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クレッチマーとグロティウス
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さてモノローグが私、双葉に戻ってきました。私も合流して次の調査対象者、キルケゴールの部屋へ向かうまで、改めてさっきまで調査していたカントとヘーゲルの調査結果を共有しました。
「なるほど、口では何とも言いつつ信頼してるバディみたいってことですね。」
「あーまあそうなんだけど、それ本人には絶対口に出して言わないでね?」
プラトンの言葉に軽く笑いつつ相槌を打っていると、キルケゴールの部屋に着いたみたいでした。早速コンコンコンとプラトンがノックしますが、応答はありません。留守でしょうか?
「キルケゴールならニーチェの部屋に行ってますよー?」
応答の無いキルケゴールの部屋のまで立ち往生していると、隣の部屋から緩いカールのかかったピンク髪をなびかせる可愛い女の子がひょこっと顔を覗かせました。可愛いカチューシャをし、お化粧もばっちり。ドレスのようなワンピースを着て、可愛いを全力で楽しんでいるような女の子です。
「あ、クレッチマー。そっかーキルケゴールいないのか。」
「うん。さっきそう言ってました。あ、探偵事務所の人ですよね!?」
「あ、はい。私は双葉、こっちは空です。」
プラトンの言葉に女の子は天真爛漫な笑顔で答えます。ゆるふわなカールがふわふわ揺れて、つい目で追ってしまいながら私も簡単に自己紹介します。くーちゃんは私の紹介に軽く頷くだけで一言も発しません。エピクロスと呼ばれなくなって自分から自己紹介する必要がなくなったからですかね。
「私はクレッチマーです!よろしくです。あの、私も調査対象ですよね?協力しますよ!何すればいいですか?」
「わっ、ありがとうございます。えっと、ソートスキルと、最近何か事件に巻き込まれたりしてないかを教えてもらいたいです。」
「あー、そうですよね、ソートスキル...。」
「何か問題があるんですか?」
「あっ、いえ!自分の能力気に入ってなくて。でも調査なら見せるので安心してください。異能力『気質と体型』」
クレッチマーがそう唱えた瞬間、私の目線の先にあったはずのクレッチマーの頭が一瞬にして視界から消えました。一瞬脳が驚きましたが、すぐにほんの少し下に目線を動かすと、ピンク髪が目に入りました。
「あ、あれ?何か小さく?」
「はい。私の能力は体の大きさと、あと口調も変えれるんですよ。」
「体の大きさは分かりましたけど、口調...?」
「あーはい。口調変えて、だからなんなんだって感じですよね。私もほとんど使ったことないですよ。」
「ほとんどってことは、何に使った?」
ずっと無言を貫いていたくーちゃんが話に入ってきました。くーちゃん、事件に首突っ込んでいないかの調査には鋭いキレで突っ込んできますね。
「あー、こないだ京都に行った時舞妓さんの体験をしたんです。その時、京都弁喋れたらテンション上がるかなーって...それだけですよ?」
「わ!すごいですね!それって旅行先の言語が喋れるってことですよね!」
「あー、あくまで口調を変えるだけなので、外国語が喋れるわけじゃないんですよね...。あ、ちなみに何か事件に巻き込まれたりはしてないですよ。私は毎日可愛いを追求するのに忙しいんです。」
「可愛いを追求?」
「はい!可愛い私の顔をもっと可愛くするための努力は怠らないようにしてるんです。」
可愛いを全力で楽しんでいそうだとは思いましたけど、なるほど、若干ナルシストなんですね。でも実際にとても可愛いので何も言えません。可愛いを追求、女の子としては格好いいし憧れます。
「あの、今日は他にも調査するんですよね?次は誰を調査するんですか?」
「キルケゴールもいないし、次は順番的にグロティウスかなって思ってるけど。」
「なるほど、順番なんですねー。あ、じゃあ私はこれくらいで大丈夫ですかね?調査頑張ってください!」
