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Ⅱ.籠れぬ冬
元婚約者の涙
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街中に位置する大豪邸に到着した。
庭の広い一軒家の前に馬車が停車したことをカイセイが不審がっている。しかしここがニューリアン当主メアネル家の御殿で間違いない。
「ニューリアンには城が無い。戦をしない国だからな」
説明をしておき俺は開いたドアから外に出た。
後に続いてカイセイも出る。すると突然、我々を囲んで大演奏が始まった。
この家独特の作法があり、馬車の出迎えはとにかく派手でなのである。
楽器隊や踊り子を雇って盛大に盛り上げ、メアネル家族や召使いまで全員が庭に出て我々の到着を歓迎してくれるのだ。
「な、なんですかこれは!?」
「いつものことだ」
クールな側近が珍しく動揺しており、俺の方は平気であった。
俺はこの馬車が豪邸の敷地に入った時に、小窓から彼らを目撃していた。そしてまざまざと思い出していた。
俺はこの手厚い歓迎が苦手だったから、この国とは距離を取っていたということを。
色々なことがありシャーロットとの婚約破棄に至ったわけであるが、このアウェイ感を感じずに済むというところで一番ホッとした当時の気持ちも苦く思い出した。
「さっさと中に入ろう」
芝生の上に敷かれたレッドカーペットを踏みしめながら、いつかの頃と同じアウェイ感を抱いている。
扉の前にはドレスを着たシャーロットが美しく控えていた。庭の方からスポットライトが当てられているようで、ゲストよりも主役のようであった。
シャーロットの目の前にやってくると音楽は急に切り上げられて止んだ。
「メアネル・マルク王の御息女、シャーロット姫であらせられる!」
そしてどこからか丁寧な紹介の声が飛んだ。
シャーロットは穏やかな微笑みを向けたまま、俺やカイセイに深く礼をする。
「ようこそお越し下さいました。ごゆるりと旅の疲れを癒やしてくださいませ」
まさに初見の男であったなら、彼女の美貌やしおらしさに惚れ込むのだろうな。ただ俺には仰々しいとしか思えないが。
「……そっちが来いと言ったんだろう」
そう小さく言ってやるとシャーロットは少し顔を上げ、俺たちにだけ見える位置でわずかに舌を出してはにかんだ。
「さあ、こちらへどうぞ。足元にお気をつけて」
ここからはシャーロットが部屋まで案内してくれるようだ。俺とカイセイは彼女の後に続いた。
この豪邸は外観では立派であるものの、木造建築の内部にはわりと年季が入っている。床の木板は歩くと少し軋むし、金属製の金具はよく錆びているのである。
その昔は学舎として使われていたのだと、もうかなり前にシャーロットから説明をされた。
部屋数が多いのは城と変わりないが、間取りであったり扉の建付けなどはやはり微妙に違っている。
飾り気のない廊下を行くと階段になる。ギシギシ言わせながら階段を上がり、踊り場の辺りでシャーロットは仰々しくするのを急にやめた。
「どう? 久しぶりの我が家は!」
振り返って子供のような満面の笑みを向けられた。
どう? と聞かれても大した感想などはないのであるが。
「それよりあの歓迎団はやめさせてもらえないのか」
「無理よ。お父様は習わしを破らない方だもの」
シャーロットは言いながら器用に後ろ向きで階段を上がっていく。
「庭には王や妹らがいなかったようだが?」
「ええ、ちょっと大事な用があって」
「家族全員でか?」
「そうよ。でも後で会えると思うわ」
この時は、ふーんと思うだけで終わった。シャーロットの方も特に気に病んでいるような素振りもなかったからだ。
帰るまでに挨拶できれば良いだろうと軽く考えていた。
案内された部屋に入ると、すでに我々の荷物が置かれている。
「……抜かりない」
俺ではなくカイセイが口にした。
全員総出で馬車を出迎えてくれた上に、隠しルートでも通ってか最速で荷物を上階へ運ぶ。何もそこまでしなくてもと俺は思っているのだが、まあ感動する奴は感動するのだろう。
「後でまた来るわね」
シャーロットは姿を消した。予定は全てあちらに委ねてあるので、何か準備でもあるのかもしれない。
とりあえず俺はコートハンガーに外套をかけ、ぼうぼうと火がつく暖炉の前に手のひらを向けた。やはりこの季節、寝泊まりするところはこうあって欲しい。
屋内の暖かさにホッとしていると、シャーロットが部屋に戻ってきた。
ちなみにこの国では女性が男性の部屋に入るのは特に問題が無いとされている。なのでノックをしたあと平然と入ってきた。
「洗濯するものを受け取るわ。あと夕食は何時が良い? もうお腹は空いている? あ、あと靴も磨いておくわね。出しておいて」
テキパキと動き回られ、やけに気が利くような振る舞いをされている。
そのためシャーロットは、こちらに話しかけているかと思えば部屋から消え、居なくなったと思っていたらすぐに帰ってきた。
手厚い接客のようだがゼンマイ人形のようでこれはこれで少し面白い。
「えらく張り切っているようだな。元気そうで何よりだ」
俺が薄笑いで言うと、シャーロットは衣服の入ったカゴを抱えたままピタリとその場に静止した。
じっと俺のことを見つめてくるから「怒ったのか?」と追加で聞く。
しかしシャーロットは頬や鼻をみるみる赤くし、ついには長いまつげの瞳から涙がポロポロと落とすのであった。
「おいおい何も泣くことじゃ……」
次の瞬間にはシャーロットが俺の方へ飛びかかって抱きついてくる。衣服のカゴはその辺に放り投げられ、無惨にも中身はばら撒かれた。
俺は困ってカイセイを見上げたが、カイセイの方とてどうしたら良いのか分からんようだ。小刻みに首を振られた。
シャーロットは俺の衣服をびしゃびしゃに濡らしながらわんわん泣いていた。
しばらく泣き続けると、シャーロットがようやく俺から顔を離してくれる。鼻水の糸を繋げながら俺を見上げる顔はぐしゃぐしゃであった。
すかさずカイセイがハンカチをシャーロットに手渡した。
「お、お鼻を」
「ありがど」
シャーロットはハンカチを受け取り、力いっぱい鼻をかんでいる。
「お前の執事や父が見たら発狂するぞ」
これではいくら美女の家系であったとしても台無しにも程があるだろうと思った。
俺が面白くて少し笑っていると、シャーロットはまた目に涙を溜めだして唇を震わせた。
「し、しん……しんぱいしだんだからあ」
滝のように流れる涙と鼻水とともに、またわんわんと泣き出す。
彼女の涙の訳が分かれば、からかっている場合では無い。そっと頭くらいは撫でてやる。
「心配かけて悪かった。でもちゃんと生きて戻った」
「本当よ! あれからひとつも連絡をよこさないで! わたくしがどれほどあなたのことを心配していたか! この身が引き裂かれるような思いだったんだからね!」
「す、すまん」
その後も俺は何度も謝っていた。
落ち着きを取り戻したシャーロットは、鼻を真っ赤にしたままで俺たちに言う。
「ネザリアでは何があったの? 新聞にあなたの名前がちっとも出てこないから、とっても気にしていたのよ。今ここで全部話してちょうだい!」
潤った瞳が俺のことをもう逃さないと言っているようであった。
望みどおりに俺とカイセイとで補いながら、ネザリアでのことを全て打ち明けた。
カイリュを落としたことやエセルを連れ帰ったこともそうだが、メルチのリュンヒンが陰謀を図ったことと、それに付随してメルチの王権についての話も伝えた。
交戦の話は真剣に聞き入れていたシャーロットであるが、メルチの話に入ると信じられないというような顔つきになっていた。
「あなたのご友人ってかなりのやり手じゃないの」
「あそこは長い歴史のある国だ。ちょっとやそっとの事じゃ屈したりしないだろう。ピンチをチャンスに変える術をたくさん持っているのだ!」
隣国のことを俺は自分のことのように堂々と胸を張って言った。
「あなたの功績では無いでしょう。結果的にメルチ王国に救われただけじゃない」
冷静にシャーロットは言ってくる。
反論の言葉が見つからずに「そうかもしれん」と俺は言うしかなかった。
ようやく安心できてかシャーロットは息を吐いて脱力した。
「でも良かった。これで婚姻も無しになったのよね」
明るい声色でそのように溢して言う。
実は俺とカイセイは、エセルを城に連れて帰ったことだけは上手く誤魔化して伝えなかったのである。なので一瞬にして顔が引きつっている。
シャーロットは両手で俺の手を握った。暖かい手に強い力が込められているのを感じる。
「レイヴン・バル」
顔を見上げながらフルネームを呼ぶ。
「お願い。わたくしと結婚して頂けないかしら。こっちの事情が変わったの。今度はこのニューリアンを助けると思ってお願いよ」
ここまでシャーロットが懇願してくる姿は稀に見ない。
だからと言って情に負けて許すというのも有り得ない話である。
俺は当然断り文句を口に出そうとした。いや、もう最初の一言目は口から出たのだった。だがシャーロットが上からかぶせてきて掻き消した。
「ちなみに『はい』と言うまで国へは帰れないわよ」
……やはりそうだろうな。
俺の元婚約者は俺の知る限り誰よりも気が強い。
庭の広い一軒家の前に馬車が停車したことをカイセイが不審がっている。しかしここがニューリアン当主メアネル家の御殿で間違いない。
「ニューリアンには城が無い。戦をしない国だからな」
説明をしておき俺は開いたドアから外に出た。
後に続いてカイセイも出る。すると突然、我々を囲んで大演奏が始まった。
この家独特の作法があり、馬車の出迎えはとにかく派手でなのである。
楽器隊や踊り子を雇って盛大に盛り上げ、メアネル家族や召使いまで全員が庭に出て我々の到着を歓迎してくれるのだ。
「な、なんですかこれは!?」
「いつものことだ」
クールな側近が珍しく動揺しており、俺の方は平気であった。
俺はこの馬車が豪邸の敷地に入った時に、小窓から彼らを目撃していた。そしてまざまざと思い出していた。
俺はこの手厚い歓迎が苦手だったから、この国とは距離を取っていたということを。
色々なことがありシャーロットとの婚約破棄に至ったわけであるが、このアウェイ感を感じずに済むというところで一番ホッとした当時の気持ちも苦く思い出した。
「さっさと中に入ろう」
芝生の上に敷かれたレッドカーペットを踏みしめながら、いつかの頃と同じアウェイ感を抱いている。
扉の前にはドレスを着たシャーロットが美しく控えていた。庭の方からスポットライトが当てられているようで、ゲストよりも主役のようであった。
シャーロットの目の前にやってくると音楽は急に切り上げられて止んだ。
「メアネル・マルク王の御息女、シャーロット姫であらせられる!」
そしてどこからか丁寧な紹介の声が飛んだ。
シャーロットは穏やかな微笑みを向けたまま、俺やカイセイに深く礼をする。
「ようこそお越し下さいました。ごゆるりと旅の疲れを癒やしてくださいませ」
まさに初見の男であったなら、彼女の美貌やしおらしさに惚れ込むのだろうな。ただ俺には仰々しいとしか思えないが。
「……そっちが来いと言ったんだろう」
そう小さく言ってやるとシャーロットは少し顔を上げ、俺たちにだけ見える位置でわずかに舌を出してはにかんだ。
「さあ、こちらへどうぞ。足元にお気をつけて」
ここからはシャーロットが部屋まで案内してくれるようだ。俺とカイセイは彼女の後に続いた。
この豪邸は外観では立派であるものの、木造建築の内部にはわりと年季が入っている。床の木板は歩くと少し軋むし、金属製の金具はよく錆びているのである。
その昔は学舎として使われていたのだと、もうかなり前にシャーロットから説明をされた。
部屋数が多いのは城と変わりないが、間取りであったり扉の建付けなどはやはり微妙に違っている。
飾り気のない廊下を行くと階段になる。ギシギシ言わせながら階段を上がり、踊り場の辺りでシャーロットは仰々しくするのを急にやめた。
「どう? 久しぶりの我が家は!」
振り返って子供のような満面の笑みを向けられた。
どう? と聞かれても大した感想などはないのであるが。
「それよりあの歓迎団はやめさせてもらえないのか」
「無理よ。お父様は習わしを破らない方だもの」
シャーロットは言いながら器用に後ろ向きで階段を上がっていく。
「庭には王や妹らがいなかったようだが?」
「ええ、ちょっと大事な用があって」
「家族全員でか?」
「そうよ。でも後で会えると思うわ」
この時は、ふーんと思うだけで終わった。シャーロットの方も特に気に病んでいるような素振りもなかったからだ。
帰るまでに挨拶できれば良いだろうと軽く考えていた。
案内された部屋に入ると、すでに我々の荷物が置かれている。
「……抜かりない」
俺ではなくカイセイが口にした。
全員総出で馬車を出迎えてくれた上に、隠しルートでも通ってか最速で荷物を上階へ運ぶ。何もそこまでしなくてもと俺は思っているのだが、まあ感動する奴は感動するのだろう。
「後でまた来るわね」
シャーロットは姿を消した。予定は全てあちらに委ねてあるので、何か準備でもあるのかもしれない。
とりあえず俺はコートハンガーに外套をかけ、ぼうぼうと火がつく暖炉の前に手のひらを向けた。やはりこの季節、寝泊まりするところはこうあって欲しい。
屋内の暖かさにホッとしていると、シャーロットが部屋に戻ってきた。
ちなみにこの国では女性が男性の部屋に入るのは特に問題が無いとされている。なのでノックをしたあと平然と入ってきた。
「洗濯するものを受け取るわ。あと夕食は何時が良い? もうお腹は空いている? あ、あと靴も磨いておくわね。出しておいて」
テキパキと動き回られ、やけに気が利くような振る舞いをされている。
そのためシャーロットは、こちらに話しかけているかと思えば部屋から消え、居なくなったと思っていたらすぐに帰ってきた。
手厚い接客のようだがゼンマイ人形のようでこれはこれで少し面白い。
「えらく張り切っているようだな。元気そうで何よりだ」
俺が薄笑いで言うと、シャーロットは衣服の入ったカゴを抱えたままピタリとその場に静止した。
じっと俺のことを見つめてくるから「怒ったのか?」と追加で聞く。
しかしシャーロットは頬や鼻をみるみる赤くし、ついには長いまつげの瞳から涙がポロポロと落とすのであった。
「おいおい何も泣くことじゃ……」
次の瞬間にはシャーロットが俺の方へ飛びかかって抱きついてくる。衣服のカゴはその辺に放り投げられ、無惨にも中身はばら撒かれた。
俺は困ってカイセイを見上げたが、カイセイの方とてどうしたら良いのか分からんようだ。小刻みに首を振られた。
シャーロットは俺の衣服をびしゃびしゃに濡らしながらわんわん泣いていた。
しばらく泣き続けると、シャーロットがようやく俺から顔を離してくれる。鼻水の糸を繋げながら俺を見上げる顔はぐしゃぐしゃであった。
すかさずカイセイがハンカチをシャーロットに手渡した。
「お、お鼻を」
「ありがど」
シャーロットはハンカチを受け取り、力いっぱい鼻をかんでいる。
「お前の執事や父が見たら発狂するぞ」
これではいくら美女の家系であったとしても台無しにも程があるだろうと思った。
俺が面白くて少し笑っていると、シャーロットはまた目に涙を溜めだして唇を震わせた。
「し、しん……しんぱいしだんだからあ」
滝のように流れる涙と鼻水とともに、またわんわんと泣き出す。
彼女の涙の訳が分かれば、からかっている場合では無い。そっと頭くらいは撫でてやる。
「心配かけて悪かった。でもちゃんと生きて戻った」
「本当よ! あれからひとつも連絡をよこさないで! わたくしがどれほどあなたのことを心配していたか! この身が引き裂かれるような思いだったんだからね!」
「す、すまん」
その後も俺は何度も謝っていた。
落ち着きを取り戻したシャーロットは、鼻を真っ赤にしたままで俺たちに言う。
「ネザリアでは何があったの? 新聞にあなたの名前がちっとも出てこないから、とっても気にしていたのよ。今ここで全部話してちょうだい!」
潤った瞳が俺のことをもう逃さないと言っているようであった。
望みどおりに俺とカイセイとで補いながら、ネザリアでのことを全て打ち明けた。
カイリュを落としたことやエセルを連れ帰ったこともそうだが、メルチのリュンヒンが陰謀を図ったことと、それに付随してメルチの王権についての話も伝えた。
交戦の話は真剣に聞き入れていたシャーロットであるが、メルチの話に入ると信じられないというような顔つきになっていた。
「あなたのご友人ってかなりのやり手じゃないの」
「あそこは長い歴史のある国だ。ちょっとやそっとの事じゃ屈したりしないだろう。ピンチをチャンスに変える術をたくさん持っているのだ!」
隣国のことを俺は自分のことのように堂々と胸を張って言った。
「あなたの功績では無いでしょう。結果的にメルチ王国に救われただけじゃない」
冷静にシャーロットは言ってくる。
反論の言葉が見つからずに「そうかもしれん」と俺は言うしかなかった。
ようやく安心できてかシャーロットは息を吐いて脱力した。
「でも良かった。これで婚姻も無しになったのよね」
明るい声色でそのように溢して言う。
実は俺とカイセイは、エセルを城に連れて帰ったことだけは上手く誤魔化して伝えなかったのである。なので一瞬にして顔が引きつっている。
シャーロットは両手で俺の手を握った。暖かい手に強い力が込められているのを感じる。
「レイヴン・バル」
顔を見上げながらフルネームを呼ぶ。
「お願い。わたくしと結婚して頂けないかしら。こっちの事情が変わったの。今度はこのニューリアンを助けると思ってお願いよ」
ここまでシャーロットが懇願してくる姿は稀に見ない。
だからと言って情に負けて許すというのも有り得ない話である。
俺は当然断り文句を口に出そうとした。いや、もう最初の一言目は口から出たのだった。だがシャーロットが上からかぶせてきて掻き消した。
「ちなみに『はい』と言うまで国へは帰れないわよ」
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