鏡屋

しゅん

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鏡屋最終日

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「っと、よし」
ここは、私が初めて経営する店。上手くやって行けるか分からない、でも私はこれをやりたいと望んだのだ。
朝日が登り、開店の時間になる。

僕は店を出て急いで家へと帰る。
面白い店!面白い鏡!
また家族みんなで来よう、みんな違う景色が見えるかもしれない。
そして今日はやけに救急車のサイレンの音が聞こえる。
「ただいま!」
いつものおかえりが聞こえてこない。
でも家の中にはお姉ちゃんとお母さんがいた。お母さんは泣きながら電話をしている、お姉ちゃんは寝ている。

あれから色々あった。僕があれから見たお父さんは内臓がほとんどないみたいだった。あれから見たお兄ちゃんは首が変な方向に曲がっていた。
あれから、毎日お母さんとお姉ちゃんは泣いている。
鏡の向こうの僕は楽しそうにはしゃいでいた。

店の取り壊しが急に決まった、おかしな話だ。鏡は神社に持っていくと言われた。
「鏡屋、最後の開店です」
取り壊し決定の紙が来たのはあの秘密の鏡を見つけた子供が来てから20年後の事だった。



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