そう言うとクレッチマーは部屋に戻るためにドアを開けました。
「あ、ありがとうございました。」
「いいえー!」
最後にニコッと笑った笑顔は天真爛漫で可愛らしいものでした。閉まるドアを見送った私たちは次の調査対象者、グロティウスの元へ歩き始めました。
「次...グロティウスはちょっと、いやかなり変わってる不思議ちゃんだよ。」
「わあ、すでに変わり者の多いこのメゾンの方の中でもさらに変わってるんですか?」
「まあそうなるね。でも空気は結構和むよ。」
「どういうフォローですか?」
プラトンと話していると、すぐにグロティウスの部屋の前に着いたので、プラトンがコンコンコンとノックします。
「グロティウスー?いる?」
プラトンの呼びかけにしばらく、いえ、留守かな?と思うくらいには待ってようやく出てきたのは綺麗な白髪を背中まで伸ばして、一見女性と見間違えてしまうほどの美形。つかんだら折れてしまいそうなほど細い手足をした、いかにも不思議ちゃんの雰囲気のある男性でした。
「えっと...誰...あ、探偵社の...人?」
何だか言葉と言葉の間に絶妙な間があるような気がします。
「初めまして私は双葉です。こっちは空。」
「双葉と...空...よろしく...。」
「あ、よろしくお願いします...。えっと、その、ソートスキルを教えてもらえますか?」
「ソート...スキル...『自然法の父』だよ...。植物の声が...聞こえるんだ。」
「植物と会話が出来るんですね!」
何でしょう。ここまでキャラクターと能力がマッチした人は初めて見た気がします。この不思議ちゃんの雰囲気と植物と会話できるという能力ベストマッチですね。ところで、この方会話しててとても時間がかかりますね。
「えっと、他に、何か最近事件に巻き込まれたりしませんでしたか?」
「事件...あ、二週間前の空き巣...犯人の顔...見た...」
「え!?二週間前の空き巣事件って全然情報がなくてまだ犯人も逮捕されてないやつですよね!顔見たって言うのが本当なら大貢献ですよ!あの、どんな顔だったか...」
「って植物たちが...言ってた...。」
「え。」
どうしましょう。今グロティウスと話していて初めて「イラっ」という2文字と小文字が浮かんでしまいました。2週間前の空き巣事件は監視カメラや目撃証言なんかの証拠が一切出て来ず、警察さんたちも必死で追っていますが全然進展しない事件なんです。なのでそんな事件の犯人の顔を見たとなれば大進歩なんです。本当に、警察さんにも感謝されるくらいの証言なんです。それを、話すペースがゆっくりだからと言う理由で天国から地獄に叩き落されたような気分にもなればそれなりに遺憾の意を唱えたくなるものです。いえ、ダメですね。グロティウスは何も悪いことをしたわけではありませんから文句を言うのは筋違いと言うものです。とはいえ、どこかモゾモゾしますね。
「えーっと、顔を見たと言っているのが植物ってことなら、グロティウスが見たわけじゃないんですね?」
「うん...そう...ごめんね...?」
一縷の望みにかけて聞いてみましたがダメでした。まあそうなるともう諦めるしかないですね。最初から今まで通り目撃者なんていなかった、と。と思っていたら、横に立っていたくーちゃんが「大丈夫。今ボク双と同じ気持ち。」と言ってすっと前に出ていきました。私が一瞬戸惑っているとくーちゃんはなんとグロティウスの胸倉をグッと掴み上げました。
「じゃあ期待させる言い方するな。イライラする。」
「くーちゃん!ダメですハウスです!!」
私の思っていたことをストレートな言葉で代弁してくれるのはありがたいですが胸倉をつかむなんてお行儀が悪すぎます。さすがの私も慌ててくーちゃんをグロティウスから引きはがしました。どうでもいいですがくーちゃんが暴行事件を起こそうとしているのに一切止めに入らないプラトンすごいですね。肝っ玉が据わっています。
「離せ双。コイツいっぺん殴る。」
「ダメですって!」
