16 / 40
面 影
しおりを挟む
まどかにデートをすっぽかされた日から数日が過ぎた。
雨が降ると、やはり無意識にまどかの事を思い出す。
一応失恋した俺は彼女への想いを振り払う如く頭をかきむしった。
それでも、もう一度だけでもいいから彼女に会いたい……。
自分がこれ程、未練がましい男であったことを初めて知る。
まどかととの破局のあと、反比例するように幸恵との仲はそれなりに良好ではある。
それでも、日常会話を交わす位のレベルで一般の夫婦と比較すると、ほぼ会話が無いに等しいかもしれない。
「あら、これ何?」幸恵は俺の机に無造作に置いていた両親の写真を手にしていた。
俺は横から覗き込むように写真を見た。幸恵は少し、鬱陶《うっとう》しそうに頭を傾ける。
その仕草に多少腹がたったが、ここから喧嘩に発展するのも憂鬱《ゆうつ》なので触れないことにした。
「ああ、それはこの間、実家に行った時に持って帰ってきたんだ……」改めて見た両親の写真の母に俺は釘付けになった。
「似ている……」絶句する俺をよそに、幸恵の興味は写真から遠退いたようであった。テレビの韓国ドラマに、興味は移っていた。
写真に写る微笑んだ母の顔。
歳こそ少し上のようだが、あの少女、まどかに瓜二つであった。たしか、母が俺の父親と結婚をしたのは19歳の頃だと聞いている。
ということは、この写真に写った母はまどかより2つ、3つ上というところか。
「どうしたの?」幸恵は不思議そうに、俺の様子を伺っていた。テレビの画面にはコマーシャルが流れている。
「い、いや別に……なんでも無い」誤魔化すように俺は呟いた。
幸恵にまどかの話をする気にはなれなかった。
雨が降ると、やはり無意識にまどかの事を思い出す。
一応失恋した俺は彼女への想いを振り払う如く頭をかきむしった。
それでも、もう一度だけでもいいから彼女に会いたい……。
自分がこれ程、未練がましい男であったことを初めて知る。
まどかととの破局のあと、反比例するように幸恵との仲はそれなりに良好ではある。
それでも、日常会話を交わす位のレベルで一般の夫婦と比較すると、ほぼ会話が無いに等しいかもしれない。
「あら、これ何?」幸恵は俺の机に無造作に置いていた両親の写真を手にしていた。
俺は横から覗き込むように写真を見た。幸恵は少し、鬱陶《うっとう》しそうに頭を傾ける。
その仕草に多少腹がたったが、ここから喧嘩に発展するのも憂鬱《ゆうつ》なので触れないことにした。
「ああ、それはこの間、実家に行った時に持って帰ってきたんだ……」改めて見た両親の写真の母に俺は釘付けになった。
「似ている……」絶句する俺をよそに、幸恵の興味は写真から遠退いたようであった。テレビの韓国ドラマに、興味は移っていた。
写真に写る微笑んだ母の顔。
歳こそ少し上のようだが、あの少女、まどかに瓜二つであった。たしか、母が俺の父親と結婚をしたのは19歳の頃だと聞いている。
ということは、この写真に写った母はまどかより2つ、3つ上というところか。
「どうしたの?」幸恵は不思議そうに、俺の様子を伺っていた。テレビの画面にはコマーシャルが流れている。
「い、いや別に……なんでも無い」誤魔化すように俺は呟いた。
幸恵にまどかの話をする気にはなれなかった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
9
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる