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Ⅰ.最後の宴
リンゴ馬車の姫
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幾つかある城の出入り口の一番メインとなる玄関で、シャーロット姫一行の馬車を待っている。国境関所から連絡が来てから時間を計るとそろそろ見えてくる頃だろう。
カイセイやエセルも来ており、それぞれ違った緊張の色を浮かべていた。実のところ、俺もミッシェル姫と顔を合わせたら突然殴ってきたりしないだろうかと若干恐れている。
横から風に煽られると、俺は外套の襟を掴んでぐっと上まで絞った。
「さ、寒い……」
言わずにはいられない。カイセイから即時に注意を食らったが、そのカイセイだってくしゃみをしている。
「婚約者でなくなったからと言って、失礼な対応をされないように。いつもよりも丁寧、親切を心がけてくださいね」
「うるさい。鼻をずびずびさせながら上から物を言うな」
「あなたこそ、そのガタガタ震えるのをやめてくださいよ」
俺とカイセイとでやいやい言い合うのはいつものことだ。暇になるとよくこうなっているから兵士も知らん顔であった。
するとそこへ耳馴染みのあるラッパの音色が届いた。これが言い合いを仲裁し、俺もカイセイも瞬時に元のしゃんとした姿勢に向き直った。
玄関のある広間までは森林を断つように石の橋が続き、迂回を経てこの広間に繋がっている。ミッシェル姫一行は車や蹄の音をだんだん大きく鳴らしながらやって来て、ついに木々の壁から姿を現した。
またひとつラッパの音が鳴った。先頭の馬に乗る騎兵の者が吹いているのだ。クルンと金管を一周させた楽器からは、遠ければ懐かしく感じるが近いと耳が痛む高音が響く。
広場にやって来たのは艷やかな白髪をなびかせた上等の馬である。その馬に引かれた馬車は赤塗りで、金の飾りを端々まで盛りつけたものだ。それはとある果実にそっくりなので、俺は密かにリンゴ馬車と呼んでいる。
その主役のリンゴ馬車は俺達の目の間にぴったり止まった。側面は城が映る程ピカピカに磨かれており、緊張したエセルの顔まで映していた。ちなみに俺のことも映しており、知らずに丸まっていた背を再び伸ばし直す。
さあ、いよいよシャーロット姫が登場だ。とはならない。
一行の兵士も御者も、馬に乗ったまま動く気配を見せないのだ。何かトラブルか? と不安になってくる頃、御歳六十を超えたであろうシャーロットの執事がリンゴ馬車の奥側から出てきた。
二年ぶりの懐かしい顔は、何故か全然老けておらず声まで若々しく凛々しかった。
「シャーロット姫、ご到着でございます!」
執事の掛け声でまたラッパが吹き鳴らされた。どうであれ手で耳を塞いだりするのは無礼であるからしないにしても、相手の執事や兵士はよく平気な顔でいられるものだ。これもメルチ特産の茶のように、部外者にしか効かない音波でも浴びせているのだろうか。
激音の中、決まりの兵士がよく練習を積んだ動きをし、ようやくリンゴ馬車に手が掛けられる。特注のリンゴ馬車には両開き扉が付けられている。これを二人がかりで左右から同時に開かれた。
中にフリルのドレスを纏った姫が見えた。やや顔を伏せてあり、彼女はゆっくりと馬車から降りて我が国の地へ降り立った。
「メアネル・シャーロットです。お招きいただき感謝いたします」
シャーロットが現れたことで太陽も祝福しているようだ。雲間からの光がより照らされるような気がした。
シャーロットはリュンヒンからもお墨付きの美貌である。馬にしても馬車にしてもドレスにしても何にしてもよくよく金を掛けてあるし、大事に大事に育てられた可愛い国の宝のような姫だ。
シャーロットはてくてく歩いて俺の前に来た。あの便箋と同じ可憐な匂いをそこらじゅうに撒き散らしながらだ。姿勢にブレの無い綺麗なお辞儀をしてくれて、スッと顔を上げた。たっぷり伸ばした睫毛の下に潤んだ瞳がぶら下がっている。
「長い」
とりあえずシャーロット姫来城の時には、いつもお決まりの返しがあったので、今回もそれを伝えておいた。さらに二年ぶりであるし今回はおまけも付けた。
「相変わらず長過ぎる」
シャーロットは俺の事を見つめたままで、数回パチクリと瞬きをしている。
「えーっと、睫毛が?」
子猫のような愛嬌を見せつけ小首をかしげながら言った。俺はそんな色目に惑わされないではっきり答える。
「違う。出てくるまでの演出が長すぎて全員風邪を引きそうだと言っている」
そんな側から兵士のクシャミが広間に響く。
「あら……ごめんあそばせ」
シャーロットがその兵士にウインクを送り、兵士は分かりやすく顔を赤くしていた。そんな頼りない兵士に鼻を鳴らしていると、突然俺はシャーロットのフリルの中に埋められていた。
「ああ、バル様! わたくし、あなたにすごく会いたかったのよ!」
命からがらフリルの海から顔を出せると、俺が急にシャーロットに抱きつかれているのだと分かる。シャーロットの顔は他人同士と思えない程近い距離にあり、逃げる間もなく右の頬にキスをされていた。
「これ、お嬢様。お下品です。お止めなされ」
荷下ろしを始めている兵士や侍女の間から、目を三角にした執事が割って出てきた。シャーロットは俺を抱き締めたまま、執事に「ベー」と舌を出している。そしてすぐに俺の方に向き直り今度は左側の頬にキスをされた。
「ねえ、バル様いつぶりなの? わたくし、あなたに会えない日を毎日毎日数えて過ごしていましたわ」
「そ、それはご苦労で。とりあえず、は、離れて欲しい……」
言うと素直に開放された。しかしそっと自分の頬に触れてみると、シャーロットの赤々としたリップが指に着く。
「シャーロット様。お久しぶりでございます。おひとりで遠い旅路を申し訳ございません」
「あら良いのよカイセイ。こんな道のり大したこと無いわ。それにひとりの方が気楽なの」
「左様ですか。ではどうか短い期間ですが、ごゆるりとお過ごしください」
「ええ、そうさせてもらう。でもそれよりあなた、ちょっと痩せたんじゃなくて?」
俺が頬の赤いペトペトをどうにか袖で拭っている間に、シャーロットとカイセイで楽しい会話が繰り広げられている。
「そうだ、ご結婚されたのでしょう。お相手は来ていないの?」
この話題が出て、俺は頬を力いっぱいゴシゴシ拭いた。
エセルは柱の影にポツンと佇んでいた。名を呼んで手招きをすると、キョロキョロしながら遠慮がちにやって来る。シャーロットの前に出されたエセルは、石ころのように小さくなっていた。
「俺の妻だ。名前はエセル」
「こちらの方が? ……はあ」
小さなエセルを見下ろすシャーロットは、目をパチクリさせながら戸惑っているようだ。エセルのつま先から目の色までをじっくり見て、その後何やら考え込んでしまった。
やがて俺のことを振り返った。
「あなた、世話係と結婚されたの? どこかの姫だと聞いていたけど……」
「世話係ではない。正真正銘の姫だ」
「本当に?」
シャーロットは熱心にエセルの正体を見破ろうとしていた。ドレスの生地を指の腹で確かめたり、髪の匂いを嗅いだり、口の中まで見せろと要求する。
「何故そこまでエセルのことを探ろうとする」
口の中を覗いているシャーロットがこちらに目を向けた。
「何故って、あなたの正妻とわたくし、どちらが勝てるか見定めているのよ」
何でもない顔で当然のことだと主張し、今度はエセルに四つん這いになれと命じていた。
地に膝を着こうとするエセルの腕を、俺は掴んで止めた。
「なんでもホイホイ聞かなくて良い」
これはエセルに向けて言う。エセルの純粋な目が見上げられるだけで、嫌な顔ひとつしていないのもどうかと思うが。
「シャーロット。あまりこいつに変なことをさせないでくれ」
「あらどうして? 嫌なら彼女から断ればいいじゃないの」
女の戦いというやつに、すでに先手を出しているシャーロットは態度を変えずに言っていた。これでは俺から何を伝えても手を引いてくれそうにない。
「こいつはお前と違って心が優しいんだ」
一方的に腕を掴んでいた手だったが、一度離して繋ぎ直した。エセルのことは引っ張るようにし、広間にシャーロットを残して俺は城内へ身を押し込んだ。これでシャーロットが争いは無意味だと分かってくれると良いのだが。
長時間外に居たせいで俺の手は十分冷たくなっていたはずだが、握っているものの方がもっと氷のようである。
まさか二年前に婚約破棄した姫が今もなお恋心を持ったままで、しかも正妻に敵意を抱いているなど思いもしなかった。
カイセイやエセルも来ており、それぞれ違った緊張の色を浮かべていた。実のところ、俺もミッシェル姫と顔を合わせたら突然殴ってきたりしないだろうかと若干恐れている。
横から風に煽られると、俺は外套の襟を掴んでぐっと上まで絞った。
「さ、寒い……」
言わずにはいられない。カイセイから即時に注意を食らったが、そのカイセイだってくしゃみをしている。
「婚約者でなくなったからと言って、失礼な対応をされないように。いつもよりも丁寧、親切を心がけてくださいね」
「うるさい。鼻をずびずびさせながら上から物を言うな」
「あなたこそ、そのガタガタ震えるのをやめてくださいよ」
俺とカイセイとでやいやい言い合うのはいつものことだ。暇になるとよくこうなっているから兵士も知らん顔であった。
するとそこへ耳馴染みのあるラッパの音色が届いた。これが言い合いを仲裁し、俺もカイセイも瞬時に元のしゃんとした姿勢に向き直った。
玄関のある広間までは森林を断つように石の橋が続き、迂回を経てこの広間に繋がっている。ミッシェル姫一行は車や蹄の音をだんだん大きく鳴らしながらやって来て、ついに木々の壁から姿を現した。
またひとつラッパの音が鳴った。先頭の馬に乗る騎兵の者が吹いているのだ。クルンと金管を一周させた楽器からは、遠ければ懐かしく感じるが近いと耳が痛む高音が響く。
広場にやって来たのは艷やかな白髪をなびかせた上等の馬である。その馬に引かれた馬車は赤塗りで、金の飾りを端々まで盛りつけたものだ。それはとある果実にそっくりなので、俺は密かにリンゴ馬車と呼んでいる。
その主役のリンゴ馬車は俺達の目の間にぴったり止まった。側面は城が映る程ピカピカに磨かれており、緊張したエセルの顔まで映していた。ちなみに俺のことも映しており、知らずに丸まっていた背を再び伸ばし直す。
さあ、いよいよシャーロット姫が登場だ。とはならない。
一行の兵士も御者も、馬に乗ったまま動く気配を見せないのだ。何かトラブルか? と不安になってくる頃、御歳六十を超えたであろうシャーロットの執事がリンゴ馬車の奥側から出てきた。
二年ぶりの懐かしい顔は、何故か全然老けておらず声まで若々しく凛々しかった。
「シャーロット姫、ご到着でございます!」
執事の掛け声でまたラッパが吹き鳴らされた。どうであれ手で耳を塞いだりするのは無礼であるからしないにしても、相手の執事や兵士はよく平気な顔でいられるものだ。これもメルチ特産の茶のように、部外者にしか効かない音波でも浴びせているのだろうか。
激音の中、決まりの兵士がよく練習を積んだ動きをし、ようやくリンゴ馬車に手が掛けられる。特注のリンゴ馬車には両開き扉が付けられている。これを二人がかりで左右から同時に開かれた。
中にフリルのドレスを纏った姫が見えた。やや顔を伏せてあり、彼女はゆっくりと馬車から降りて我が国の地へ降り立った。
「メアネル・シャーロットです。お招きいただき感謝いたします」
シャーロットが現れたことで太陽も祝福しているようだ。雲間からの光がより照らされるような気がした。
シャーロットはリュンヒンからもお墨付きの美貌である。馬にしても馬車にしてもドレスにしても何にしてもよくよく金を掛けてあるし、大事に大事に育てられた可愛い国の宝のような姫だ。
シャーロットはてくてく歩いて俺の前に来た。あの便箋と同じ可憐な匂いをそこらじゅうに撒き散らしながらだ。姿勢にブレの無い綺麗なお辞儀をしてくれて、スッと顔を上げた。たっぷり伸ばした睫毛の下に潤んだ瞳がぶら下がっている。
「長い」
とりあえずシャーロット姫来城の時には、いつもお決まりの返しがあったので、今回もそれを伝えておいた。さらに二年ぶりであるし今回はおまけも付けた。
「相変わらず長過ぎる」
シャーロットは俺の事を見つめたままで、数回パチクリと瞬きをしている。
「えーっと、睫毛が?」
子猫のような愛嬌を見せつけ小首をかしげながら言った。俺はそんな色目に惑わされないではっきり答える。
「違う。出てくるまでの演出が長すぎて全員風邪を引きそうだと言っている」
そんな側から兵士のクシャミが広間に響く。
「あら……ごめんあそばせ」
シャーロットがその兵士にウインクを送り、兵士は分かりやすく顔を赤くしていた。そんな頼りない兵士に鼻を鳴らしていると、突然俺はシャーロットのフリルの中に埋められていた。
「ああ、バル様! わたくし、あなたにすごく会いたかったのよ!」
命からがらフリルの海から顔を出せると、俺が急にシャーロットに抱きつかれているのだと分かる。シャーロットの顔は他人同士と思えない程近い距離にあり、逃げる間もなく右の頬にキスをされていた。
「これ、お嬢様。お下品です。お止めなされ」
荷下ろしを始めている兵士や侍女の間から、目を三角にした執事が割って出てきた。シャーロットは俺を抱き締めたまま、執事に「ベー」と舌を出している。そしてすぐに俺の方に向き直り今度は左側の頬にキスをされた。
「ねえ、バル様いつぶりなの? わたくし、あなたに会えない日を毎日毎日数えて過ごしていましたわ」
「そ、それはご苦労で。とりあえず、は、離れて欲しい……」
言うと素直に開放された。しかしそっと自分の頬に触れてみると、シャーロットの赤々としたリップが指に着く。
「シャーロット様。お久しぶりでございます。おひとりで遠い旅路を申し訳ございません」
「あら良いのよカイセイ。こんな道のり大したこと無いわ。それにひとりの方が気楽なの」
「左様ですか。ではどうか短い期間ですが、ごゆるりとお過ごしください」
「ええ、そうさせてもらう。でもそれよりあなた、ちょっと痩せたんじゃなくて?」
俺が頬の赤いペトペトをどうにか袖で拭っている間に、シャーロットとカイセイで楽しい会話が繰り広げられている。
「そうだ、ご結婚されたのでしょう。お相手は来ていないの?」
この話題が出て、俺は頬を力いっぱいゴシゴシ拭いた。
エセルは柱の影にポツンと佇んでいた。名を呼んで手招きをすると、キョロキョロしながら遠慮がちにやって来る。シャーロットの前に出されたエセルは、石ころのように小さくなっていた。
「俺の妻だ。名前はエセル」
「こちらの方が? ……はあ」
小さなエセルを見下ろすシャーロットは、目をパチクリさせながら戸惑っているようだ。エセルのつま先から目の色までをじっくり見て、その後何やら考え込んでしまった。
やがて俺のことを振り返った。
「あなた、世話係と結婚されたの? どこかの姫だと聞いていたけど……」
「世話係ではない。正真正銘の姫だ」
「本当に?」
シャーロットは熱心にエセルの正体を見破ろうとしていた。ドレスの生地を指の腹で確かめたり、髪の匂いを嗅いだり、口の中まで見せろと要求する。
「何故そこまでエセルのことを探ろうとする」
口の中を覗いているシャーロットがこちらに目を向けた。
「何故って、あなたの正妻とわたくし、どちらが勝てるか見定めているのよ」
何でもない顔で当然のことだと主張し、今度はエセルに四つん這いになれと命じていた。
地に膝を着こうとするエセルの腕を、俺は掴んで止めた。
「なんでもホイホイ聞かなくて良い」
これはエセルに向けて言う。エセルの純粋な目が見上げられるだけで、嫌な顔ひとつしていないのもどうかと思うが。
「シャーロット。あまりこいつに変なことをさせないでくれ」
「あらどうして? 嫌なら彼女から断ればいいじゃないの」
女の戦いというやつに、すでに先手を出しているシャーロットは態度を変えずに言っていた。これでは俺から何を伝えても手を引いてくれそうにない。
「こいつはお前と違って心が優しいんだ」
一方的に腕を掴んでいた手だったが、一度離して繋ぎ直した。エセルのことは引っ張るようにし、広間にシャーロットを残して俺は城内へ身を押し込んだ。これでシャーロットが争いは無意味だと分かってくれると良いのだが。
長時間外に居たせいで俺の手は十分冷たくなっていたはずだが、握っているものの方がもっと氷のようである。
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