くーちゃん、実は元ヤンキーだったという噂もあるのですが本当と認めざるを得ないような覇気です。羽交い絞めにする私の腕の中で暴れたりはしませんが顔を見なくてもメンチ切ってるのが分かります。
「あの...僕の話し方が気に入らなかったなら...ごめん。変に期待もさせちゃったことも...ゴメン。お詫びにその事件の犯人...見つけるの協力する...。」
私たちの様子を見て、慌てたようにグロティウスは言い出しました。慌てているようでも口調は変わらないのはすごいですね。そしてこの慌てようというか言葉の一片一片から良い人なのが伝わってきます。と、そんなことよりも内容です。
「え?っと、協力する...というのは?」
「僕...この力を誰かのために...使いたくはないんだ...味を占めた人が悪用...するかもしれないから。でも...僕のせいで嫌な思いさせたみたい...だから、今回の事件だけは...僕のこの力を使って...犯人見つける手伝いする...。植物は...この広い土地で繋がってる...から、僕の『自然法の父』を使えば犯人はすぐ見つかる...と思う。」
「本当ですか!?」
何と。私の早とちりで思わず協力を得ることが出来ました。いえ、この事件を私が捜査しているわけではないので正確には私には得とかないのですが。探偵と言う職業は警察から感謝されていた方が良いことが多いのです。パイプは大事。
「うん...本当。今から聞いて回ってみるから...分かったら...教えるね...。」
「分かりました。ありがとうございます。」
「じゃあその間次の調査行こ。プラトン、次誰?」
「次はコペルニクスかな。」
「じゃあ行こ。」
くーちゃんはそう言うとスタスタと歩き出してしまいました。プラトンも「じゃあまたね、グロティウス」とだけ伝え、それに続こうとするので私は慌てて「あの、ありがとうございました。」とグロティウスに言いました。するとグロティウスはふっと笑って「君は優しいね。」と言いました。その笑顔は整った顔立ちと相まって不思議ちゃん特有のどこかドキッとさせるもので、私は最初にプラトンが言っていた「空気は結構和むよ」という言葉の意味を理解しました。
「なるほど、口では何とも言いつつ信頼してるバディみたいってことですね。」
「あーまあそうなんだけど、それ本人には絶対口に出して言わないでね?」
プラトンの言葉に軽く笑いつつ相槌を打っていると、キルケゴールの部屋に着いたみたいでした。早速コンコンコンとプラトンがノックしますが、応答はありません。留守でしょうか?
「キルケゴールならニーチェの部屋に行ってますよー?」
応答の無いキルケゴールの部屋のまで立ち往生していると、隣の部屋から緩いカールのかかったピンク髪をなびかせる可愛い女の子がひょこっと顔を覗かせました。可愛いカチューシャをし、お化粧もばっちり。ドレスのようなワンピースを着て、可愛いを全力で楽しんでいるような女の子です。
「あ、クレッチマー。そっかーキルケゴールいないのか。」
「うん。さっきそう言ってました。あ、探偵事務所の人ですよね!?」
「あ、はい。私は双葉、こっちは空です。」
プラトンの言葉に女の子は天真爛漫な笑顔で答えます。ゆるふわなカールがふわふわ揺れて、つい目で追ってしまいながら私も簡単に自己紹介します。くーちゃんは私の紹介に軽く頷くだけで一言も発しません。エピクロスと呼ばれなくなって自分から自己紹介する必要がなくなったからですかね。
「私はクレッチマーです!よろしくです。あの、私も調査対象ですよね?協力しますよ!何すればいいですか?」
「わっ、ありがとうございます。えっと、ソートスキルと、最近何か事件に巻き込まれたりしてないかを教えてもらいたいです。」
「あー、そうですよね、ソートスキル...。」
「何か問題があるんですか?」
「あっ、いえ!自分の能力気に入ってなくて。でも調査なら見せるので安心してください。異能力『気質と体型』」
クレッチマーがそう唱えた瞬間、私の目線の先にあったはずのクレッチマーの頭が一瞬にして視界から消えました。一瞬脳が驚きましたが、すぐにほんの少し下に目線を動かすと、ピンク髪が目に入りました。
「あ、あれ?何か小さく?」
「はい。私の能力は体の大きさと、あと口調も変えれるんですよ。」
「体の大きさは分かりましたけど、口調...?」
「あーはい。口調変えて、だからなんなんだって感じですよね。私もほとんど使ったことないですよ。」
「ほとんどってことは、何に使った?」
ずっと無言を貫いていたくーちゃんが話に入ってきました。くーちゃん、事件に首突っ込んでいないかの調査には鋭いキレで突っ込んできますね。
「あー、こないだ京都に行った時舞妓さんの体験をしたんです。その時、京都弁喋れたらテンション上がるかなーって...それだけですよ?」
「わ!すごいですね!それって旅行先の言語が喋れるってことですよね!」
「あー、あくまで口調を変えるだけなので、外国語が喋れるわけじゃないんですよね...。あ、ちなみに何か事件に巻き込まれたりはしてないですよ。私は毎日可愛いを追求するのに忙しいんです。」
「可愛いを追求?」
「はい!可愛い私の顔をもっと可愛くするための努力は怠らないようにしてるんです。」
可愛いを全力で楽しんでいそうだとは思いましたけど、なるほど、若干ナルシストなんですね。でも実際にとても可愛いので何も言えません。可愛いを追求、女の子としては格好いいし憧れます。
「あの、今日は他にも調査するんですよね?次は誰を調査するんですか?」
「キルケゴールもいないし、次は順番的にグロティウスかなって思ってるけど。」
「なるほど、順番なんですねー。あ、じゃあ私はこれくらいで大丈夫ですかね?調査頑張ってください!」
そう言うとクレッチマーは部屋に戻るためにドアを開けました。
「あ、ありがとうございました。」
「いいえー!」
最後にニコッと笑った笑顔は天真爛漫で可愛らしいものでした。閉まるドアを見送った私たちは次の調査対象者、グロティウスの元へ歩き始めました。
「次...グロティウスはちょっと、いやかなり変わってる不思議ちゃんだよ。」
「わあ、すでに変わり者の多いこのメゾンの方の中でもさらに変わってるんですか?」
「まあそうなるね。でも空気は結構和むよ。」
「どういうフォローですか?」
プラトンと話していると、すぐにグロティウスの部屋の前に着いたので、プラトンがコンコンコンとノックします。
「グロティウスー?いる?」
プラトンの呼びかけにしばらく、いえ、留守かな?と思うくらいには待ってようやく出てきたのは綺麗な白髪を背中まで伸ばして、一見女性と見間違えてしまうほどの美形。つかんだら折れてしまいそうなほど細い手足をした、いかにも不思議ちゃんの雰囲気のある男性でした。
「えっと...誰...あ、探偵社の...人?」
何だか言葉と言葉の間に絶妙な間があるような気がします。
「初めまして私は双葉です。こっちは空。」
「双葉と...空...よろしく...。」
「あ、よろしくお願いします...。えっと、その、ソートスキルを教えてもらえますか?」
「ソート...スキル...『自然法の父』だよ...。植物の声が...聞こえるんだ。」
「植物と会話が出来るんですね!」
何でしょう。ここまでキャラクターと能力がマッチした人は初めて見た気がします。この不思議ちゃんの雰囲気と植物と会話できるという能力ベストマッチですね。ところで、この方会話しててとても時間がかかりますね。
「えっと、他に、何か最近事件に巻き込まれたりしませんでしたか?」
「事件...あ、二週間前の空き巣...犯人の顔...見た...」
「え!?二週間前の空き巣事件って全然情報がなくてまだ犯人も逮捕されてないやつですよね!顔見たって言うのが本当なら大貢献ですよ!あの、どんな顔だったか...」
「って植物たちが...言ってた...。」
「え。」
どうしましょう。今グロティウスと話していて初めて「イラっ」という2文字と小文字が浮かんでしまいました。2週間前の空き巣事件は監視カメラや目撃証言なんかの証拠が一切出て来ず、警察さんたちも必死で追っていますが全然進展しない事件なんです。なのでそんな事件の犯人の顔を見たとなれば大進歩なんです。本当に、警察さんにも感謝されるくらいの証言なんです。それを、話すペースがゆっくりだからと言う理由で天国から地獄に叩き落されたような気分にもなればそれなりに遺憾の意を唱えたくなるものです。いえ、ダメですね。グロティウスは何も悪いことをしたわけではありませんから文句を言うのは筋違いと言うものです。とはいえ、どこかモゾモゾしますね。
「えーっと、顔を見たと言っているのが植物ってことなら、グロティウスが見たわけじゃないんですね?」
「うん...そう...ごめんね...?」
一縷の望みにかけて聞いてみましたがダメでした。まあそうなるともう諦めるしかないですね。最初から今まで通り目撃者なんていなかった、と。と思っていたら、横に立っていたくーちゃんが「大丈夫。今ボク双と同じ気持ち。」と言ってすっと前に出ていきました。私が一瞬戸惑っているとくーちゃんはなんとグロティウスの胸倉をグッと掴み上げました。
「じゃあ期待させる言い方するな。イライラする。」
「くーちゃん!ダメですハウスです!!」
私の思っていたことをストレートな言葉で代弁してくれるのはありがたいですが胸倉をつかむなんてお行儀が悪すぎます。さすがの私も慌ててくーちゃんをグロティウスから引きはがしました。どうでもいいですがくーちゃんが暴行事件を起こそうとしているのに一切止めに入らないプラトンすごいですね。肝っ玉が据わっています。
「離せ双。コイツいっぺん殴る。」
「ダメですって!」
くーちゃん、実は元ヤンキーだったという噂もあるのですが本当と認めざるを得ないような覇気です。羽交い絞めにする私の腕の中で暴れたりはしませんが顔を見なくてもメンチ切ってるのが分かります。
「あの...僕の話し方が気に入らなかったなら...ごめん。変に期待もさせちゃったことも...ゴメン。お詫びにその事件の犯人...見つけるの協力する...。」
私たちの様子を見て、慌てたようにグロティウスは言い出しました。慌てているようでも口調は変わらないのはすごいですね。そしてこの慌てようというか言葉の一片一片から良い人なのが伝わってきます。と、そんなことよりも内容です。
「え?っと、協力する...というのは?」
「僕...この力を誰かのために...使いたくはないんだ...味を占めた人が悪用...するかもしれないから。でも...僕のせいで嫌な思いさせたみたい...だから、今回の事件だけは...僕のこの力を使って...犯人見つける手伝いする...。植物は...この広い土地で繋がってる...から、僕の『自然法の父』を使えば犯人はすぐ見つかる...と思う。」
「本当ですか!?」
何と。私の早とちりで思わず協力を得ることが出来ました。いえ、この事件を私が捜査しているわけではないので正確には私には得とかないのですが。探偵と言う職業は警察から感謝されていた方が良いことが多いのです。パイプは大事。
「うん...本当。今から聞いて回ってみるから...分かったら...教えるね...。」
「分かりました。ありがとうございます。」
「じゃあその間次の調査行こ。プラトン、次誰?」
「次はコペルニクスかな。」
「じゃあ行こ。」
くーちゃんはそう言うとスタスタと歩き出してしまいました。プラトンも「じゃあまたね、グロティウス」とだけ伝え、それに続こうとするので私は慌てて「あの、ありがとうございました。」とグロティウスに言いました。するとグロティウスはふっと笑って「君は優しいね。」と言いました。その笑顔は整った顔立ちと相まって不思議ちゃん特有のどこかドキッとさせるもので、私は最初にプラトンが言っていた「空気は結構和むよ」という言葉の意味を理解しました。
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