龍神様の住む村

世万江生紬

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季節話

龍神様とかき氷

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 夏の暑さも強まって来た頃、あまりの暑さに縁側で溶けている龍平です。

「暑い~!」

「人間は気温に左右されて大変だなぁ。」

「俺も人外になろうかな。」

「おぉ、なってみるかぁ?」

「出来るんですか?」

「出来なくはないなぁ。私はお主が人間だろうが人間でなかろうが愛を与えることに変わりは無いのでどちらでも良いのだが、人間やめてみるかぁ?」

「なんでそんな軽い…ちなみに人間に戻れるんです?」

「むー、不可能では無い。が、確実性はないなぁ。」

「じゃあもうちょっと人間でいますよ。」

「そうかぁ。」

他愛もない雑談をしている間も、太陽の強い日差しは龍平を照らし続けます。

「あぁ、でも暑いなー。やっぱ人間やめようかな。」

「そんな簡単に…そうだ、氷菓を作ってやろう。」

「氷菓?」

龍神様はそう言うと一瞬で姿を消しました。姿を消したことにわずかに驚いた龍平ですが、龍神様なら何か考えているのだろうと思い直すと大人しく戻ってくるのを待ちました。しばらくしてふっと龍神様が現れました。

「あ、おかえりなさい。なにしてたんですか?」

「なぁに、ちょっと氷を削りに行っていたのだぁ。」

「何処へ?」

「地球の果てへ。」

「はぁ…まあなんでもいいですよ。これで作るんですか?」

龍神様の規模の大きなお出かけにつっこみを入れる余裕もない龍平です。

「これをこうして削るだろう?そして蜜をかければ…完成だぁ。」

「おぉ…これは紛れもない氷菓ですね。」

龍神様の人間離れした一瞬の作業を目の端で流し見していると、完成したのはかき氷でした。

「美味そうだろぉ?未来ではこれに果物や菓子なんかを乗っけるでらっくすなものが沢山あるんだぞ。」

「へぇー。あ、龍神様、早く食べないと氷が溶けてしまいそうです。」

「む、そうだなぁ。じゃあ遠慮なく食べると良い。」

「いただきまーす。」

「あ、でも気をつけて食べないと…。」

かき氷とは一度に沢山口に含んでしまうと頭がきーんと痛くなるもの。龍平も気をつけるように声をかけようとした龍神様ですがわずかに遅く、龍平は大きなひと口でかき氷を頬張りました。

「…?きをつけてたべないと、なんですか?」

「あ、れ?お主は平気なのかぁ?」

「?何がです?え、変なものでも入れたんですか?」

「いや!変なものなど入れてないが…少しだけ期待したのだぁ。」

「何を期待したんだか…美味しいですよ、これ。少し涼しくなりました。ありがとうございます。」

「そうか、ならば良かった。」

1口で頬張り、頭がきーんとして痛そうにする龍平も少し見たかったなと思いながらも、自分の作ったものを美味しそうに食べる龍平を見て頬を緩ませる龍神様でした。
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