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カントとヘーゲル
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「双葉、ホントに置いて来たけど良かったかな。」
「いい。」
未だ朝食を食べ終わってない双葉を置いて私と空は調査に来た。双葉がこの場にいないので、代わりに私、プラトンがモノローグを変わるよ。さて、双葉がいなくなり無口な空と2人で早速気まずいんだけどどうしよう。空はエピクロスとしてこのメゾンにいた時から無口だったからあんまり親交もない。友達の友達と2人きり、みたいな気まずさ。とりあえずちょっと速足で歩いてみたりしてたら次の調査対象者、カントの部屋の前に到着した。
「カントー?いるー?」
「はーい。」
私がコンコンコンとノックすると、ほどなくして中から甘栗色の髪を背中まで伸ばし、パッチリした目に白くてきれいな肌の陽キャ女子高生のような見た目のカントが出てきた。女子高生のような、というか制服まで着ちゃってる現役女子高生なんだけど。ともかく、カントが出てきたなら私はお役御免。調査対象者の部屋まで案内はするけど、調査中は基本ノータッチにすること、と創始者から仰せつかってるので調査中は無言決め込むよ。
「こんにちは。えーっと、空だね。あれ?もう1人いるんじゃないの?」
「ご飯食べてる。」
「そうなんだ。置いて来たの?」
「うん。先調査してろって。ソートスキル教えて。」
「分かった。いいよ。異能力『先天的』」
そう唱えた途端、カントの肩あたりに手のひらサイズの小さな精霊がポンと現れた。カントのソートスキルはセンスィティヴィティとアンダースタンドという2人の精霊の使役だ。カントの左肩に乗るのが赤髪のショートカット、タフな性格でバディものなら体力担当の方、感性を司るセンスィティヴィティ。右肩に乗るのが青髪のロングヘア、冷静な性格でバディものなら頭脳担当の方、悟性を司るアンダースタンド。使役すると言っても2人は自我はあるから何かをやってもらう時はシンプルにお願いをするらしい。
「なんだなんだ~?ボクたちに用があるんじゃないのか~?」
「呼び出した理由は特にないのですか?」
「ごめんごめん。私のソートスキル見せて欲しいって言われたからさ。ねね、空、空、私のソートスキルもう一段階あるんだけど見る?」
「うん見る。」
「えー!あれやんの!?」
「ボクたちアレあんまり好きじゃないんですけど...。」
「いいから見せろ。」
「はいはい。」
空の横暴な物言いとカントの人当たりの良い返答は置いといて、カントのソートスキルは実はもう一段階ある。精霊の2人は自我はあると言っても、使役し操ることは不可能じゃない。カントのもう一段階先のスキルは呪文を唱えることで精霊を強制的に操ることが出来るもの。時間に限りがあるとはいえ人の良いカントは精霊にも心があるからって滅多にやらないけど、今回は調査ってことで見せてくれるらしい。
「じゃあ行くね。『定言命法...何時の意思の格率が常に同時に普遍的立法の原理として妥当しうるように行為せよ。』センスィティヴィティ、3回回って「ワン」と言え。」
「...ワン。」
センスィティヴィティは言われた通りカントの周りをぐるぐると三回回ってからワンと言った。何だか命令としてはあまり良くないものだった気がするけど、実は意味がある。この呪文は精霊を操るものだけど、必ず「~しろ」という強い口調の命令でないと発動しない。だからカントも当然そう言う命令の仕方にするけど、人の良いカントは命令に慣れてない。~しろと言う口調でぱっと思いつく例が3回回ってワンだったんだろう。まあメジャーではあるもんね。
「『目的の王国...汝の人格およびあらゆる他人の人格における人間性を常に同時に目的として扱い、決して単に手段としてのみ扱わないように行為せよ。』アンダースタンド、私の頭を撫でて。」
「...ヨシヨシ。」
