またですか

めい

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第一章 千代

ハッピーエンド?

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どうやら、佐藤さん
佐藤 悠里に嵌められたらしい。

先輩の話では、
私は後で来るから。と部室の裏に呼び出され。
そこで、しつこくストーカーのように付きまとっている人が影から見てるから。恋人の振りをしてくれ。と、言われたらしい。
最初は断ったが、こちらを見てる人の気配がするのに、話しかけも立ち去りもしない。携帯だけがこちらを向いているのに気づいて。協力する事にした。って………

おい!!その影は私だよ!!
確かに盗撮したよ!
こめんなさい。

それに中学時代に私のゴタゴタの話まで出されて。
同じ中学でもない彼女が、その事を知ってるなんて、本当に私と仲が良いのだと思った。と、
同じような悩みを経験した、私からも先輩に頼んであげるから……と千代が言ってくれた。聞いてませんか?
と言われたんだって。


怖い!!
中学の話なんかしたことないし
ただ去年も今年も同じクラス。ってだけで、仲良くない。
向こうは親友。とか言っているけど、
テスト前とか男子の前で都合が良い時だけやって来て、ノートをコピーさせろと言ってきたり、引き立て役にされたり………
そんな、関係だ。

私もこないし、部活の時間だから戻る。と言うと、
しつこくLINEのアドレスを聞いてきて、何か嫌だった。と
でもストーカーの話を出されると、千代のことを思い協力してあげたい。
だから、千代とのグループLINEでなら話を聞くから、私に招待してもらえ。と、言ったらしい。

あー。だからか
悠里ちゃんから、やたらとLINEが入っていた。
既読すら、してないけど。

「………で、雑誌は別の男経由で届くし」

男って、あなたの後輩ですけど

「いつもくる連絡はこないし……
LINEも電話も返信ないし……
会えないし……」

土日は練習試合があって、これなかったけど、朝なら会えるかも。
と、朝食も食べずに門の前で大樹が出てくるのを待ってたらしい。

はい。一歩間違えればストーカーだよ。

で、いま朝食を目の前で食べてる。

なんだろう男子って。
かわいいな。

「先輩。ごめんなさい。
勝手に誤解して、怒ってた………
わたし、ゆう…佐藤さんに何も頼まれてないよ」

麦茶を飲んで、私をみる。

「だよなー。なんか変だとはおもってたんだ。でも連絡できなくて……
試合なんて無視して会いに来れば良かった!!」

「私の方こそ、ごめんなさい。
ちゃんと電話に出れば良かったんだもん。
大切な時期に、本当にごめんなさい。」

下を向いてると涙が出てくる。

3年生は、これから負けたら引退の公式戦の予定がつまってる。
公式戦がない日も、練習試合がたて込んでる大事な時期だ。
U-18の練習もあるかもしれない……

私、何回間違えるんだろう。


手が暖かくなる。
顔をあげると、目の前に先輩が膝をついている。

「俺のせいだよ。ごめん。
でも、そのせいでキレイになってるのは、なんかくやしいな。
髪型、本当に似合ってる」

片方の手が私の頬に移動した。
うわー、どうした?先輩??

「雄一郎くん。
千代、夏休みの間はずっと俺の実家に行くから、よろしくなぁー」

後ろから、父の声がした。

先輩の動きが止まる。
私は、止まりっぱなしだけど。

「えっ??ずっーと?実家って?」

そうだよ。
ここデッキだよ!!
親、後ろにいるよ

「そう。夏休みに入ったらすぐにな。
雄一郎君、部活だろう?勝ち上がったら夏休みなんてないも同然だよな。
ならいいだろう。受験生だから勉強もあるし。
U-18の遠征だってあるらしいじゃないか?」

父がコーヒーを飲みながら、こっちに来た。

「部活はありますけど、お盆は休みです。
遠征も9月に入ってからで……
部活終わったあと花火大会とか、祭りに行こうと………」

私の方をチラリと見る。
うん。何も聞いてないし、誘われてないな。

「千代に確認した時には、何の予定も言ってなかったぞ。
もう決まった事だから。諦めな!!」

父と塚本先輩が
ギャーギャーと言い争ってる。 

「千代、本当??」

確認してくる。なんだ?

「うん?」

ごめん。聞いてなかった。

「ダメだ。スゲーかわいい。何この拷問。
いや、夏休みずっーと予定がある?って」

あー、そうそう
夏休みの話ね、

「夏休みに入ってからすぐに諏訪に行くのは決まってるよ。帰りは、わからないけど……すぐには、帰ってこない。と、思う」

「ほら見ろ」

父よ、子供に戻っているぞ。
塚本先輩は、落ち込んでる。

「ほら見ろ。じゃないわよ!!
お父さん。会社に遅れるわよ。
雄一郎君ごめんね。
千代、夏休みは始まってすぐから、帰省するけど、ずっーとって訳じゃないと思うから、予定を決めておいてちょうだい。
花火ってお盆の時だったわよね?
その時に一度帰ってこさせるように伝えとくわ」

母が父の後頭部を引っ張ったいた。
……お母さん、お父さんの頭は手術が必要な病気だったような。
父を2階に追い出しながら、

「千代も制服に着替えてらっしゃい。
一緒に登校するんでしょ。」

もう7時30分になりそうだ。
大樹はすでに学校に行っていた。
学校までは自転車で20分だけど、
余裕をもって7時40分には出たい

「雄一郎君の分もお弁当作ったから持っていってね。食べ終わったら千代にお弁当箱を渡してくれれば良いから」

たぶん。それ。お父さんのお弁当だよね



「……お母さん、ありがとー
先輩、ちょっと待ってて!
!支度をしてくる。」

慌てて、2階にあがる。


はぁー、朝から疲れた。

でも先輩と仲直り?出来て良かった。
部活を休ませたのは、申し訳なかったけど……

夏休み……
その前にテスト!!
そっちも頑張らなければ。

先輩、部活に代表に受験勉強。
邪魔は出来ないけど、
でも、ちょっとは遊べると良いな。

『良かったね。』

心のなかでリリアーヌちゃんの声が聞こえた気がした。

うん。良かった。

『リリアーヌちゃんのおかげだよ。
ありがとう』

私も心の中でお礼を言った。


終わり
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