16 / 24
十六話
しおりを挟む
話の前に設定の追加です。前話に登場した三日月の紅い槍のことですが、血晶というもので、吸血鬼各々に独自の形状の血晶があります。
「やめろーーーー!」
俺は後ろから三日月の肩に飛び掛かった。しかしそれは手遅れで三日月を掴んだ俺の右手には返り血と思われる真っ赤な血が付着していた。
俺はその血を見て、先輩が死んでしまったと思たが、先輩は体を右に反らして間一髪で三日月の槍を急所からかわしていた。しかし、三日月の槍は先輩の左の二の腕に命中したようで先輩の二の腕はぱっくりと裂けていて大量に出血していた。先輩は右手で二の腕を抑えていが、血は止まるどころかドバドバと流れ出てくる。三日月にもその返り血がかかっていて、顔の一部が紅く染まっていた。
三日月は顔に付いた先輩の血をペロッと舐めた。そして何かを感じ取ったような表情になった。
「ん?この血って…ねぇあなた、あなた吸血鬼じゃないわね?」
その言葉に先輩がびくっと反応した。
「な、なんでそう思ったの?」
「あなた吸血鬼をなめているのかしら?吸血鬼なんて血を見れば大体のことが分かるわ。でも人間の味の様だけど、何か違うわ。ん?でもこの匂い…人間ではないわね。
あなたの正体は何?」
先輩は三日月の問いかけに答えずに、目を固く閉じ、歯をくいしばって自分の傷跡を抑えていた。少し見ただけだが、かなり大きな傷のように見えたし、かなり痛むのだろう。
「答えなさい!」
三日月は威嚇するように紅い槍をガンっと先輩の近くの床に刺した。
先輩はその音の大きさに驚いたのか目を開き、抑えていた手を離した。手が離されたことによって露わになった傷は先程のものとは異なっていた。それは俺の腕にある傷跡のようにふさがりかけているもので、俺の物と同様に治癒のスピードが明らかに早すぎる。
三日月もそれに気づいたようだ。
「私は星屑・L《リヴァイアサン》アンノウン。」
その名前は先輩がかつて会社で使っていたものとは別の物だった。会社で使っていたものは偽名でこちらが本名だろう。
「アンノウン?あまたあの名門家のアンノウン家の出身なの?そんなはずないわ。あの血の感じは名門家の吸血鬼のはずがないわ。」
「それはそうだと思う。私はあの家を破門になったのだから。」
「どういうことか教えてもらえるかしら?」
「わかった。あなたと後輩君に話すよ。」
先輩は深呼吸をしてからゆっくりと話し始めた。
「私は吸血鬼の名門家のアンノウン家に生まれた。しかし、私は当時のアンノウン家の当主、私の母親に当たる吸血鬼から血が穢れているという理由で破門された。実際あなたも私の血が吸血鬼じゃないと思ったんでしょ?」
「そうね。穢れているとは思わなかったけど、薄いとは思ったわね。あと、あなたの能力は奇形吸血鬼そのモノね。」
「三日月さん、奇形吸血鬼って?」
俺は三日月に尋ねた。
「奇形吸血鬼っていうのは生まれつき吸血鬼としての性質を兼ね備えていなかったり、力が異常に強かったり、あるいは弱かったりなんかで吸血鬼としては認められない吸血鬼の事よ。吸血鬼は人間と生殖の仕方が違うから奇形が生まれやすかったりするし、名門家になればなるほどそう言った存在は家の恥として存在を消そうとするし、殺されなかっただけ運が良かったといった方がいいかもしれないわ。」
俺は吸血鬼の社会の厳しさに驚いた。人間の社会ではこんなことはない。少なくとも奇形で生まれてきたからと言って殺されたりすることはない。建前上ではあるが、保護されるのが当たり前だ。いつか俺が吸血鬼の社会は気が楽で羨ましいと思った事を思い出した。あの時の三日月の気持ちが分かった気がした。
