【完結作品】どうして僕達は出会ってしまったのだろう。二転三転していく三角関係。どんなに想っても、君は僕の……。『ほのかなひかり』

上条 樹

文字の大きさ
38 / 58

私とじゃ嫌だった?

しおりを挟む
 帰宅の為に電車に乗る為に駅に向かう。

 駅の改札を抜けると人身事故のアナウンスがあった。

 すでに遅延は解消はされているようではあったが、駅は電車に乗車しようとする学生やサラリーマンなどでごった返しになっていた。

「凄い人だな乗れるかな?」あまりの人の多さに目が点になる。

「でも、これで帰らないとひなのお迎えに間に合わないわ」元々教室を出るのが遅くなっていたところを、白川というアイドルの分けの解らない障害により更に時間は遅くなってしまっていた。

 俺達の乗るべき電車がホームの中に侵入してきた。ガラス越しに見る車内も人で一杯であった。

「女性専用車両じゃなくていいのか?」一応聞いてみる。

「女の人だらけの場所は臭《にお》いがきついのよ。頭が痛くなっちゃうから……」オッサンの加齢臭も大概だと思うが……。

 目の前に電車が到着しドアが開く。正直いうととても乗れる状況ではないような感じである。しかし、ひなのお迎えを考えると無理やりにでも乗るしかなかった。

「ヨッシャ!」俺は気合いを入れて人混みの中に乗り込む、そしてなんとか穂乃花の乗れるスペースを確保した。反動で押し返されそうになるが穂乃花に負担がかからないように踏ん張って堪える。電車が出発のアナウンスがありドアがゆっくりと閉まる。まさに車内は差詰《すしづめ》状態であった。

「く、苦しい……」穂乃花の顔が苦痛で歪む。周りの男性達と比べて穂乃花》は背が低い為に乗車客の中に埋もれたような状態になる。

「こっちに……」穂乃花の体をドアの横のスペースに移動させて彼女に圧がかからないように両腕で壁を押さえて空間を作る。

「ありがとう……、でも大丈夫?」彼女が心配そうな顔をする。

「だ、大丈夫だ、任せておけよ」少し手がぶるぶると震える。わざと押している奴がいるのではないかと思わせるほどの力が俺の両腕に負担となる。

 ぎゅうぎゅう詰めの車内で背中をグイグイと押され、穂乃花の体に覆い被さりそうになる。

 車内が暑いのか穂乃花の頬が真っ赤に染まっている。

「大丈夫か?」穂乃花の体を心配する。

「うん……、大丈夫よ」電車が激しく揺れる。彼女と顔の距離が急接近する。もう鼻がぶつかりそうな間合いであった。

「畜生、いつになったら駅に……」突然に穂乃花《ほのか》の唇が俺の唇に触れる。その瞬間、体の中を激しい電気が駆け抜け力が抜けてしまい、俺は彼女の体を抱き締めるような形になってしまう。

「な、なにを……?」彼女の耳元でその行動の意味を訊ねる。

「……」しかし彼女は顔を横に反らして無言のままであった。その耳の辺りが真っ赤になっている事を俺は見逃さなかった。

 電車が駅のホームに到着しドアが開く。俺達は押し出されるように電車の外に出た。

 少しの間、何を話していいのか解らずに沈黙の時間が続く。自動改札機に定期券を翳して改札の外に出て二人で歩いていく。

「さっきのは……、ゴメン、俺が背中を押されてお前の唇に……」あの電車が揺れた時に俺の体がバランスを崩した事が原因なのかと思っていた。事故とはいえ、女の子の唇にキスししてしまうなんてとんでもない事をしてしまったと思った。これは、蹴飛ばされるだけでは済まないのではないだろうか。

「お前っていうな……」なにやら少し恥ずかしそうにハニカミながら言っている。

「ゴメン……」一体何に対して謝っているのかも解らなくなってきた。

「謝らなくていいわよ。光君……、女の子もね……、好きな人にキスしたくなる時があるんだよ。それとも私とキスするのは嫌だった?」彼女は、あのCMの中と同じ笑顔で笑った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について

沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。 かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。 しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。 現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。 その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。 「今日から私、あなたのメイドになります!」 なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!? 謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける! カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

俺が宝くじで10億円当選してから、幼馴染の様子がおかしい

沢尻夏芽
恋愛
 自他共に認める陰キャ・真城健康(まき・けんこう)は、高校入学前に宝くじで10億円を当てた。  それを知る、陽キャ幼馴染の白駒綾菜(しらこま・あやな)はどうも最近……。 『様子がおかしい』 ※誤字脱字、設定上のミス等があれば、ぜひ教えてください。  現時点で1話に繋がる話は全て書き切っています。  他サイトでも掲載中。

俺をフッた幼馴染が、トップアイドルになって「もう一度やり直したい」と言ってきた

夏見ナイ
恋愛
平凡な大学生・藤堂蓮には忘れられない過去がある。高校時代、告白した幼馴染の星宮瑠奈に「アイドルになるから」とこっ酷くフラれたことだ。 数年後、瑠奈は国民的アイドル『LUNA』として輝いていた。遠い世界の住人になった彼女との再会なんて、あるはずもなかった――そう、変装した彼女が俺の前に現れ、「もう一度やり直したい」と泣きつくまでは。 トップアイドルの立場を使い強引に迫る元幼馴染と、過去の傷。揺れ動く俺の日常を照らしてくれたのは、俺の才能を信じてくれる後輩・朝霧陽葵の存在だった。 俺をフッた幼馴染か、俺を支える後輩か。過去の清算と未来の選択を描く、ほろ苦くも甘い、逆転ラブコメディ、開幕。

幼馴染が家出したので、僕と同居生活することになったのだが。

四乃森ゆいな
青春
とある事情で一人暮らしをしている僕──和泉湊はある日、幼馴染でクラスメイト、更には『女神様』と崇められている美少女、真城美桜を拾うことに……? どうやら何か事情があるらしく、頑なに喋ろうとしない美桜。普段は無愛想で、人との距離感が異常に遠い彼女だが、何故か僕にだけは世話焼きになり……挙句には、 「私と同棲してください!」 「要求が増えてますよ!」 意味のわからない同棲宣言をされてしまう。 とりあえず同居するという形で、居候することになった美桜は、家事から僕の宿題を見たりと、高校生らしい生活をしていくこととなる。 中学生の頃から疎遠気味だったために、空いていた互いの時間が徐々に埋まっていき、お互いに知らない自分を曝け出していく中──女神様は何でもない『日常』を、僕の隣で歩んでいく。 無愛想だけど僕にだけ本性をみせる女神様 × ワケあり陰キャぼっちの幼馴染が送る、半同棲な同居生活ラブコメ。

たとえ夜が姿を変えても ―過保護な兄の親友は、私を逃がさない―

佐竹りふれ
恋愛
重なる吐息、耳元を掠める熱、そして——兄の親友の、隠しきれない独占欲。 19歳のジャスミンにとって、過保護な兄の親友・セバスチャンは、自分を子供扱いする「第二の兄」のような存在だった。 しかし、初めてのパーティーの夜、その関係は一変する。 突然降ってきた、深く、すべてを奪うような口づけ。 「焦らず、お前のペースで進もう」 そう余裕たっぷりに微笑んだセバスチャン。 けれど、彼の言う「ゆっくり」は、翌朝には早くも崩れ始めていた。 学内の視線、兄の沈黙、そして二人きりのアパート――。 外堀が埋まっていくスピードに戸惑いながらも、ジャスミンは彼が隠し持つ「男」の顔に、抗えない好奇心を抱き始める。 「……どうする? 俺と一緒に、いけないことするか?」 余裕の仮面を被るセバスチャンに、あどけない顔で、けれど大胆に踏み込んでいくジャスミン。 理性を繋ぎ止めようとする彼を、翻弄し、追い詰めていくのは彼女の方で……。 「ゆっくり」なんて、ただの建前。 一度火がついた熱は、誰にも止められない。 兄の親友という境界線を軽々と飛び越え、加速しすぎる二人の溺愛ラブストーリー。

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。 **2026.01.02start~2026.01.17end** ◆エブリスタ様にも掲載。人気沸騰中です! https://estar.jp/novels/26513389

処理中です...