僕が一人暮らしをするまで

世万江生紬

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第11話

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○月✕日

 今日は家具屋へ行ってきた。目をつけていた激安家具を売っているというアウトレット家具屋の近くに用事があったのでついでに寄ってみたのだ。新品を買うよりやはりリサイクルショップで買う方が安いイメージはあったのだが、思っていたよりお値段は高めだった。僕は今それなりに高い理想を持っているので、その理想に叶う家具を探していたのだがそれも難しい。例えばソファは収納付きが良かったり、タンスは引き出しにローラーが付いていたり、といったそこまで叶えるのが難しいわけではなさそうな条件もこの店にはなかった。正直なところネットの方が安いし条件に合うものが見つかるなという印象だった。僕はこれまでAmazon利用者ではなかったが、一人暮らしを機にAmazon民になろうと思っている。ふと気になったので調べてみるとネットは配送料にお金を取るんだということは学んだ。


○月✕日

 不動産屋から鍵渡しの日取りはどうしますかというLINEが届いた。契約はもう1週間後からなのだが、当日は普通に仕事なので普通に無理だ。そして契約日3日後の11時からガス開栓の人が家に来るので鍵の受け取りは10時からにしてもらった。ここまでは順調だったのだが問題は突然やってきた。一度この日取りで承諾してもらっていたのだが、その日の午前中に社内会議があることを担当の者がすっかり忘れており、10時からは難しいということだった。よってその日の8時半から、もしくは13時半からにしてほしいと連絡がきた。いや、どちらも難しいな。まず8時半は朝早すぎる。この不動産屋の店舗までは車でほぼ1時間かかるのだ。8時半に到着と考えると一体何時に家を出ればいいんだ。そして13時半もアウトだ。ガス開栓が11時からなのだから13時半では間に合わない。しかし無理なものは無理。どうにかするしかないのでガス開栓の時間をズラしてもらうよう打診してみることにした。ガス会社に電話を掛けると、平日の17時までしか電話対応していないということ。当然一般人が働くのは平日の日中だ。この対応も致し方ないと思うのだが、あいにく僕も社会人でその時間は仕事だ。社会って難しいなとしみじみと感じた。幸い早出の日があるのでその日になんとか電話してみようと思う。しかしそれまでは動くことはできないので不動産屋には全ての事情を伝えて答えを待ってもらっている。


○月✕日

 今日は部屋の採寸だ。そろそろ家具家電を買いに行くためにも部屋の採寸は絶対条件。隅から隅まで長さを測るつもりでやってきた。時間に余裕を持って家を出たせいでずいぶん早く到着してしまったので、家から勤務地までの出勤ルートの確認をした。住宅街の中にある家なのでずいぶん複雑な道がたくさんあるのだが、一番わかりやすく大きな道に出やすい道を発見した。こればっかりは地図アプリとにらめっこするより実際に走ってみた方が分かりやすいからな。そしていよいよ採寸だが、滞りなく終わった。全部スマホに写真にでも撮ってメモを残そうと考えていたが不動産屋が間取りの紙を用意してくれたので、そこにメモしていった。家具を置くための部屋の大きさを測り、カーテンのために窓の大きさを測り、家具搬入のために玄関廊下の大きさを測り、その他諸々必要な個所は全て測ったように思う。多分。

 今回家具を揃えるにあたっておくROOMというアプリを入れてみた。このアプリはバーチャルで部屋に家具を置いてみて家具配置をリハーサルすることが出来るもので、買ってはみたけど思ったより大きかった!みたいな失敗を防げる。間取りを自由に作ることはできないのでひとまず自室の部屋の大きさ数値を打ち込んでみたが、書面では7畳になっているが数値を入れたら6畳しかなかったことも判明した。目星をつけていたベッドもソファもとりあえず大きさは良さそうだ。

 この日、採寸を終えたところで時間に余裕があったのでついでにアウトレット家電屋に行った来た。家電をいろいろ見てみたが、最新の機能が欲しいテレビと電子レンジは新品を買いたいところだがそこまでの機能を求めていない洗濯機や冷蔵庫はアウトレットで良さそうだと感じた。結局、今日買うつもりはなかったので見送りつつ、元々買う予定だった扇風機だけ買ってきた。なぜ初手で扇風機?と思われるかもしれないが、僕が本格的に入居するのはもうちょっと先で、今はまだ実家に住んでいる。そして実家の扇風機がもう一つ欲しいなーと思っていたところだったのだ。それなら今僕が一人暮らし用の扇風機を買って実家で使えばちょうどいいじゃないかということでトンチキな順番になった。さあ、これから本格的に家具選びが始まる。理想の一人暮らしのためにも必要なところは妥協しつつ理想の家具を買っていくぞ。
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