またですか

めい

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第二章 リリアーヌ

愛し子

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末姫は、優しい側室と乳母のもと
すくすくと大きくなった。
王宮の奥深くにある離宮とその周辺のみが彼女の世界の全てだった。
年の離れてた異母兄が王位につき、王太子もすでに決まり、
年頃になれば報奨がわりに下賜される事が決まっている先王の姫。
ないがしろにされる事はないが、
忘れられた存在となっていた。

姫の日課は、闘技場に見学に行くこと。
ペットの白い猫を抱き、闘技場の端から覗くのが大好きだった。
すでに白魔法を使えていたので、
怪我人を見つけると治癒魔法をかけたり、
稽古なあとには回復魔法をかけたりした。
ここにいる戦士は、近衛隊のようなエリートではなく、叩き上げの戦士たち。
王族が白魔法を使う意味など知らずに、
小さなお客様の優しい贈り物の恩恵に預かり、可愛がった。

セリーヌ本人も外に出される姫として、
王家の教育を受けておらず、
白魔法を秘する事もなく、
大盤振る舞いをしていた。

ある日、その関係が将軍の視察により、崩れる。
ここで訓練を行っている部隊だけ、ポーションの申請が少なく、
遠征で魔物を討伐の実績が、目覚ましいものがあった事を怪しまれたからだ。

セリーヌは、そんな事も知らず、
いつものように怪我人に、癒しをかけているのが見つかってしまった。

すぐさま、王、先王に報告があがり、
そして密かに『愛し子』と認定された。



その後に法律改正の案が王から出された。
例え、王でも議会を通さずに法の改正など出来ない。

12歳になっていた愛し子は、
母親の愛に育まれ美しく育っていた。

その異母妹を見て、王は血迷った。
女王にするのではなく、
息子の王太子に娶わせ、次期王妃にするのではない、
愛し子を手にいれる方法。

王家から出された改正案は
『異母兄妹の結婚を認める』
であった。


王と先王により末姫は、愛し子だと公表される事なく、
愛し子の存在を知る、わずかな者には箝口令を出し。『他言無用』の誓約をさせた。

母親である側室は、辺境伯の後添いとして下賜され、
離宮近くで訓練されていた戦士たちの大部分は辺境警備が任じられた。

兄王が異母妹を手にいれるため、囲い込みを始まったのだ。

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