との距離感が異常に遠い彼女だが、何故か僕にだけは世話焼きになり……挙句には、 「私と同棲してください!」 「要求が増えてますよ!」 意味のわからない同棲宣言をされてしまう。 とりあえず同居するという形で、居候することになった美桜は、家事から僕の宿題を見たりと、高校生らしい生活をしていくこととなる。 中学生の頃から疎遠気味だったために、空いていた互いの時間が徐々に埋まっていき、お互いに知らない自分を曝け出していく中──女神様は何でもない『日常』を、僕の隣で歩んでいく。 無愛想だけど僕にだけ本性をみせる女神様 × ワケあり陰キャぼっちの幼馴染が送る、半同棲な同居生活ラブコメ。

たとえ夜が姿を変えても ―過保護な兄の親友は、私を逃がさない―

佐竹りふれ
恋愛
重なる吐息、耳元を掠める熱、そして——兄の親友の、隠しきれない独占欲。 19歳のジャスミンにとって、過保護な兄の親友・セバスチャンは、自分を子供扱いする「第二の兄」のような存在だった。 しかし、初めてのパーティーの夜、その関係は一変する。 突然降ってきた、深く、すべてを奪うような口づけ。 「焦らず、お前のペースで進もう」 そう余裕たっぷりに微笑んだセバスチャン。 けれど、彼の言う「ゆっくり」は、翌朝には早くも崩れ始めていた。 学内の視線、兄の沈黙、そして二人きりのアパート――。 外堀が埋まっていくスピードに戸惑いながらも、ジャスミンは彼が隠し持つ「男」の顔に、抗えない好奇心を抱き始める。 「……どうする? 俺と一緒に、いけないことするか?」 余裕の仮面を被るセバスチャンに、あどけない顔で、けれど大胆に踏み込んでいくジャスミン。 理性を繋ぎ止めようとする彼を、翻弄し、追い詰めていくのは彼女の方で……。 「ゆっくり」なんて、ただの建前。 一度火がついた熱は、誰にも止められない。 兄の親友という境界線を軽々と飛び越え、加速しすぎる二人の溺愛ラブストーリー。

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。 **2026.01.02start~2026.01.17end** ◆エブリスタ様にも掲載。人気沸騰中です! https://estar.jp/novels/26513389

処理中です...