【完結作品】どうして僕達は出会ってしまったのだろう。二転三転していく三角関係。どんなに想っても、君は僕の……。『ほのかなひかり』

上条 樹

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俺達のせいかな

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「おはよう」天使のような声で目が覚める。毎日けたたましい目覚まし時計、もしくは母親に蹴りあげられるような朝を毎日迎える俺にとっては新鮮であった。

「あっ、おはよう……、知らない間に寝てたんだ、俺……」彼女の体重を支えながら、さすがにこれは徹夜だなと俺は思っていた。

「一晩中、私の体を支えてくれてたんだね。ありがとう」彼女の頬が少しだけ赤い。寝起きで少し紅潮しているのであろう。

「知らない間に日が昇ってたんだな、痛っ!」立ち上がろうとすると右の足首の辺りに激痛が走る。フラついて倒れそうになる俺の体を穂乃花が支えてくれた。

「無理をしないで、ゆっくりと帰ろう」彼女は俺の右腕を自分の肩にかけると腰に手を回し、体を支えてくれた。出来るだけ体重を掛けないようにしたつもりであったが華奢な女の子には重労働であろう。

 山の空気が美味しいような気がする。
 明るくなった山道は所々に方向を示す看板があり、比較的容易に山道を抜けて行く事ができた。平坦な道、浜辺へと景色は変わってきた。少し先に宿泊先のホテルが見えてきた。ホテルの前には数台のパトカーが止まっている。

「俺達のせいかな……?」
「そうかもね」俺の体を支えて大変だろうに、軽く笑みを返してくれる。俺の胸の鼓動はいつもより早く呼吸も少しつらい。

 ホテルの玄関、自動ドアが開く。

「光君、渡辺さん!」ロビーのソファーに座っている桂川が俺達に気がついて立ち上がる。回りには数人の警官もいる。

「よっ!」俺は左手で手刀を切った。

「君たち!無事なのか?ちょっと事情を……」数人の警官と引率の教師が近づいてくる。それを追い抜くように俺達に近づいてくる影。

「あっ、友伽里!」彼女が右手を振り上げビンタを俺に喰らわそうとする……。

バシッ!

 俺の頬には痛みはなかった。友伽里は穂乃花の頬を思いっきり叩いていた。

「なっ!」突然の事に俺は言葉が見つからない。

「どうせ!あんたが光君をタブらかしたんでしょ!人妻の癖に浮気でもする気なの!」激しい罵声が浴びせられる。

 穂乃花は一瞬友伽里の顔を睨み付けた。しかし無言のまま、ソファーまで俺を運ぶと彼女はゆっくりと自分の部屋へと向かう階段を昇っていった。

「おっ、おいお前たち!」呆気に取られていた教師が我に返った。

「おい!友伽里なにをするんだ!」警官の言葉を無視して友伽里に問いかける。彼女のその目からは激しい涙が溢れ落ちていた。

 その後、この臨海学校の最終日を待たずに穂乃花が先に帰ってしまったことを桂川から聞かされたのだった。
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