44 / 58
44 教科書販売会場です
しおりを挟む
私たちは書店の中に入っていった。入るとき、俊介や岡本君そして美香ちゃんを好奇の視線で見ている人たちが大勢いた。今日の教科書販売では、私が入る学校以外の学校の教科書も販売している。美香ちゃんたちを見ている人たちは、美香ちゃんたちがどの学校の教科書を買うのか興味深々なのだ。
「おいこと、ここに電子辞書の見本がいくつかあるぞ」
俊介が参考書を見ている私を呼んだ。視線が私に集中した気がした。しかし俊介が呼んだのは、平凡すぎる私だったせいか視線はすぐに他へと移動していった。
「結構たくさんあるね」
「ほんとだ。どれがいいかな」
俊介が私を呼んだのを聞きつけて、ほかの参考書を見ていた美香ちゃんと岡本君も飛んできた。
「ねえ、こんな小さな辞書にいっぱいはいっているねえ」
「ほんとだね、ことちゃん」
私は、見本としておかれている電子辞書の後ろにある説明書を読んでびっくりした。美香ちゃんに指をさすと、美香ちゃんも驚いたようだった。
「ここまで来ると、もう好みだね」
岡本君の言った言葉に私たちは皆うなづいた。
「おいこと、どれにするんだ?」
「う~ん、これかな」
「ふう~ん」
俊介に聞かれて、私は文学作品や植物図鑑などが入ったものを指さした。いろいろな本がたくさん入っていてお得感がある。俊介は私が指さしたものをまたよく見はじめた。
「ねえ、美香ちゃんは?」
「私はこれ!」
美香ちゃんが指さしたのは、私がいいなと思ったものとは違うメーカーのものだった。
「これね、翔也君が買ったものと同じなの~」
もう美香ちゃんは、はじめから決めていたらしい。
「じゃあみな、決めたなら教科書販売のところに並ぼうか」
「そうだね」
私たちは岡本君の言葉を聞いて、教科書販売の列に並んだ。申込書を出すと、店員さんがその学校の教科書を用意してくれるというものだ。あとは参考書や電子辞書も希望を言えば、それもそこで買えるらしい。
私たちは教科書が重いので、参考書は後日買うことにした。教科書を受け取ると、ずっしりとした重みを手に感じた。それと同時に高校生活に思いをはせてちょっとだけ背筋が伸びた。
「ねえ、あの人達青竹高校なんだね~。頭よさそう~」
「あの二人、かっこいい!」
「ほんとかっこいいかも!あの子もかわいくない!」
私が先に会計を済ませて皆が来るのを待っていると、近くで声がした。今まさに会計をしようとしている俊介や岡本君そして美香ちゃんを見ている子たちが多い。
私も改めてギャラリーの一人として、俊介たちを見た。確かにほかの人達より抜きんでてかっこいい。岡本君は俊介とは違うタイプのかっこよさを発揮している。美香ちゃんもかわいい。
「おまたせ~」
まず美香ちゃんが私のもとにやってきた。そのあとを続いて俊介と岡本君がやってくる。私は、すかさず俊介と岡本君の教科書が入っている手提げ袋を覗いた。
私としては、彼らがどの電子辞書を選んだのか興味深々だった。入っている箱を見ると、二人とも美香ちゃんが選んだ電子辞書だった。
私はそれを見て自分の選択に焦り、今度は会計の列を見始めた。電子辞書を袋に入れる店員さんの動きをじーと見た。しばらく見ていたが、私が選んだ電子辞書の人も結構いる。ほっと一息ついた時だ。
「どうだった?」
俊介が面白そうな顔をして、私に声をかけてきた。私はそこで初めて、私を除く三人が私の様子をずっと見ていたことに気が付いた。
「みんな、どんな電子辞書を選ぶのかと思って。でも私と同じ電子辞書の人もいるみたいで安心した」
私が思わず言い訳がましく言ってしまうと、岡本君が強くうなづいた。
「確かに、自分だけ違うの選ぶと気になるよね。たまたま僕らは同じの選んだけど、笹竹さんが選んだものと相そう大差ないよ。大丈夫」
さすが岡本君だ。いつも学級委員をやるだけの事はある。私の心配をすぐに察してくれるとは。私は改めて尊敬のまなざしで岡本君を見た。
「ことってさ、絶対お買い得感だけで選んだだろ?」
俊介がにやって笑って、私が選んだ理由を言い当てた。
「そんなことないよ!」
「ほんとに違うの!」
ばれた私は必死で言い訳したのがいけなかったのか、俊介はわかったわかったという顔をしている。余計腹が立った私が、俊介に言い返していると、
「ねえちょうどお昼になるから、どこかで食べて帰らない?」
美香ちゃんが話題を変えるべく、今だ怒っている私に聞いてきた。
「お昼?いいねえ」
さっきまで俊介に怒りを感じていた私だが、お昼という言葉で途端にお腹が好きてきた。
「どこ行こうか」
岡本君も乗ってきた。
「バーガーでいいんじゃねえ」
「今、期間限定のあるよ!」
私はリュックをあさり、新聞の広告に入っていたチラシを取り出した。
「おお、いいね」
「ことちゃん、ぐっじょぶ」
「さすが食い意地の張っていることだけあるね~」
岡本君と美香ちゃんは賛成してくれたが、俊介は一言多かった。私は、チラシのクーポンを俊介だけ使わせるのをやめようと思ったのだった。
「おいこと、ここに電子辞書の見本がいくつかあるぞ」
俊介が参考書を見ている私を呼んだ。視線が私に集中した気がした。しかし俊介が呼んだのは、平凡すぎる私だったせいか視線はすぐに他へと移動していった。
「結構たくさんあるね」
「ほんとだ。どれがいいかな」
俊介が私を呼んだのを聞きつけて、ほかの参考書を見ていた美香ちゃんと岡本君も飛んできた。
「ねえ、こんな小さな辞書にいっぱいはいっているねえ」
「ほんとだね、ことちゃん」
私は、見本としておかれている電子辞書の後ろにある説明書を読んでびっくりした。美香ちゃんに指をさすと、美香ちゃんも驚いたようだった。
「ここまで来ると、もう好みだね」
岡本君の言った言葉に私たちは皆うなづいた。
「おいこと、どれにするんだ?」
「う~ん、これかな」
「ふう~ん」
俊介に聞かれて、私は文学作品や植物図鑑などが入ったものを指さした。いろいろな本がたくさん入っていてお得感がある。俊介は私が指さしたものをまたよく見はじめた。
「ねえ、美香ちゃんは?」
「私はこれ!」
美香ちゃんが指さしたのは、私がいいなと思ったものとは違うメーカーのものだった。
「これね、翔也君が買ったものと同じなの~」
もう美香ちゃんは、はじめから決めていたらしい。
「じゃあみな、決めたなら教科書販売のところに並ぼうか」
「そうだね」
私たちは岡本君の言葉を聞いて、教科書販売の列に並んだ。申込書を出すと、店員さんがその学校の教科書を用意してくれるというものだ。あとは参考書や電子辞書も希望を言えば、それもそこで買えるらしい。
私たちは教科書が重いので、参考書は後日買うことにした。教科書を受け取ると、ずっしりとした重みを手に感じた。それと同時に高校生活に思いをはせてちょっとだけ背筋が伸びた。
「ねえ、あの人達青竹高校なんだね~。頭よさそう~」
「あの二人、かっこいい!」
「ほんとかっこいいかも!あの子もかわいくない!」
私が先に会計を済ませて皆が来るのを待っていると、近くで声がした。今まさに会計をしようとしている俊介や岡本君そして美香ちゃんを見ている子たちが多い。
私も改めてギャラリーの一人として、俊介たちを見た。確かにほかの人達より抜きんでてかっこいい。岡本君は俊介とは違うタイプのかっこよさを発揮している。美香ちゃんもかわいい。
「おまたせ~」
まず美香ちゃんが私のもとにやってきた。そのあとを続いて俊介と岡本君がやってくる。私は、すかさず俊介と岡本君の教科書が入っている手提げ袋を覗いた。
私としては、彼らがどの電子辞書を選んだのか興味深々だった。入っている箱を見ると、二人とも美香ちゃんが選んだ電子辞書だった。
私はそれを見て自分の選択に焦り、今度は会計の列を見始めた。電子辞書を袋に入れる店員さんの動きをじーと見た。しばらく見ていたが、私が選んだ電子辞書の人も結構いる。ほっと一息ついた時だ。
「どうだった?」
俊介が面白そうな顔をして、私に声をかけてきた。私はそこで初めて、私を除く三人が私の様子をずっと見ていたことに気が付いた。
「みんな、どんな電子辞書を選ぶのかと思って。でも私と同じ電子辞書の人もいるみたいで安心した」
私が思わず言い訳がましく言ってしまうと、岡本君が強くうなづいた。
「確かに、自分だけ違うの選ぶと気になるよね。たまたま僕らは同じの選んだけど、笹竹さんが選んだものと相そう大差ないよ。大丈夫」
さすが岡本君だ。いつも学級委員をやるだけの事はある。私の心配をすぐに察してくれるとは。私は改めて尊敬のまなざしで岡本君を見た。
「ことってさ、絶対お買い得感だけで選んだだろ?」
俊介がにやって笑って、私が選んだ理由を言い当てた。
「そんなことないよ!」
「ほんとに違うの!」
ばれた私は必死で言い訳したのがいけなかったのか、俊介はわかったわかったという顔をしている。余計腹が立った私が、俊介に言い返していると、
「ねえちょうどお昼になるから、どこかで食べて帰らない?」
美香ちゃんが話題を変えるべく、今だ怒っている私に聞いてきた。
「お昼?いいねえ」
さっきまで俊介に怒りを感じていた私だが、お昼という言葉で途端にお腹が好きてきた。
「どこ行こうか」
岡本君も乗ってきた。
「バーガーでいいんじゃねえ」
「今、期間限定のあるよ!」
私はリュックをあさり、新聞の広告に入っていたチラシを取り出した。
「おお、いいね」
「ことちゃん、ぐっじょぶ」
「さすが食い意地の張っていることだけあるね~」
岡本君と美香ちゃんは賛成してくれたが、俊介は一言多かった。私は、チラシのクーポンを俊介だけ使わせるのをやめようと思ったのだった。
0
あなたにおすすめの小説
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
【短編】ちゃんと好きになる前に、終わっただけ
月下花音
恋愛
曖昧な関係を続けていたユウトとの恋は、彼のインスタ投稿によって一方的に終わりを告げた。
泣くのも違う。怒るのも違う。
ただ静かに消えよう。
そう決意してトーク履歴を消そうとした瞬間、指が滑った。
画面に表示されたのは、間の抜けたクマのスタンプ。
相手に気付かれた? 見られた?
「未練ある」って思われる!?
恐怖でブロックボタンを連打した夜。
カモメのフンより、失恋より、最後の誤爆が一番のトラウマになった女子大生の叫び。
離した手の温もり
橘 凛子
恋愛
3年前、未来を誓った君を置いて、私は夢を追いかけた。キャリアを優先した私に、君と会う資格なんてないのかもしれない。それでも、あの日の選択をずっと後悔している。そして今、私はあの場所へ帰ってきた。もう一度、君に会いたい。ただ、ごめんなさいと伝えたい。それだけでいい。それ以上の願いは、もう抱けないから。
隣の夫婦 ~離婚する、離婚しない、身近な夫婦の話
紫さゆり
恋愛
オムニバス形式です。
理解し合って結婚したはずの梓、同級生との再会が思わぬことになる雅美、年下の夫のかつての妻に引け目を感じる千晴、昔の恋の後悔から前向きになれない志織。
大人の女性のストーリーです。
魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました
iru
恋愛
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。
両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。
両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。
しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。
魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。
自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。
一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。
初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。
恋人になりたいが、年上で雇い主。
もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。
そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。
そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。
レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか?
両片思いのすれ違いのお話です。
【完結】少年の懺悔、少女の願い
干野ワニ
恋愛
伯爵家の嫡男に生まれたフェルナンには、ロズリーヌという幼い頃からの『親友』がいた。「気取ったご令嬢なんかと結婚するくらいならロズがいい」というフェルナンの希望で、二人は一年後に婚約することになったのだが……伯爵夫人となるべく王都での行儀見習いを終えた『親友』は、すっかり別人の『ご令嬢』となっていた。
そんな彼女に置いて行かれたと感じたフェルナンは、思わず「奔放な義妹の方が良い」などと言ってしまい――
なぜあの時、本当の気持ちを伝えておかなかったのか。
後悔しても、もう遅いのだ。
※本編が全7話で悲恋、後日談が全2話でハッピーエンド予定です。
※長編のスピンオフですが、単体で読めます。
幼馴染の許嫁
山見月あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。
彼は、私の許嫁だ。
___あの日までは
その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった
連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった
連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった
女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース
誰が見ても、愛らしいと思う子だった。
それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡
どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服
どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう
「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」
可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる
「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」
例のってことは、前から私のことを話していたのか。
それだけでも、ショックだった。
その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした
「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」
頭を殴られた感覚だった。
いや、それ以上だったかもしれない。
「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」
受け入れたくない。
けど、これが連の本心なんだ。
受け入れるしかない
一つだけ、わかったことがある
私は、連に
「許嫁、やめますっ」
選ばれなかったんだ…
八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる