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かん子の隣にいる男 その1
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かん子は、隣の男と電車に乗った。かん子はずっと窓の外の景色を眺めながら、隣にいる男のことを考えていた。
隣の男も、別に話しかける風でもなくただかん子の隣に立っている。だがかん子がもし逃げ出そうものなら、きっとさっきのようにむんずと腕をつかむだろう。
さりげなく隣にいながらも、かん子の動きに油断なく目を光らせているのがありありとわかった。
「思いだした?」
不意に話しかけられて、かん子はびっくりして隣の男の顔を見上げた。目が合う。いつからこちらを見ていたのだろう。
かん子をみる真剣なまなざしが、かん子をいごこち悪くさせた。
「どこかで会ってます?」
一瞬男のまなざしがゆれ、何かの感情が見えたかと思ったが、また隠れてしまったかのように感じた。さっきまで気がつかなかったが、男のスーツの襟にはかん子がこれから働く会社の社員バッジがあった。今日もらったばかりなんだろう。かん子のものと同じでそのバッジは真新しくピッカピカだった。
「同じ会社なんですね」
「そう同じ同期だよ。どうせ俺のこと覚えてないんだろ?名前は朝居正也だ!」
なぜか男朝居正也は、拗ねたように言い放った。十字軍の戦士のように厳粛な整った顔立ちの男が、急に子供のような表情になってびっくりした。しかもその顔を見たとき、なぜか胸の奥がきゅんとしたような気がした。
正也が自分の名前を言った時、かん子は最近この名前を聞いた気がした。
かん子は一番の疑問を聞いてみた。
「この前、Zホールにいませんでした?」
「いたよ」
しごく当然といった風に返事が返ってきた。これでは謎が解けない。今度は、かん子は正也の顔を覗き込んで聞いた。
「私を知ってるって言いましたけど、どこで会いましたっけ?」
正也はかん子が急に顔を近づけて覗き込んだのにびっくりしたようで、今までの堂々とした態度はどこへやら、慌てたようで急に顔をそむけた。
「おまえー!こんな風に顔を近づけるなよ。俺ならいいけど、他の奴ならへんに誤解するぞ」
かん子は、わけがわからず首をかしげてなに?といったふうに正也をみた。
「だからー、そんな態度他の奴にするなよ!」
そういいながらも、正也は顔を見られまいとよけい顔をそむける。かん子は、急に立場が逆転したようで面白くなり、ますます正也の顔を覗き込んだ。
そこには・・・・・。
なぜか耳まで真っ赤にした正也の顔があった。いつのまにか立場が逆転になったのに気づいた正也が、自分の立場を取り戻すべく爆弾発言をした。
「おれの母親、踊りのサークル入ってるから、あの日送迎に行ったんだよ。母親の名前朝居佐和子っていうんだ。聞いたことあるだろう?」
「え____!!」
かん子はびっくりした。きっとこれ以上ないというくらい、目が大きくなっていたのだろう。
「目玉が飛び出すほど驚くって、こういう風になるんだな」
正也はわけがわからないことを言って、かん子をみて笑った。
電車は混乱しているかん子をよそに家の近くの駅に着いた。
正也は、またまたむんずとかん子の腕を掴んで勝手に家の方へと歩いて行く。しかも何の迷いもなく。
(やつはいったい何者なんだー?)
かん子は心の中で叫んでいた。
隣の男も、別に話しかける風でもなくただかん子の隣に立っている。だがかん子がもし逃げ出そうものなら、きっとさっきのようにむんずと腕をつかむだろう。
さりげなく隣にいながらも、かん子の動きに油断なく目を光らせているのがありありとわかった。
「思いだした?」
不意に話しかけられて、かん子はびっくりして隣の男の顔を見上げた。目が合う。いつからこちらを見ていたのだろう。
かん子をみる真剣なまなざしが、かん子をいごこち悪くさせた。
「どこかで会ってます?」
一瞬男のまなざしがゆれ、何かの感情が見えたかと思ったが、また隠れてしまったかのように感じた。さっきまで気がつかなかったが、男のスーツの襟にはかん子がこれから働く会社の社員バッジがあった。今日もらったばかりなんだろう。かん子のものと同じでそのバッジは真新しくピッカピカだった。
「同じ会社なんですね」
「そう同じ同期だよ。どうせ俺のこと覚えてないんだろ?名前は朝居正也だ!」
なぜか男朝居正也は、拗ねたように言い放った。十字軍の戦士のように厳粛な整った顔立ちの男が、急に子供のような表情になってびっくりした。しかもその顔を見たとき、なぜか胸の奥がきゅんとしたような気がした。
正也が自分の名前を言った時、かん子は最近この名前を聞いた気がした。
かん子は一番の疑問を聞いてみた。
「この前、Zホールにいませんでした?」
「いたよ」
しごく当然といった風に返事が返ってきた。これでは謎が解けない。今度は、かん子は正也の顔を覗き込んで聞いた。
「私を知ってるって言いましたけど、どこで会いましたっけ?」
正也はかん子が急に顔を近づけて覗き込んだのにびっくりしたようで、今までの堂々とした態度はどこへやら、慌てたようで急に顔をそむけた。
「おまえー!こんな風に顔を近づけるなよ。俺ならいいけど、他の奴ならへんに誤解するぞ」
かん子は、わけがわからず首をかしげてなに?といったふうに正也をみた。
「だからー、そんな態度他の奴にするなよ!」
そういいながらも、正也は顔を見られまいとよけい顔をそむける。かん子は、急に立場が逆転したようで面白くなり、ますます正也の顔を覗き込んだ。
そこには・・・・・。
なぜか耳まで真っ赤にした正也の顔があった。いつのまにか立場が逆転になったのに気づいた正也が、自分の立場を取り戻すべく爆弾発言をした。
「おれの母親、踊りのサークル入ってるから、あの日送迎に行ったんだよ。母親の名前朝居佐和子っていうんだ。聞いたことあるだろう?」
「え____!!」
かん子はびっくりした。きっとこれ以上ないというくらい、目が大きくなっていたのだろう。
「目玉が飛び出すほど驚くって、こういう風になるんだな」
正也はわけがわからないことを言って、かん子をみて笑った。
電車は混乱しているかん子をよそに家の近くの駅に着いた。
正也は、またまたむんずとかん子の腕を掴んで勝手に家の方へと歩いて行く。しかも何の迷いもなく。
(やつはいったい何者なんだー?)
かん子は心の中で叫んでいた。
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