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白石凛香
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空を見上げる女子高生、白石凛香には人には言えない秘密があった。
無数の黒い影が宙を舞い、獲物を狙う鳥のように凛香に襲い掛かる。
凛香は白を基調とした衣装を翻し、次々に襲い掛かる球体を避け続け、時折手にしていた銀色のステッキを大きく振った。
ピンクがかった光がその軌跡を描き、それに触れた影は弾け霧散する。
しばらくの間続いたそれが突然終わり、凛香は思わず足を止めた。
そしてその影の発生源、学校の屋上に目をやった。
それまで宙を舞っていた無数の黒い影がそこに集まり、巨大な一つの球体となっていた。
「こっちへの攻撃は囮ってことね。でも、させないよ!!」
凛香は大きく跳躍し、影の中心に向かってステッキを突きつけた。
青白い閃光が影に向かって一直線に飛んでいく。
しかしそれは影には届かず、間に割って入ってきた仮面の男に止められた。
「相変わらずのわかりやすさだな魔法少女。いくら力があろうと、届く前に妨害されちゃ意味ないだろ」
男は闇に溶けるような黒いローブをはためかせ、凛香を見下ろした。
凛香は、魔法少女である。
学校の裏にある「祠」を、ある組織から守っていた。
今戦っている男は、その組織の幹部である。
「お前の魔法は確かに強いが、お前自身は強くねぇ。攻撃も毎回毎回読みやすい。おかげで簡単に避けれて感謝してるぜ」
そう言って幹部の男はバカにしたように笑う。
「頭に使うべきモンが魔法にしか回ってないんじゃねーの?」
「……は?」
凛香はステッキを思い切り振り下ろす。
彼女の身長の倍以上ある風の刃が夜空を切り裂いた。
幹部の男はそれをあっさりと避けてみせる。
「だから、読みやすいつってんだろ?学習能力足りてるか?」
反撃とばかりに幹部の男が指を鳴らすと、青白い稲妻が蜘蛛の巣のように広がり、凛香を飲み込んだ。
ピンチかのように思われたが、凛香の唇は弧を描いていた。
「やっぱり、好き」
口の形だけでそう囁き、凛香は稲妻の網の中でステッキを真っ直ぐ幹部の男に向けた。
「わかりやすくたっていい。私の好きって思いは、絶対折れないから」
凛香の持つステッキの先が、まるで小さな太陽のように輝き始める。そして、ステッキの先から飛び出したそれは虹色の光を発して爆発した。
衝撃波が幹部の男を吹き飛ばす。学校の屋上に集まっていた影も、その衝撃でろうそくの火が消えるように消し飛んだ。
「チッ......不発か」
忌々し気にそう言い捨て、幹部の男はどこかに消えていった。
「追いかけないに?」
その声と共に、凛香の持つステッキが光る。
光が収まったそこには、ピンク色のイタチのような生き物がいた。
「追いかけないでもまたいつか来るでしょ?その時でいいよ」
「悠長なこと言ってないで早くトドメ刺すに!!」
「そんな急かさないでよ、ライク。今日はもう疲れたんだもん」
ライクと呼ばれたその生き物は、2年前、「祠」を守ることを条件に凛香に魔法の力を与えた契約者である。
「凛香の思いが本物だっていうなら魔法は尽きないに。だから追いかけるに!!」
「えー、だってそしたら終わっちゃうよ。それよりベッドに倒れたい」
白石凛香、16歳。
好きという思いを魔法に変える魔法少女である。
無数の黒い影が宙を舞い、獲物を狙う鳥のように凛香に襲い掛かる。
凛香は白を基調とした衣装を翻し、次々に襲い掛かる球体を避け続け、時折手にしていた銀色のステッキを大きく振った。
ピンクがかった光がその軌跡を描き、それに触れた影は弾け霧散する。
しばらくの間続いたそれが突然終わり、凛香は思わず足を止めた。
そしてその影の発生源、学校の屋上に目をやった。
それまで宙を舞っていた無数の黒い影がそこに集まり、巨大な一つの球体となっていた。
「こっちへの攻撃は囮ってことね。でも、させないよ!!」
凛香は大きく跳躍し、影の中心に向かってステッキを突きつけた。
青白い閃光が影に向かって一直線に飛んでいく。
しかしそれは影には届かず、間に割って入ってきた仮面の男に止められた。
「相変わらずのわかりやすさだな魔法少女。いくら力があろうと、届く前に妨害されちゃ意味ないだろ」
男は闇に溶けるような黒いローブをはためかせ、凛香を見下ろした。
凛香は、魔法少女である。
学校の裏にある「祠」を、ある組織から守っていた。
今戦っている男は、その組織の幹部である。
「お前の魔法は確かに強いが、お前自身は強くねぇ。攻撃も毎回毎回読みやすい。おかげで簡単に避けれて感謝してるぜ」
そう言って幹部の男はバカにしたように笑う。
「頭に使うべきモンが魔法にしか回ってないんじゃねーの?」
「……は?」
凛香はステッキを思い切り振り下ろす。
彼女の身長の倍以上ある風の刃が夜空を切り裂いた。
幹部の男はそれをあっさりと避けてみせる。
「だから、読みやすいつってんだろ?学習能力足りてるか?」
反撃とばかりに幹部の男が指を鳴らすと、青白い稲妻が蜘蛛の巣のように広がり、凛香を飲み込んだ。
ピンチかのように思われたが、凛香の唇は弧を描いていた。
「やっぱり、好き」
口の形だけでそう囁き、凛香は稲妻の網の中でステッキを真っ直ぐ幹部の男に向けた。
「わかりやすくたっていい。私の好きって思いは、絶対折れないから」
凛香の持つステッキの先が、まるで小さな太陽のように輝き始める。そして、ステッキの先から飛び出したそれは虹色の光を発して爆発した。
衝撃波が幹部の男を吹き飛ばす。学校の屋上に集まっていた影も、その衝撃でろうそくの火が消えるように消し飛んだ。
「チッ......不発か」
忌々し気にそう言い捨て、幹部の男はどこかに消えていった。
「追いかけないに?」
その声と共に、凛香の持つステッキが光る。
光が収まったそこには、ピンク色のイタチのような生き物がいた。
「追いかけないでもまたいつか来るでしょ?その時でいいよ」
「悠長なこと言ってないで早くトドメ刺すに!!」
「そんな急かさないでよ、ライク。今日はもう疲れたんだもん」
ライクと呼ばれたその生き物は、2年前、「祠」を守ることを条件に凛香に魔法の力を与えた契約者である。
「凛香の思いが本物だっていうなら魔法は尽きないに。だから追いかけるに!!」
「えー、だってそしたら終わっちゃうよ。それよりベッドに倒れたい」
白石凛香、16歳。
好きという思いを魔法に変える魔法少女である。
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