【完結】美しい7人の少女達が宿命の敵と闘う!!ナオミ!貴女の出番よ!!恋愛・バトル・学園、そして別れ……『吼えろ!バーニング・エンジェルズ』

上条 樹

文字の大きさ
23 / 64
吼えろ!バーニング・エンジェルズ (ヒロイン編)

ナオミと美穂

しおりを挟む
 今日は雲一つ無い晴々とした天気である。太陽の光が眩しい。

 通学の電車は、今日も乗客で満員。少しづつではあるが電車で出会う人の顔も覚えてきた。
 毎日、シルバーシートに座りおむすびを食べ、それが無くなると化粧を始めるお姉さん。まるで自分の部屋のような振る舞い。
 携帯ゲームに没頭するサラリーマンのお兄さん。よくこの人混みの中で没頭できるものだと関心する。

「美穂ちゃん、おはよう!」背後から狩屋さんの声が聞こえる。

「純一さん!おはようございます」私は体を狩屋さんの方向に回転させてから、軽く会釈した。

「最近、よく会うよね!有紀は満員電車が嫌だって、いつも2本位前の電車で学校に行ってるようだけど、この電車でも十分に間に合うんだね」いいえ、実は毎日遅刻ギリギリセーフって感じです。決してこの事は言葉にしない。
 私は、出来るだけ狩屋さんに会えるように、あえてこの電車で通学するようにしているのだ。

「そういえば、有紀に聞いたのだけどナオミさん達がコンサートをするんだってね」狩屋さんが興味津々といった様子で聞いてくる。 
 ナオミの話題が出ると少し複雑な感情に襲われる。
 私と同じく、ナオミが狩屋さんを好きなことは明らかだから・・・・・・。

「ええ、この週末に学校の校庭に特設会場を作るそうです」私も、コンサートの件は先日聞いたばかりだった。 
 私も特工の一員であるのだが、皆と一緒に舞台に立つのは抵抗があるので裏方にしてもらった。ミコトちゃんは「お揃いの衣装も用意したのに!」と少し残念がっていた。ミコトちゃんが用意していた服はバニーガールのような衣装であった。
 心臓に毛が生えていたとしても、あのメンバーと一緒にその姿で舞台に立つ勇気は私には無い。丁重にお断りして、私は裏方に徹する事を決めた。

「ちょうど、週末は休みだから俺も見に行こうかな!確か、部外者も入場できるんだよね!」狩屋さんの言葉で現実に引き戻された。

「はい!入場料は取られるみたいですけど・・・・・・」当日は、特工科の秘蔵写真やグッズの販売もされるそうだ。一体、その売上げは何処に行くのやら・・・・・。

「防高は賑やかになったね。以前はお堅い感じの学校だったのに」外部から見るよりも比較的砕けた雰囲気の学校だったが、シオリさん達が現れてから、そのダラダラ感は更に度を増した。

「まあ、有紀も毎日楽しそうに毎朝、家を飛び出して行っているよ」最近、私は少し憂鬱なのですが・・・・・。

「私、チケット用意しましょうか?」特工メンバー用に何枚か入場用のチケットを貰ったが、特に渡す人がいないのでそのまま置かれた状態になっていた。

「いいの?なんだか悪いな」

「明日にでも、有紀に渡しておきます」

「ありがとう。美穂ちゃん!」狩屋さんはさわやかな笑顔を見せて礼を言った。

「どういたしまして・・・・・・」嬉しそうな狩屋さんの顔を見て、少しだけ気分が鬱になったような気がした。

 数日後、約束通り有紀にコンサートのチケットを渡した。

「美穂、ありがとう!」言いながら背後からまたオッパイを揉まれた。

「もう!」顔を見る度、有紀は私の胸に執着する。段々、感度が良くなったのか、有紀に触られると、少し気持ちがよい。依存症にならないかと不安になる。
 有紀は、自分の胸でも揉んでいればよいのに・・・・・。 

「うーん!やっぱりムツミさんの胸には敵わないわね!」ほっといて下さい。私だってこれから大きくなりますから、きっと・・・・・・。

「兄貴は、あまり歌とかコンサートとか興味が無いのに珍しいわ。特工のお姉さん達がよっぽど好きみたい」有紀は焼きもちを焼くように頬を膨らませた。

「そうなんだ・・・・・・」

「美穂、チケットありがとね!兄貴と二人で見に行くから、ムツミさん達にヨロシクね」
「うん、伝えておくわ」

「兄貴にもチケット渡しておくね!」有紀は大きく手を振りながら屋内に消えていった。
 有紀の影が見えなくなるまで、彼女を目で追いかけた。
 空を見上げると白い鳥が数羽空を舞っていた。

「なにをしているの?」不意に背後から声がした。
 風に流れるピンク色の長い髪を右手で押さえてナオミは立っていた。

「風が気持ち良いから、遠くの景色を眺めていたの」言いながら再び遠くに視線を送った。

「隣に座っても構わない?」

「どうぞ・・・・・・」言う前にナオミは既に座ろうとしていた。

「・・・・・・」何を喋ったら良いのか解らない。
 二人の間に沈黙の時間が続いた。ナオミも遠くの景色を眺めている。急に激しい風が吹いて二人のスカートの裾が舞い上がる。またシンクロしたように二人は、同じ動作でスカートを押さえた。
 遠くで男子学生がその光景を目撃して歓声を上げている。

「いやらしい風ね!」最初に口を開いたのはナオミだった。

「不思議ね。私達って一人の人間だったのに、こんな風に二つに分かれてしまった」なんだかその言葉を口にすると複雑な気持ちになった。

「そうだね・・・・・・これからは、貴方は美穂、私はナオミとして別々の道を生きていくんだよね」ナオミは空を見上げた。雲が出てきて太陽を隠してしまった。

「私には、あなたの記憶が残っているのに・・・・・・」二年に進級してから、ナオミ・美穂として生活した日々が私の頭の中で駆け巡った。

「私にも、美穂の子供の頃から記憶を覚えているのよ。有紀との思い出も、そして、純一さんの事も・・・・・・」

「そうよね」狩屋さんの名前を聞いて胸を締付けられる思いがした。

「本当は、負けないわよ!って言いたいとこだけど、私はもう人間ではないからなあ」ナオミは少し悲しげな瞳を見せたが、隠すように足元に目を落とした。視線の先に空き缶が転がっている。

「そんな・・・・・・」私はナオミに掛ける言葉が思い浮かばなかった。 

「美穂は、純一さんの事好き?」覗き込むように私の目を見つめる。

「私は・・・・・・」答えは決まっている。

「愚問よね。貴方の気持ちは、私が一番判っているもの・・・・・・」彼女の瞳が寂しそうな色に変わった。

 ナオミはおもむろに立ち上がったかと思うと足元に転がっていた空き缶を蹴り飛ばした。
 空き缶は宙を舞い、近くに設置してあるゴミ箱の中に見事に納まった。

「よし!」ナオミは左手でガッツポーズをした。

「ナオミ・・・・・・」ナオミを背中から見ていた。彼女の表情は確認出来ない。

「少し前までは美穂ではなくなったという現実に直面しても、現実を受け入れることが出来なかったわ。正直いうと少し前までは、貴方に嫉妬というか、怒りみたいなものも感じていたわ。どうして私がナオミなのってね」

「・・・・・・」返す言葉が見当たらない。

「でも、あなたを恨んだところで、現実は変わらない。私は、私として生きていくしか道は無いと特工科の皆に教えられたの」

「・・・・・・ 」

「あのコンサートも最初は、シオリさん達が一体何を考えているのか解らなくって馬鹿らしかったけど、なんだか楽しくなってきて、あの人達は前向きに生きているんだなって感じた」
 ナオミは満面の笑顔を見せた。何かから吹っ切れた様子だった。
 再び、太陽の光が挿してきた。その下をさっきの白い鳥が羽ばたいていった。まるで美しい絵画のように、ナオミの笑顔は輝いていた。

「私達は頑張るきゃないんだよね!」ナオミは大きく背伸びをした。美しい髪が風にたなびく。

「ナオミ、私は・・・・・・」
ナオミは私の方向に振り向きながら、大きな声で言った。

「美穂!ボーとしてると純一さんを誘惑しちゃうわよ」少し色っぽい顔をしてスカートの裾を指で摘んで持ち上げた。白い綺麗な足が目に飛び込んできた。女の私でも釘付けになってしまう。

「えっそんな・・・・・・」ナオミと私では圧倒的に分が悪い。
「冗談よ!冗談、冗談!」ナオミはスカートから手を離し、口を覆いながらコロコロ笑った。

「ナオミ・・・・・・」

「でもね・・・・・・」少し言葉に間をあけた後、ナオミは元気に叫んだ。

「やりたいことをやる!それが私の生き方!そこんとこヨロシク!」二本指で額から下へ敬礼のような仕草をした。

「なに、それ?」

「ちょっとね」ナオミは微笑を私の心に刻み付けて、屋上から姿を消した。

「ナオミ・・・・・・」ナオミの気持ちを考えると、もう一度胸が締め付けられて切なくなった。

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

王女様は聖女様?おてんば姫の大冒険~ペットのドラゴンが迷子なので冒険者になって探しに行きます!~

しましまにゃんこ
ファンタジー
アリシア王国の第3王女ティアラ姫には誰にも言えない秘密があった。 それは自分が全属性の魔力を持ち、最強のチート能力を持っていた「建国の賢者アリシア」の生まれ変わりであること! 8才の誕生日を境に前世の記憶を取り戻したものの、500年後に転生したことを知って慌てる。なぜなら死の直前、パートナーのドラゴンに必ず生まれ変わって会いにいくと約束したから。 どこにいてもきっとわかる!と豪語したものの、肝心のドラゴンの気配を感じることができない。全属性の魔力は受け継いだものの、かつての力に比べて圧倒的に弱くなっていたのだ! 「500年……長い。いや、でも、ドラゴンだし。きっと生きてる、よね?待ってて。約束通りきっと会いにいくから!」  かつての力を取り戻しつつ、チートな魔法で大活躍!愛する家族と優しい婚約者候補、可愛い獣人たちに囲まれた穏やかで平和な日々。 しかし、かつての母国が各国に向けて宣戦布告したことにより、少しずつ世界の平和が脅かされていく。 「今度こそ、私が世界を救って見せる!」 失われたドラゴンと世界の破滅を防ぐため、ティアラ姫の冒険の旅が今、始まる!   剣と魔法が織りなすファンタジーの世界で、アリシア王国第3王女として生まれ変わったかつての賢者が巻き起こす、愛と成長と冒険の物語です。 イケメン王子たちとの甘い恋の行方もお見逃しなく。 小説家になろう、カクヨムさま他サイトでも投稿しています。

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

【完結】無能と婚約破棄された令嬢、辺境で最強魔導士として覚醒しました

東野あさひ
ファンタジー
無能の烙印、婚約破棄、そして辺境追放――。でもそれ、全部“勘違い”でした。 王国随一の名門貴族令嬢ノクティア・エルヴァーンは、魔力がないと断定され、婚約を破棄されて辺境へと追放された。 だが、誰も知らなかった――彼女が「古代魔術」の適性を持つ唯一の魔導士であることを。 行き着いた先は魔物の脅威に晒されるグランツ砦。 冷徹な司令官カイラスとの出会いをきっかけに、彼女の眠っていた力が次第に目を覚まし始める。 無能令嬢と嘲笑された少女が、辺境で覚醒し、最強へと駆け上がる――! 王都の者たちよ、見ていなさい。今度は私が、あなたたちを見下ろす番です。 これは、“追放令嬢”が辺境から世界を変える、痛快ざまぁ×覚醒ファンタジー。

【完結】異世界で神の元カノのゴミ屋敷を片付けたら世界の秘密が出てきました

小豆缶
ファンタジー
父の遺したゴミ屋敷を片付けていたはずが、気づけば異世界に転移していた私・飛鳥。 しかも、神の元カノと顔がそっくりという理由で、いきなり死刑寸前!? 助けてくれた太陽神ソラリクスから頼まれた仕事は、 「500年前に別れた元恋人のゴミ屋敷を片付けてほしい」というとんでもない依頼だった。 幽霊になった元神、罠だらけの屋敷、歪んだ世界のシステム。 ポンコツだけど諦めの悪い主人公が、ゴミ屋敷を片付けながら異世界の謎を暴いていく! ほのぼのお仕事×異世界コメディ×世界の秘密解明ファンタジー

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

神様転生~うどんを食べてスローライフをしつつ、領地を豊かにしようとする話、の筈だったのですけれど~

於田縫紀
ファンタジー
大西彩花(香川県出身、享年29歳、独身)は転生直後、維持神を名乗る存在から、いきなり土地神を命じられた。目の前は砂浜と海。反対側は枯れたような色の草原と、所々にぽつんと高い山、そしてずっと向こうにも山。神の権能『全知』によると、この地を豊かにして人や動物を呼び込まなければ、私という土地神は消えてしまうらしい。  現状は乾燥の為、樹木も生えない状態で、あるのは草原と小動物位。私の土地神としての挑戦が、今始まる!  の前に、まずは衣食住を何とかしないと。衣はどうにでもなるらしいから、まずは食、次に住を。食べ物と言うと、やっぱり元うどん県人としては…… (カクヨムと小説家になろうにも、投稿しています) (イラストにあるピンクの化物? が何かは、お話が進めば、そのうち……)

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...