アンダースタンドは言われた通りにカントの頭をヨシヨシと撫でる。この呪文は定言命法とは違って命令する必要はない。この呪文に課せられる条件は「報酬を求めないこと」だ。何かお礼をもらうために言われた通りにするのではなく、ただカントのためだけに命令を遂行する必要がある。シンプルに見返り求めずカントのお願いを聞けばいいだけなので別に何も難しいことはないけど、精霊2人はカントとの信頼関係はしっかりあるので、わざわざソートスキルを使ってまで操る必要はない。だからカントは2人を呪文で操ったりはしないらしい。
「ん。もういいよ。」
「っ!わ~!なに!三回回ってワンて!」
「ごめん~。命令ってぱっと思いつかなくって~!」
「頭撫でるくらいいつでもしますよ。」
「あはは、ありがと、アンダースタンド。で?調査ってこれくらいでいいの?」
「最後にもう一つ。なんか事件に首突っ込んでない?」
「え?うーん、あ、最近自殺しようとしてる人がいたから止めたよー。学校でいじめられてたんだって。とりあえず話聞いて、親御さんとも話して、今は転校して学校も行けるようになったって。」
カントは正義感が強い子だから、自殺志願者なんて見たら絶対に放っておかないタイプ。何年か前コンビニ強盗と出くわして自分が人質になるから他の人は開放してくれとか言ったくらいに他人のためなら自己犠牲もいとわないタイプだから今の話を聞いてる限り穏便に解決したっぽい。良かった。いやホント良かった。
「ふーん。もういいよ。」
「ありがと。これからヘーゲルのところに行くつもりだったんだ。あ、良かったら一緒に来ない?ヘーゲルも調査対象だよね?もしかして順番とかある?」
空がちらっとこっちを見たから、私は「いいよ」と許可を出す。余談だけど、探偵事務所の2人はこのメゾンを調査するように言われてるけど、メゾン内を自由に動き回る許可は出てない。あくまで私の案内の元調査していくだけ。だからどこへ行くにも私の許可が必要になる。まあ別にそんなにガッチリ縛るつもりもないんだけれども。
「よっし決まり。じゃあ行こう。ついでにプラトンにも話聞きたかったんだよねー。」
「私?」
「そうそう。頻出者の話し合い内容だからさ。」
「あぁ。」
頻出者は言ってしまえばこのメゾンの上層部みたいなもの。当然集会的なものがあるし、メゾンのちょっとした問題の対応もする。今は確か二重人格の1つの人格、アドルノの処遇について話してた気がするな。
「ついた。ヘーゲルー?」
ヘーゲルの部屋の前に着いたカントはコンコンコンとノックをする。しばらくして、整った黒髪にスーツを着てものすごい真面目に見えるけど同時にどことなく疲れていそうな男性、ヘーゲルが出てきた。
「あぁ、カントか...。」
「ちょっと嫌そうな顔しないでよー。報告書出来た?ヘーゲル1人に任せるのはやっぱり申し訳ないし手伝おうと思ってきたんだけど。」
「いや、いい。1人でやるって僕が決めたんだから絶対精神だ。それに、カントとはあんまり一緒にいたくないんだよ。...ん?君、1人じゃないのか?」
カントの顔を見て不機嫌そうに話すヘーゲルは後ろいにいた私と空に気づいたみたいだった。余談だけどヘーゲルはカントのことがあんまり気に入らないらしい。でも内心は結構信頼してて、何かあると相談したりもする。なんと言うか、気に入らないけど能力は認めてる...みたいな一方的ライバル宣言みたいなもんかな。
「調査に来た探偵事務所の空だよ。回覧板見た?」
「あぁ...すまない、忙しくて見てなかった。空...?エピ...。いや、何でもない。調査か。えーっと僕は何をすればいい?」
余計なこと言いそうになったヘーゲルを空が強烈な目力で睨む。回覧板を回しておいたとはいえ見てなければエピクロスではなく空と呼ぶようにっていう注意書きも当然読んでない。まあ全員が全員しっかり目を通したとは思ってなかったけど、そんなに睨まないでやってくれないかな。ヘーゲルは結構いいやつなんだが。
「ソートスキルを教えろ。あと最近事件に首突っ込んでないか。」
「教えろって、高圧的だな...。えっと、ソートスキルか。『弁証法』だよ。合成だな。最近は酸素と水素で水作ったりしてる。水と火とか反するものでも合成できるし、反するものだともっと良いものを創造できる。あと、事件になんて首突っ込んだりしてない。僕はこのメゾンのために命を使うと決めたんだ。それを曲げたりなんてしない。絶対精神だ。」
「そう言ってメゾンから出ようともしないんだからー。ちょっとくらいメゾンから離れたって罰は当たんないよ?気楽に楽しく過ごそうよ。」
「うるさい。僕は君のそう言う気持ち重視で組織を軽んじるところが気に入らないんだ。話はもう終わったね?じゃあ僕は仕事に戻るよ。」
ヘーゲルはそう言って部屋に戻ろうとしたけど、ドアを閉じる前にカントがドアに手を差し込む。気に入らない相手とは言え、ヘーゲルは無駄に人を傷つけたりしないから、当然閉める手を止める。
「何だい。」
「やっぱり私も手伝う。頼ってよ。」
「...勝手にしなよ。」
2人はどこかくすぐったいような会話を交わしてからヘーゲルの部屋に入っていった。残された私と空の2人の間にちょっと気まずい空気が流れる。
「...アイツら何なの。」
「突っ込んだら負けだと思ってるよ...。」
気まずい空気の中、次の調査に向かおうとすると、後方から私たちを呼ぶ声が聞こえた。
「プラトン!くーちゃん!お待たせしました!」
「遅い。」
双葉だった。急いできたんだろう、はぁはぁと息が上がっている。食べたばっかりだよね?急に走って大丈夫なんだろうか。
「すみません~。」
「いいよ大丈夫。今調査が終わったのがカントとヘーゲルだよ。2人は頻出者だし、他の住民とも関りが多いから多分またどっかで合うことになるよ。次は順番的にキルケゴールだよ。」
「げ...。ヘーゲルと会っちゃったじゃん...。」
「?くーちゃん、ヘーゲルと会ってると、キルケゴールと会っちゃダメなんですか?」
「まぁ会ってみれば分かるかな。行こうか。」
「はい!」
「うぇぇ...。」
双葉も戻ってきたし、次回のモノローグは双葉に戻ることにしよう。ちょっと楽しかったけどね。
「いい。」
未だ朝食を食べ終わってない双葉を置いて私と空は調査に来た。双葉がこの場にいないので、代わりに私、プラトンがモノローグを変わるよ。さて、双葉がいなくなり無口な空と2人で早速気まずいんだけどどうしよう。空はエピクロスとしてこのメゾンにいた時から無口だったからあんまり親交もない。友達の友達と2人きり、みたいな気まずさ。とりあえずちょっと速足で歩いてみたりしてたら次の調査対象者、カントの部屋の前に到着した。
「カントー?いるー?」
「はーい。」
私がコンコンコンとノックすると、ほどなくして中から甘栗色の髪を背中まで伸ばし、パッチリした目に白くてきれいな肌の陽キャ女子高生のような見た目のカントが出てきた。女子高生のような、というか制服まで着ちゃってる現役女子高生なんだけど。ともかく、カントが出てきたなら私はお役御免。調査対象者の部屋まで案内はするけど、調査中は基本ノータッチにすること、と創始者から仰せつかってるので調査中は無言決め込むよ。
「こんにちは。えーっと、空だね。あれ?もう1人いるんじゃないの?」
「ご飯食べてる。」
「そうなんだ。置いて来たの?」
「うん。先調査してろって。ソートスキル教えて。」
「分かった。いいよ。異能力『先天的』」
そう唱えた途端、カントの肩あたりに手のひらサイズの小さな精霊がポンと現れた。カントのソートスキルはセンスィティヴィティとアンダースタンドという2人の精霊の使役だ。カントの左肩に乗るのが赤髪のショートカット、タフな性格でバディものなら体力担当の方、感性を司るセンスィティヴィティ。右肩に乗るのが青髪のロングヘア、冷静な性格でバディものなら頭脳担当の方、悟性を司るアンダースタンド。使役すると言っても2人は自我はあるから何かをやってもらう時はシンプルにお願いをするらしい。
「なんだなんだ~?ボクたちに用があるんじゃないのか~?」
