110 / 172
Ⅱ.王位継承者
旧ネザリアへ‐大雨の関所‐
しおりを挟む
メルチとの国境に位置する西部域。
長らく我が国との覇権争いが続いていたが、俺の方が折れてメルチに明け渡すことにより解決した場所だ。
リュンヒンは何を考えているのか、店も民家も立てずにいつまでも原っぱのままで放置しているらしい。
農民に借りた馬は神経質で、この原っぱを行くのを嫌がっている。
何がそんなに嫌なのかと足元を見てみると、紛れて壊れた武具の破片や食事の際の投棄物が草に紛れて光っていたのだ。
「文句ならあっちの王に言ってくれ」
俺は馬の背中を撫でて落ち着かせる。
そして、少し遠回りでも馬が走れる道を選んでメルチ関所門まで進んでいく。
強い雨のせいで白む視界である。二本の高い塔と巨大な鉄柵の影が見えだした。
俺はよく通る道であるから、あれがメルチの関所だと分かっていた。
しかしこんな日に見るあれは悪魔の城のようでおぞましかった。
鉄柵は閉まっており、業者の荷馬車が止まっている。
「おお、バル様」
「よう」
門番は馴染みのある兵士だ。俺のことに気付くと軽く敬礼をしたのち柔らかな笑顔を向けている。
馬ごと塔の屋根に滑り込んで俺はこの酷い雨を改めて眺めた。
夜かと思うほど暗い空であり、空から地面まで灰色一色だった。
「ずいぶんお急ぎですね」
「ああ。すぐにネザリアへ行かねばならん」
そう告げると門番は「そうですか」と辛そうな声で言った。
「残念ですが、本日はどなたも入れるなとのことでして……」
「何でだ。何かあったのか?」
雨水を拭う手を止めずに俺は門番をちらっと見る。
だが、ふと視界に入った奥側の方に目が行く。荷馬車の業者と門番兵士が何か揉めているようだった。
急いだせいで荒くなった呼吸と、地面を削るような雨音がうるさく響いていた。
門番は周りに目を配ると、俺の耳元に顔を寄せて告げる。
「本日はベンブルクとの一戦が行われます」
門番はそれを早口で伝えたら、再び前を向き直って見張り業務に戻った。
雨の勢いが弱まると向こうの揉め事の声が聞こえてくる。
「いつもどおりの出荷時間なんだぞ。入れられないなら理由くらい言いやがれ!」
そのように業者の者は喚き散らしていた。
「……そうか。困った」
こんな雨の上にメルチに渡れないとなるとネザリアへの道は絶たれたようなもの。
また出直すしか無いかと諦めていた時、他にもメルチへ入りたがる者が馬に乗ってやって来た。
その影を眺めながら雨がおさまるのを待っている。
茶色い馬だと見えるほど近くにやって来ると、それは二人乗り来たのだと分かった。
「師匠は船から行けば早いですと仰っていました。関所を通らない港への秘密の抜け道も聞いてきましたしバッチリです」
師匠と呼ぶ男。知っている声だと思うとアルバートである。
「お前、追いかけて来たのか」
手綱を握るのは城の兵士で、後ろに乗るのがアルバートだ。
雨に濡れて男前が増しているのはどうでも良く、俺はヤツに何も期待していなかっただけに驚いたのだ。
アルバートが馬から降りると靴裏でピシャリと水を跳ねさせている。
「行きましょう!」
「行こうと言われても……」
俺はすぐ隣の門番をチラッと見た。
門番は今の話を全て聞いていたと咳払いを二回鳴らした。
だがその次には「ご武運を」と頬を掻きながら言うのであった。
アルバートと俺を乗せた馬が走り出しても止めることをせずに、門番はただ見張り業務を続けていた。
「なぜ関所が通れないことを知っていたんだ?」
「ちょうどすれ違いで連絡が届いたんです。でも師匠は、この雨なのでどうなるだろうとは言ってましたけど」
海岸沿いは風も強まり海が荒れている。
たしかに戦いは休戦になるかもしれないが、船とて出せんのではないかと俺は別の心配をしだした。
「そこの店で馬を預けます」
「分かった」
夏場だけ商売をする店である。
こんな日に客など来ないと分かって看板を下ろしてあった。
馬から降りるとアルバートは自ら店の中に入り、店主となにやら会話をしているようであった。
俺はガラス窓から中の様子を見守った。
アルバートの懸命で真面目な横顔に少しばかりは関心を抱いたかもしれない。
だがどうも信用しきれんのだ。何か後ろめたいことに突き動かされているんじゃないだろうかと疑っている。
そうだ馬のことを忘れていた。と振り返ると、馬はどこからともなく飛んできたチラシを体に張り付けていて、また機嫌を悪くしている。
「手綱を貰いますね」
馬をなだめている隙に話を付けたアルバートが戻ってきていた。
「あ、ああ」
手綱を渡したら「どうどう」と言いながら店主と共に裏の厩舎へ連れて行ってくれた。
風は相変わらず強く、後ろ風に押されると少し体が前に行きそうになる。
ぼーっと見ていないでお前も行けと言っているのだと思い、俺も後から厩舎へ行った。
馬を降りてからはカイセイの指示だという道を共に歩いていく。
この時のアルバートはとびきりの得意顔であり、先の先の道筋まで俺に逐一伝えながら行くのである。
不審感を募らせた俺はついにアルバートに問うた。
「そんなに俺に仕えたいヤツだったかお前」
「え? 何て言いました?」
草木のざわめく音に掻き消されたのか、アルバートは振り返ったが張る声でこう言われた。
改めて何を言ったかと聞かれると、さっきの言い方では自惚れだったかと決まりが悪くなる。
「何を張り切っているのかと聞いたのだ」
するとアルバートは「僕そんなに張り切ってます?」と謎に嬉しそうにして聞き返した。
ヤツを喜ばせてしまったかと思うと急に興ざめだ。
もう良い。と、付いて行くことに専念することにした。だがアルバートが告げるのだ。
「人の役に立てるのって結構良いなって思ってて。僕にも誰かのためにやれる事があるんだって分かったら、なんか自信が湧いて来たっていうか!」
色んなことを頑張りたい。誰かの期待に応えたい。と、熱く長く語りだした。
こんな強風での潜伏行動中に聞く内容では無かったが熱さは十分に伝わった。と思う。
「良いから歩け」
「はい!」
尻を蹴って進ませてもアルバートは黙ることはしなかった。
俺が適当に相槌を打っていたら「こんな僕にしか頼めない事もあるので!」とガッツポーズを空に掲げている。
それだけはどこかピンとくる言葉であった。
瞬時に遡った記憶に「お前にしか頼めない任務なのだ」とアルバートに指を突き付ける当時の俺を見つけた。
「……なるほど。俺が渡した特別任務がお前のやる気に火を付けたというわけか」
「ご名答! その通りです!」
キラキラ輝かせる目を見せつけられると、たしか任務を言い渡した時もこんな顔だったかと俺は思い出したのだ。
こっちを見ていないで歩け歩け、と俺は叱るがな。
「お前に渡した特別任務は何だった?」
「エセル様を陰ながらお守りすることです!」
「そのエセルは今どうしている?」
アルバートは張り切って答えるかと思ったら急にしょぼくれた。
「なんだか何人かの軍人に連れて行かれました……」
かがんで垣根をくぐって行くと知らぬ間にメルチ域に踏み入れていたようだ。
もう目の前はすぐに港だ。大きな船の影も見えている。
やはり持つものはカイセイのように頼りになる兵士だなとつくづく思った。
「あの、バル様」
「なんだ」
物陰に隠れた状態でアルバートが落ち込みを引きずりながら言った。
「僕だってエセル様を助けたいと思ったんですよ。でもきっと僕一人で乗り込んでも、捕まって、袋叩きにされて、洗いざらい喋らされて、人質にされて、みんなの足手まといになると思ったんです……」
並べられた酷い仕打ちが簡単に想像できてしまう。
人質にはならずに殺されてしまうだろうとは思うが……まあ大変であったなという感想だ。
結果はさて置いてアルバートには最良の選択だったかもしれない。
「じゃあ俺と今から助けに行けば良い」
俺は港で動く人間の数を数えながら言った。
ほとんど口から出任せであったのだがアルバートには響いてしまったらしい。
「おい」
俺はアルバートに両手を握られた。
その手を離そうとしても握力は並みの男であるから簡単にはいかない。
ちなみに子犬のようなうるうるの瞳は俺には効かん。
「やっぱりそうなんですね。やっぱりバル様はエセル様を助けに行くんですね」
「は? そう言っただろ」
「言ってないですよ。急に飛び出して行っちゃうから」
そうだったかと考えるよりも先に、アルバートの両手から自分の手を引っこ抜く。
「急に馴れ馴れしくするな」
俺はアルバートを置いて港へ乗り込んだ。
長らく我が国との覇権争いが続いていたが、俺の方が折れてメルチに明け渡すことにより解決した場所だ。
リュンヒンは何を考えているのか、店も民家も立てずにいつまでも原っぱのままで放置しているらしい。
農民に借りた馬は神経質で、この原っぱを行くのを嫌がっている。
何がそんなに嫌なのかと足元を見てみると、紛れて壊れた武具の破片や食事の際の投棄物が草に紛れて光っていたのだ。
「文句ならあっちの王に言ってくれ」
俺は馬の背中を撫でて落ち着かせる。
そして、少し遠回りでも馬が走れる道を選んでメルチ関所門まで進んでいく。
強い雨のせいで白む視界である。二本の高い塔と巨大な鉄柵の影が見えだした。
俺はよく通る道であるから、あれがメルチの関所だと分かっていた。
しかしこんな日に見るあれは悪魔の城のようでおぞましかった。
鉄柵は閉まっており、業者の荷馬車が止まっている。
「おお、バル様」
「よう」
門番は馴染みのある兵士だ。俺のことに気付くと軽く敬礼をしたのち柔らかな笑顔を向けている。
馬ごと塔の屋根に滑り込んで俺はこの酷い雨を改めて眺めた。
夜かと思うほど暗い空であり、空から地面まで灰色一色だった。
「ずいぶんお急ぎですね」
「ああ。すぐにネザリアへ行かねばならん」
そう告げると門番は「そうですか」と辛そうな声で言った。
「残念ですが、本日はどなたも入れるなとのことでして……」
「何でだ。何かあったのか?」
雨水を拭う手を止めずに俺は門番をちらっと見る。
だが、ふと視界に入った奥側の方に目が行く。荷馬車の業者と門番兵士が何か揉めているようだった。
急いだせいで荒くなった呼吸と、地面を削るような雨音がうるさく響いていた。
門番は周りに目を配ると、俺の耳元に顔を寄せて告げる。
「本日はベンブルクとの一戦が行われます」
門番はそれを早口で伝えたら、再び前を向き直って見張り業務に戻った。
雨の勢いが弱まると向こうの揉め事の声が聞こえてくる。
「いつもどおりの出荷時間なんだぞ。入れられないなら理由くらい言いやがれ!」
そのように業者の者は喚き散らしていた。
「……そうか。困った」
こんな雨の上にメルチに渡れないとなるとネザリアへの道は絶たれたようなもの。
また出直すしか無いかと諦めていた時、他にもメルチへ入りたがる者が馬に乗ってやって来た。
その影を眺めながら雨がおさまるのを待っている。
茶色い馬だと見えるほど近くにやって来ると、それは二人乗り来たのだと分かった。
「師匠は船から行けば早いですと仰っていました。関所を通らない港への秘密の抜け道も聞いてきましたしバッチリです」
師匠と呼ぶ男。知っている声だと思うとアルバートである。
「お前、追いかけて来たのか」
手綱を握るのは城の兵士で、後ろに乗るのがアルバートだ。
雨に濡れて男前が増しているのはどうでも良く、俺はヤツに何も期待していなかっただけに驚いたのだ。
アルバートが馬から降りると靴裏でピシャリと水を跳ねさせている。
「行きましょう!」
「行こうと言われても……」
俺はすぐ隣の門番をチラッと見た。
門番は今の話を全て聞いていたと咳払いを二回鳴らした。
だがその次には「ご武運を」と頬を掻きながら言うのであった。
アルバートと俺を乗せた馬が走り出しても止めることをせずに、門番はただ見張り業務を続けていた。
「なぜ関所が通れないことを知っていたんだ?」
「ちょうどすれ違いで連絡が届いたんです。でも師匠は、この雨なのでどうなるだろうとは言ってましたけど」
海岸沿いは風も強まり海が荒れている。
たしかに戦いは休戦になるかもしれないが、船とて出せんのではないかと俺は別の心配をしだした。
「そこの店で馬を預けます」
「分かった」
夏場だけ商売をする店である。
こんな日に客など来ないと分かって看板を下ろしてあった。
馬から降りるとアルバートは自ら店の中に入り、店主となにやら会話をしているようであった。
俺はガラス窓から中の様子を見守った。
アルバートの懸命で真面目な横顔に少しばかりは関心を抱いたかもしれない。
だがどうも信用しきれんのだ。何か後ろめたいことに突き動かされているんじゃないだろうかと疑っている。
そうだ馬のことを忘れていた。と振り返ると、馬はどこからともなく飛んできたチラシを体に張り付けていて、また機嫌を悪くしている。
「手綱を貰いますね」
馬をなだめている隙に話を付けたアルバートが戻ってきていた。
「あ、ああ」
手綱を渡したら「どうどう」と言いながら店主と共に裏の厩舎へ連れて行ってくれた。
風は相変わらず強く、後ろ風に押されると少し体が前に行きそうになる。
ぼーっと見ていないでお前も行けと言っているのだと思い、俺も後から厩舎へ行った。
馬を降りてからはカイセイの指示だという道を共に歩いていく。
この時のアルバートはとびきりの得意顔であり、先の先の道筋まで俺に逐一伝えながら行くのである。
不審感を募らせた俺はついにアルバートに問うた。
「そんなに俺に仕えたいヤツだったかお前」
「え? 何て言いました?」
草木のざわめく音に掻き消されたのか、アルバートは振り返ったが張る声でこう言われた。
改めて何を言ったかと聞かれると、さっきの言い方では自惚れだったかと決まりが悪くなる。
「何を張り切っているのかと聞いたのだ」
するとアルバートは「僕そんなに張り切ってます?」と謎に嬉しそうにして聞き返した。
ヤツを喜ばせてしまったかと思うと急に興ざめだ。
もう良い。と、付いて行くことに専念することにした。だがアルバートが告げるのだ。
「人の役に立てるのって結構良いなって思ってて。僕にも誰かのためにやれる事があるんだって分かったら、なんか自信が湧いて来たっていうか!」
色んなことを頑張りたい。誰かの期待に応えたい。と、熱く長く語りだした。
こんな強風での潜伏行動中に聞く内容では無かったが熱さは十分に伝わった。と思う。
「良いから歩け」
「はい!」
尻を蹴って進ませてもアルバートは黙ることはしなかった。
俺が適当に相槌を打っていたら「こんな僕にしか頼めない事もあるので!」とガッツポーズを空に掲げている。
それだけはどこかピンとくる言葉であった。
瞬時に遡った記憶に「お前にしか頼めない任務なのだ」とアルバートに指を突き付ける当時の俺を見つけた。
「……なるほど。俺が渡した特別任務がお前のやる気に火を付けたというわけか」
「ご名答! その通りです!」
キラキラ輝かせる目を見せつけられると、たしか任務を言い渡した時もこんな顔だったかと俺は思い出したのだ。
こっちを見ていないで歩け歩け、と俺は叱るがな。
「お前に渡した特別任務は何だった?」
「エセル様を陰ながらお守りすることです!」
「そのエセルは今どうしている?」
アルバートは張り切って答えるかと思ったら急にしょぼくれた。
「なんだか何人かの軍人に連れて行かれました……」
かがんで垣根をくぐって行くと知らぬ間にメルチ域に踏み入れていたようだ。
もう目の前はすぐに港だ。大きな船の影も見えている。
やはり持つものはカイセイのように頼りになる兵士だなとつくづく思った。
「あの、バル様」
「なんだ」
物陰に隠れた状態でアルバートが落ち込みを引きずりながら言った。
「僕だってエセル様を助けたいと思ったんですよ。でもきっと僕一人で乗り込んでも、捕まって、袋叩きにされて、洗いざらい喋らされて、人質にされて、みんなの足手まといになると思ったんです……」
並べられた酷い仕打ちが簡単に想像できてしまう。
人質にはならずに殺されてしまうだろうとは思うが……まあ大変であったなという感想だ。
結果はさて置いてアルバートには最良の選択だったかもしれない。
「じゃあ俺と今から助けに行けば良い」
俺は港で動く人間の数を数えながら言った。
ほとんど口から出任せであったのだがアルバートには響いてしまったらしい。
「おい」
俺はアルバートに両手を握られた。
その手を離そうとしても握力は並みの男であるから簡単にはいかない。
ちなみに子犬のようなうるうるの瞳は俺には効かん。
「やっぱりそうなんですね。やっぱりバル様はエセル様を助けに行くんですね」
「は? そう言っただろ」
「言ってないですよ。急に飛び出して行っちゃうから」
そうだったかと考えるよりも先に、アルバートの両手から自分の手を引っこ抜く。
「急に馴れ馴れしくするな」
俺はアルバートを置いて港へ乗り込んだ。
0
あなたにおすすめの小説
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
なぜ、私に関係あるのかしら?
シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」
彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。
そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。
「…レオンハルト・トレヴァントだ」
非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。
そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。
「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」
この判断によって、どうなるかなども考えずに…
※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。
※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、
※ 画像はAIにて作成しております
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
お飾り王妃の死後~王の後悔~
ましゅぺちーの
恋愛
ウィルベルト王国の王レオンと王妃フランチェスカは白い結婚である。
王が愛するのは愛妾であるフレイアただ一人。
ウィルベルト王国では周知の事実だった。
しかしある日王妃フランチェスカが自ら命を絶ってしまう。
最後に王宛てに残された手紙を読み王は後悔に苛まれる。
小説家になろう様にも投稿しています。
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。
小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。
「マリアが熱を出したらしい」
駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。
「また裏切られた……」
いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。
「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」
離婚する気持ちが固まっていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる