3 / 24
三話
しおりを挟む
目が覚めると、白い天井が広がっていた。
「ん?ここは?」
近くの方から吸血鬼の彼女の声がした。
「あら、目が覚めたかしら?」
「俺は吸血されてから倒れて…あれからどうなったんだ?」
俺はベッドから上半身を起こしながら吸血鬼の彼女に尋ねた。
「あれからあなたが倒れてしまって、私、どうしたらいいか分からなくてとりあえず自分の家に連れてきたって感じよ。」
俺はぐるっと周りを見渡した。
「吸血鬼の棲んでるところって意外と普通なんだな。もっと西洋風の大きなお屋敷みたいなところに住んでるのかと思ったわ。」
「昔はそんな感じのところに住んでたんだけどね、人間の召使いやメイドに吸血鬼の家族たちとね。でもひとりで住むにはアパートの方がいいのよ。」
吸血鬼の彼女は昔を懐かしむように言った。
「それより感謝とかはないのかしら?倒れたあなたをここまで運んできて休ませてあげていたのよ。あんな状態になったらほっておく吸血鬼も珍しくはないのよ。」
「そのことについては感謝させてもらうよ。ありがとう。それでなんだけど、君のことはなんと呼べばいいかな?名前とかって教えてもらってなかったし。」
「そうねぇ、私の名前は三日月・K《カタルシス》ツェペシュよ。」
俺は彼女の名前を聞いた途端吹き出してしまった。
「か、カタルシス・ツェペシュ?ま、マジで?言ってる?」
「はぁ?私にケンカを売ってるのかしら?人間のくせに愚かな選択ね。」
「ごめん、ごめん。いやあまりにも痛い名前だったのでつい。」
「私は現代に生きる誇り高き吸血鬼の末裔よ。人間ごと機に馬鹿にされる覚えはないわ。これからは気を付けなさい。わかった?」
吸血鬼の彼女が穏やかではあるが、有無を言わさぬような口調で言ったので俺はこくんとうなずいた。
「それはいいとして、貧血で倒れたあなたの為にこれを買ってきたのよ。」
吸血鬼の彼女はスーパーのビニール袋をごそごそして中からパック詰めされたレバーを取り出した。
「ちょっと調べたんだけど人間って貧血になったらこれを食べるんでしょ?」
そしてレバーをドヤ顔で差し出してきた。
「はい、私に感謝して食べなさい。」
「それはありがたいんだけど、それってさ、焼いて食べるもんじゃないの?」
「え?そうなの?生で食べるものじゃないの?」
吸血鬼の彼女は値をまんまるにして聞き返してきた。どうやら本当に知らなかったようだ。
「でも私普段料理とかってしないから調理器具なんてないわよ。」
それもそのはずだ。彼女は吸血鬼なので料理をするっ必要がないのは当然である。
「まぁ、買ってきてくれてありがとう。帰ってからいただくよ。」
俺は吸血鬼の彼女が差しだしたパック詰めのレバーをカバンに詰めこむと忘れていたとても重要なことを思い出した。
「やば!仕事に行かなきゃ!」
俺はカバンから携帯電話を取り出して、上司に電話を掛けた。ちなみにその上司は人として屑みたいな人間で自分は平気で遅刻をするくせに部下が遅刻をすると罰則と言って大量の仕事を押し付けてくる。自分の分の仕事を俺たちに押し付けて自分は定時退社しているようなクソ人間だ。
「すいません、昨日の夜貧血で倒れてしまいまして、さっき目覚めました。今から病院を出てそっちに向かいます。」
まあ実際は病院になんていってはいないが、つじつまを合わせるために嘘をついた。貧血で倒れたのを救助されたのは本当のことであるし。
「は?貧血なんかで会社サボっていいと思ってんのか?とりあえず早く出社しろ!今日は帰れないと覚悟しておけ!」
死ねよクソ上司!と思いながら急いで吸血鬼の彼女の家を出た。
「ん?ここは?」
近くの方から吸血鬼の彼女の声がした。
「あら、目が覚めたかしら?」
「俺は吸血されてから倒れて…あれからどうなったんだ?」
俺はベッドから上半身を起こしながら吸血鬼の彼女に尋ねた。
「あれからあなたが倒れてしまって、私、どうしたらいいか分からなくてとりあえず自分の家に連れてきたって感じよ。」
俺はぐるっと周りを見渡した。
「吸血鬼の棲んでるところって意外と普通なんだな。もっと西洋風の大きなお屋敷みたいなところに住んでるのかと思ったわ。」
