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11.委員会決め
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次の日、登校してきた二宮くんは「三上くん、おはよ!」と、いつも通りの笑顔を向けてきた。
やばい…昨日のことを思い出してしまう…
…いや…あっあれは、事故だよ!
僕がたまたま二宮くんの方に倒れたっていうそんだけのことだ!
うん。そうだよ!それで、倒れたときに僕の耳が、たまたま二宮くんの口の近くにきて…それで、あんな感じになったんだよ。うんそうだそうだ。
薫は一人で自己完結をするのだった。
二宮はそんな薫をみて、不敵に笑う。
「少しでも意識してもらえて嬉しいよ。」
そして、誰にも聞こえない声でそう呟いたのだった。
☆ ☆ ☆
「今から委員会決めをする!進行を学級委員にしてもらいたいから、初めに学級委員を決める。誰か、やりたいと言う奴はいるかー?」
教卓の前に立ち、大きな声で田中先生が言った。
学級委員かぁ。中学の頃三年連続でやったなぁ。ほとんど雑用ばかりで、大変だった思い出がある。だから、高校ではやりたくない…
他のクラスメートも思っているらしく、
誰も名乗り出ようとはしなかった。
やっぱり、やりたくないよね…
そう思ったとき、
「はい!」
キレのある返事をして、手を上げた人物がいた。
あれは…一条家の一条楓くんだよね。
あまり、学級委員をしたさそうなタイプではないと思ってたけど…
自分から率先して手を挙げるなんて、よっぽど学級委員をしたいんだなぁ。
「おっ、自分から名乗り出るなんて、やる気があるな!じゃあ、学級委員は一条にしてもらおう。一条、前に立って進行をしてくれ。」
田中先生はそう言って、教室の隅へ移動する。
それと入れ替わるように、一条くんが教卓の前に立ち進行を始めた。
「あっ、それと言い忘れたことがあった。学級委員はクラスから二名選ばなければならない。だから、もう一人も決めてくれ、一条。」
隅の方で腕を組んで立っていた田中先生は、思い出したように言った。
もう一人か…
二宮くんとか学級委員に向いてそう。この前のクラス会のときもみんなを集めていたし。それにすごく盛り上げ上手だった。クラスをまとめるのが上手そうだけどな…
僕は隣の二宮くんの方を向く。
すると、二宮くんも僕の方を向いていた。
「三上くんって、学級委員に向いてると思うんだ。」
周りに聞こえないように、こそっと二宮くんが言った。
「えー?僕は無理だよ…僕より、二宮くんのほうが向いてると思うよ!」
「えー、僕?」
どうやら、お互いに同じようなことを考えていたらしい。僕の言葉に対して二宮くんは「僕、全然向いてないよ~?」といった。
向いてると思うんだけどな…
「もう一人、学級委員を決める。誰かやりたい者はいるか?」
無表情で一条くんが言った。
シーーーン。
誰も手を上げる人はいない。
んーー。誰もやりたい人なんていないよねぇ。すごい気持ちわかる。めんどいもん。
いくら待っても手を挙げる者がいないのをみて、一条くんはイライラした表情を見せた。
「誰もいないのか?このままでは、一向に決まらない!このまま現れないというなら、俺が決める!」
一条くんは響く声で、宣言するように言った。その言葉を聞いて、教室はざわざわとし始める。
えぇー!一条くんが決めるの?!
「誰も、自分から名乗り出るものはいないな?じゃあ、僕が決めるぞ!」
手を挙げる者は現れなかった。一条くんは、クラス中を鋭い目つきで見渡す。
教室にいる全員が、教卓の前に立つ人物から目を逸らしていた。
どうか、選ばれませんように…
「三上薫、お前がやれ。」
一条くんは、ビシっ!と薫に向けて指をさし、命令口調で言った。
「えぇ!なぜ、…」
「僕なんですか!」と続けて言おうとした言葉は、一条くんの鋭い目によって制された。
「何か、異論でも?」
「あ、ありません…」
「反対したらぶっ殺す」というオーラが一条くんから漏れているのだけど…
これは反対したら、本当に殺される…
薫の体は、ガタガタと震えていた。
そんな薫たちを見て田中先生が
「おぉ!三上なら頼りになるな!」
とのんきに言った。
えぇー、先生!なんで一条くんの発言にのっかるのぉぉ!!!
そうして、薫は一条楓と学級委員をすることになった。
また、薫は四年連続学級委員という記録を出したのだった。
やばい…昨日のことを思い出してしまう…
…いや…あっあれは、事故だよ!
僕がたまたま二宮くんの方に倒れたっていうそんだけのことだ!
うん。そうだよ!それで、倒れたときに僕の耳が、たまたま二宮くんの口の近くにきて…それで、あんな感じになったんだよ。うんそうだそうだ。
薫は一人で自己完結をするのだった。
二宮はそんな薫をみて、不敵に笑う。
「少しでも意識してもらえて嬉しいよ。」
そして、誰にも聞こえない声でそう呟いたのだった。
☆ ☆ ☆
「今から委員会決めをする!進行を学級委員にしてもらいたいから、初めに学級委員を決める。誰か、やりたいと言う奴はいるかー?」
教卓の前に立ち、大きな声で田中先生が言った。
学級委員かぁ。中学の頃三年連続でやったなぁ。ほとんど雑用ばかりで、大変だった思い出がある。だから、高校ではやりたくない…
他のクラスメートも思っているらしく、
誰も名乗り出ようとはしなかった。
やっぱり、やりたくないよね…
そう思ったとき、
「はい!」
キレのある返事をして、手を上げた人物がいた。
あれは…一条家の一条楓くんだよね。
あまり、学級委員をしたさそうなタイプではないと思ってたけど…
自分から率先して手を挙げるなんて、よっぽど学級委員をしたいんだなぁ。
「おっ、自分から名乗り出るなんて、やる気があるな!じゃあ、学級委員は一条にしてもらおう。一条、前に立って進行をしてくれ。」
田中先生はそう言って、教室の隅へ移動する。
それと入れ替わるように、一条くんが教卓の前に立ち進行を始めた。
「あっ、それと言い忘れたことがあった。学級委員はクラスから二名選ばなければならない。だから、もう一人も決めてくれ、一条。」
隅の方で腕を組んで立っていた田中先生は、思い出したように言った。
もう一人か…
二宮くんとか学級委員に向いてそう。この前のクラス会のときもみんなを集めていたし。それにすごく盛り上げ上手だった。クラスをまとめるのが上手そうだけどな…
僕は隣の二宮くんの方を向く。
すると、二宮くんも僕の方を向いていた。
「三上くんって、学級委員に向いてると思うんだ。」
周りに聞こえないように、こそっと二宮くんが言った。
「えー?僕は無理だよ…僕より、二宮くんのほうが向いてると思うよ!」
「えー、僕?」
どうやら、お互いに同じようなことを考えていたらしい。僕の言葉に対して二宮くんは「僕、全然向いてないよ~?」といった。
向いてると思うんだけどな…
「もう一人、学級委員を決める。誰かやりたい者はいるか?」
無表情で一条くんが言った。
シーーーン。
誰も手を上げる人はいない。
んーー。誰もやりたい人なんていないよねぇ。すごい気持ちわかる。めんどいもん。
いくら待っても手を挙げる者がいないのをみて、一条くんはイライラした表情を見せた。
「誰もいないのか?このままでは、一向に決まらない!このまま現れないというなら、俺が決める!」
一条くんは響く声で、宣言するように言った。その言葉を聞いて、教室はざわざわとし始める。
えぇー!一条くんが決めるの?!
「誰も、自分から名乗り出るものはいないな?じゃあ、僕が決めるぞ!」
手を挙げる者は現れなかった。一条くんは、クラス中を鋭い目つきで見渡す。
教室にいる全員が、教卓の前に立つ人物から目を逸らしていた。
どうか、選ばれませんように…
「三上薫、お前がやれ。」
一条くんは、ビシっ!と薫に向けて指をさし、命令口調で言った。
「えぇ!なぜ、…」
「僕なんですか!」と続けて言おうとした言葉は、一条くんの鋭い目によって制された。
「何か、異論でも?」
「あ、ありません…」
「反対したらぶっ殺す」というオーラが一条くんから漏れているのだけど…
これは反対したら、本当に殺される…
薫の体は、ガタガタと震えていた。
そんな薫たちを見て田中先生が
「おぉ!三上なら頼りになるな!」
とのんきに言った。
えぇー、先生!なんで一条くんの発言にのっかるのぉぉ!!!
そうして、薫は一条楓と学級委員をすることになった。
また、薫は四年連続学級委員という記録を出したのだった。
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