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ハリマオ65

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25話:熊本地震と英国のEU離脱

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 COP21では、初日に安倍晋三首相、オバマ米大統領、習近平中国国家主席ら約150カ国の首脳が参加する会合を開き、温暖化対策への決意を確認した。

 協定には、産業革命前からの世界の平均気温の上昇幅を2度未満に抑えることを目標とし1.5度未満にするよう努力する方針なども盛り込んだ。
その後、2016年となった。

 日銀は1月29日の金融政策決定会合で、金融機関が日銀に預ける当座預金の一部について、利子をマイナスにする「マイナス金利政策」の導入を決めた。2月16日にスタートし、マイナス0.1%の金利を適用した。

 日銀にお金を預けると、金融機関は通常、利息を受け取れるが、逆に「手数料」を取られる。国内では初めてである。導入後、長期金利が一時マイナスとなり、住宅ローン金利などが低下するといった効果はあった。

 しかし、金融機関の収益悪化や年金・保険の運用難を招き、金融界などは猛反発。日銀はその後、「消費者のマインド面を通じて経済活動に悪影響を及ぼす可能性がある」などと副作用を認めた。主要中央銀行では、欧州中央銀行「ECB」が14年6月に導入している。

 4月にタックスヘイブン「租税回避地」の利用実態を暴露した内部資料がパナマの法律事務所から流出。21万法人に上るペーパーカンパニーの情報などに基づき多国籍企業や政治家が所得税や法人税が極端に低いタックスヘイブンに所得を移転し租税回避を行っていると判明。

 アイスランドのグンロイグソン首相は、資産隠しの疑惑が浮上し辞任。日本の企業や個人も記載されていた。批判の高まりを受け5月の主要国首脳会議「伊勢志摩サミット」では、過度な税逃れの防止策作りを主導していくことを確認。

 経済協力開発機構「OECD」は具体案で合意。悪質なタックスヘイブン国・地域を特定して制裁対象のブラックリストに載せるための3要件を決定。4月14日午後9時26分ごろ、熊本県を震源とする地震が発生し益城町で震度7を観測した。

 地震の規模、マグニチュードは6.5で、震度7が記録されたのは2011年3月の東日本大震災以来。16日午前1時25分ごろにも益城町と西原村で震度7の地震が起き、1995年の阪神大震災と同規模のマグニチュード7.3を記録。

 連続した地震活動で震度7が2回観測されたのは49年に震度6の上に7が新設されて以来初めてであった。地震による直接死と関連死を合わせた死者は150人を超えた。

 住宅被害は約17万8千棟に上り、うち約8300棟が全壊。熊本城も天守閣の屋根瓦が剥がれ「しゃちほこ」が落下するなど、大きな被害を受けた。オバマ米大統領は5月27日、現職の米大統領として初めて被爆地・広島を訪れ、平和記念公園の原爆死没者慰霊碑に献花した。

 被爆地訪問はオバマ氏が2009年1月の就任時から模索し、任期最後の年に実現した。原爆投下の事実と向き合うよう米大統領に求めてきた被爆者にとっても、長年の願いがかなう歴史的訪問となった。

 オバマ氏は主要国首脳会議「伊勢志摩サミット」に出席後、広島入りし、安倍晋三首相とともに平和記念資料館「原爆資料館」や原爆ドームを視察。式典に参列した被爆者とも言葉を交わした。

 献花後の演説では「われわれには歴史を直視し、何をしなければならないか自問する共通の責任がある」と述べ、就任以来掲げてきた「核兵器なき世界」を追求する重要性を訴えた。

 その後、英国は6月の国民投票で欧州連合「EU」からの離脱を決めた。「東欧からの移民流入で職が奪われている」との不満やEUの規制に縛られることへの反発などが背景にある。

 EUから加盟国が抜けるのは初めてで、経済規模で2位で世界の金融センター、シティーを擁する英国の離脱は、経済のみならず政治的に大きな打撃となる。来年に大統領選を控えるフランスなどでは反EUの右派政党が勢いづいている。

 英国のメイ首相は、来年3月までにEUに離脱を通告し、交渉を開始する方針。労働移民制限はできないものの、EU単一市場からは出ずに自由貿易の恩恵を受けられる形態か、単一市場から離脱し移民制限を徹底する選択肢が検討されている。離脱後の関係は交渉の結果次第で大きく異なりそうだ。
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