なんか、思ってたのと違ぁぁぁう!

ヒヨコ

文字の大きさ
11 / 16

11.委員会決め

しおりを挟む
次の日、登校してきた二宮くんは「三上くん、おはよ!」と、いつも通りの笑顔を向けてきた。

やばい…昨日のことを思い出してしまう…
…いや…あっあれは、事故だよ!
僕が二宮くんの方に倒れたっていうそんだけのことだ!
うん。そうだよ!それで、倒れたときに僕の耳が、二宮くんの口の近くにきて…それで、あんな感じになったんだよ。うんそうだそうだ。

薫は一人で自己完結をするのだった。


二宮はそんな薫をみて、不敵に笑う。

「少しでも意識してもらえて嬉しいよ。」
そして、誰にも聞こえない声でそう呟いたのだった。



☆ ☆ ☆


「今から委員会決めをする!進行を学級委員にしてもらいたいから、初めに学級委員を決める。誰か、やりたいと言う奴はいるかー?」

教卓の前に立ち、大きな声で田中先生が言った。

学級委員かぁ。中学の頃三年連続でやったなぁ。ほとんど雑用ばかりで、大変だった思い出がある。だから、高校ではやりたくない…

他のクラスメートも思っているらしく、
誰も名乗り出ようとはしなかった。

やっぱり、やりたくないよね…

そう思ったとき、

「はい!」

キレのある返事をして、手を上げた人物がいた。

あれは…一条家の一条楓くんだよね。
あまり、学級委員をしたさそうなタイプではないと思ってたけど…
自分から率先して手を挙げるなんて、よっぽど学級委員をしたいんだなぁ。

「おっ、自分から名乗り出るなんて、やる気があるな!じゃあ、学級委員は一条にしてもらおう。一条、前に立って進行をしてくれ。」

田中先生はそう言って、教室の隅へ移動する。
それと入れ替わるように、一条くんが教卓の前に立ち進行を始めた。

「あっ、それと言い忘れたことがあった。学級委員はクラスから二名選ばなければならない。だから、もう一人も決めてくれ、一条。」

隅の方で腕を組んで立っていた田中先生は、思い出したように言った。

もう一人か…
二宮くんとか学級委員に向いてそう。この前のクラス会のときもみんなを集めていたし。それにすごく盛り上げ上手だった。クラスをまとめるのが上手そうだけどな…

僕は隣の二宮くんの方を向く。
すると、二宮くんも僕の方を向いていた。

「三上くんって、学級委員に向いてると思うんだ。」

周りに聞こえないように、こそっと二宮くんが言った。

「えー?僕は無理だよ…僕より、二宮くんのほうが向いてると思うよ!」

「えー、僕?」

どうやら、お互いに同じようなことを考えていたらしい。僕の言葉に対して二宮くんは「僕、全然向いてないよ~?」といった。

向いてると思うんだけどな…

「もう一人、学級委員を決める。誰かやりたい者はいるか?」

無表情で一条くんが言った。


シーーーン。

誰も手を上げる人はいない。

んーー。誰もやりたい人なんていないよねぇ。すごい気持ちわかる。めんどいもん。

いくら待っても手を挙げる者がいないのをみて、一条くんはイライラした表情を見せた。

「誰もいないのか?このままでは、一向に決まらない!このまま現れないというなら、俺が決める!」

一条くんは響く声で、宣言するように言った。その言葉を聞いて、教室はざわざわとし始める。

えぇー!一条くんが決めるの?!


「誰も、自分から名乗り出るものはいないな?じゃあ、僕が決めるぞ!」

手を挙げる者は現れなかった。一条くんは、クラス中を鋭い目つきで見渡す。

教室にいる全員が、教卓の前に立つ人物から目を逸らしていた。

どうか、選ばれませんように…


「三上薫、お前がやれ。」

一条くんは、ビシっ!と薫に向けて指をさし、命令口調で言った。

「えぇ!なぜ、…」

「僕なんですか!」と続けて言おうとした言葉は、一条くんの鋭い目によって制された。

「何か、異論でも?」

「あ、ありません…」

「反対したらぶっ殺す」というオーラが一条くんから漏れているのだけど…
これは反対したら、本当に殺される…

薫の体は、ガタガタと震えていた。

そんな薫たちを見て田中先生が
「おぉ!三上なら頼りになるな!」
とのんきに言った。

えぇー、先生!なんで一条くんの発言にのっかるのぉぉ!!!


そうして、薫は一条楓と学級委員をすることになった。
また、薫は四年連続学級委員という記録を出したのだった。

しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう

水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」 辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。 ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。 「お前のその特異な力を、帝国のために使え」 強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。 しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。 運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。 偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!

【BL】捨てられたSubが甘やかされる話

橘スミレ
BL
 渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。  もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。  オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。  ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。  特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。  でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。  理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。  そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!  アルファポリス限定で連載中  二日に一度を目安に更新しております

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました

あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」 完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け 可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…? 攻め:ヴィクター・ローレンツ 受け:リアム・グレイソン 弟:リチャード・グレイソン  pixivにも投稿しています。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。

批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。

処理中です...