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第一章 異世界での生活

12話 なんだかドSなんですけど

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 翌日。私は早速色んな家事をバタバタとこなす。
 ずっと1人暮らしをしていただけあって、家事はお手の物だ。

 朝食もルシオが作っていたので手伝って一緒に作った。

 そして、何人かはクエストやハントに出かけていった。
 どうやらソロで仕事をこなしたり、たまに何人かでパーティを組んで取り組んだりと、そういう感じらしい。

 私が2階のバルコニーへ洗濯物を干そうとかごを持って2階へ上がると、廊下でレオンとばったり会う。

「あっと、ごめんなさい」
 私はかごを隅に寄せて通路を開ける。

「それ干したらお前の登録に行くからさっさとしろ」
 レオンは機嫌が悪そうに言う。

「登録って?」

 私が首を傾げると、レオンは壁に避けている私の側をドンっと壁ドンして迫ってきた。

「うっせぇな。俺はさっさと洗濯物を干せっつったんだ。口答えすんじゃねぇ……」

 ひぃぃぃぃ。壁ドンしてドSな発言!
 めちゃくちゃ萌えるけど顔近いし恥ずかしい無理。

「ふぇぇぇ……」

 男耐性のまるでない私はドキドキしすぎて沸騰してその場で気を失った。

「……は!? お、おい……!」

 さっきのドSな態度とは打って変わって焦ったレオンがいたそうだけど、気を失っている私が知る由もない。


 そして、どうやらその光景をリュカが部屋から覗いていた様子。

「“素直になれないドSな王子様”と“ちょっとMっ気のある素直なお姫様”……良いかも……」
 リュカはそう言って自分の部屋に引きこもった。

 その後ジェイミが音を聞きつけて2階へあがってくるなり、倒れた私を見て発狂したそうだ。


⸺⸺

「さくら、大丈夫!? さくら!」

「うーん……」

 私が目を覚ますと、ジェイミが心配そうに私の顔を覗き込んでいた。

「ジェイミ……?」

 私が身体を起こすと、ジェイミの向こうでレオンがホッとしているのが目に入った。

「もー、さくら心配したよ~! レオンは何もしてないって言ってるけど、本当は何かされたんだよね? 何されたの?」

「だから、俺は洗濯物干せっつっただけだって何度も言ってるだろ」

「た、確かにそうだけど……」
 壁ドンされてドキドキしすぎて気絶したなんて恥ずかしくて言えない……。

 すると、リュカの部屋の戸が少しだけ開いて、彼の呟きが聞こえてきた。
「レオン、さくらに壁ドンして口説いてた……」

 リュカはそれだけ言ってまた部屋に引きこもる。

 ちょっと待って、口説かれてはないと思うんだけど……!?

「壁ドンして口説いてた!?」
 ジェイミはそう発狂すると、レオンをキッと睨みつけた。

「俺は口説いてなんかねぇ! つーか壁ドンって何だよ。んな訳わかんねぇことするはずがねぇだろ……」
 レオンは真っ赤になりながら言い返す。

 壁ドンしようとしてしたんじゃないの?
 ま、まさか“天然物の壁ドン”だったのですか!?
 うわぁ、気絶しちゃったのちょっと勿体なかったな……。

「あ、あの、ごめんもう私大丈夫だから……。洗濯物、干さなきゃ」
 そう言って私は放ったらかしになっていた洗濯かごを持って立ち上がる。

「あ、僕手伝うよ」

 ジェイミもついてきたので、私は彼と二人でバルコニーへと出た。

 すると、後ろの方で舌打ちが聞こえてきたので振り返ると、レオンが頭をかきながら1階へ降りていくところであった。



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