51 / 81
季節話
龍神様と笑い
しおりを挟む
夏の暑さもいよいよ厳しくなった頃。龍平はあまりの暑さに縁側で伸びておりました。
「あ…あつい…。」
人間ならば伸びてしまう暑さも、神様である龍神様は何ともありません。ただ屈強な龍平ですら伸びているのですから余程暑いことは理解しています。
「龍平、大丈夫か?」
「大丈夫じゃないですよ…もう何のやる気もおきません…。」
龍平の言う通り、普段なら一日の大半を費やす畑作業も今日は一切手をつけていません。
「重症だのぉ…。だが暑いとはいえずっとこの様子だと気が滅入ってしまうだろう。」
「とはいえ暑いものは暑いですから…。」
「むぅ…。ではせめて笑うことくらいはすると良い。」
「笑う、ですか。」
「病は気から、と言うがぁ。まず滅入ってしまったのなら笑顔からだのぉ。これなら横になったままでも出来るぅ。」
「それは…まあ。」
確かに、最も労力を使わずこの状態を脱する最適解かもしれません。が、人間笑えと言われてすぐ笑えるものではありません。
「私が笑わせてやろう。ん゛ん、この間のことだぁ。ちょいと海に移動しようと瞬間移動をしたのだがな、なんと到着したのは湖だったのだぁ。」
「…今の何が面白いのですか?」
「辛辣だなぁ!水のある場への移動だが海と湖の大きさを間違えておったという話だぁ!」
「いや解説されてもさっぱりですが。」
神様の冗談は人間の龍平にはいまいち理解できません。
「む、むぅ…!ではこの話ならどうだぁ!」
龍神様はその後、色々な神様あるあるな失敗談を話して聞かせましたがどれもこれも龍平はぴんと来ません。しばらく粘っていましたが、ついに龍神様が折れてしまいました。
「むぁー、どれもだめかぁ!そもそも龍平が腹を抱えて笑っているところを見た記憶は無いぞぉ!あぁー!」
龍神様が頭を抱えて悶絶していると「クス」っと笑う声が聞こえました。
「む?龍平、今お主…。」
「あぁ、すみません。いえだって天下の龍神様が人間1人笑わせるためにそんなに頭抱えて…ははっ。」
龍平は面白い話をしようとしても出来ない龍神様をみてクスリと笑いました。決して腹を抱えた大爆笑ではありませんが、気分を晴らすには十分です。
「さ、気分も切り替わったし俺は畑仕事をしてきますよ。」
「そ、そうかぁ。」
「そうだ龍神様。今度は俺を笑わせられるくらいの話を考えておいてくださいよ。」
「それは難解だなぁ。」
こうして、ささやかな笑みを浮かべながら二人は暑い夏を過ごすのでした。
「あ…あつい…。」
人間ならば伸びてしまう暑さも、神様である龍神様は何ともありません。ただ屈強な龍平ですら伸びているのですから余程暑いことは理解しています。
「龍平、大丈夫か?」
「大丈夫じゃないですよ…もう何のやる気もおきません…。」
龍平の言う通り、普段なら一日の大半を費やす畑作業も今日は一切手をつけていません。
「重症だのぉ…。だが暑いとはいえずっとこの様子だと気が滅入ってしまうだろう。」
「とはいえ暑いものは暑いですから…。」
「むぅ…。ではせめて笑うことくらいはすると良い。」
「笑う、ですか。」
「病は気から、と言うがぁ。まず滅入ってしまったのなら笑顔からだのぉ。これなら横になったままでも出来るぅ。」
「それは…まあ。」
確かに、最も労力を使わずこの状態を脱する最適解かもしれません。が、人間笑えと言われてすぐ笑えるものではありません。
「私が笑わせてやろう。ん゛ん、この間のことだぁ。ちょいと海に移動しようと瞬間移動をしたのだがな、なんと到着したのは湖だったのだぁ。」
「…今の何が面白いのですか?」
「辛辣だなぁ!水のある場への移動だが海と湖の大きさを間違えておったという話だぁ!」
「いや解説されてもさっぱりですが。」
神様の冗談は人間の龍平にはいまいち理解できません。
「む、むぅ…!ではこの話ならどうだぁ!」
龍神様はその後、色々な神様あるあるな失敗談を話して聞かせましたがどれもこれも龍平はぴんと来ません。しばらく粘っていましたが、ついに龍神様が折れてしまいました。
「むぁー、どれもだめかぁ!そもそも龍平が腹を抱えて笑っているところを見た記憶は無いぞぉ!あぁー!」
龍神様が頭を抱えて悶絶していると「クス」っと笑う声が聞こえました。
「む?龍平、今お主…。」
「あぁ、すみません。いえだって天下の龍神様が人間1人笑わせるためにそんなに頭抱えて…ははっ。」
龍平は面白い話をしようとしても出来ない龍神様をみてクスリと笑いました。決して腹を抱えた大爆笑ではありませんが、気分を晴らすには十分です。
「さ、気分も切り替わったし俺は畑仕事をしてきますよ。」
「そ、そうかぁ。」
「そうだ龍神様。今度は俺を笑わせられるくらいの話を考えておいてくださいよ。」
「それは難解だなぁ。」
こうして、ささやかな笑みを浮かべながら二人は暑い夏を過ごすのでした。
0
あなたにおすすめの小説
とある冒険者達の話
灯倉日鈴(合歓鈴)
BL
平凡な魔法使いのハーシュと、美形天才剣士のサンフォードは幼馴染。
ある日、ハーシュは冒険者パーティから追放されることになって……。
ほのぼの執着な短いお話です。
僕のポラリス
璃々丸
BL
陰キャでオタクなボクにも遂に春が来た!?
先生からだけで無く、クラスカースト上位の陽キャ達も、近隣に幅を効かせる不良達からも一目置かれるまるで頭上の星のようなひとだ。
しかも、オタクにまで優しい。たまたま読んでいたボクの大好きなコミック「恋色なな色どろっぷす」を指差して、「あ、ソレ面白いよね」なんて話しかけられて以来、何かと話しかけられるようになっていった。
これだけだとたまたまかな?と思うけど距離も何かと近くて・・・・・・コレ、ってボクの勘違い?それとも?
・・・・・・なぁーんて、ボクの自意識過剰かな。
なんて、ボクの片思いから始まる甘酸っぱいお話。
みたいなBSS未満なお話。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
そんなの真実じゃない
イヌノカニ
BL
引きこもって四年、生きていてもしょうがないと感じた主人公は身の周りの整理し始める。自分の部屋に溢れる幼馴染との思い出を見て、どんなパソコンやスマホよりも自分の事を知っているのは幼馴染だと気付く。どうにかして彼から自分に関する記憶を消したいと思った主人公は偶然見た広告の人を意のままに操れるというお香を手に幼馴染に会いに行くが———?
彼は本当に俺の知っている彼なのだろうか。
==============
人の証言と記憶の曖昧さをテーマに書いたので、ハッキリとせずに終わります。
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
《うちの子》推し会!〜いらない子の悪役令息はラスボスになる前に消えます〜お月見編
日色
BL
明日から始まる企画だそうで、ぜひとも参加したい!と思ったものの…。ツイッターをやっておらず参加の仕方がわからないので、とりあえずこちらに。すみませんm(_ _)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる