ソウルイータ・・・魂喰って強くなる。英雄の魂はどこ?

Katty

文字の大きさ
13 / 64

トラブル

しおりを挟む
馬車が走り出し、早くも5日、今走っている山を越えれば王都に着く。
「大変だ!馬車が落ちてるぞ!」
前を走っていた馬車が足を止め、下を覗き込んでいる。
俺が乗る馬車も足を止め、救助出来ないか検討している。
そして、俺も馬車を降りて下を覗くと高価そうな馬車が落ちていた。
「どうする、見なかった事にするか?」
「いや、ヤバイだろ?あの馬車絶対貴族だろ?」
「放置したら俺達もヤバくないか?」
そんな会話が聞こえてくる。

見る限り、落ちている高さは10メートルぐらい。
生き残りがいるかもわからない。
だが、崖を降りれる人がいないのか、崖の上から見るだけだった。

俺は勇気を振り絞って崖を降りていく。
「君、危ないぞ!」
「大丈夫、それよりロープを用意しておいてください。生存者がいたら引き上げに協力を。」
「わかった!君も気をつけて!」
俺は気を付けながら、崖を降りる。

そこには大破した馬車と死んだ馬、そして、従者がいた。
「これは酷いな・・・」
俺は壊れてる馬車の扉を開ける。
そこには、12歳ぐらいの少年と10歳ぐらいの少女の二人がいた。

少年は足が潰れており、出血がひどい。
少女は見た目は外傷がないが口から血を吐いた痕があり、内臓が傷付いている可能性があった。
「おい、大丈夫か?」
俺は二人に声をかけると、少年が、
「あ、あなたは・・・?」
「助けに降りてきたんだが、大丈夫じゃないな?」
「え、え、せめて、妹だけでも助けてく、れ、ませんか?」
声も絶え絶えに俺に訴えてくる。
「ダメだ、二人とも助けてやる、少し我慢してろよ。」
俺は左手を少年の潰れた足に、右手を少女の体に当てる。
そして、回復魔法を使う。
手が熱くなるが、1人に使うより明らかに俺への負荷が強かった。
「くっ!こりゃきついな。」
「ああ、何ですかこれは・・・気持ちいいです。」
少年の顔色が良くなっていく。
完治とはいかないが、だいたい治ったところで、
「すまない、君の方はだいたい終わった、ここからは少女の方を優先さしてもらう。」
「お願いします、妹をユミナをどうかお助けください。」
「力は尽くすよ。」
しかし、見た目でどこが怪我しているのはわからないユミナの治療は困難を極めた。
手を全身に這わせ、全てを癒していく。
回復魔法を使い続けて2時間、だいぶ疲労が出てきて、頭もクラクラしてきた。
そんな中、スキルから声が聞こえてくる。

魔力が枯渇します。
魂を使い、回復しますか?
これは・・・YES!

魂を使用しました。

残り魂47
保管期間残り2日

すると頭もスッキリして楽になった。
これなら!
俺は回復魔法の出力をあげ、体の奥底まで届くように魔法を浸透させる。
すると胸の辺りに手を這わせた時に意識に反応があった。
「ぅ、うん。」
「よし、ここか!」
俺は胸に手を当て深く回復魔法を送り込む。
すると、治癒出来ている感覚がわかった。
そこから重点的に治療した。

ユミナの治療を終え、少年の治療の続きをしようとする。
「さて、君も最後まで治しておこうか。」
「ユリウスさま!ご無事ですか!」
崖の上から声がする。
「マルクス、ここだ!ここにいるぞ!」
「ユリウスさま!今引き上げます!」
ロープが降りてくる。
「君はユリウスって言うんだね。」
「これは失礼いたしました。私はローエン公爵家、嫡男ユリウス・フォン・ローエンです。」
俺は慌てて頭を下げる。
「こちらこそ失礼を!数々の御無礼御許しください。」
「そんな、顔を上げてください。あなたは私と妹の命の恩人です。御名前をうかがっても?」
「そんな、私のような平民にそのような御言葉をかけていただけるだけで、光栄にございます。」
俺が頭を下げている間に
「ユリウスさま!さあ、こちらに。」
騎士が籠と共に降りてくる。
「マルクス、ユミナを先に頼む!」
騎士は俺の方を見ると汚い物を見るような目をした後、
「はっ!しかし、その後すぐに引き上げますぞ!」
「頼む。」
その後、騎士達にユリウスも引き上げられたが、ロープが投げられる事はなかった。
「ひどいはなしだ、まあ、あのマルクスとか言う騎士の仕業だろうな。騎士さまの思惑はどうでもいいとして、これからどうするかな?」
俺は崖を登らず、王都に行く手段を考える。

その頃、崖の上では
「マルクス、早く救助をださないか!」
「ユリウスさまの御身の方が大事にございます。見たところかなりのお怪我をなされているとお見受けいたします。」
ユリウスの服はかなり血で汚れていた。
「ケガは治っている、それより早く命の恩人を助けろ!」
「ユリウスさま!平民を気にするお心は素晴らしいですが、御身の為にも早く王都にお戻りを!皆、ユリウスさまを馬車へ!お乗り次第王都に出発する!」
「マルクス!話を聞け!」
ユリウスは騎士に馬車に押し込められ、その場を後にする。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢

さら
恋愛
 名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。  しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。  王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。  戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。  一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

処理中です...