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lll.エシュ神都、パニエラ王国
パニエラの王‐腑に落ちた‐
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促されるまま席に座り、果物らの上を超えて俺の前には紙の束が渡された。
「誓約書類ですね。……ベンブルクからの」
前述された通りに俺は絶望した。
ひとつページをめくった場所にはベンブルク王とパニエラ王の押印がしっかりと乾いていたのだ。
誓約成立しているのを確認した上で気になるのは内容である。少し顔を上げて伺ってみれば「ドウゾ」と了解を得た。
「……」
左右でエセルとルイスも横から見ている。
そのまま横槍を入れられることなく読み進め、途中の場所で俺の手が止まる。
どうしたのかとエセルが俺の顔を見たようだ。しかし俺は内容から目が離せないでいた。
聞き取れん言葉が頭上から降りかかる。その後でリョヤンに仕える者が通訳した。
「二週間前、レッセル国議長がそちらの同盟を持ちかけて来ました。私たちは議論した結果、彼の力になることを決めました。彼は次世代の指導者になると私たちは結論を出したのです」
通訳者も少しぎこちないのであったが聞き取るのに不自由はしない。
「二週間前……独立を宣言するよりかなり前では?」
俺の言葉が外国語にされて、拙い返事でまた返って来た。
「私たちは支配から逃れたいと常々声を上げて来ました。それがやっとトートタス大臣とレッセル国議長との間で認められ、掬い上げてくださったのです。彼らのおかげでこの国はこれから生まれ変わります」
ずいぶんと前向きな人間性のようだ。
確かに誓約書類には、支配からは引き上げようという心意気があると読み取れる。
貿易の緩和、資金援助、共同産業で武器を作ろうなどと綴り、交流を深めながらパニエラも経済成長していけよと相手国も上向きだ。
しかし俺は、カイロニアとベンブルクの並びで耳にすればこの国が心配になった。
「二国の同盟に加わるのですか?」
王権破棄の旗を掲げる二国の思想に、パニエラ王家のリョヤンは賛同しているのかと問うている。
質問が伝われば、いくら明るく振る舞ったリョヤンでもしょんぼりとした顔で肩を落としていた。
「この国は長きにわたって停滞していました。その原因は王家の力不足で間違いありません。私は席を降りるべきだと考えます」
「リョヤン殿を後継する者が外国人でも……」
「……ハイ」
リョヤンは自身の言葉で返事をした。
だがそれではパニエラという国が終わる可能性だってある。国の死に目にも抗わない姿勢に俺は額が熱くなっていた。
「バル殿」
シルヴァーがぬる水をかけてくるかのようにやんわりと呼ぶ。
「戦争で国が滅ぶわけではないのです。ですから、たとえ国名が変わって新しい制度になっても民にとっては進歩。前向きな変化なのですよ」
納得のいかんままで唸っているとシルヴァーが問う。
「大事なのは地位ですか? 国名ですか? それとも民ですか?」
俺の額からは一筋の汗が耳の横を伝った。
部屋はそれほど暑くないのに、この体ばかりが何かに怒って熱くなっている。
三つ出されたもののうち、リョヤンは民の繁栄を大事にすることで地位と国名を捨てようとしている。
そんなものはおかしい。おかしいだろう。と、俺はそれだけが頭の中にあった。
何か別のやり口が必ずあるはずである。あの同盟二国がにこやかに国作りを手伝うはずが無い。
根拠も奇策も無いのに、汗ばかり止まらないのであった。
その晩、宿に着いても俺はしょぼくれている。
窓辺に寄りかかって夕日を見ていたはずなのに、いつのまにか陽が沈んでいた。電気を付ける気にもなれずにそのままだった。
しかし窓の外にはカイロニアの眩しい夜景がある。せっかくの満月であるのに、月よりも明るいものがその街には溢れていた。
エシュとは交渉決裂。パニエラに至ってはやはり手遅れだった。
今さら悔やんでも何も変わりはしないと頭で分かっているのに、何故か昼のことを考えると腹が立って仕方がない。
それは祖国のクランクビストが奪われる怒りなのか。
リュンヒンのメルチを守り抜けなかった不甲斐なさによるものなのか。いいや。違う。
当主であるなら国をまとめておいて見捨てないのが筋だろう! ……なんて。祖国がどうなろうが知ったことの無かった俺が唱えているのだ。
その辺りの頃にリュンヒンが小突いて来たり、シャーロットが叩く理由も今には分かる。
当主として足りなかったのだ。当時の俺は。
「今もどうだか……」
しかし残念ながら、もう叱ってくれる者も近くにはいない。
ひとり個室で窓に頭を打っていると小さく扉がノックされた。
二度目は無視をし、三度目には「もう構うなと言っただろう」と、苛立ちを抑えて告げる。
なのに扉は廊下側から押し開けられた。
「少し、お話ししませんか?」
顔を覗かせたのはエセルであった。俺が数分前に部屋から追い出した男とは別の人物だった。
それでも俺はため息をつく。
「……あまり気分が良くない」
俺は再び窓の外を見やって言う。
それでも良いとエセルは部屋の中に入ってきた。
「リョヤン様の件で、どうしても納得がいかないんです」
「奇遇だな。俺もたぶん同じ気持ちだ」
だがエセルは怒ったりなどはしていない。むしろ思い悩むばかりでソファーに浅く座ってもしばらく黙ったままだった。
明るい街では時々車のクラクションが鳴る。時刻はいうても夕食が済んだ頃だ。こんな時間にまで家に帰っていないとは一体何事なのか……。
当てつけのように感じるもの全部を否定したい気分だった。
そうしているとエセルが突然話し出す。
「国が変わったとしても国民にとっては前向きな変化だと、シルヴァー様は仰っていましたけど。それが、私はどうしても違うような気がしています」
無言でいると、まだ続けた。
「リョヤン様が横暴だとは思いません。思わないんですけど、あの……」
「ネザリアのようになるんじゃないかと思うのだろう?」
沈んでいくエセルの言葉を拾い上げる。
「ネザリアも元は良い国だったと教えてくれたな。権力者の方針転換が変わってからは辛い生活になったことも。それをお前がパニエラの話を聞いて重ねるのは無理も無い」
「はい。何とか……出来たら良いんですけど」
「それは無理だ。王には王の考え方が色々あるのだ。あれは誓約してしまった以上、もう後には戻れまい」
ぼんやりと電灯の数を数えていたら、ふとガラスに立った姿のエセルが映っていた。
それで俺は初めてエセルを振り返る。
彼女は今にも泣きそうな顔をして口をぎゅっと噛み締めている。
「どうかしたか?」
俺は窓を見るのと同じ目でエセルを見ていた。
エセルはやがて言う。
「何とも思わないんですか?」と。
どういう意味だか分からず俺は瞬きをしただけだった。
「後には戻れないって。それだけなんですか?」
「それだけだが。お前は他に何を求めているのだ」
エセルは即答しない代わりに両目からそれぞれ涙が溢れている。
俺はそれに対しても「なぜ泣く?」と聞いた。しかし涙はぽたりぽたりと落ち、エセルはその手で拭いもしないで立ち尽くす。
「はぁ……」
さすがにハンカチぐらいは差し出した方が良いだろうかと思うと同時だった。エセルは震える喉で息を吸った。
そして溜めていたものを吐き出すようにして告げたのだ。
「以前のあなたなら無理だなんて言わない! たとえ嘘だったとしても『何とかしてあげたい』と言ってくれたはずです!」
強い口調のあとは、流れる涙を撒くように翻してこの部屋を出て行ってしまった。
ひとりになった俺にはエセルの事でのモヤモヤもまた頭に詰まる。
こんな夜であるから、憂うどころか次第に怒りの気持ちで元々の悩みと一緒くたに燃やしたくなってしまった。
コツン。と、ガラスにまた頭を打つ。
どうにもならない現実は、まるで空中を殴り続けるかのようで何も打ち砕けない。未来は分からない。だとすれば過去にどんな失敗があったのかと掘り起こした。
いつの日か、エセルと高台に登ってクランクビストという爪の先ほどの小さな国を眺めた事がある。
その時俺はネザリアという国情を知った。
エセルの健気さで感じるものがあって今に至っている。
あの時、俺が言わなければよかったのだ。そうすれば俺は何も知らないままでいられたかもしれない。
娶ったのはエセルでは無くてシャーロットだったかもしれない。リュンヒンも死なずに済んだかもしれないのだ。
「全部俺が悪い」
腑に落ちれば怒りは通り過ぎたらしかった。
明るい街でまたクラクションが鳴っている。
俺は何故こんな場所に居るのだろう?
心が辛いのに、この目からは涙は出て来ない。
「誓約書類ですね。……ベンブルクからの」
前述された通りに俺は絶望した。
ひとつページをめくった場所にはベンブルク王とパニエラ王の押印がしっかりと乾いていたのだ。
誓約成立しているのを確認した上で気になるのは内容である。少し顔を上げて伺ってみれば「ドウゾ」と了解を得た。
「……」
左右でエセルとルイスも横から見ている。
そのまま横槍を入れられることなく読み進め、途中の場所で俺の手が止まる。
どうしたのかとエセルが俺の顔を見たようだ。しかし俺は内容から目が離せないでいた。
聞き取れん言葉が頭上から降りかかる。その後でリョヤンに仕える者が通訳した。
「二週間前、レッセル国議長がそちらの同盟を持ちかけて来ました。私たちは議論した結果、彼の力になることを決めました。彼は次世代の指導者になると私たちは結論を出したのです」
通訳者も少しぎこちないのであったが聞き取るのに不自由はしない。
「二週間前……独立を宣言するよりかなり前では?」
俺の言葉が外国語にされて、拙い返事でまた返って来た。
「私たちは支配から逃れたいと常々声を上げて来ました。それがやっとトートタス大臣とレッセル国議長との間で認められ、掬い上げてくださったのです。彼らのおかげでこの国はこれから生まれ変わります」
ずいぶんと前向きな人間性のようだ。
確かに誓約書類には、支配からは引き上げようという心意気があると読み取れる。
貿易の緩和、資金援助、共同産業で武器を作ろうなどと綴り、交流を深めながらパニエラも経済成長していけよと相手国も上向きだ。
しかし俺は、カイロニアとベンブルクの並びで耳にすればこの国が心配になった。
「二国の同盟に加わるのですか?」
王権破棄の旗を掲げる二国の思想に、パニエラ王家のリョヤンは賛同しているのかと問うている。
質問が伝われば、いくら明るく振る舞ったリョヤンでもしょんぼりとした顔で肩を落としていた。
「この国は長きにわたって停滞していました。その原因は王家の力不足で間違いありません。私は席を降りるべきだと考えます」
「リョヤン殿を後継する者が外国人でも……」
「……ハイ」
リョヤンは自身の言葉で返事をした。
だがそれではパニエラという国が終わる可能性だってある。国の死に目にも抗わない姿勢に俺は額が熱くなっていた。
「バル殿」
シルヴァーがぬる水をかけてくるかのようにやんわりと呼ぶ。
「戦争で国が滅ぶわけではないのです。ですから、たとえ国名が変わって新しい制度になっても民にとっては進歩。前向きな変化なのですよ」
納得のいかんままで唸っているとシルヴァーが問う。
「大事なのは地位ですか? 国名ですか? それとも民ですか?」
俺の額からは一筋の汗が耳の横を伝った。
部屋はそれほど暑くないのに、この体ばかりが何かに怒って熱くなっている。
三つ出されたもののうち、リョヤンは民の繁栄を大事にすることで地位と国名を捨てようとしている。
そんなものはおかしい。おかしいだろう。と、俺はそれだけが頭の中にあった。
何か別のやり口が必ずあるはずである。あの同盟二国がにこやかに国作りを手伝うはずが無い。
根拠も奇策も無いのに、汗ばかり止まらないのであった。
その晩、宿に着いても俺はしょぼくれている。
窓辺に寄りかかって夕日を見ていたはずなのに、いつのまにか陽が沈んでいた。電気を付ける気にもなれずにそのままだった。
しかし窓の外にはカイロニアの眩しい夜景がある。せっかくの満月であるのに、月よりも明るいものがその街には溢れていた。
エシュとは交渉決裂。パニエラに至ってはやはり手遅れだった。
今さら悔やんでも何も変わりはしないと頭で分かっているのに、何故か昼のことを考えると腹が立って仕方がない。
それは祖国のクランクビストが奪われる怒りなのか。
リュンヒンのメルチを守り抜けなかった不甲斐なさによるものなのか。いいや。違う。
当主であるなら国をまとめておいて見捨てないのが筋だろう! ……なんて。祖国がどうなろうが知ったことの無かった俺が唱えているのだ。
その辺りの頃にリュンヒンが小突いて来たり、シャーロットが叩く理由も今には分かる。
当主として足りなかったのだ。当時の俺は。
「今もどうだか……」
しかし残念ながら、もう叱ってくれる者も近くにはいない。
ひとり個室で窓に頭を打っていると小さく扉がノックされた。
二度目は無視をし、三度目には「もう構うなと言っただろう」と、苛立ちを抑えて告げる。
なのに扉は廊下側から押し開けられた。
「少し、お話ししませんか?」
顔を覗かせたのはエセルであった。俺が数分前に部屋から追い出した男とは別の人物だった。
それでも俺はため息をつく。
「……あまり気分が良くない」
俺は再び窓の外を見やって言う。
それでも良いとエセルは部屋の中に入ってきた。
「リョヤン様の件で、どうしても納得がいかないんです」
「奇遇だな。俺もたぶん同じ気持ちだ」
だがエセルは怒ったりなどはしていない。むしろ思い悩むばかりでソファーに浅く座ってもしばらく黙ったままだった。
明るい街では時々車のクラクションが鳴る。時刻はいうても夕食が済んだ頃だ。こんな時間にまで家に帰っていないとは一体何事なのか……。
当てつけのように感じるもの全部を否定したい気分だった。
そうしているとエセルが突然話し出す。
「国が変わったとしても国民にとっては前向きな変化だと、シルヴァー様は仰っていましたけど。それが、私はどうしても違うような気がしています」
無言でいると、まだ続けた。
「リョヤン様が横暴だとは思いません。思わないんですけど、あの……」
「ネザリアのようになるんじゃないかと思うのだろう?」
沈んでいくエセルの言葉を拾い上げる。
「ネザリアも元は良い国だったと教えてくれたな。権力者の方針転換が変わってからは辛い生活になったことも。それをお前がパニエラの話を聞いて重ねるのは無理も無い」
「はい。何とか……出来たら良いんですけど」
「それは無理だ。王には王の考え方が色々あるのだ。あれは誓約してしまった以上、もう後には戻れまい」
ぼんやりと電灯の数を数えていたら、ふとガラスに立った姿のエセルが映っていた。
それで俺は初めてエセルを振り返る。
彼女は今にも泣きそうな顔をして口をぎゅっと噛み締めている。
「どうかしたか?」
俺は窓を見るのと同じ目でエセルを見ていた。
エセルはやがて言う。
「何とも思わないんですか?」と。
どういう意味だか分からず俺は瞬きをしただけだった。
「後には戻れないって。それだけなんですか?」
「それだけだが。お前は他に何を求めているのだ」
エセルは即答しない代わりに両目からそれぞれ涙が溢れている。
俺はそれに対しても「なぜ泣く?」と聞いた。しかし涙はぽたりぽたりと落ち、エセルはその手で拭いもしないで立ち尽くす。
「はぁ……」
さすがにハンカチぐらいは差し出した方が良いだろうかと思うと同時だった。エセルは震える喉で息を吸った。
そして溜めていたものを吐き出すようにして告げたのだ。
「以前のあなたなら無理だなんて言わない! たとえ嘘だったとしても『何とかしてあげたい』と言ってくれたはずです!」
強い口調のあとは、流れる涙を撒くように翻してこの部屋を出て行ってしまった。
ひとりになった俺にはエセルの事でのモヤモヤもまた頭に詰まる。
こんな夜であるから、憂うどころか次第に怒りの気持ちで元々の悩みと一緒くたに燃やしたくなってしまった。
コツン。と、ガラスにまた頭を打つ。
どうにもならない現実は、まるで空中を殴り続けるかのようで何も打ち砕けない。未来は分からない。だとすれば過去にどんな失敗があったのかと掘り起こした。
いつの日か、エセルと高台に登ってクランクビストという爪の先ほどの小さな国を眺めた事がある。
その時俺はネザリアという国情を知った。
エセルの健気さで感じるものがあって今に至っている。
あの時、俺が言わなければよかったのだ。そうすれば俺は何も知らないままでいられたかもしれない。
娶ったのはエセルでは無くてシャーロットだったかもしれない。リュンヒンも死なずに済んだかもしれないのだ。
「全部俺が悪い」
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