変装王寺の嫁さがし

久喜 まいたけ

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広島紅葉ちゃんにも事情がある。

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「え?」

まずうち。広島紅葉は驚いた。

試験に合格?王寺様のボディーガード?話がパッパ進んでついていけない。

「なんのことです?私は完敗したんよ?」

「そうだね。まず僕は完璧を求めてない。それこそ自分に規制をかけられるのは嫌だからね。プロはそこまでやるだろう。君もその高みまで行く。かもしれない。でもまだまだだ。現時点で自分が未熟だと認識してるなら向上する伸び代があると感じた。だから試験合格。そして採用だ。」

「採用といわれましても。」

「なんだ?すごいことだぞ!あの王寺グループの社長のボディーガードなんて!そして王寺グループと繋がりが……」

教官、益田が食いぎみで言っている。最後はモゴモゴ言ってて聞こえんかった。

確かに自分を認めてくれたのは嬉しい。いや、まてまだ完璧じゃないとディスられているのか?

でも伸び代がまだまだあると言ってもらえるのは悪くなかった。

でもでもあかん。

これからうちは妹たちを護らなければいけないから。



ちょっと昔話をしよう。

私、広島紅葉は5人姉妹の一番上だ。

島根県津和野で生まれ山や川、自然のなかですくすく育った。

地元では美人5姉妹と地方雑誌で特集を組まれるくらいでそれ以外はいたって普通な生活をしていた。

しかしその幸せも長く続かず。

親が離婚。父の暴力がひどく母と私たちは出雲へ引っ越した。

父は他に女をつくって東京へ行ったらしい。

父は顔やルックスなどはよかったが中身はグズだ。

私はいなくなって逆に清々したのを覚えてる。

母にもまわりの人たちからもすごく良くしてもらって私は苦しいなんて思わなかった。

うちは中学を卒業したら就職する。家計を助けたい。

妹たちは4つ子だ。

食費はもちろんこれから中学に上がる際の制服代などいろいろかかる。

母には心配かけたくなかったのだ。

しかし母には反対された。

「うちに任しとき!あんたは学生らしく青春を謳歌すればいいんよ。」

「でもうち働いてみんなを助けたい。」

「そんな心配せんと。高校からも推薦がきとるんやろ?じゃああと3年。高校だけでもいってきんしゃい。それが母ちゃんのお願いだわ。」

「……っ。あんがと母ちゃん。わかったわ。」

高校生活は節制してバイトしながら通わせてもらった。みんなは恋だなんだのと舞い上がっていたが。

私にはそんな余裕はなかった。酷い父を見てきたし男は苦手だった。とくに言い寄ってくる男らは。

そして卒業。地元企業に就職と順調に行くはずだった。

そうあの日までは。

妹たちが遠くの学園へスカウトがきた。妹たちも母のことを気にかけていたのだろう。

頭もスポーツもいいとは言えないのになぜ?

食費も生活費も学園がもつ条件を見て行ってしまった。

あの母の悲しむ顔は今でも覚えてる。

「みんなで楽しく暮らしたかった。」

そんな言葉を呟く母は力もなく寝たきりになっていった。

それから暫くしてだ。妹たちがテレビに出始めたのは。

「あいつらー連絡もせんと何をやっとるんか!?母ちゃんまっとって!今すぐ妹たちを連れ戻してくるけん。」

うちは事務所へ乗り込んだ。

夜行バスに乗り。約束もなく事務所のドアを叩いた。

「なににな~になごと?あ~新人さん募集してないんだけど~?んん!!?」

なんだこのチャラそうなヤツ。上下白のスーツに金縁のメガネ。八重歯が金歯なのがいけすかない。

「私この会社の社長十文字といいまぁぁーす。君もこれでタースーだわ!」

何を言ってるんだこの男は?だから男は嫌いなんだ。こんなところに妹たちを置いてはおけない。絶対連れ戻してやる。

うちは白のスーツを鷲掴みして怒鳴り付けた。

「おい。妹たちはどこだ。はやくあわせろ。」

「なににな!?どういうこと!?」

「私はあいつらの姉だ。連れ戻しにきた。妹たちを渡せ。」

「いきなり暴力はナッシング!!?マッスールヘルプ!」

すると身体が宙に浮いた。

なんだ?気配が感じなかった。これはヤバい。

うちは身体を揺すって上に足をあげ肩を外し持ち上げていた人物の背後にまわる。

「なかなかいい身のこなしですね。」

そこには筋肉ダルマが置いて、いや筋肉ダルマがいた。

「筋肉ダルマさん。ちょっとそこどいてくれない?私はその胡散臭い人に話があるんよ!」

「申し訳ないがこれも仕事なんでね。その願いはきけないね。」

話をすると大胸筋が別の生き物のように動く。

正直気持ち悪い。

「じゃあ押し通る。」

うちは地面を強く蹴った。あれだけの筋肉だ。相当重いはず。バイトで鍛えたステップでかわして背後をとる。

「これで終わりや!」

渾身の蹴りを筋肉ダルマの膝裏へ叩きこんだ。

しかし、そう上手くいかない。筋肉ダルマにはダメージを与えられなかった。

「そんな!?うちの蹴りが効かないなんて?化け物か?」

「なかなか筋肉に響くいい一撃だった。でわこちらも悪い子にはお仕置きだ。」

そう言って姿が消えて見えた。いやそこで意識を失ったらしい。

私は事務所のソファーに寝かせられていた。

「いつつっ!?」

「気がつきましたよ。」

「あーおはおは!」

十文字が気づいて寄ってきた。

「なんや!?うちをどうする気や?」

「いやどうもしないけど説明させてよ?さっきはいきなり暴力できてたから。話もできなかったでしょ!?」

金歯をみせてのスマイルがイライラさせる。

「じゃあ説明しろや?妹たちはどこにいるねん?おたくの事務所に所属しとるんやろ?おかんやうちに断りもなくそそくさといきくさって!!誘拐とかわらんやろ!?」

「いやそこはメンゴメンゴ。でももで妹さんたちが決めたことだよ。早く行きたいって。手紙書いたから大丈夫って。」

「家をでます。学校いきながら働くから心配しないでそれじゃ。のどこが安心するんじゃ!!?そこは妹たちをしかる。でもなんも説明せんと連れていくのもどうなん?警察も相手にしてくれんかった。どうしてや?」

「それは私から説明させていただきます。」

筋肉を動かしながら益田という男?ダルマ?が寄ってきた。
気持ち悪い。

「私は小野財閥の執事兼ボディーガードをしています。益田と申します。」

「小野財閥?あの四大財閥の?」

「左様です。小野財閥は主にサイバー事業に力を入れております。」

「それはわかっとるよ。でもなんで妹たちと関係あるん?」

「それは妹様方を小野財閥がお預かりしているからです。」

「なんやて?なんで天下の四大財閥の小野財閥に妹たちが?」

「これには深い訳があるのです。あれは数ヵ月前。ご主人様がお忍びでご旅行されました。そこが津和野です。」

「はぁ。」

「そこで川遊びをされている少女たちを見かけご主人様と意気投合。ご主人様の経営なさっている学園で面倒を見ています。」

「すごい割愛してる!?全然わからない!?どういうこと?」

「その時ご主人様はアイドル事業を立ち上げを計画しておりまして人材発掘をご自身でされておりました。その時に津和野で妹様たちと出会ったのです。小野家のことには国は対処できませんよ。国家機関の防衛プログラムはわが社が作成し運営してますので。」


「だから警察が対応してくれんかったのか。国も弱くなったもんや。で妹たちを返してはくれんか?母ちゃんも落ち込んで寝たきりになってしまってんのや。」

「でしたらお母様も一緒にこっちに来て暮らしていただいても結構ですよ。」 

「ほんま!?」

「しかし、条件があります。」

「なんや?」

「あなたもアイドルになっていただきます!」

「はぁ!?いややそんなの!うちは男が大嫌いやねん。」

「でしたら妹様たちにはあえませんよ。うちの学園でボディーガードがついておりまして徹底ガードしてますので。」

「ガードって益田さんみたいなヤツがか?」

「ヤツって。まあいいでしょう。そうですよ。私みたいな屈強な輩が囲っています。」 

あ、それあかんやつや。妹たちがある意味危ない。

「じゃあおっちゃんうちアイドルじゃなくてボディーガードになるわ!」

「おっちゃん!?私はこれでも25なのに!?」

「え?まあ聞かなかったことにするわ。でわよろしく。」

「まあボディーガードという名目で妹さんたちと一緒にいれば新メンバーであとで入れれば…ふむふむ。」

「なにモゴモゴいってるんや?いいんか?だめなんか?」

「ああ。ご主人様に連絡をとる。」


数分後。

「今ご主人様から連絡が届いた。今はボディーガードで採用するとのことだ。」


「今は?まあいいわ。これで母ちゃんも妹たちも一緒にいれて護れるってことやな?」

「そうだが。お前はまだ基礎も知らんだろ?これからは研修期間だ。びしばししごく。覚悟しとけよ!」

あれ?口調変わってる。もうはじまってるったことか。

「わかりました。よろしくお願いいたします!」







あれから2年。

訓練はキツかったが母ちゃんも妹たちと暮らしてると手紙がきてるしあとは私だけだ。

そう思った矢先のこの申し出。

やはり家族みんなで暮らしたい。


「譲様。申し訳ございません。私はこのお話をお断り致します。」


「なななななんだって~~!!?!?」

譲が反応する前に筋肉ダルマが吠えた。


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いつも読んでいただいてる方ありがとうございます。


まいたけです。今回は少し長くなりました。

紅葉ちゃんの過去の話になります。

紅葉ちゃんはボディーガードを断るのですが今後どうなるか?

お気に入り登録や感想などお待ちしてます。

これからもよろしくお願いいたします。



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