56 / 98
第三章 和の食材と常夏の島
56話 お花見パーティー
しおりを挟む
⸺⸺ウズメの社⸺⸺
「ん~、やっぱここはいつ来ても桜が綺麗だなぁ」
私は満開の桜を見上げてうっとりとした。
『そんなに好きなら、少し枝をもらってウルユ島も桜だらけにしたら良いんじゃない?』
と、ウル。しかし、私は首を横に振った。
「ここの桜……アメノザクラなんだけど、もしかして年中桜の花が咲いているんじゃないかと思うの。だって今は、季節のある土地では今は夏のはずだし」
『年中咲いていちゃダメなの?』
「ダメじゃないよ。このウズメの社では、ね。年中満開の桜が見られるのは、ウズメの社の良いところ。でも、ウルユ島はそうじゃない。せっかく四季があるんだから、四季の移り変わりを楽しむのが、ウルユ島の良いところだと思うんだ。まだ夏しか知らないけどね」
「ふむ、幼いのになんとも風流なおなごじゃのう」
急に聞こえた時代劇の姫様のような声に、思わず「えっ、誰!?」と社を振り返る。
一体いつからいたのか、綺麗に結った赤い髪に薄ピンクの羽衣をまとったお姉さんが社の前で浮かんでいた。
そう言えば、女神マリーティアも浮かんでいる。ってことは……。
「アメノウズメ先輩!」
女神マリーティアは嬉しそうにそのお姉さんのところへ飛んでいった。
やっぱり、この人が女神アメノウズメ。先生って呼ばれるだけあってとっても落ち着いた雰囲気のお姉さんだ。
「マリーティアよ。立派に務めは果たせておるのか?」
「うっ……それは、その……あははは」
苦笑して誤魔化す女神マリーティアに、女神アメノウズメははぁっと大きなため息をついた。
「まぁ良い。そのおなご、名は?」
「あっ、初めまして、アメノウズメ様! 私はユノ・カグラです。マリーティア様にこの世界に送ってもらって、小さな島でこの子たちと暮らしています」
ペコリとお辞儀。側にいたウルユ島民らも合わせて挨拶をした。
「ユノ、少し前にもここを訪れた事があったな。珍しかった故に、少々気になっておったのじゃ。なるほど、マリーティアの客であったか。ユノよ、この世界はどうじゃ?」
「とっても優しくて、温かい世界です。私、この世界に来ることが出来て本当に良かったと思っています」
女神アメノウズメを真っ直ぐに見つめてそう言うと、彼女は「なんじゃ、マリーティア。しっかり務めを果たせておるではないか」と、優しく微笑んだ。
⸺⸺
「ふむ、ウズメ村の者も呼んでここで食事を取りたいとな……」
お花見をしたい旨を女神アメノウズメへ伝えると、彼女はうーんと考え込んでしまった。
「あっ、そっか……神様だから、簡単に地元の人の前に姿を現しちゃいけないか……」
しまった、あまりにも女神マリーティアが普通に来るから、そういうの全然考えてなかったよ……。
「左様じゃ。しかし……わらわもそのアップルパイとやらを食してみたいのもまた事実。ならば、こうしよう♪」
女神アメノウズメが指をパチンと鳴らすと、女神アメノウズメと女神マリーティアの姿があっという間に幼い女の子の姿へと変わった。
「えっ……急に私と同じくらいの年の女の子に……!」
「人間の子どものフリをしてわらわもその“お花見”とやらに参加するぞ。わらわの事は“アメ”と、マリーティアの事は“マリー”と呼ぶが良いぞ」
「うふふ、ユノさんのお友だちって事でお願いします♪ あっ、ユノちゃん……にしますね」
「わぁ、なんか同い年の友だちが出来たみたいで嬉しい……! よろしくね、アメちゃん、マリーちゃん!」
アメちゃんの口調はそのままで良いのかなという疑問は残ったけど、気にしないでウズメ村の人たちを誘いに行った。
ウズメ村の人たちはみんなフレンドリーなので一瞬で10人ほどが集まり、お団子屋さんがお団子やまんじゅうも提供してくれた。
ウズメの社にたくさんの人が集まり、みんなでブルーシートへと腰を下ろして賑やかなお花見が始まった。
「んんっ、なんじゃこの食べ物は……! とっても美味ではないか!」
アメちゃんはアップルパイにかぶりつくと、ふにゃんと表情が崩れた。ほっぺが落ちるという表現がピッタリだろう。
「うん、うん、ラフちゃんとゴブくんが頑張って作ってくれたりんごで作ったパイ、最高!」
『美味しいです~!』
『美味しいべ!』
ラフちゃんとゴブくんは顔を見合わせて微笑みながら食べていた。もう……付き合っちゃえよー!
⸺⸺
「マリーちゃん。そう言えば、勇者さんってどうなったか知ってる? ほら、マコト・ノザキさん。あの人もこの世界に召喚されたの?」
私がみたらし団子を食べながらそう尋ねると、マリーちゃんは「いえ……」と首を横に振った。
「彼は勇者召喚に応じた選ばれし者なので、“魔王様”の存在する世界へと召喚されました。魔王様曰く……子どもの姿になることも出来なかったし、やたらと男が追いかけてくるしで、初めはかなり怒っていたようです……」
「……ん? 魔王様、曰く……?」
「はい、魔王ロキ様もわたくしたちと同じく“神”でありますので、マコト様の状況を教えてくださっておりました」
「なるほど……」
私の思ってる魔王とはちょっと違いそうだ……。
私が不思議そうな顔をしていたからか、アメちゃんが補足をしてくれる。
「神が魔王として存在する世界では、人々には勇者を信仰させて、あえて魔王が人々の敵に回ることで、世の均衡を保っておるのじゃ。故に、勇者が上手く自分のところまで辿り着けるよう、魔王は見守らねばならぬ」
「その世界も思ったよりも優しそうでちょっと安心したかも……。野崎さんはそんな事知らないだろうけど」
「大丈夫じゃ。ロキもベテランの魔王。今のわらわたちのように別の姿に変装をして、勇者を上手く導いておるはずじゃ。お主が気に病むことではないぞ」
「そっか……ちょっと気になってたから、大丈夫なら良かったよ」
魔王討伐頑張ってね、野崎さん。
⸺⸺
日が落ちて暗くなってくるまでお花見は続き、おやつがなくなったところでお開きとなった。
アメちゃんとマリーちゃんにも別れを告げてウルユ島に戻ろうとファストトラベルを発動させた瞬間⸺⸺
「わらわも行くぞ♪」
「えっ!?」
マリーちゃんは次元の狭間に帰っていったけど、アメちゃんはファストトラベルが発動するギリギリのところで転送範囲内に飛び込んで来たのであった。
「ん~、やっぱここはいつ来ても桜が綺麗だなぁ」
私は満開の桜を見上げてうっとりとした。
『そんなに好きなら、少し枝をもらってウルユ島も桜だらけにしたら良いんじゃない?』
と、ウル。しかし、私は首を横に振った。
「ここの桜……アメノザクラなんだけど、もしかして年中桜の花が咲いているんじゃないかと思うの。だって今は、季節のある土地では今は夏のはずだし」
『年中咲いていちゃダメなの?』
「ダメじゃないよ。このウズメの社では、ね。年中満開の桜が見られるのは、ウズメの社の良いところ。でも、ウルユ島はそうじゃない。せっかく四季があるんだから、四季の移り変わりを楽しむのが、ウルユ島の良いところだと思うんだ。まだ夏しか知らないけどね」
「ふむ、幼いのになんとも風流なおなごじゃのう」
急に聞こえた時代劇の姫様のような声に、思わず「えっ、誰!?」と社を振り返る。
一体いつからいたのか、綺麗に結った赤い髪に薄ピンクの羽衣をまとったお姉さんが社の前で浮かんでいた。
そう言えば、女神マリーティアも浮かんでいる。ってことは……。
「アメノウズメ先輩!」
女神マリーティアは嬉しそうにそのお姉さんのところへ飛んでいった。
やっぱり、この人が女神アメノウズメ。先生って呼ばれるだけあってとっても落ち着いた雰囲気のお姉さんだ。
「マリーティアよ。立派に務めは果たせておるのか?」
「うっ……それは、その……あははは」
苦笑して誤魔化す女神マリーティアに、女神アメノウズメははぁっと大きなため息をついた。
「まぁ良い。そのおなご、名は?」
「あっ、初めまして、アメノウズメ様! 私はユノ・カグラです。マリーティア様にこの世界に送ってもらって、小さな島でこの子たちと暮らしています」
ペコリとお辞儀。側にいたウルユ島民らも合わせて挨拶をした。
「ユノ、少し前にもここを訪れた事があったな。珍しかった故に、少々気になっておったのじゃ。なるほど、マリーティアの客であったか。ユノよ、この世界はどうじゃ?」
「とっても優しくて、温かい世界です。私、この世界に来ることが出来て本当に良かったと思っています」
女神アメノウズメを真っ直ぐに見つめてそう言うと、彼女は「なんじゃ、マリーティア。しっかり務めを果たせておるではないか」と、優しく微笑んだ。
⸺⸺
「ふむ、ウズメ村の者も呼んでここで食事を取りたいとな……」
お花見をしたい旨を女神アメノウズメへ伝えると、彼女はうーんと考え込んでしまった。
「あっ、そっか……神様だから、簡単に地元の人の前に姿を現しちゃいけないか……」
しまった、あまりにも女神マリーティアが普通に来るから、そういうの全然考えてなかったよ……。
「左様じゃ。しかし……わらわもそのアップルパイとやらを食してみたいのもまた事実。ならば、こうしよう♪」
女神アメノウズメが指をパチンと鳴らすと、女神アメノウズメと女神マリーティアの姿があっという間に幼い女の子の姿へと変わった。
「えっ……急に私と同じくらいの年の女の子に……!」
「人間の子どものフリをしてわらわもその“お花見”とやらに参加するぞ。わらわの事は“アメ”と、マリーティアの事は“マリー”と呼ぶが良いぞ」
「うふふ、ユノさんのお友だちって事でお願いします♪ あっ、ユノちゃん……にしますね」
「わぁ、なんか同い年の友だちが出来たみたいで嬉しい……! よろしくね、アメちゃん、マリーちゃん!」
アメちゃんの口調はそのままで良いのかなという疑問は残ったけど、気にしないでウズメ村の人たちを誘いに行った。
ウズメ村の人たちはみんなフレンドリーなので一瞬で10人ほどが集まり、お団子屋さんがお団子やまんじゅうも提供してくれた。
ウズメの社にたくさんの人が集まり、みんなでブルーシートへと腰を下ろして賑やかなお花見が始まった。
「んんっ、なんじゃこの食べ物は……! とっても美味ではないか!」
アメちゃんはアップルパイにかぶりつくと、ふにゃんと表情が崩れた。ほっぺが落ちるという表現がピッタリだろう。
「うん、うん、ラフちゃんとゴブくんが頑張って作ってくれたりんごで作ったパイ、最高!」
『美味しいです~!』
『美味しいべ!』
ラフちゃんとゴブくんは顔を見合わせて微笑みながら食べていた。もう……付き合っちゃえよー!
⸺⸺
「マリーちゃん。そう言えば、勇者さんってどうなったか知ってる? ほら、マコト・ノザキさん。あの人もこの世界に召喚されたの?」
私がみたらし団子を食べながらそう尋ねると、マリーちゃんは「いえ……」と首を横に振った。
「彼は勇者召喚に応じた選ばれし者なので、“魔王様”の存在する世界へと召喚されました。魔王様曰く……子どもの姿になることも出来なかったし、やたらと男が追いかけてくるしで、初めはかなり怒っていたようです……」
「……ん? 魔王様、曰く……?」
「はい、魔王ロキ様もわたくしたちと同じく“神”でありますので、マコト様の状況を教えてくださっておりました」
「なるほど……」
私の思ってる魔王とはちょっと違いそうだ……。
私が不思議そうな顔をしていたからか、アメちゃんが補足をしてくれる。
「神が魔王として存在する世界では、人々には勇者を信仰させて、あえて魔王が人々の敵に回ることで、世の均衡を保っておるのじゃ。故に、勇者が上手く自分のところまで辿り着けるよう、魔王は見守らねばならぬ」
「その世界も思ったよりも優しそうでちょっと安心したかも……。野崎さんはそんな事知らないだろうけど」
「大丈夫じゃ。ロキもベテランの魔王。今のわらわたちのように別の姿に変装をして、勇者を上手く導いておるはずじゃ。お主が気に病むことではないぞ」
「そっか……ちょっと気になってたから、大丈夫なら良かったよ」
魔王討伐頑張ってね、野崎さん。
⸺⸺
日が落ちて暗くなってくるまでお花見は続き、おやつがなくなったところでお開きとなった。
アメちゃんとマリーちゃんにも別れを告げてウルユ島に戻ろうとファストトラベルを発動させた瞬間⸺⸺
「わらわも行くぞ♪」
「えっ!?」
マリーちゃんは次元の狭間に帰っていったけど、アメちゃんはファストトラベルが発動するギリギリのところで転送範囲内に飛び込んで来たのであった。
206
あなたにおすすめの小説
異世界で目覚めたら、もふもふ騎士団に保護されてました ~ちびっ子だけど、獣人たちの平穏のためお世話係がんばります!!~
ありぽん
ファンタジー
神のミスで命を落とした芽依は、お詫びとして大好きな異世界へ転生させてもらえることに。だが転生の際、またしても神のミスで、森の奥地に幼女の姿で送られてしまい。転生の反動で眠っていた瞳は、気づかないうちに魔獣たちに囲まれてしまう。
しかしそんな危機的状況の中、森を巡回していた、獣人だけで構成された獣騎士団が駆け付けてくれ、芽依はどうにかこの窮地を切り抜けることができたのだった。
やがて目を覚ました芽依は、初めは混乱したものの、すぐに現状を受け入れ。またその後、同じ種族の人間側で保護する案も出たが、ある事情により、芽依はそのまま獣騎士団の宿舎で暮らすことに。
そこで芽依は、助けてくれた獣騎士たちに恩を返すため、そして日々厳しい任務に向かう獣人たちが少しでも平穏に過ごせるようにと、お世話係を買って出る。
そんな芽依に、当初は不安だった獣人たちだったが、元気で明るい瞳の存在は、次第に獣人たちの力となっていくのだった。
これはちびっ子転生者の芽依が、獣人や魔獣たちのために奮闘し、癒しとなっていく。そんな、ほっこりまったり? な物語。
貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ
凜
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます!
貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。
前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
この度、猛獣公爵の嫁になりまして~厄介払いされた令嬢は旦那様に溺愛されながら、もふもふ達と楽しくモノづくりライフを送っています~
柚木崎 史乃
ファンタジー
名門伯爵家の次女であるコーデリアは、魔力に恵まれなかったせいで双子の姉であるビクトリアと比較されて育った。
家族から疎まれ虐げられる日々に、コーデリアの心は疲弊し限界を迎えていた。
そんな時、どういうわけか縁談を持ちかけてきた貴族がいた。彼の名はジェイド。社交界では、「猛獣公爵」と呼ばれ恐れられている存在だ。
というのも、ある日を境に文字通り猛獣の姿へと変わってしまったらしいのだ。
けれど、いざ顔を合わせてみると全く怖くないどころか寧ろ優しく紳士で、その姿も動物が好きなコーデリアからすれば思わず触りたくなるほど毛並みの良い愛らしい白熊であった。
そんな彼は月に数回、人の姿に戻る。しかも、本来の姿は類まれな美青年なものだから、コーデリアはその度にたじたじになってしまう。
ジェイド曰くここ数年、公爵領では鉱山から流れてくる瘴気が原因で獣の姿になってしまう奇病が流行っているらしい。
それを知ったコーデリアは、瘴気の影響で不便な生活を強いられている領民たちのために鉱石を使って次々と便利な魔導具を発明していく。
そして、ジェイドからその才能を評価され知らず知らずのうちに溺愛されていくのであった。
一方、コーデリアを厄介払いした家族は悪事が白日のもとに晒された挙句、王家からも見放され窮地に追い込まれていくが……。
これは、虐げられていた才女が嫁ぎ先でその才能を発揮し、周囲の人々に無自覚に愛され幸せになるまでを描いた物語。
他サイトでも掲載中。
【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】
佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。
新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。
「せめて回復魔法とかが良かった……」
戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。
「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」
家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。
「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」
そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。
絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。
これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。
家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜
奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。
パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。
健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。
転生少女は異世界で理想のお店を始めたい 猫すぎる神獣と一緒に、自由気ままにがんばります!
梅丸みかん
ファンタジー
せっかく40代目前にして夢だった喫茶店オープンに漕ぎ着けたと言うのに事故に遭い呆気なく命を落としてしまった私。女神様が管理する異世界に転生させてもらい夢を実現するために奮闘するのだが、この世界には無いものが多すぎる! 創造魔法と言う女神様から授かった恩寵と前世の料理レシピを駆使して色々作りながら頑張る私だった。※書籍化に伴い「転生少女は異世界でお店を始めたい」から「転生少女は異世界で理想のお店を始めたい 猫すぎる神獣と一緒に、自由気ままにがんばります!」に改題いたしました。
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる