涙を垂らすな

ゲーム

「パパ～！！起きなさい！」

遠くからの妻の声で目覚めた。

「もう、昔から朝には弱いんだから、、、」

そうぼそっと妻は呟いた。

仲川 要人 （ナカガワカナメ） 仁美（ヒトミ）は
結婚して1年の新婚夫婦。

仁美のお腹の中には出産予定日七日前の赤ん坊がいる。性別は女の子だ。

要人「パパパパって、、気が早いんだから、、」
仁美「だ、だってパパになるのよ！もう！」

ふてぶてしく怒る仁美はとても可愛い。

そんな幸せな生活がこれから続いていくと思った。

「緊急速報緊急速報緊急速報 政府からの緊急発表です。王様に繋ぎます。」

仁美「え、、なに、、？」

テレビの中のアナウンサーが慌ただしく
画面を繋げた。

「え～皆さんこんにちは。元気？？」

画面のなかで王様マークがにこやかに手を振っている。

マーク「日本は人口爆発が凄まじいです。このままでは大変なことになってしまいます。そこで1番人口が多い東京の人口を減らそうと思います！！」

要人「え、、、？」

マーク「東京に住んでる皆さんにはあと二三分で政府からのプレゼントがありますので必ず装着してくださいね～。装着しない場合即刻処刑致します」

仁美「え、、何言ってるの、、、？」

マーク「俺もどう減らそうか迷ったんだけど！発表しまーす。涙を垂らさないことで～す」

仁美「涙を、、、垂らさない、、？」

マーク「簡単でしょ？？垂らさなきゃいいの」

マーク「政府からのプレゼントが届き次第ゲームはスタートします。届いてから5分以内に装着しないと殺しますね～！ゲーム期間は7日間！頑張ってね～！」

そう言い切り終え画面は元のニュース画面に戻った。

アナウンサー達も何を言ってるかわからないのだろう。

仁美「ねえ、、パパ、、今のって、」

ﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝ

チャイムがなり「政府からです」の一言が聞こえた。

ドアを開けるとスーツ姿の男二人が手荷物を持っていた。

男A「今すぐこれをつけてください。仲川様。」

男B「仲川様のお宅は2人家族ですね。」

要人「え、、あ、、はい。。」

手荷物を解くとブレスレットが2つ入っていた。

男A「それでは頑張ってくださいね」

仁美「ねえ、、ぱぱ、、これって、、」

仁美は怯えていた。当たり前だ。

要人「とりあえず、、これを付けよう。」

ブレスレットを自分と仁美に付ける。

仁美「ねえ、これ、取れないわよ」

瞬間接着剤でもついてるかのようなレベルで
ビクともしなかった。

ゲームは本当のようだった。

仁美「こ、、こわいわ、、」

目がうるうるしだした仁美

要人「泣くな！！」

怒声を浴びせ涙を引っ込ませた。

要人「絶対に泣くな。お前は俺が守る」

GAME START