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第1章 ソロキャンパー、大地に立つ(異世界の)
16、ソロキャンパー、力を得る。 ①
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****
『『ッ!いかん!!避けるのじゃ!ユズル!!!』
・・・え?
空がほんの少し煌めいた直後に浜辺に穴が穿たれる、・・・それは星の光がそのまま光線となって落ちて来たかの様に思えた。
直径こそ2メートルに満たない程度ではあるがその熱量は凄まじく、タラスクの叫びが無ければ直撃したであろうその場所に空いた穴は、どこまでも続く、それこそ奈落の底へ続いているのではと思わせる深い穴であった。
穴の縁はマグマをそのまま流したように赤黒く赤熱しており、煉獄の炎が突然現れたかの様に燃え盛っている。
タラスクの叫びもありユズルは命こそ奪われてはいない様に見える。
しかし、避ける為に右に飛んだのであろう、その左半身は傍から見ても明らかに重症だと分かる酷い火傷に覆われており、その体はピクリとも動いていない。
「ユズルさんッ!!」
アイーシャがユズルの下へ駆ける。
幾度となく回復魔法を発動している様だが、ユズルが目を覚ます気配は無い。
「あれ?案外脆いんだね?これ位で死んじゃう?」
その声は先程の光と同じく頭上から降って来た様に聞こえた。
皆が頭上を仰ぐ。
それはまさに神を仰ぎ見るかの如く、だった。
その魔法の威力に、その圧倒的な気配に、そして頭上に浮かぶ少年の背中に広がる二対のそれに。
恐れ、畏怖、そう言ったモノをまとめて目に浮かべながらその少年を仰ぎ見る。
・・・一人を除いて。
『『何故貴様達がここにおる!・・・彼の者共よ!!』』
****
タラスクが「彼の者」と呼ぶそれは少年の姿をしていた。白銀の髪を持ち、揺れる前髪の間に金色の瞳が輝いており、背中の羽根は大きく広げられゆっくりと揺れている。
「何故って?僕たちはいつも通り遊びに来ただけだけど?」
少年はそれがさも当たり前のことだという様に両の口角を不気味に吊り上げる。
その声には邪気など一切無かった。
まるで友人を遊びに誘いに来た、と言われても信じてしまいそうなその声色は、その美麗な見た目と相まって見るものに底知れぬ恐怖を感じさせた。
『『・・・遊びに、じゃと?』』
「そうだよ?いつも通りに遊びに来ただけ~。なんか僕変なこと言ってるかな?」
『『・・・貴様等は遊びで生き物を殺め、森を街を、この世界を破壊する・・・というのか?』』
タラスクの両拳が震える。
握りしめたその拳からは赤いものが流れ落ちていた。
「だからそう言ってるでしょ?何度も同じこと言わせないでよ、イライラするな~」
『『今までの全てが遊びだったと・・・、とても納得いくものではないが、貴様等がそう言うのであればそうなのじゃろう。だが何故貴様等が今ここにいる?何故兆候が無い?』』
「兆候?・・・兆候、・・・ああ『シグナル』の事?」
『『それを何と呼ぶかなぞどうでもいいが、貴様等が来る前には必ず兆候があった。それが無かったのは・・・、貴様等が何かしたというのことかの・・・』』
「そりゃそうだよ。今まで態々『シグナル』使って知らせてあげてたんだから」
吊り上げられた口角の角が更に上がる。
『『・・・何?』』
「ゲームってさ、簡単だとつまらないでしょ?少しくらい歯ごたえがないとね。だから抗える準備が出来る様に『シグナル』で教えてたって訳、もうすぐ遊びに行くよってね!」
『『・・・儂等が感じていた兆候は予感等ではなく貴様等が・・・、では何故今回はそれを知らせなかった?』』
「飽きちゃったんだよね~。いつもはゲームついでにこの星の資源を持っていくんだけど、そのゲームの部分にさ、飽きちゃったんだ!だって君たち弱いじゃん」
「・・・だから滅ぼそうと思って」
顔に貼りついた三日月の角度を深めながら少年はそう言った。
****
『・・・マス・・・』
体が痛い。焼けるような痛みと高層ビルから落下した様な(実際に落下したことはないけど)痛みが体中を襲う。
いったい何が起きたのだろうか。
タラちゃんの叫び声、その後にまばゆい光と凄まじい衝撃が体を襲ったのは覚えている。
何かに攻撃されたのだろう、それは分かる。
『・・・コエマスカ・・・』
体を動かそうとするがピクリとも動かない。ならば声を出そうと試みる。呻き声すら出ない。
『・・・キコエマスカ・・・ワタシハイマ・・・』
アイーシャやタラちゃん達は無事なのだろうか?あのタラちゃんがいるから無事だろうとは思うけど。
『・・・キコエマスカ・・・ワタシハイま貴方の心の中に語りかけています・・・』
・・・さっきから五月蠅いな!いったい何なの!?ヤム〇ャなの?ポ〇ラ?それとも仏教の開祖なの?
『ひぃっ!ごめんなさい~』
・・・どちら様?
****
『『滅ぼすじゃと?』』
「そ!もういいかなって、飽きたゲームって詰まんないし、いっつもいいところで邪魔が入るしさ~。この星から持っていく分の資源もあらかた貯まったしさ。もういらないじゃんこの星!って感じかな」
『『邪魔が入る?』』
「うん!いい感じになったところで大体君たちの邪魔が入るでしょ?で、そのせいで僕たちは母船に強制送還、本当つまんないよね~、だから今回は先に邪魔を排除しちゃおうって」
『『・・・ユズルのことか?』』
「そ!名前はどうでもいいけど、君たちが毎回呼んでる『彼岸』からの助っ人?いっつも良いところで邪魔してくれるんだよね?だから先に壊しとこうと思って」
『『壊す・・・じゃと?』』
タラスクの両腕が軋む。
「うん。だから上から一発撃ったんだけど・・・、しぶといね、彼」
壮絶な気配がタラスクの周囲に集まり、そのきめ細やかな肌が金色にふちどられた真紅の鱗に覆われていく。
少年を睨みつけるアメジストの瞳は爛々と輝き、黒い炎が揺らめいているようにも見える。背中には、本来の姿を彷彿とさせる翼がはためいていた。
『『もう良いわ。アイーシャ、皆を退げろ。』』
「でも、タラちゃん様は?」
『『儂の事は構わぬ。とにかくユズルを死なせてはならぬ!奴を連れて退がれ!!』』
「は、はいっ!」
アイーシャ達がある程度後方に退いたのを確認すると、タラスクは彼女等に結界を施す。
『『では神の一柱よ。・・・儂の力を思い知るがよい!』』
****
目の前に白一色の光景が拡がっている。
中心にはテーブルセットがあり、そこでこれまた真っ白な少女がこちらを向いている。
若干こちらに怯えている様で、胸の前でギュッと体を抱くようにして縮こまっていた。
「ええと、ここはどこで、あなたはどちら様でしょうか?」
「は、はい、私は神です!」
・・・どういうことだ?神ってことは、タラちゃんが言うあの神々ってことなのか?
「いえ、違いますよ」
ッ!?心を読まれた?
「だからさっきから呼びかけてたじゃないですか!なのにあんなに怒るんですもの」
だってうざかったし。あんなネタみたいな呼びかけされたらそりゃイラってするでしょ!
「ですが、地球では心の中に呼びかける時はああすると言われまして・・・」
誰だよいらん事教えたのは!
「夫です!」
「夫!?神様に夫がいるの!?」
思わず声に出てしまった、だけど聞きたいことはそうじゃない。
「あなたが神様?ってことは【神々の収穫】をやっちゃってる人?」
「いえ、違いますよ!私は地球の概念での『神』に定義されるものです」
「え?てことは、収穫の神々は?」
「それについても説明いたしますので、まあ、お座りくださいな」
そういわれ、勧められるがままに椅子に座る。
「まあまあ、コーヒーでも如何ですか?」
「あ。ありがとうございます」
・・・何このコーヒー、すごく美味しいんですけど。
「ええと、コピ、コピ、コピルーでしたっけ?」
ふぁー、コピ・ルアクか。初めて飲んだー、ってなんでそんなものがここにあるの!?
「夫が持ってきてくれたんです」
へー、凄いんですね旦那さん、態々地球から・・・って、そんな話してる場合じゃなあぁい!!
「そうでしたそうでした、彼の者たちについてでしたね」
神様は、この星『ダリア』の管理を任されている中間管理職的な神様らしく、ダリアに住む者たちからは認知されておらず常に裏方で頑張ってきたのだが、最近結婚して夫が出来た。
で、夫ラブになってしまった神様は『ダリア』の危機管理を少しだけさぼってしまった。
「それでちょっとまずいことになりまして・・・」
【収穫】を行う彼の者達、彼らは地球でいう『宇宙人』にあたり、この星『ダリア』を含む周辺の銀河系にある有人惑星を一つずつ、それこそ数百年かけて周回し、各惑星毎に資源を回収、母星へと持ち帰っているらしかった。
この銀河において圧倒的な力を持つ彼ら『エスペラーザ』は資源回収をゲームとみなし、殺戮を、破壊を、蹂躙を楽しむのだという。
普段であればゲームに歯ごたえを求める『エスペラーザ』が蹂躙する星に到着する前に信号をその星に送って、迎撃の準備をさせるのだそうだ。
そして、本来ならばその信号を感知した『神代の者』が召喚を行い、神様が召喚の手助けをこっそりするらしい。
ただ今回は神様が少しだけ色ボケしていた上に信号がなかった。
「で、到着目前に気づいたのです・・・」
・・・ほぼあんたが悪いんじゃないかーーーい!!!
「返す言葉もございません・・・」
・・・? でも、信号が無かったのに何故僕は召喚されたんだ?
「それも私が・・・」
・・・それもあんたかーーー!
「すいません・・・、ですがどうしようもなく・・・」
「どうしようもなくって・・・、神様なら『エスペラーザ』を倒せるんじゃないの?」
「いえ、私たちは管理する星の者に助力は出来ても、直接他の星の者に手出しするのは禁じられているのです」
「そうなんですか・・・」
「はい・・・、就業規則で」
・・・就業規則あんのかーーーい!
「ちなみに36協定もしっかり守られていて、残業代もきっちり5分単位で出ます」
・・・がっつりホワイト企業やないかーーーい!!
「有給消化率100%です」
・・・ホワイトどころの話じゃない、って話の続き!
「そうでした。まあ、そのように召喚を行わせて頂いたのですが、私一人で行う召喚はやはり不完全だったのでしょう。本来得るはずの能力が不完全な形で与えられてしまったのです。」
「なるほど、だからステータス画面でもファイル破損なんて文字が・・・」
「はい、ですので今から能力の修正を行います。・・・半分ですが」
「半分?」
「はい、今の状態で修正を完全に行ってしまうと、深刻なエラーが出てしまう可能性が高いのです。ですのでエラーが出ない範囲での修正、それが半分ですね」
・・・それは分かった。だけどこの作業をなぜ早く行わなかったんだ?
「それは、異世界からの来訪者に対しては対象が無意識下、かつ衰弱した状態でないと干渉が不可能だったからです」
今回でバイパスを接続したので今後は無意識下であれば干渉可能ですが・・・、と神様は続ける。
現在降りてきている『エスペラーザ』は先遣部隊の様で極少数、その為一旦退けることは可能だがあくまで一時的なものですぐに全軍で進行してくる筈。
間に合う様、神様側でも急ぐが残りの修正に関しては器そのもの、要するに僕自身がまだ力をつけなくてはならないらしい。
その為にも今の危機を脱したら、再び神代の者に会う旅を続けてほしいとのことだった。
神代の者は全部で10、後9か所を半年で廻ることになる。
「む。いけませんね『竜』が押され始めましたか」
・・・タラちゃんが?
「時間が無くなってきたようです。すぐに修正を始めましょう!」
『『ッ!いかん!!避けるのじゃ!ユズル!!!』
・・・え?
空がほんの少し煌めいた直後に浜辺に穴が穿たれる、・・・それは星の光がそのまま光線となって落ちて来たかの様に思えた。
直径こそ2メートルに満たない程度ではあるがその熱量は凄まじく、タラスクの叫びが無ければ直撃したであろうその場所に空いた穴は、どこまでも続く、それこそ奈落の底へ続いているのではと思わせる深い穴であった。
穴の縁はマグマをそのまま流したように赤黒く赤熱しており、煉獄の炎が突然現れたかの様に燃え盛っている。
タラスクの叫びもありユズルは命こそ奪われてはいない様に見える。
しかし、避ける為に右に飛んだのであろう、その左半身は傍から見ても明らかに重症だと分かる酷い火傷に覆われており、その体はピクリとも動いていない。
「ユズルさんッ!!」
アイーシャがユズルの下へ駆ける。
幾度となく回復魔法を発動している様だが、ユズルが目を覚ます気配は無い。
「あれ?案外脆いんだね?これ位で死んじゃう?」
その声は先程の光と同じく頭上から降って来た様に聞こえた。
皆が頭上を仰ぐ。
それはまさに神を仰ぎ見るかの如く、だった。
その魔法の威力に、その圧倒的な気配に、そして頭上に浮かぶ少年の背中に広がる二対のそれに。
恐れ、畏怖、そう言ったモノをまとめて目に浮かべながらその少年を仰ぎ見る。
・・・一人を除いて。
『『何故貴様達がここにおる!・・・彼の者共よ!!』』
****
タラスクが「彼の者」と呼ぶそれは少年の姿をしていた。白銀の髪を持ち、揺れる前髪の間に金色の瞳が輝いており、背中の羽根は大きく広げられゆっくりと揺れている。
「何故って?僕たちはいつも通り遊びに来ただけだけど?」
少年はそれがさも当たり前のことだという様に両の口角を不気味に吊り上げる。
その声には邪気など一切無かった。
まるで友人を遊びに誘いに来た、と言われても信じてしまいそうなその声色は、その美麗な見た目と相まって見るものに底知れぬ恐怖を感じさせた。
『『・・・遊びに、じゃと?』』
「そうだよ?いつも通りに遊びに来ただけ~。なんか僕変なこと言ってるかな?」
『『・・・貴様等は遊びで生き物を殺め、森を街を、この世界を破壊する・・・というのか?』』
タラスクの両拳が震える。
握りしめたその拳からは赤いものが流れ落ちていた。
「だからそう言ってるでしょ?何度も同じこと言わせないでよ、イライラするな~」
『『今までの全てが遊びだったと・・・、とても納得いくものではないが、貴様等がそう言うのであればそうなのじゃろう。だが何故貴様等が今ここにいる?何故兆候が無い?』』
「兆候?・・・兆候、・・・ああ『シグナル』の事?」
『『それを何と呼ぶかなぞどうでもいいが、貴様等が来る前には必ず兆候があった。それが無かったのは・・・、貴様等が何かしたというのことかの・・・』』
「そりゃそうだよ。今まで態々『シグナル』使って知らせてあげてたんだから」
吊り上げられた口角の角が更に上がる。
『『・・・何?』』
「ゲームってさ、簡単だとつまらないでしょ?少しくらい歯ごたえがないとね。だから抗える準備が出来る様に『シグナル』で教えてたって訳、もうすぐ遊びに行くよってね!」
『『・・・儂等が感じていた兆候は予感等ではなく貴様等が・・・、では何故今回はそれを知らせなかった?』』
「飽きちゃったんだよね~。いつもはゲームついでにこの星の資源を持っていくんだけど、そのゲームの部分にさ、飽きちゃったんだ!だって君たち弱いじゃん」
「・・・だから滅ぼそうと思って」
顔に貼りついた三日月の角度を深めながら少年はそう言った。
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『・・・マス・・・』
体が痛い。焼けるような痛みと高層ビルから落下した様な(実際に落下したことはないけど)痛みが体中を襲う。
いったい何が起きたのだろうか。
タラちゃんの叫び声、その後にまばゆい光と凄まじい衝撃が体を襲ったのは覚えている。
何かに攻撃されたのだろう、それは分かる。
『・・・コエマスカ・・・』
体を動かそうとするがピクリとも動かない。ならば声を出そうと試みる。呻き声すら出ない。
『・・・キコエマスカ・・・ワタシハイマ・・・』
アイーシャやタラちゃん達は無事なのだろうか?あのタラちゃんがいるから無事だろうとは思うけど。
『・・・キコエマスカ・・・ワタシハイま貴方の心の中に語りかけています・・・』
・・・さっきから五月蠅いな!いったい何なの!?ヤム〇ャなの?ポ〇ラ?それとも仏教の開祖なの?
『ひぃっ!ごめんなさい~』
・・・どちら様?
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『『滅ぼすじゃと?』』
「そ!もういいかなって、飽きたゲームって詰まんないし、いっつもいいところで邪魔が入るしさ~。この星から持っていく分の資源もあらかた貯まったしさ。もういらないじゃんこの星!って感じかな」
『『邪魔が入る?』』
「うん!いい感じになったところで大体君たちの邪魔が入るでしょ?で、そのせいで僕たちは母船に強制送還、本当つまんないよね~、だから今回は先に邪魔を排除しちゃおうって」
『『・・・ユズルのことか?』』
「そ!名前はどうでもいいけど、君たちが毎回呼んでる『彼岸』からの助っ人?いっつも良いところで邪魔してくれるんだよね?だから先に壊しとこうと思って」
『『壊す・・・じゃと?』』
タラスクの両腕が軋む。
「うん。だから上から一発撃ったんだけど・・・、しぶといね、彼」
壮絶な気配がタラスクの周囲に集まり、そのきめ細やかな肌が金色にふちどられた真紅の鱗に覆われていく。
少年を睨みつけるアメジストの瞳は爛々と輝き、黒い炎が揺らめいているようにも見える。背中には、本来の姿を彷彿とさせる翼がはためいていた。
『『もう良いわ。アイーシャ、皆を退げろ。』』
「でも、タラちゃん様は?」
『『儂の事は構わぬ。とにかくユズルを死なせてはならぬ!奴を連れて退がれ!!』』
「は、はいっ!」
アイーシャ達がある程度後方に退いたのを確認すると、タラスクは彼女等に結界を施す。
『『では神の一柱よ。・・・儂の力を思い知るがよい!』』
****
目の前に白一色の光景が拡がっている。
中心にはテーブルセットがあり、そこでこれまた真っ白な少女がこちらを向いている。
若干こちらに怯えている様で、胸の前でギュッと体を抱くようにして縮こまっていた。
「ええと、ここはどこで、あなたはどちら様でしょうか?」
「は、はい、私は神です!」
・・・どういうことだ?神ってことは、タラちゃんが言うあの神々ってことなのか?
「いえ、違いますよ」
ッ!?心を読まれた?
「だからさっきから呼びかけてたじゃないですか!なのにあんなに怒るんですもの」
だってうざかったし。あんなネタみたいな呼びかけされたらそりゃイラってするでしょ!
「ですが、地球では心の中に呼びかける時はああすると言われまして・・・」
誰だよいらん事教えたのは!
「夫です!」
「夫!?神様に夫がいるの!?」
思わず声に出てしまった、だけど聞きたいことはそうじゃない。
「あなたが神様?ってことは【神々の収穫】をやっちゃってる人?」
「いえ、違いますよ!私は地球の概念での『神』に定義されるものです」
「え?てことは、収穫の神々は?」
「それについても説明いたしますので、まあ、お座りくださいな」
そういわれ、勧められるがままに椅子に座る。
「まあまあ、コーヒーでも如何ですか?」
「あ。ありがとうございます」
・・・何このコーヒー、すごく美味しいんですけど。
「ええと、コピ、コピ、コピルーでしたっけ?」
ふぁー、コピ・ルアクか。初めて飲んだー、ってなんでそんなものがここにあるの!?
「夫が持ってきてくれたんです」
へー、凄いんですね旦那さん、態々地球から・・・って、そんな話してる場合じゃなあぁい!!
「そうでしたそうでした、彼の者たちについてでしたね」
神様は、この星『ダリア』の管理を任されている中間管理職的な神様らしく、ダリアに住む者たちからは認知されておらず常に裏方で頑張ってきたのだが、最近結婚して夫が出来た。
で、夫ラブになってしまった神様は『ダリア』の危機管理を少しだけさぼってしまった。
「それでちょっとまずいことになりまして・・・」
【収穫】を行う彼の者達、彼らは地球でいう『宇宙人』にあたり、この星『ダリア』を含む周辺の銀河系にある有人惑星を一つずつ、それこそ数百年かけて周回し、各惑星毎に資源を回収、母星へと持ち帰っているらしかった。
この銀河において圧倒的な力を持つ彼ら『エスペラーザ』は資源回収をゲームとみなし、殺戮を、破壊を、蹂躙を楽しむのだという。
普段であればゲームに歯ごたえを求める『エスペラーザ』が蹂躙する星に到着する前に信号をその星に送って、迎撃の準備をさせるのだそうだ。
そして、本来ならばその信号を感知した『神代の者』が召喚を行い、神様が召喚の手助けをこっそりするらしい。
ただ今回は神様が少しだけ色ボケしていた上に信号がなかった。
「で、到着目前に気づいたのです・・・」
・・・ほぼあんたが悪いんじゃないかーーーい!!!
「返す言葉もございません・・・」
・・・? でも、信号が無かったのに何故僕は召喚されたんだ?
「それも私が・・・」
・・・それもあんたかーーー!
「すいません・・・、ですがどうしようもなく・・・」
「どうしようもなくって・・・、神様なら『エスペラーザ』を倒せるんじゃないの?」
「いえ、私たちは管理する星の者に助力は出来ても、直接他の星の者に手出しするのは禁じられているのです」
「そうなんですか・・・」
「はい・・・、就業規則で」
・・・就業規則あんのかーーーい!
「ちなみに36協定もしっかり守られていて、残業代もきっちり5分単位で出ます」
・・・がっつりホワイト企業やないかーーーい!!
「有給消化率100%です」
・・・ホワイトどころの話じゃない、って話の続き!
「そうでした。まあ、そのように召喚を行わせて頂いたのですが、私一人で行う召喚はやはり不完全だったのでしょう。本来得るはずの能力が不完全な形で与えられてしまったのです。」
「なるほど、だからステータス画面でもファイル破損なんて文字が・・・」
「はい、ですので今から能力の修正を行います。・・・半分ですが」
「半分?」
「はい、今の状態で修正を完全に行ってしまうと、深刻なエラーが出てしまう可能性が高いのです。ですのでエラーが出ない範囲での修正、それが半分ですね」
・・・それは分かった。だけどこの作業をなぜ早く行わなかったんだ?
「それは、異世界からの来訪者に対しては対象が無意識下、かつ衰弱した状態でないと干渉が不可能だったからです」
今回でバイパスを接続したので今後は無意識下であれば干渉可能ですが・・・、と神様は続ける。
現在降りてきている『エスペラーザ』は先遣部隊の様で極少数、その為一旦退けることは可能だがあくまで一時的なものですぐに全軍で進行してくる筈。
間に合う様、神様側でも急ぐが残りの修正に関しては器そのもの、要するに僕自身がまだ力をつけなくてはならないらしい。
その為にも今の危機を脱したら、再び神代の者に会う旅を続けてほしいとのことだった。
神代の者は全部で10、後9か所を半年で廻ることになる。
「む。いけませんね『竜』が押され始めましたか」
・・・タラちゃんが?
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