「でもね、あなたの治癒能力は異常よ。私はかなり強いほうの吸血鬼だけど、あなたのような治癒能力はないわ。見方によればその能力は才能だと思うわ。」
「でもね…」
先輩は暗い口調でさらに話し始めた。
「私は吸血鬼並みの力もないし、鋭い犬歯も持っていない。その代わりに人間の食事で生き延びることはできるけど…本当は血を飲みたい。でも犬歯がないからいつも諦めていたけど、後輩君だけは我慢できなかった。後輩君が入社してから自分の正体を知られずにどうやって後輩君を、襲おうかどうか考えていた。後輩君が会社を辞めてしまったのに今日後輩君を町で見つけて最後のチャンスだと思った。私は後輩君を家に連れ込んで眠剤を仕込んで眠らせたら、果物ナイフで後輩君の腕を切り付けて血を吸った。そして私の唾液を後輩君の傷口につけて止血をした。傷跡があるのに痛みを感じなかったのはその作用のせい。でも、まさか後輩君に吸血鬼がいるとは思わなかった。ごめんね、後輩君。それと後輩君の吸血鬼さん。」
三日月は何も言わずに先輩を見つめていた。
先輩が三日月のように不労所得を得ようとしないのは、一般的な吸血鬼並みの知能がないからです。一応先輩のスペックは一般的な人間<先輩<一般的な吸血鬼
という感じです。次回から下で設定の追加なんかを書くことがあるかもしれないのでご了承ください。
「やめろーーーー!」
俺は後ろから三日月の肩に飛び掛かった。しかしそれは手遅れで三日月を掴んだ俺の右手には返り血と思われる真っ赤な血が付着していた。
俺はその血を見て、先輩が死んでしまったと思たが、先輩は体を右に反らして間一髪で三日月の槍を急所からかわしていた。しかし、三日月の槍は先輩の左の二の腕に命中したようで先輩の二の腕はぱっくりと裂けていて大量に出血していた。先輩は右手で二の腕を抑えていが、血は止まるどころかドバドバと流れ出てくる。三日月にもその返り血がかかっていて、顔の一部が紅く染まっていた。
三日月は顔に付いた先輩の血をペロッと舐めた。そして何かを感じ取ったような表情になった。
「ん?この血って…ねぇあなた、あなた吸血鬼じゃないわね?」
その言葉に先輩がびくっと反応した。
「な、なんでそう思ったの?」
「あなた吸血鬼をなめているのかしら?吸血鬼なんて血を見れば大体のことが分かるわ。でも人間の味の様だけど、何か違うわ。ん?でもこの匂い…人間ではないわね。
あなたの正体は何?」
先輩は三日月の問いかけに答えずに、目を固く閉じ、歯をくいしばって自分の傷跡を抑えていた。少し見ただけだが、かなり大きな傷のように見えたし、かなり痛むのだろう。
「答えなさい!」
三日月は威嚇するように紅い槍をガンっと先輩の近くの床に刺した。
先輩はその音の大きさに驚いたのか目を開き、抑えていた手を離した。手が離されたことによって露わになった傷は先程のものとは異なっていた。それは俺の腕にある傷跡のようにふさがりかけているもので、俺の物と同様に治癒のスピードが明らかに早すぎる。
三日月もそれに気づいたようだ。
「私は星屑・L《リヴァイアサン》アンノウン。」
その名前は先輩がかつて会社で使っていたものとは別の物だった。会社で使っていたものは偽名でこちらが本名だろう。
「アンノウン?あまたあの名門家のアンノウン家の出身なの?そんなはずないわ。あの血の感じは名門家の吸血鬼のはずがないわ。」
「それはそうだと思う。私はあの家を破門になったのだから。」
「どういうことか教えてもらえるかしら?」
「わかった。あなたと後輩君に話すよ。」
先輩は深呼吸をしてからゆっくりと話し始めた。
「私は吸血鬼の名門家のアンノウン家に生まれた。しかし、私は当時のアンノウン家の当主、私の母親に当たる吸血鬼から血が穢れているという理由で破門された。実際あなたも私の血が吸血鬼じゃないと思ったんでしょ?」
