振り返るといつもの君がいたような気がした。僕が助けた少女は有名なシンガーソングライターだった。『君の歌と僕の夢……。』

上条 樹

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君とワンマン

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「お二人はお知り合いだったんですか?」美桜が驚いているようであった。

「まあ、実は今日、ほんの先ほど知り合ったんだがな、私が困っている処を助けてもらって……」小野寺社長は俺が入れたコーヒーを飲む。

「まさか、小野寺さんが美桜ちゃんの事務所の社長さんとは驚きました。美桜ちゃんからは、怖い人だって言うから、凄いオッサンが来るかと思ってましたよ」その辺りは正直言って安心している。

「そんな怖いなんてひどいでしゅ……」小野寺社長が顔を赤くして、乙女のような顔をした。彼女は組んでいた足を揃えて、きゅっと内側に閉じた。

「え!?」美桜が彼女ら様子を訝しげに見ている。

「あ、いや、そうか美桜は私が怖いか!はははは!」なぜか態わざとらしいほど豪快に笑った。

「……」美桜は冷めた目で見ている。

「おほっん!えー、話は変わるんだが、さっきも言った通り君に似たような者もで出している。出来れば君を過去の人にはしたくないんだよ」

「でも……」

「どうだね、週一回のペースでラジオをやつてみないか?三十分ほどの放送でそんなに負担にはならないだろう」小野寺社長は足を組んだ。どうやら、仕事モードの時は、少し男っぽくなるようだ。

「りょ、亮介さん……、どう思いますか……?」えっ、俺に意見求めてくんの?他人事として、聞いていたので正直答えなど用意していなかった。

「あっ、えーと、君の負担にならないなら、やってみたら……、俺も美桜ちゃんの声がラジオから流れたら……、なんだか嬉しいよ」

「そ、そうですか。それじゃあ……、しゃ、社長……?」なぜか小野寺社長がちょっとムッとしたように口を尖らせて俺の顔を下から見上げていた。えっ、何、俺はいけない事を言った?

「えっ、ごほん!あっ、いやすまない・・・・・・、やってくれるか?」小野寺社長は、気を取り直すように、スーツの襟を引っ張った。

「はい、週一回程度であれば、やらせていただきます」美桜は決心したように返答をした。

「しかし、あれだな・・・・・・、私が何度説得しても首を縦に振らなかったのに、亮介・・・・・・君の一言で変わるとは・・・・・・・、まさか、二人は・・・・・・・、付き合っているとか!?」なんだ、また小野寺社長の顔が少し赤くなっているぞ。熱でもあるのか。

「いいえ、そんな・・・・・・付き合っていませんよ・・・・・・・、ねえ、美桜ちゃん・・・・・・・」

「・・・・・・」あれ、返答無し・・・・・・、聞こえてなかったのかな。

「そ、そうか・・・・・・。芸能人はスキャンダルに気を付けないとダメだからな」小野寺社長は何かを誤魔化すようにコーヒーを飲む。

「ただいま!あれっ、お客さん・・・・・・・・、こんにちは」昌子が帰って来た。

「あ、お邪魔しています。亮介君の・・・・・・、お姉さんですか?」小野寺社長は丁寧にお辞儀をした。

「いいえ、同居人です」それを聞いて小野寺社長はコーヒーを吹き出した。「ちょっと待て!確認するが、このシェアハウスに住んでいるのは、MIONと亮介君と・・・・・・・」で小野寺社長は昌子の顔を見る。

「篠原昌子と言います。以上三名ですよ」昌子はニコリと微笑んだ。

「な、なにー!私はてっきり、ホームステイのように亮介君の家族がいると思っていたのに!?」まあ、たしかにこの状況は異常だわな。

「い、いえ・・・・・・、社長・・・・・・・、これには・・・・・・」一体どんな言い訳をするつもりなのだろう。今後の参考に聞きたいと俺は思った。

「・・・・・・・解った・・・・・・・、よし!決めた!」小野寺社長は何かを決意したようだ。

「は!?」俺達一同は何を決意されたのか解らず、口をポカーンと空けていた。

「こんなひとつ屋根の下で君達のような若い男女が生活していて間違いでも起きたら大変だ。MIONの芸能活動にも支障がでる」やはり美桜を連れて行くという事であろうか。

「社長!私は戻りませ・・・・・・」美桜は顔を真っ赤にして拒否の言葉を出したが、その言葉が終わらぬうちに、小野寺社長の衝撃的な一言が飛び出した。

「私もここに住むことにしよう!!」

「ええー!!」一同はその言葉に耳を疑った。

「いいじゃないか、みんなの監督役兼MIONのフォローもできる。ここからだと事務所への通勤も楽だしな!部屋は余っているのだろう」

「はい、二部屋あります・・・・・・」この家は5LDKなので、まだ少し余裕があった。

「よし!決まりだ!!」俺達の意思は全く無視なのね。さすがワンマン社長。



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