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③計画
双発艦攻
支那事変が始まってしばらくした頃。
連合艦隊司令長官に就任した山本は長門の長官室で考えを巡らせていた。
(必ず、将来の海戦では航空機が主役になる…我が海軍は早々に空母増産に当たらねばならない…)
だが、ここで信頼を置いていた井上成美少将が言っていたことを思い出した。
『空母から出撃できる航空機の航続距離などたかが知れております。確かに空母どうしの戦いならば不足はないでしょうが諸島への攻撃の際には不利に立たされる可能性があります』
この井上の意見は正論であり山本も無下には出来なかった。
(井上の言う通り、空母艦載機の航続距離など陸攻に比べればたかが知れている…いっそ陸攻を空母に積めればいいのだが…)
ここまで考えて山本は突然目を丸くした。
(そうだ!陸攻、いや双発機の艦上機を開発すればいいのだ!)
帝国海軍ではその昔、双発機を艦載機化する計画があった。
あいにく、その当時の日本の技術力では実現することが出来ず、艦載機化される予定だったその機体は九三式”陸攻”と名前を改められ、配備されたのである。
これが陸攻の黎明期であった。
これから考えてみると、陸攻と言うのは元々空母艦載機として設計されていた機体である。
航空技術が格段に進歩した現在なら、いわば”双発艦上攻撃機”の開発もできるのではないか。
これが山本が双発機の艦載機化という考えに思い至った理由である。
(すでに前例があったではないか…すぐに空技廠に持って行こう!)
山本の行動は早かった。
「双発艦攻…ですか」
応対した海軍航空技術廠長の和田操少将は興味深げに言った。
「あぁ、もしこれが可能なら我が艦隊は比較的安全に敵諸島を攻撃できる!」
山本がそう熱弁する中で、和田は頭の中でもうすこし踏み込んでいた。
(双発なら、急行爆撃機と雷撃機を統合した機体が開発できるかもしれいない!)
もし和田が考えていたようなことが可能になれば、空母に艦載する航空機は戦闘機と双発機だけで良いことになる。
だが、そもそも”双発機がしっかり空母で運用できるのか!?”と言う疑問も当然あったのである。
「大方分かりました…。ですが一度試作機を製作し、母艦に着艦できるかを確認しなければなりません」
すると山本は即座に答えた。
「分かっている。金には糸目を付けん。やってくれないだろうか」
尊敬する先輩に頭を下げられればもはや和田は頷くことしか出来なかった。
「分かりました!全身全霊で開発に当たります!」
こうして双発艦攻の開発は開始されたのである。
連合艦隊司令長官に就任した山本は長門の長官室で考えを巡らせていた。
(必ず、将来の海戦では航空機が主役になる…我が海軍は早々に空母増産に当たらねばならない…)
だが、ここで信頼を置いていた井上成美少将が言っていたことを思い出した。
『空母から出撃できる航空機の航続距離などたかが知れております。確かに空母どうしの戦いならば不足はないでしょうが諸島への攻撃の際には不利に立たされる可能性があります』
この井上の意見は正論であり山本も無下には出来なかった。
(井上の言う通り、空母艦載機の航続距離など陸攻に比べればたかが知れている…いっそ陸攻を空母に積めればいいのだが…)
ここまで考えて山本は突然目を丸くした。
(そうだ!陸攻、いや双発機の艦上機を開発すればいいのだ!)
帝国海軍ではその昔、双発機を艦載機化する計画があった。
あいにく、その当時の日本の技術力では実現することが出来ず、艦載機化される予定だったその機体は九三式”陸攻”と名前を改められ、配備されたのである。
これが陸攻の黎明期であった。
これから考えてみると、陸攻と言うのは元々空母艦載機として設計されていた機体である。
航空技術が格段に進歩した現在なら、いわば”双発艦上攻撃機”の開発もできるのではないか。
これが山本が双発機の艦載機化という考えに思い至った理由である。
(すでに前例があったではないか…すぐに空技廠に持って行こう!)
山本の行動は早かった。
「双発艦攻…ですか」
応対した海軍航空技術廠長の和田操少将は興味深げに言った。
「あぁ、もしこれが可能なら我が艦隊は比較的安全に敵諸島を攻撃できる!」
山本がそう熱弁する中で、和田は頭の中でもうすこし踏み込んでいた。
(双発なら、急行爆撃機と雷撃機を統合した機体が開発できるかもしれいない!)
もし和田が考えていたようなことが可能になれば、空母に艦載する航空機は戦闘機と双発機だけで良いことになる。
だが、そもそも”双発機がしっかり空母で運用できるのか!?”と言う疑問も当然あったのである。
「大方分かりました…。ですが一度試作機を製作し、母艦に着艦できるかを確認しなければなりません」
すると山本は即座に答えた。
「分かっている。金には糸目を付けん。やってくれないだろうか」
尊敬する先輩に頭を下げられればもはや和田は頷くことしか出来なかった。
「分かりました!全身全霊で開発に当たります!」
こうして双発艦攻の開発は開始されたのである。
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