「呼び出した理由は特にないのですか?」
「ごめんごめん。私のソートスキル見せて欲しいって言われたからさ。ねね、空、空、私のソートスキルもう一段階あるんだけど見る?」
「うん見る。」
「えー!あれやんの!?」
「ボクたちアレあんまり好きじゃないんですけど...。」
「いいから見せろ。」
「はいはい。」
空の横暴な物言いとカントの人当たりの良い返答は置いといて、カントのソートスキルは実はもう一段階ある。精霊の2人は自我はあると言っても、使役し操ることは不可能じゃない。カントのもう一段階先のスキルは呪文を唱えることで精霊を強制的に操ることが出来るもの。時間に限りがあるとはいえ人の良いカントは精霊にも心があるからって滅多にやらないけど、今回は調査ってことで見せてくれるらしい。
「じゃあ行くね。『定言命法...何時の意思の格率が常に同時に普遍的立法の原理として妥当しうるように行為せよ。』センスィティヴィティ、3回回って「ワン」と言え。」
「...ワン。」
センスィティヴィティは言われた通りカントの周りをぐるぐると三回回ってからワンと言った。何だか命令としてはあまり良くないものだった気がするけど、実は意味がある。この呪文は精霊を操るものだけど、必ず「~しろ」という強い口調の命令でないと発動しない。だからカントも当然そう言う命令の仕方にするけど、人の良いカントは命令に慣れてない。~しろと言う口調でぱっと思いつく例が3回回ってワンだったんだろう。まあメジャーではあるもんね。
「『目的の王国...汝の人格およびあらゆる他人の人格における人間性を常に同時に目的として扱い、決して単に手段としてのみ扱わないように行為せよ。』アンダースタンド、私の頭を撫でて。」
「...ヨシヨシ。」
アンダースタンドは言われた通りにカントの頭をヨシヨシと撫でる。この呪文は定言命法とは違って命令する必要はない。この呪文に課せられる条件は「報酬を求めないこと」だ。何かお礼をもらうために言われた通りにするのではなく、ただカントのためだけに命令を遂行する必要がある。シンプルに見返り求めずカントのお願いを聞けばいいだけなので別に何も難しいことはないけど、精霊2人はカントとの信頼関係はしっかりあるので、わざわざソートスキルを使ってまで操る必要はない。だからカントは2人を呪文で操ったりはしないらしい。
「ん。もういいよ。」
「っ!わ~!なに!三回回ってワンて!」
「ごめん~。命令ってぱっと思いつかなくって~!」
「頭撫でるくらいいつでもしますよ。」
「あはは、ありがと、アンダースタンド。で?調査ってこれくらいでいいの?」
「最後にもう一つ。なんか事件に首突っ込んでない?」
「え?うーん、あ、最近自殺しようとしてる人がいたから止めたよー。学校でいじめられてたんだって。とりあえず話聞いて、親御さんとも話して、今は転校して学校も行けるようになったって。」
カントは正義感が強い子だから、自殺志願者なんて見たら絶対に放っておかないタイプ。何年か前コンビニ強盗と出くわして自分が人質になるから他の人は開放してくれとか言ったくらいに他人のためなら自己犠牲もいとわないタイプだから今の話を聞いてる限り穏便に解決したっぽい。良かった。いやホント良かった。
「ふーん。もういいよ。」
「ありがと。これからヘーゲルのところに行くつもりだったんだ。あ、良かったら一緒に来ない?ヘーゲルも調査対象だよね?もしかして順番とかある?」
空がちらっとこっちを見たから、私は「いいよ」と許可を出す。余談だけど、探偵事務所の2人はこのメゾンを調査するように言われてるけど、メゾン内を自由に動き回る許可は出てない。あくまで私の案内の元調査していくだけ。だからどこへ行くにも私の許可が必要になる。まあ別にそんなにガッチリ縛るつもりもないんだけれども。
「よっし決まり。じゃあ行こう。ついでにプラトンにも話聞きたかったんだよねー。」
「私?」
「そうそう。頻出者の話し合い内容だからさ。」
「あぁ。」
頻出者は言ってしまえばこのメゾンの上層部みたいなもの。当然集会的なものがあるし、メゾンのちょっとした問題の対応もする。今は確か二重人格の1つの人格、アドルノの処遇について話してた気がするな。
「ついた。ヘーゲルー?」
ヘーゲルの部屋の前に着いたカントはコンコンコンとノックをする。しばらくして、整った黒髪にスーツを着てものすごい真面目に見えるけど同時にどことなく疲れていそうな男性、ヘーゲルが出てきた。
「あぁ、カントか...。」
「ちょっと嫌そうな顔しないでよー。報告書出来た?ヘーゲル1人に任せるのはやっぱり申し訳ないし手伝おうと思ってきたんだけど。」
「いや、いい。1人でやるって僕が決めたんだから絶対精神だ。それに、カントとはあんまり一緒にいたくないんだよ。...ん?君、1人じゃないのか?」
カントの顔を見て不機嫌そうに話すヘーゲルは後ろいにいた私と空に気づいたみたいだった。余談だけどヘーゲルはカントのことがあんまり気に入らないらしい。でも内心は結構信頼してて、何かあると相談したりもする。なんと言うか、気に入らないけど能力は認めてる...みたいな一方的ライバル宣言みたいなもんかな。
「調査に来た探偵事務所の空だよ。回覧板見た?」
「あぁ...すまない、忙しくて見てなかった。空...?エピ...。いや、何でもない。調査か。えーっと僕は何をすればいい?」
余計なこと言いそうになったヘーゲルを空が強烈な目力で睨む。回覧板を回しておいたとはいえ見てなければエピクロスではなく空と呼ぶようにっていう注意書きも当然読んでない。まあ全員が全員しっかり目を通したとは思ってなかったけど、そんなに睨まないでやってくれないかな。ヘーゲルは結構いいやつなんだが。
「ソートスキルを教えろ。あと最近事件に首突っ込んでないか。」
「教えろって、高圧的だな...。えっと、ソートスキルか。『弁証法』だよ。合成だな。最近は酸素と水素で水作ったりしてる。水と火とか反するものでも合成できるし、反するものだともっと良いものを創造できる。あと、事件になんて首突っ込んだりしてない。僕はこのメゾンのために命を使うと決めたんだ。それを曲げたりなんてしない。絶対精神だ。」
「そう言ってメゾンから出ようともしないんだからー。ちょっとくらいメゾンから離れたって罰は当たんないよ?気楽に楽しく過ごそうよ。」
「うるさい。僕は君のそう言う気持ち重視で組織を軽んじるところが気に入らないんだ。話はもう終わったね?じゃあ僕は仕事に戻るよ。」
ヘーゲルはそう言って部屋に戻ろうとしたけど、ドアを閉じる前にカントがドアに手を差し込む。気に入らない相手とは言え、ヘーゲルは無駄に人を傷つけたりしないから、当然閉める手を止める。
「何だい。」
「やっぱり私も手伝う。頼ってよ。」
「...勝手にしなよ。」
2人はどこかくすぐったいような会話を交わしてからヘーゲルの部屋に入っていった。残された私と空の2人の間にちょっと気まずい空気が流れる。
「...アイツら何なの。」
「突っ込んだら負けだと思ってるよ...。」
気まずい空気の中、次の調査に向かおうとすると、後方から私たちを呼ぶ声が聞こえた。
「プラトン!くーちゃん!お待たせしました!」
「遅い。」
双葉だった。急いできたんだろう、はぁはぁと息が上がっている。食べたばっかりだよね?急に走って大丈夫なんだろうか。
「すみません~。」
「いいよ大丈夫。今調査が終わったのがカントとヘーゲルだよ。2人は頻出者だし、他の住民とも関りが多いから多分またどっかで合うことになるよ。次は順番的にキルケゴールだよ。」
「げ...。ヘーゲルと会っちゃったじゃん...。」
「?くーちゃん、ヘーゲルと会ってると、キルケゴールと会っちゃダメなんですか?」
「まぁ会ってみれば分かるかな。行こうか。」
「はい!」
「うぇぇ...。」
双葉も戻ってきたし、次回のモノローグは双葉に戻ることにしよう。ちょっと楽しかったけどね。
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