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第2部 ベルゼラ国 第5話 色小姓
33-2、愚図な子①
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台所に行くと、「お前はいいから、外で何か手伝え」と、顔をしかめて追い払われた。
いわれるままに外にでる。
庭師は館の周りを歩いてみても見つからなかった。
何をしていいかわからない。
日が高くなるにつれて、どんどん気温が高くなっていく。
朝食を食べることができなかった。
今更もどって、朝食を食べていないから食べたいと言ったらいいのだろうか。
ほとんどの使用人たちは食事が終わっている。
遅れたユーディアは、また「愚図な子だな」といわれるだろう。
そんなことを言われるぐらいならば、昼まで時間を適当に潰して空腹にたえようと思う。
ここは星の宮。
王城内のジプサムの居住区。
西都から巨大な帆船に乗り大河を下ってベルゼラの王都である巨大な水の都に、興奮を隠し切れずに胸を高鳴らせて降り立ったのが5日前。
ベルゼラで生活をしてみて分かったこと。
自分が「愚図な子」だということ。
彼らが当たり前のようにわかっていることが、自分にはわかっていないということ。
わかっていないことがわからないのだ。
それで、何度も同じような間違いをしでかしている。
彼らのいうように頭の弱い子なのかもしれない。
親切にユーディアのわからないを教えてくれるものはいない。
彼らは常に忙しくたち動いている。
ジプサムもサニジンもそうである。
そもそも二人に話しかけていい身分ではないそうだ。
暇を持て余しているのはユーディアだけだった。
未知なるものに向かっていく挑戦と希望に膨らんでいた胸は、干からびたオレンジのようにしぼんでしまった。
ユーディアの自信は、ことごとく、打ち砕かれていたのである。
いわれるままに外にでる。
庭師は館の周りを歩いてみても見つからなかった。
何をしていいかわからない。
日が高くなるにつれて、どんどん気温が高くなっていく。
朝食を食べることができなかった。
今更もどって、朝食を食べていないから食べたいと言ったらいいのだろうか。
ほとんどの使用人たちは食事が終わっている。
遅れたユーディアは、また「愚図な子だな」といわれるだろう。
そんなことを言われるぐらいならば、昼まで時間を適当に潰して空腹にたえようと思う。
ここは星の宮。
王城内のジプサムの居住区。
西都から巨大な帆船に乗り大河を下ってベルゼラの王都である巨大な水の都に、興奮を隠し切れずに胸を高鳴らせて降り立ったのが5日前。
ベルゼラで生活をしてみて分かったこと。
自分が「愚図な子」だということ。
彼らが当たり前のようにわかっていることが、自分にはわかっていないということ。
わかっていないことがわからないのだ。
それで、何度も同じような間違いをしでかしている。
彼らのいうように頭の弱い子なのかもしれない。
親切にユーディアのわからないを教えてくれるものはいない。
彼らは常に忙しくたち動いている。
ジプサムもサニジンもそうである。
そもそも二人に話しかけていい身分ではないそうだ。
暇を持て余しているのはユーディアだけだった。
未知なるものに向かっていく挑戦と希望に膨らんでいた胸は、干からびたオレンジのようにしぼんでしまった。
ユーディアの自信は、ことごとく、打ち砕かれていたのである。
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