巻き込まれ幼女召喚〜無人島を拠点に自由気ままな異世界ライフ〜

るあか

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第一章 私たちだけの島

19話 花の精霊

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 そんなほのぼのとしたクラフト生活が数日続いた。
 クラフト用の作業台はログハウスの中へと移動し、隣には本棚を。2冊の図鑑と達成済みの依頼書を挟んでおくバインダーを立て掛けておいた。
 ログハウスにはベッドも置いて、ふかふかのベッドマットに薄い肌掛け布団も作成。
 ウルユ島は夜でもそんなに寒くないし、ルキちゃんとウルという湯たんぽもいるため、薄い布団で十分だ。体感的には夏一歩手前の気候。
 もちろん今の家具は本棚から全て手作りだ。

 ログハウスの窓の外には屋根付きのウッドデッキを作って、キッチン台や流し、かまどを移動し、木製のカフェテーブルセットを置いた。
 これで雨の日もウッドデッキで料理と食事をすることが出来る。
 トイレとお風呂は外のままだけど、だんだんと私だけの島での別荘生活も快適になってきている。何よりあれこれ作って配置して、それを使うのが楽しすぎる。

⸺⸺

 ウッドデッキにあるカフェテーブルで、マルシャンで買ったカフェラテを飲んでくつろいでいた時だった。

『ユノ、ルキちゃ~ん!』
 いつものようにウルが荷車に大量の素材を入れて帰ってきた。しかし、何やら慌てている様子。
「お帰りウル。どうしたの? なんかあった?」
『この周辺も海岸も、ルキちゃんの結界の力のこもった女神像のおかげで魔物に遭遇することはなかったんだ。でも、今日はちょっとだけ遠くに行ってみたら、頭にこーんな大きなお花をくっつけた魔物を見たんだよ!』
 ウルはそう言って前足をバタバタと動かしてお花の大きさをアピールした。

「大きなお花をくっつけた……」
 ログハウスの中に入り、魔物図鑑を手に取ってウッドデッキへと戻る。
 そして魔物図鑑をペラペラと捲り、みんなでその魔物っぽいやつを探した。
『あっ、これだよ、これこれ!』
 小さくなったウルは頭に大きなお花を乗せた魔物の画像を肉球でポムポムと触る。
「“ドライアド”って言うんだね。へぇ、こんな魔物がいるんだぁ」
 お花はそのドライアドの顔よりも大きく、お花の茎の部分が身体になっている二足歩行の魔物だ。目が赤黒く光って怖く、この目さえなければお花の妖精って感じで可愛いのに。

『ねぇ、ルキちゃん、お願い。あの魔物を助けてあげて!』
 と、ウル。
「『助ける……?』」
 私とルキちゃんは同時に首を傾げた。
『あの魔物、邪気に抵抗しているのか、すごく苦しそうだった。きっと心の優しい魔物なんだよ』
「邪気に抵抗……そうか、魔物って生まれたときから黒いモヤモヤってした邪気に支配されているんだったね。その邪気のせいで破壊したい衝動とか人の魔力を吸収したい欲が抑えられないんだって」
 私は魔物図鑑の初めのページを見ながらそう言った。
『うん。オイラも邪気から解放されてすごくスッキリしたんだ。だから、あの子も助けてあげてほしい』
 ウルがそう懇願すると、ルキちゃんはむくっと立ち上がり『分かりましたにゃ。僕に任せてくださいにゃ♪』とウルのお願いを聞き入れた。

⸺⸺

 私もルキちゃんと一緒にウルに乗り、その魔物救出作戦に同行した。
 ルキちゃんが結界の陣を出すと魔物が周囲からいなくなってしまうので、結界は出さずに向かう。
 すると、少し進んだ先で例のドライアドが地面に咲いているお花をギタンギタンに踏み潰しているところだった。
 ドライアドはこちらに気付くと「キィィ~ッ!」と威嚇をしてきた。確かに呼吸も荒く、苦しそうに見える。

『今、解放してあげますにゃ!』
 ルキちゃんが勇者の光を放ち邪気を浄化すると、ドライアドから黒いモヤモヤが消えていき、赤黒く光っていた瞳はクリンとしたつぶらな瞳へと変化した。あっ、ほら可愛い!
「キュゥ……? キュゥ、キュゥッ!?」
 邪気から解放されて正気に戻ったドライアドは、キョロキョロと辺りを見渡し、何事かと戸惑っているようだった。

「そうだ、名前を付けてあげないと! えっとね……大きなお花と言えばラフレシアって名前のお花があった気がするから、そこから取って“ラフちゃん”だよ。ラフちゃん、よろしく!」
 私がそう命名すると、ウルに名付けた時のようにラフちゃんの身体が一瞬だけ光る。そして……。

『あれ、アナタにラフちゃんと名付けてもらったら人の言葉が分かるようになりました。ありがとうございます』
 そうペコリとお辞儀をするラフちゃんへ挨拶も兼ねて事情を説明した。

⸺⸺

『そうでしたか……。ウチは、このお花にとっても可哀想なコトをしてしまいました。ごめんなさい、お花さん……。今、治してあげますね』
「えっ……!?」
 ラフちゃん、今、治すって言った?
 ラフちゃんがぺちゃんこにしてしまったお花に両手をかざすと、お花は淡い薄緑の光に包まれてグングンと起き上がり、やがて元通りに綺麗に咲いていた。

「えっ、ラフちゃんすごーい♪」
『きっとオイラみたいに、ルキちゃんから魔力をもらってパワーアップしたんだね』
『まるで花の精霊ですにゃ!』
 キャッキャと盛り上がる私たち。花の精霊! ラフちゃんは獣系じゃないから聖獣じゃなくて、精霊なんだ。良いね、それ!

『ウチ……どうやら植物に成長するパワーを送れるようになったみたいです。良ければウチも拠点に住ませてください。野菜やクラフトの素材になる植物を育てて管理します』
「それは大歓迎だよ♪ 何の能力がなくても住んでもらって全然良いのに、植物を育ててくれるなんてすごく助かる!」
『ありがとうございます。ウチ、頑張りますね♪』

 花の精霊ラフちゃんが仲間になった♪
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