「そうね。穢れているとは思わなかったけど、薄いとは思ったわね。あと、あなたの能力は奇形吸血鬼そのモノね。」
「三日月さん、奇形吸血鬼って?」
俺は三日月に尋ねた。
「奇形吸血鬼っていうのは生まれつき吸血鬼としての性質を兼ね備えていなかったり、力が異常に強かったり、あるいは弱かったりなんかで吸血鬼としては認められない吸血鬼の事よ。吸血鬼は人間と生殖の仕方が違うから奇形が生まれやすかったりするし、名門家になればなるほどそう言った存在は家の恥として存在を消そうとするし、殺されなかっただけ運が良かったといった方がいいかもしれないわ。」
俺は吸血鬼の社会の厳しさに驚いた。人間の社会ではこんなことはない。少なくとも奇形で生まれてきたからと言って殺されたりすることはない。建前上ではあるが、保護されるのが当たり前だ。いつか俺が吸血鬼の社会は気が楽で羨ましいと思った事を思い出した。あの時の三日月の気持ちが分かった気がした。
「でもね、あなたの治癒能力は異常よ。私はかなり強いほうの吸血鬼だけど、あなたのような治癒能力はないわ。見方によればその能力は才能だと思うわ。」
「でもね…」
先輩は暗い口調でさらに話し始めた。
「私は吸血鬼並みの力もないし、鋭い犬歯も持っていない。その代わりに人間の食事で生き延びることはできるけど…本当は血を飲みたい。でも犬歯がないからいつも諦めていたけど、後輩君だけは我慢できなかった。後輩君が入社してから自分の正体を知られずにどうやって後輩君を、襲おうかどうか考えていた。後輩君が会社を辞めてしまったのに今日後輩君を町で見つけて最後のチャンスだと思った。私は後輩君を家に連れ込んで眠剤を仕込んで眠らせたら、果物ナイフで後輩君の腕を切り付けて血を吸った。そして私の唾液を後輩君の傷口につけて止血をした。傷跡があるのに痛みを感じなかったのはその作用のせい。でも、まさか後輩君に吸血鬼がいるとは思わなかった。ごめんね、後輩君。それと後輩君の吸血鬼さん。」
三日月は何も言わずに先輩を見つめていた。
先輩が三日月のように不労所得を得ようとしないのは、一般的な吸血鬼並みの知能がないからです。一応先輩のスペックは一般的な人間<先輩<一般的な吸血鬼
という感じです。次回から下で設定の追加なんかを書くことがあるかもしれないのでご了承ください。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
前世の記憶しかない元侯爵令嬢は、訳あり大公殿下のお気に入り。(注:期間限定)
miy
恋愛
(※長編なため、少しネタバレを含みます)
ある日目覚めたら、そこは見たことも聞いたこともない…異国でした。
ここは、どうやら転生後の人生。
私は大貴族の令嬢レティシア17歳…らしいのですが…全く記憶にございません。
有り難いことに言葉は理解できるし、読み書きも問題なし。
でも、見知らぬ世界で貴族生活?いやいや…私は平凡な日本人のようですよ?…無理です。
“前世の記憶”として目覚めた私は、現世の“レティシアの身体”で…静かな庶民生活を始める。
そんな私の前に、一人の貴族男性が現れた。
ちょっと?訳ありな彼が、私を…自分の『唯一の女性』であると誤解してしまったことから、庶民生活が一変してしまう。
高い身分の彼に関わってしまった私は、元いた国を飛び出して魔法の国で暮らすことになるのです。
大公殿下、大魔術師、聖女や神獣…等など…いろんな人との出会いを経て『レティシア』が自分らしく生きていく。
という、少々…長いお話です。
鈍感なレティシアが、大公殿下からの熱い眼差しに気付くのはいつなのでしょうか…?