「昔はそんな感じのところに住んでたんだけどね、人間の召使いやメイドに吸血鬼の家族たちとね。でもひとりで住むにはアパートの方がいいのよ。」
吸血鬼の彼女は昔を懐かしむように言った。
「それより感謝とかはないのかしら?倒れたあなたをここまで運んできて休ませてあげていたのよ。あんな状態になったらほっておく吸血鬼も珍しくはないのよ。」
「そのことについては感謝させてもらうよ。ありがとう。それでなんだけど、君のことはなんと呼べばいいかな?名前とかって教えてもらってなかったし。」
「そうねぇ、私の名前は三日月・K《カタルシス》ツェペシュよ。」
俺は彼女の名前を聞いた途端吹き出してしまった。
「か、カタルシス・ツェペシュ?ま、マジで?言ってる?」
「はぁ?私にケンカを売ってるのかしら?人間のくせに愚かな選択ね。」
「ごめん、ごめん。いやあまりにも痛い名前だったのでつい。」
「私は現代に生きる誇り高き吸血鬼の末裔よ。人間ごと機に馬鹿にされる覚えはないわ。これからは気を付けなさい。わかった?」
吸血鬼の彼女が穏やかではあるが、有無を言わさぬような口調で言ったので俺はこくんとうなずいた。
「それはいいとして、貧血で倒れたあなたの為にこれを買ってきたのよ。」
吸血鬼の彼女はスーパーのビニール袋をごそごそして中からパック詰めされたレバーを取り出した。
「ちょっと調べたんだけど人間って貧血になったらこれを食べるんでしょ?」
そしてレバーをドヤ顔で差し出してきた。
「はい、私に感謝して食べなさい。」
「それはありがたいんだけど、それってさ、焼いて食べるもんじゃないの?」
「え?そうなの?生で食べるものじゃないの?」
吸血鬼の彼女は値をまんまるにして聞き返してきた。どうやら本当に知らなかったようだ。
「でも私普段料理とかってしないから調理器具なんてないわよ。」
それもそのはずだ。彼女は吸血鬼なので料理をするっ必要がないのは当然である。
「まぁ、買ってきてくれてありがとう。帰ってからいただくよ。」
俺は吸血鬼の彼女が差しだしたパック詰めのレバーをカバンに詰めこむと忘れていたとても重要なことを思い出した。
「やば!仕事に行かなきゃ!」
俺はカバンから携帯電話を取り出して、上司に電話を掛けた。ちなみにその上司は人として屑みたいな人間で自分は平気で遅刻をするくせに部下が遅刻をすると罰則と言って大量の仕事を押し付けてくる。自分の分の仕事を俺たちに押し付けて自分は定時退社しているようなクソ人間だ。
「すいません、昨日の夜貧血で倒れてしまいまして、さっき目覚めました。今から病院を出てそっちに向かいます。」
まあ実際は病院になんていってはいないが、つじつまを合わせるために嘘をついた。貧血で倒れたのを救助されたのは本当のことであるし。
「は?貧血なんかで会社サボっていいと思ってんのか?とりあえず早く出社しろ!今日は帰れないと覚悟しておけ!」
死ねよクソ上司!と思いながら急いで吸血鬼の彼女の家を出た。
0
あなたにおすすめの小説
前世の記憶しかない元侯爵令嬢は、訳あり大公殿下のお気に入り。(注:期間限定)
miy
恋愛
(※長編なため、少しネタバレを含みます)
ある日目覚めたら、そこは見たことも聞いたこともない…異国でした。
ここは、どうやら転生後の人生。
私は大貴族の令嬢レティシア17歳…らしいのですが…全く記憶にございません。
有り難いことに言葉は理解できるし、読み書きも問題なし。
でも、見知らぬ世界で貴族生活?いやいや…私は平凡な日本人のようですよ?…無理です。
“前世の記憶”として目覚めた私は、現世の“レティシアの身体”で…静かな庶民生活を始める。
そんな私の前に、一人の貴族男性が現れた。
ちょっと?訳ありな彼が、私を…自分の『唯一の女性』であると誤解してしまったことから、庶民生活が一変してしまう。
高い身分の彼に関わってしまった私は、元いた国を飛び出して魔法の国で暮らすことになるのです。
大公殿下、大魔術師、聖女や神獣…等など…いろんな人との出会いを経て『レティシア』が自分らしく生きていく。
という、少々…長いお話です。
鈍感なレティシアが、大公殿下からの熱い眼差しに気付くのはいつなのでしょうか…?
※安定のご都合主義、独自の世界観です。お許し下さい。
※ストーリーの進度は遅めかと思われます。
※現在、不定期にて公開中です。よろしくお願い致します。
公開予定日を最新話に記載しておりますが、長期休載の場合はこちらでもお知らせをさせて頂きます。
※ド素人の書いた3作目です。まだまだ優しい目で見て頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。
※初公開から2年が過ぎました。少しでも良い作品に、読みやすく…と、時間があれば順次手直し(改稿)をしていく予定でおります。(現在、146話辺りまで手直し作業中)
※章の区切りを変更致しました。(9/22更新)
ブラック企業で倒れた私を、ネトゲ仲間の社長が強制保護して溺愛しています
紅 与一
恋愛
過労で倒れた私を救ったのは、
ネトゲ仲間――そしてIT企業の若き社長。
「もう君は、僕の管理下だよ」
退院と同時に退職手続きは完了。
住む場所も、生活も、すべて彼に囲われた。
外出制限、健康管理、過保護な独占欲。
甘くて危険な“保護生活”の中で、
私は少しずつ彼に心を奪われていく――。
元社畜OL×執着気味の溺愛社長
囲い込み同棲ラブストーリー。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
転生したら悪役令嬢になりかけてました!〜まだ5歳だからやり直せる!〜
具なっしー
恋愛
5歳のベアトリーチェは、苦いピーマンを食べて気絶した拍子に、
前世の記憶を取り戻す。
前世は日本の女子学生。
家でも学校でも「空気を読む」ことばかりで、誰にも本音を言えず、
息苦しい毎日を過ごしていた。
ただ、本を読んでいるときだけは心が自由になれた――。
転生したこの世界は、女性が希少で、男性しか魔法を使えない世界。
女性は「守られるだけの存在」とされ、社会の中で特別に甘やかされている。
だがそのせいで、女性たちはみな我儘で傲慢になり、
横暴さを誇るのが「普通」だった。
けれどベアトリーチェは違う。
前世で身につけた「空気を読む力」と、
本を愛する静かな心を持っていた。
そんな彼女には二人の婚約者がいる。
――父違いの、血を分けた兄たち。
彼らは溺愛どころではなく、
「彼女のためなら国を滅ぼしても構わない」とまで思っている危険な兄たちだった。
ベアトリーチェは戸惑いながらも、
この異世界で「ただ愛されるだけの人生」を歩んでいくことになる。
※表紙はAI画像です
お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
(本編完結)無表情の美形王子に婚約解消され、自由の身になりました! なのに、なんで、近づいてくるんですか?
水無月あん
恋愛
本編は完結してます。8/6より、番外編はじめました。よろしくお願いいたします。
私は、公爵令嬢のアリス。ピンク頭の女性を腕にぶら下げたルイス殿下に、婚約解消を告げられました。美形だけれど、無表情の婚約者が苦手だったので、婚約解消はありがたい! はれて自由の身になれて、うれしい! なのに、なぜ、近づいてくるんですか? 私に興味なかったですよね? 無表情すぎる、美形王子の本心は? こじらせ、ヤンデレ、執着っぽいものをつめた、ゆるゆるっとした設定です。お気軽に楽しんでいただければ、嬉しいです。
死に戻ったら、私だけ幼児化していた件について
えくれあ
恋愛
セラフィーナは6歳の時に王太子となるアルバートとの婚約が決まって以降、ずっと王家のために身を粉にして努力を続けてきたつもりだった。
しかしながら、いつしか悪女と呼ばれるようになり、18歳の時にアルバートから婚約解消を告げられてしまう。
その後、死を迎えたはずのセラフィーナは、目を覚ますと2年前に戻っていた。だが、周囲の人間はセラフィーナが死ぬ2年前の姿と相違ないのに、セラフィーナだけは同じ年齢だったはずのアルバートより10歳も幼い6歳の姿だった。
死を迎える前と同じこともあれば、年齢が異なるが故に違うこともある。
戸惑いを覚えながらも、死んでしまったためにできなかったことを今度こそ、とセラフィーナは心に誓うのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる