【完結作品】四人の少女とシンクロ！銀河の運命をかけた闘い！超爆激神モード炸裂！『超・爆・激・神 メタルガイダー』

三匹の猫

　祐樹は真っ暗な空間に浮かんでいる。

　何も聞こえない、何も見えない空間。
（うっ！）目の前に閃光が光る。急激な爆発。暗闇の中心から何かが広がっていく。
　宇宙の誕生、ビッグバンか！
　爆発時に発生した細かい光が徐々に渦を巻き、いくつかの塊を形成していく。
　沢山の星雲が誕生した。

（綺麗だ･･････！　）銀河が祐樹の、目の前で美しく回転している。
　そこへ、無数の隕石が飛来して銀河を破壊しようとする。

（俺が守らなきゃ！）祐樹は一番大きな隕石の前に立ちふさがった。
　隕石は祐樹の体に当たり、ダメージを与える。

「苦しい！　重い！　」祐樹は歯を食いしばった。

「くっ、くそー！　」目を見開くと、見慣れた自分の部屋の中だった。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

「夢か･･････」起き上がろうとするが、体が重い。何かが体の上に乗っている。
　祐樹は自分の体を見た。祐樹が目にしたものは･･････、白く綺麗な足が胸の上に乗っている。祐樹はその光景を目の当たりして、硬直してしまった。

「･･････おはようございます」目をこすりながら、ソラが目を覚ます。

「あぁ、おはようって･･････、お前！」ソラは、裸体に布団を絡めたような姿で眠っていた。寝相が悪いのか、体はあさっての方向を向いている。

「ギャー！」祐樹は頭を抱えて絶叫した。
ドン！と音をさせて扉が開く。そこに立っていたのは･･････、ダンだった。

「くそー！ソラ、抜けがけしたな！」そういうと、ダンは布団の中に飛び込み、祐樹のパジャマのズボンを下ろそうとした。逆に、祐樹はズボンを掴んで抵抗した。

「やめー！　」祐樹が叫ぶ。

「観念しろよ！　へへへへ！」ダンが獣のような声を上げた。祐樹のズボンが膝までずり落ちた。

「ぎゃー！やめてくれ！」祐樹は必死に抵抗を試みる。

「なんだ、こりゃ？」祐樹の膝のうえ辺りに、黒いアザがあった。それは綺麗な紋章のようにも見えた。

「これは、小さい時から、ずっとあるアザだ」ダンの手から、すり抜けて祐樹はズボンを引っ張り正常な位置に戻した。

「アザか･･････、なんか見たことが･･････」ダンが呟いた。
パコーン！　ダンの頭から綺麗な音が響いた。

「馬鹿なことやっていないで、朝ごはんよ！ソラも早く服を着なさい！」そこには、スリッパを片手に持ったレオの姿があった。

ダンを牽制しながらリビングに降りると、いい香りが漂ってきた。

「これは･･････、味噌汁か！　」目をつむり匂いを噛締めるように祐樹は息を吸った。

「ご主人様、テーブルにお掛け下さい。朝食の準備をしますので」エプロンを羽織ったパンが台所に立っていた。いかにもマニアが好きそうな萌えファッションであった。

「これは、パンが作ったのか？　」テーブルの上には、ご飯、納豆、焼き魚、目玉焼きがあった。朝からこんなに豪勢な食事は久しぶりだった。

「さぁ、お召し上がれ！」最後に味噌汁を器に注ぎ目の前に置いた。

「いただきます！」箸を握り、祐樹は食べ始めた。

「美味すぎ！パンはすごいな！」祐樹が絶賛すると、パンは頬を赤らめた。

「ありがとうございます。ご主人様」スカートの裾を掴みながら綺麗にお辞儀をした。

　彼女達のお陰で、なんだか鬱々としていた気持ちが少し晴れたような気がする。快適な気分で玄関を飛び出す。

「行ってきます！」久しぶりに、出掛けの挨拶をした。

「行ってらっしゃいませ！ご主人様！」パンが玄関で祐樹を見送る。

（この家は、メイド喫茶か！）祐樹の顔は少しにやけていた。足元に赤毛、青毛、白毛の猫が３匹付き添うように歩いている。

「なんだか、凄くご機嫌ね」後ろから声が聞こえる。祐樹が振り返ると腕を組んだ奈緒が立っていた。３匹の猫は、塀の上に移動した。

「よう、おはよう奈緒！」軽く手を上げて挨拶をする。

「なんだか、軽薄な感じね！楽しい事でもあったの？」呆れた口調で奈緒は言い放った。　
　手に持った鞄を振り回すような動作を繰り返す。

「べっ、別に、何もないよ！」慌てて祐樹は否定した。

「その慌て方、怪しいな･･････」

「ばっ、馬鹿なことを言ってないで学校へ行くぞ！」小走りに祐樹は走りだした。

「ちょっと、待ってよ！」その後ろを、奈緒は取り残されないように追いかけた。

　その２人から微妙な距離を保ったまま、３匹の猫は移動した。