※安定のご都合主義、独自の世界観です。お許し下さい。
※ストーリーの進度は遅めかと思われます。
※現在、不定期にて公開中です。よろしくお願い致します。
公開予定日を最新話に記載しておりますが、長期休載の場合はこちらでもお知らせをさせて頂きます。
※ド素人の書いた3作目です。まだまだ優しい目で見て頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。
※初公開から2年が過ぎました。少しでも良い作品に、読みやすく…と、時間があれば順次手直し(改稿)をしていく予定でおります。(現在、146話辺りまで手直し作業中)
※章の区切りを変更致しました。(9/22更新)
お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
死に戻ったら、私だけ幼児化していた件について
えくれあ
恋愛
セラフィーナは6歳の時に王太子となるアルバートとの婚約が決まって以降、ずっと王家のために身を粉にして努力を続けてきたつもりだった。
しかしながら、いつしか悪女と呼ばれるようになり、18歳の時にアルバートから婚約解消を告げられてしまう。
その後、死を迎えたはずのセラフィーナは、目を覚ますと2年前に戻っていた。だが、周囲の人間はセラフィーナが死ぬ2年前の姿と相違ないのに、セラフィーナだけは同じ年齢だったはずのアルバートより10歳も幼い6歳の姿だった。
死を迎える前と同じこともあれば、年齢が異なるが故に違うこともある。
戸惑いを覚えながらも、死んでしまったためにできなかったことを今度こそ、とセラフィーナは心に誓うのだった。
3回目巻き戻り令嬢ですが、今回はなんだか様子がおかしい
エヌ
恋愛
婚約破棄されて、断罪されて、処刑される。を繰り返して人生3回目。
だけどこの3回目、なんだか様子がおかしい
一部残酷な表現がございますので苦手な方はご注意下さい。
わんこ系婚約者の大誤算
甘寧
恋愛
女にだらしないワンコ系婚約者と、そんな婚約者を傍で優しく見守る主人公のディアナ。
そんなある日…
「婚約破棄して他の男と婚約!?」
そんな噂が飛び交い、優男の婚約者が豹変。冷たい眼差しで愛する人を見つめ、嫉妬し執着する。
その姿にディアナはゾクゾクしながら頬を染める。
小型犬から猛犬へ矯正完了!?
裏の顔ありな推しとの婚約って!?
花車莉咲
恋愛
鉱業が盛んなペレス王国、ここはその国で貴族令嬢令息が通う学園であるジュエルート学園。
その学園に通うシエンナ・カーネリアラ伯爵令嬢は前世の記憶を持っている。
この世界は乙女ゲーム【恋の宝石箱~キラキラブラブ学園生活~】の世界であり自分はその世界のモブになっていると気付くが特に何もする気はなかった。
自分はゲームで名前も出てこないモブだし推しはいるが積極的に関わりたいとは思わない。
私の前世の推し、ルイス・パライバトラ侯爵令息は王国騎士団団長を父に持つ騎士候補生かつ第二王子の側近である。
彼は、脳筋だった。
頭で考える前に体が動くタイプで正義感が強くどんな物事にも真っ直ぐな性格。
というのは表向きの話。
実は彼は‥‥。
「グレース・エメラディア!!貴女との婚約を今ここで破棄させてもらう!」
この国の第二王子、ローガン・ペレス・ダイヤモルト様がそう叫んだ。
乙女ゲームの最終局面、断罪の時間。
しかし‥‥。
「これ以上は見過ごせません、ローガン殿下」
何故かゲームと違う展開に。
そして。
「シエンナ嬢、俺と婚約しませんか?」
乙女ゲームのストーリーにほぼ関与してないはずなのにどんどんストーリーから離れていく現実、特に何も目立った事はしてないはずなのに推しに婚約を申し込まれる。
(そこは断罪されなかった悪役令嬢とくっつく所では?何故、私?)
※前作【悪役令息(冤罪)が婿に来た】にて名前が出てきたペレス王国で何が起きていたのかを書いたスピンオフ作品です。
※不定期更新です。
ブラック企業で倒れた私を、ネトゲ仲間の社長が強制保護して溺愛しています
紅 与一
恋愛
過労で倒れた私を救ったのは、
ネトゲ仲間――そしてIT企業の若き社長。
「もう君は、僕の管理下だよ」
退院と同時に退職手続きは完了。
住む場所も、生活も、すべて彼に囲われた。
外出制限、健康管理、過保護な独占欲。
甘くて危険な“保護生活”の中で、
私は少しずつ彼に心を奪われていく――。
元社畜OL×執着気味の溺愛社長
囲い込み同棲ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる