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第3夜、憑き物落とし
14、不審者
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リストにあった6人は花蓮とおなじ授業にでていたので、花蓮が集めてくれる。
事件にあった順番に神坂が、カフェのテーブルに向かいあって話を聞いていた。
最後の一人は別の授業を受けているそうで、神坂と話を終えたおなじ学年の学生が呼びに行ってくれるという。
わたしは同席せず花蓮を横に連れて行く。
どうして事件にあったことを教えてくれなかったのか問い詰めた。
嘘をつかれたことにも腹が立つ。
そんな薄っぺらい友人関係だったとは思いたくなかった。
「三日も寝込んだの、ただのお腹いただって言っていたじゃない。どうして本当のことを言ってくれなかったのよ」
「どうして言わなかったかって、そりゃ、親友だからでしょ」
「親友だから何でも話してくれるんじゃないの」
花蓮は唇をとがらせた。
「親友だから言えなかったんじゃない。だって、わたしがあの道通るのミーナは嫌でしょ」
「嫌っていったことはないわよ。だって、花蓮と帰るとき、文句も言わないでわたしと一緒にいつも外回りで帰っていたじゃない。だから花蓮も夜の森の道は嫌なんだって思ってた」
花蓮は肩をすくめた。
「ミーナははじめて知り合った小学生のころからいろいろ難しい子なんだって知ってるわよ。暗い夜道は何か潜んでいるっていって、公園の樹木や神社の側とか怖がって通れなかったでしょ。だから、ミーナは闇が怖いんだと思っていたのよ。夜だって寝るとき真っ暗じゃ寝れないでしょ。だけどわたしはミーナじゃないから、全く平気だったのよ。だからあんたがいないときは森を抜けることもあるのよ」
そこまで言って、花蓮は一週間前の事件を思い出したのか、ぶるりと身体を震わせた。
花蓮の言うとおり、わたしは夜闇が怖い。
夜闇の中に、さらに池か水たまりか何かが足元にひろがっていてそこへぴちょんと水がしたたる音なんか聞こえてくれば、恐怖で心臓が止まりそうになる。
「何を、見たの?」
「話せば、ミーナの闇が怖い理由が増えるかもしれないけどいいの?」
花蓮は肩までのふわ髪の上から首をさすっている。
「どんな状況だったのか知りたい」
花蓮はうなずいた。
「あの夜、ゼミの片付けで遅くなったの。それで日がすっかり落ちていたんだけど、前後に人がいたから、大丈夫かなっと思って。途中でうなり声がすぐ後から聞こえてきて……」
「犬のようなうなり声?」
「そう、ぐるぐると威嚇するような感じ?本当にすぐそばから聞こえた。怖くなって、無我夢中で前の人のところまで走ったのよ。ぐるぐるのヤツも一緒に走って、背後から飛びかかられた。とてもリアルだったわ。首筋を噛まれて気を失って……」
ここまで、理事長の話とおなじである。
「もう、心配しないでよ、首はなんともないし身体も乱暴されていない。ミーナの怖がる、闇に潜む犬か獣の何か?だったのかもしれない。その後、ひどく疲れて寝込んだだけなんだから。それからもう夜はぜったいにあの道は通らないようにしているし」
「それで、気を失っていたのはほんの2、3分?」
ふと、あのとき、男が作り出した場で会場の学生たちの時間が止まっていたことがよぎる。
花蓮や被害者たちが気が付いていないだけで、本当はもっと長い時間だったのではないか。
「そうだと思う。すぐに駆けつけてくれた子がいたのよ、おなじ俳優コースの一年の男子の、シオンって子。すぐ後を歩いていて、異変に気が付いてくれたの。清涼飲料水のCMでブレイクした子だからミーナも知ってると思うけど」
「清涼飲料水……」
なんだか嫌な気がする。
そしてわたしの、自慢じゃないけれどこういうときの直感は誠によく当たるのだ。
事件にあった順番に神坂が、カフェのテーブルに向かいあって話を聞いていた。
最後の一人は別の授業を受けているそうで、神坂と話を終えたおなじ学年の学生が呼びに行ってくれるという。
わたしは同席せず花蓮を横に連れて行く。
どうして事件にあったことを教えてくれなかったのか問い詰めた。
嘘をつかれたことにも腹が立つ。
そんな薄っぺらい友人関係だったとは思いたくなかった。
「三日も寝込んだの、ただのお腹いただって言っていたじゃない。どうして本当のことを言ってくれなかったのよ」
「どうして言わなかったかって、そりゃ、親友だからでしょ」
「親友だから何でも話してくれるんじゃないの」
花蓮は唇をとがらせた。
「親友だから言えなかったんじゃない。だって、わたしがあの道通るのミーナは嫌でしょ」
「嫌っていったことはないわよ。だって、花蓮と帰るとき、文句も言わないでわたしと一緒にいつも外回りで帰っていたじゃない。だから花蓮も夜の森の道は嫌なんだって思ってた」
花蓮は肩をすくめた。
「ミーナははじめて知り合った小学生のころからいろいろ難しい子なんだって知ってるわよ。暗い夜道は何か潜んでいるっていって、公園の樹木や神社の側とか怖がって通れなかったでしょ。だから、ミーナは闇が怖いんだと思っていたのよ。夜だって寝るとき真っ暗じゃ寝れないでしょ。だけどわたしはミーナじゃないから、全く平気だったのよ。だからあんたがいないときは森を抜けることもあるのよ」
そこまで言って、花蓮は一週間前の事件を思い出したのか、ぶるりと身体を震わせた。
花蓮の言うとおり、わたしは夜闇が怖い。
夜闇の中に、さらに池か水たまりか何かが足元にひろがっていてそこへぴちょんと水がしたたる音なんか聞こえてくれば、恐怖で心臓が止まりそうになる。
「何を、見たの?」
「話せば、ミーナの闇が怖い理由が増えるかもしれないけどいいの?」
花蓮は肩までのふわ髪の上から首をさすっている。
「どんな状況だったのか知りたい」
花蓮はうなずいた。
「あの夜、ゼミの片付けで遅くなったの。それで日がすっかり落ちていたんだけど、前後に人がいたから、大丈夫かなっと思って。途中でうなり声がすぐ後から聞こえてきて……」
「犬のようなうなり声?」
「そう、ぐるぐると威嚇するような感じ?本当にすぐそばから聞こえた。怖くなって、無我夢中で前の人のところまで走ったのよ。ぐるぐるのヤツも一緒に走って、背後から飛びかかられた。とてもリアルだったわ。首筋を噛まれて気を失って……」
ここまで、理事長の話とおなじである。
「もう、心配しないでよ、首はなんともないし身体も乱暴されていない。ミーナの怖がる、闇に潜む犬か獣の何か?だったのかもしれない。その後、ひどく疲れて寝込んだだけなんだから。それからもう夜はぜったいにあの道は通らないようにしているし」
「それで、気を失っていたのはほんの2、3分?」
ふと、あのとき、男が作り出した場で会場の学生たちの時間が止まっていたことがよぎる。
花蓮や被害者たちが気が付いていないだけで、本当はもっと長い時間だったのではないか。
「そうだと思う。すぐに駆けつけてくれた子がいたのよ、おなじ俳優コースの一年の男子の、シオンって子。すぐ後を歩いていて、異変に気が付いてくれたの。清涼飲料水のCMでブレイクした子だからミーナも知ってると思うけど」
「清涼飲料水……」
なんだか嫌な気がする。
そしてわたしの、自慢じゃないけれどこういうときの直感は誠によく当たるのだ。
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