2 / 20
1章
第2話 本命なの?営業なの?どっちが本音よ?
しおりを挟む
ホストと付き合う。
人生で考えもしなかった展開に、私は軽いパニックに陥っていた。
恋愛経験ほぼゼロの自分にとって、ホストの世界は未知すぎる。
今からでもやっぱり荷が重いですってお別れのメッセージ送る!?
そう悩んでいるタイミングでレオくんからメッセージが来た。
『カモちゃんが彼女になってくれて嬉しい!こんな俺を彼氏にしてくれてありがとう!これからよろしくね」』
可愛いメッセージに思わず胸がキュン。
あと、『彼氏』『彼女』というワードに謎の高揚感が生まれた。
人生初めての彼氏。
年齢=彼氏なしという薄っすらとしたコンプレックスが消えるのがわかる。
深呼吸をした。
ここはひとつ、前向きに情報収集だとばかりに、ネットで「ホスト 彼女 心得」的なキーワードで検索してみた。根は真面目なのだ。
(なんだろ…お客さんに見られないように外では手を繋いじゃダメとか?夜の電話は絶対ムリ!とかかな?)
検索結果に表示されたのは、想像を遥かに超えるホスト業界の奥深さだった。「ホンカノ」「本営」「色営」「趣味カノ」「育て」……。
(なんだこれ!?彼女の種類とか初めて聞きましたけど!?しかも多いな!)
それぞれの意味を読み解くうちに、頭の中はますます混乱していく。本命の彼女がいる一方で、営業用の彼女が何種類も存在するらしい。そして、どの『彼女』にも、『なお、本命では無い』という注釈が添えられているのが、なんとも物悲しい。
そんな知識を得た数日後、レオくんとのデートの帰り道でのこと。
「そういやカモちゃんってどこに住んでるの?」
「え!?」
唐突な質問に、心臓が跳ね上がった。
「家まで送るよ。最寄り駅は?」
(宿カノだ!万が一の宿カノ狙いでどんな場所に住んでいるのか、リサーチされているんじゃ?)
※宿カノ……住む場所を確保するための同棲専用の彼女。なお、本命では無(略)。
ネットで見た「宿カノ」というワードが頭をよぎる。レオくんの何気ない質問が、下心丸出しのリサーチにしか聞こえなくなっていた。
「カモちゃん?おーい?」
レオくんの声も上の空で、脳内は「私は一体何カノ…?」という疑問符で埋め尽くされていた。
しばらくの間、レオくんの言葉一つ一つに疑心暗鬼になった。
「可愛いね」と言われれば「これは色営か?」
「一緒にいると落ち着く」と言われれば「趣味カノ的なキープか?」と、被害妄想が止まらない。
そんなある日、カフェで向かい合って座っていると、レオくんがキラキラした瞳で尋ねてきた。
「ところでカモちゃんは俺のどこが好き?」
「え!?」
すぐに思い付いたのは見た目!…だけど言っちゃダメか!さすがに!
「えーっと…一緒にいて疲れなくて、なんだか心地良いから…かな?レオくんは?」
少し照れながら答えると、レオくんは即答した。
「見た目かな!」
「え、嘘じゃん!さすがに!」
思わず声を上げたらレオくんもビックリしていた。
「え!?いやいや!本当だよ!」
「んなわけあるか!こちとらぽっちゃり地味オタクやぞ」
自虐気味に言うと、レオは真剣な顔で頷いた。
「本当だよ!服とかカバンとか、そういうのに全然お金かけてない感じで、インドアそうな雰囲気で無駄遣いもしなさそうだから、貯金がたっぷりありそうな清楚な人が好みなんだ!実家住まいならさらにオッケー!」
「レオ子…それは清楚やない。質素や」
盛大にツッコミを入れた。
「俺達もそろそろお付き合いしてから1ヶ月経つね。早いね」
「話そらすんかい」
呆れていたら、レオくんは急に真剣な表情になり、私の手を握った。
「実は今月の俺の売り上げがピンチでさ…一生に一回のお願い!今夜、俺が勤めてるホストクラブに一緒に来て助けてほしい!ホント、今回だけだから!」
「……は…」
自分の口から間の抜けた声が漏れた。
「え?」
レオが不思議そうな顔をする。
「早いよおぉ!!」
思わず叫んだ。
「カモちゃん!?な…何が!?」
「『育て』は三ヶ月から半年ぐらいってネットに書いてたのに、1ヶ月で営業かけるのは早いよおぉぉー!」
※『育て』とは……時間をかけてお金を使うお客へ育ててホストにハマらせる営業スタイル。
「マッチングアプリのやり取りから数えると三ヶ月ぐらいだから、むしろ頃合いだよ」
レオくんは涼しい顔で言った。
「つまり付き合う前からカモにする気マンマンだったんかい。ひでぇ」
「あ、もちろんカモコちゃんは『育て』じゃないよ。ちゃんと本命彼女だから」
「取ってつけたかのように言うじゃん」
目の前のイケメンホストに、改めて深い溜息をついた。果たして、この先どうなることやら。
人生で考えもしなかった展開に、私は軽いパニックに陥っていた。
恋愛経験ほぼゼロの自分にとって、ホストの世界は未知すぎる。
今からでもやっぱり荷が重いですってお別れのメッセージ送る!?
そう悩んでいるタイミングでレオくんからメッセージが来た。
『カモちゃんが彼女になってくれて嬉しい!こんな俺を彼氏にしてくれてありがとう!これからよろしくね」』
可愛いメッセージに思わず胸がキュン。
あと、『彼氏』『彼女』というワードに謎の高揚感が生まれた。
人生初めての彼氏。
年齢=彼氏なしという薄っすらとしたコンプレックスが消えるのがわかる。
深呼吸をした。
ここはひとつ、前向きに情報収集だとばかりに、ネットで「ホスト 彼女 心得」的なキーワードで検索してみた。根は真面目なのだ。
(なんだろ…お客さんに見られないように外では手を繋いじゃダメとか?夜の電話は絶対ムリ!とかかな?)
検索結果に表示されたのは、想像を遥かに超えるホスト業界の奥深さだった。「ホンカノ」「本営」「色営」「趣味カノ」「育て」……。
(なんだこれ!?彼女の種類とか初めて聞きましたけど!?しかも多いな!)
それぞれの意味を読み解くうちに、頭の中はますます混乱していく。本命の彼女がいる一方で、営業用の彼女が何種類も存在するらしい。そして、どの『彼女』にも、『なお、本命では無い』という注釈が添えられているのが、なんとも物悲しい。
そんな知識を得た数日後、レオくんとのデートの帰り道でのこと。
「そういやカモちゃんってどこに住んでるの?」
「え!?」
唐突な質問に、心臓が跳ね上がった。
「家まで送るよ。最寄り駅は?」
(宿カノだ!万が一の宿カノ狙いでどんな場所に住んでいるのか、リサーチされているんじゃ?)
※宿カノ……住む場所を確保するための同棲専用の彼女。なお、本命では無(略)。
ネットで見た「宿カノ」というワードが頭をよぎる。レオくんの何気ない質問が、下心丸出しのリサーチにしか聞こえなくなっていた。
「カモちゃん?おーい?」
レオくんの声も上の空で、脳内は「私は一体何カノ…?」という疑問符で埋め尽くされていた。
しばらくの間、レオくんの言葉一つ一つに疑心暗鬼になった。
「可愛いね」と言われれば「これは色営か?」
「一緒にいると落ち着く」と言われれば「趣味カノ的なキープか?」と、被害妄想が止まらない。
そんなある日、カフェで向かい合って座っていると、レオくんがキラキラした瞳で尋ねてきた。
「ところでカモちゃんは俺のどこが好き?」
「え!?」
すぐに思い付いたのは見た目!…だけど言っちゃダメか!さすがに!
「えーっと…一緒にいて疲れなくて、なんだか心地良いから…かな?レオくんは?」
少し照れながら答えると、レオくんは即答した。
「見た目かな!」
「え、嘘じゃん!さすがに!」
思わず声を上げたらレオくんもビックリしていた。
「え!?いやいや!本当だよ!」
「んなわけあるか!こちとらぽっちゃり地味オタクやぞ」
自虐気味に言うと、レオは真剣な顔で頷いた。
「本当だよ!服とかカバンとか、そういうのに全然お金かけてない感じで、インドアそうな雰囲気で無駄遣いもしなさそうだから、貯金がたっぷりありそうな清楚な人が好みなんだ!実家住まいならさらにオッケー!」
「レオ子…それは清楚やない。質素や」
盛大にツッコミを入れた。
「俺達もそろそろお付き合いしてから1ヶ月経つね。早いね」
「話そらすんかい」
呆れていたら、レオくんは急に真剣な表情になり、私の手を握った。
「実は今月の俺の売り上げがピンチでさ…一生に一回のお願い!今夜、俺が勤めてるホストクラブに一緒に来て助けてほしい!ホント、今回だけだから!」
「……は…」
自分の口から間の抜けた声が漏れた。
「え?」
レオが不思議そうな顔をする。
「早いよおぉ!!」
思わず叫んだ。
「カモちゃん!?な…何が!?」
「『育て』は三ヶ月から半年ぐらいってネットに書いてたのに、1ヶ月で営業かけるのは早いよおぉぉー!」
※『育て』とは……時間をかけてお金を使うお客へ育ててホストにハマらせる営業スタイル。
「マッチングアプリのやり取りから数えると三ヶ月ぐらいだから、むしろ頃合いだよ」
レオくんは涼しい顔で言った。
「つまり付き合う前からカモにする気マンマンだったんかい。ひでぇ」
「あ、もちろんカモコちゃんは『育て』じゃないよ。ちゃんと本命彼女だから」
「取ってつけたかのように言うじゃん」
目の前のイケメンホストに、改めて深い溜息をついた。果たして、この先どうなることやら。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
新しい家族は保護犬きーちゃん
ゆきむらさり
エッセイ・ノンフィクション
〔あらすじ〕📝🐶初めて保護犬ちゃんを迎え入れる我が家。
過去の哀しい実情のせいで人間不信で怯える保護犬きーちゃん。
初日から試行錯誤の日々と保護犬きーちゃん
がもたらす至福の日々。
◇
✴️保護犬ちゃん達の過去・現在の実情の記述もあります🐾
✴️日々の些細な出来事を綴っています。現在進行形のお話となります🐾
✴️🐶挿絵画像入りです。
✴️拙いエッセイにもかかわらず、HOTランキングに入れて頂き(2025.7.1、最高位31位)ありがとうございます🙇♀️
与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし
かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし
長屋シリーズ一作目。
第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。
十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。
頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。
一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる