かん子の小さな願い

にいるず

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かん子の寮生活 家族会議?

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 「ただいま!」

 「おかえりなさい」
 
 かん子の声に母の美絵子が玄関に出てきて、かん子の後ろを見ながら言った。

 「あらっ、正也君は?」

 「もう帰った。それよりメール見たけど、寮のことで会社から連絡きたの?」

 「そうよ。正也君帰っちゃったのね、まあいいわ...」

 母の美絵子は、かん子にこたえながらも他のことを考えているらしく、何やらぶつぶつ言いながらキッチンに向かった。
 かん子も着替えをすべく部屋に向かったが、母の美絵子まで正也のことを気にするのが癪に障った。自分も正也が帰ったことに落胆していた分、母さえも自分の寮のことより正也の訪問のほうが大事なのだろうか。なんだかわけのわからない何ともいえないもどかしい気持ちになり、着ていた服を脱ぎ捨て荷物を放り投げまた下の洗面所にむかった。
 手を洗いうがいをしてキッチンにいくと、母の美絵子が夕食の準備をしていた。

 「何か手伝う?」

 「もうほとんどできてるからいいわよ。今お茶入れてあげるから休んでいたら。疲れたでしょ? 」

 そう聞かれ居間のソファに座ると、今までの疲れがどっと出たように感じた。

 (さっきまでのわけのわからない気持ちは、疲れのせいかも)

 かん子は、母親がいれてきてくれたあったかいお茶を飲みながらふと思った。

 「お父さんもいいみたいよ、寮のこと」

 母もかん子の横にすわりながらいった。かん子は寮のことがあまりにあっけなく了承されて、正直びっくりしていた。

 「お兄ちゃんは?」

 「俊史はいい顔しないわねえ。だけど約束だし仕方ないわね。うっふっふ」

 母の美絵子はそういい、ひとり何やら笑っている。

 「約束?何のこと?」

 かん子の問いに、あわてたように口を押さえて母が言った。

 「あっ、それはかん子の自立を妨げないようにってことよ。おっほっほ」

 母は、何やら逃げるようにあわててキッチンに戻ったのだった。

 
 そのうち父親が帰ってきたので、三人で夕食を食べた。今日もも俊史は遅いらしい。 
 食事しながらの話題はかん子の寮生活のこと。

 「ねえお父さん、いいの?寮生活」

 「ああ、いいよ。お母さんに聞いたが安心らしいし」

 「かん子、明日お母さんと寮生活の準備に、買い物に行きましょう」

 「うん、でも私まだどこの寮なのか聞いてないんだよね。お母さん、寮のこと聞いたんでしょ?どこ?書類は?」

 「書類?え__と、まだ来ていないみたい。連絡だけきたのよ、そう電話で。でも場所は知ってるわよ」

 「知ってるの?どこなの?」

 「かん子の会社の駅のそばよ。まだできたばかりだから綺麗なの。お部屋も素敵だったわよ。それでね...」

 「オッホン、オッホン」

 まだまだ先を続けたい母親を遮るかのように、なぜか父親が咳をしだした。

 「お父さん大丈夫?お茶持ってくる?」

 「いやいいよ」

 なぜか母親の話が終わったら、急に咳が止まった父だった。

 かん子は、さっきの母親の話に頭の中が???マークだらけだった。

 「ねえお母さん、寮にいったことあるの?」

 急に母があわてたようになりながら言った。

 「あっそうなのよ~。前に佐和子さんとお出かけした時、ちょうど寮のそばを通っって、新しくできた寮だって教えてくださったのよ。それでね~ちょうどいいからって、お部屋も見せてもらったのよ~」

 早口になってしゃべる母の美絵子だった。

 「ふう~ん」

 かん子は、なんだかはぐらかされたような感じがしたが、聞いても答えてくれない気がして聞くのをやめた。

 それから明日何を買うか、母の美絵子が楽しそうに話すのを聞いていたかん子と父親だった。 
 部屋に何があるのかまるで見てきたように言う母親に、なぜか疑問を感じながらもかん子は、疲れているせいか
明日考えようと今日は考えるのを放棄した。

 お風呂にはいり寝ようと部屋にいこうとした時、兄の俊史が帰ってきてばったり会ってしまった。

 「お帰り~!」

 「ただいま!」

 かん子は、寮のことは明日言おうとそそくさと兄から離れようとしたが、

 「かん子~寮に入るんだって」

 (ぎょっえっ___!)

 兄の俊史はいつ聞いたのか知っていたらしく、かん子のぎょっとした顔にふっと笑ったが、なんでもないことのようにいった。

 「明日休みとったから、買い物付き合うよ」

 それだけいうと兄は去っていった。

 (えっ?えっ___!)

 かん子は呆然として兄の後ろ姿を見ていた。

 (買い物に付き合う?会社お休み?)

 急には休めないとよく言っていた俊史であったが、休むとはびっくりした。しかもあの様子では寮生活に反対ではないらしい。
 何を言われるか身構えていただけに、あっけない了解にさっきの言葉が本当だったか疑ってしまうほどだ。
 でも確かに言った、夢じゃない!そう自分に言い聞かせるかん子だった。

 しかしこれ以上はあまりのことに驚いて、脳が考えることができないようだ。

 (だめだ、今日は早く寝よう)

 そう自分にいって一刻も早く寝ることにしたかん子であった。







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